そして、面白い方向に場を持っていこうとする
「睦月復活計画」で、再びこの世に生を受けた睦月。
軍名簿から抹消されていた、彼女の軍籍を、湊は将官の権限で、「
『警備府司令官
そんな、彼女の艤装を用意した明石と夕張は、一つの疑問を抱いていた。
『
きっかけは、結衣の呟いた
「むっちゃんの霊子量によっては、
余計なことばかり言う女である。
そんな訳で、霊子量を測る機械に、湊と睦月をかけてみたら、湊の霊子量は『通常の人間レベル』までに収まっており、睦月が『電に近い』霊子量を持っていることが判明した。
霊子とかも、睦月が
「それなら、魔改造しようず」
『オー!』
というわけで、三人の魔改造
自身の装着予定の艤装が、
なお、結衣によって、全ての根回しは行われており、
「という訳で、基本ベースだけど、艦本式ボイラーなんて古いから原子力タービンに……」
結衣の言葉に、明石が苦々しい口調で、声を挟む。
「いやあ。やってみたい装備なんですけど、核物質をパッケージ化しないといけなくて、
「核ミサイルですら、榛名に配備できない状況ですからね」
続く夕張の言葉に、結衣は腕を組んで考え込んだ。
「そうかあ。そうなると、 COGAG方式のガスタービンかぁ……?」
「ですねえ」
結衣の言葉に、明石も同意する。夕張は早速、せっかく
「これで速力は確保できましたが、
明石の悪い癖が始まった。
「そうさなあ。ミサイルって便利なんだけど、威力不足だからねえ。今後現れるであろう、人工深海棲艦やDSキラー対策を考えると、駆逐艦の長所を
結衣の提案に、明石とガスタービンを取り付けている、夕張も頷く。
「まずは、駆逐艦の特徴その1、速さ。いっその事、島風改二の速度越えよう。なんか、『
結衣のこの発言に、二人の心に、炎が燃え上がった。
「艦娘の元祖日本としては、
「ですね!やりましょう、
その予想外の熱の入りように、結衣は苦笑いを浮かべ始める。
「あ、これ
そのとおりである。
「取り敢えず、フレーム素材も変えましょうか?霊子結晶を組み込んで、効率的に霊子を力に変換できるようにします。オーバーロード効率も格段に上がります。霊子をそのまま推力にすることも可能です」
「あれだね?龍田のバルディッシュや、綾波のロングヘビートマホークの発展型だね?」
結衣の言葉に、夕張が頷いてから、明石が説明する。
「結衣さんの無茶振りの技術の、発展型です。霊子で兵装を動かすなら、ダイレクトに兵装に直結した方が、効率が良いですから。これは、『
綾波は、昨日は海賊退治に出かけていた。今日は、北海道の漁場を荒らす、トドの群れを退治しに行くらしい。もはや完全に
帰りに、各鎮守府・警備府に立ち寄って、トド肉を土産に配る、と聞いている。
「まあ、それを純粋に、対深海棲艦用に兵装調整する感じ、かな?」
明石の説明に、結衣が納得したように答え、明石は持参したコンテナから、霊子結晶フレームを通常艤装フレームと換装し始める。
「いやあ。明石と夕張が二人で作業してると本当に楽しそうで、見てる結衣も楽しくなるよ」
そう言いながら、結衣も手伝いながら三人で作業をしている。お昼時になって、簡単な食事を摂りながら、作業を続けると、
「ただいまー!」
と、恵奈の元気な声が聞こえて、工廠の扉が開いた。
「おー、おかえり。ちょうどいい所に来た。手伝ってよ?」
「はーい!」
元気良く、工廠に飛び込んできた恵奈ちゃんの、頭を撫でながら声をかけると、恵奈は元気よく答える。
両肩には、隊長妖精カルテットが仲良く乗っている。
右からF-2妖精さん、
中部警備府基地航空隊の、恐るべき
今は、日米同盟のお陰で有り余る資材を、米軍から賄っている。
艦娘戦争時に結ばれた条約、『日米艦娘協定』のおかげである。
今は国連《軍艦艦娘理事会》により、資材の融通を行っており、中ロからも有事の際には、物資を融通できる仕組みができている。
だが、こいつ等が動くと、提出する書類と仕事が倍に増える為、結衣の
大抵は、志摩・浜松泊地の艦娘の迎撃支援に出撃して行く。
恵奈のおかげで、フレームとタービンの組み込み作業は、予定より早く完了した。
もう完全に、
「さて。あとは兵装なんですが、睦月の役職が、司令部に近い次席秘書艦な以上、防空駆逐艦タイプで、DSキラーのサブ・ハープーン対策に対空兵器を集中運用した方が、いいと思います。恵海・
夕張の提案に、一同がコクリと頷いた。
恵奈ちゃんは、愛する暁の元に行ってしまった。今日はこれから、
「そうなると、ファランクス防空システムは搭載するでしょ?対潜魚雷に、速射砲に、もう一つかぁ……?」
結衣の言葉に、既にその三つを、
そういうものを、既に用意している、この連中の
結衣は、それを眺めながら、暫し考える……
「そうだ。結衣、試してみたかったものがあるんだ。XNー1 LaWS積もう?」
『えっ?』
唖然として、組み込み作業が止まった。
XNー1 LaWSとは、レーザー兵器システムの一種で、高出力の赤外線レーザーで対象を攻撃するシステムで、高出力なら敵ヘリコプターを撃墜できるほどの、威力を持っている。
現在、揚陸艦「ポンス」に搭載されている。
「しかし、詳細な図面がないと……?天津風の連装砲くんのLaWSは、単なるブルーレイレーザーポインターですし……?」
「ん?あるよ?」
困った顔をして、結衣に告げる夕張に、平然と答えると、また二人は唖然とする。
『えっ?』
簡単に、
「結衣って、米軍にもコネあってね。
『………』
ここから、二人の地獄が始まった。
数日間、工廠の工房に籠りっきりで、結衣からもたらされた詳細データを解析して、
一から設計図を組み上げながら、霊子を込めて、部品を作り上げる。
それを組み立てていく。明石には、日程上のリミットがある為、二人共数日間完徹で、作業をしていた。
その間結衣は、多方面への根回しや、資材配置や色々を行っている。
「漸く、出来上がりました!」
完成した
他の装備は、恵奈ちゃんと結衣で組み込んでいる。
そして、XNー1 LaWSを組み込んでから、睦月を呼び寄せた。
「艤装、出来たの?」
湊と一緒にやって来た睦月。
湊は、
「一つ、懸念事項があるんですよ。私も睦月も、おそらく艤装を展開できる能力を持ってないんでは?って言う」
その、困った顔の湊の言葉に、結衣は真面目な顔になる。
「かもしれないね。でも結衣は、『だからといってやらずに諦める』ようなことは、して欲しくないな?」
「……わかった。湊……睦月やってみる!」
結衣の、そのまっすぐな目に、睦月も強く頷いて、艤装を装着する。
すっと目を閉じて、艤装を収納させる。
「よし。海にいきましょう!」
「睦月、頑張ってね」
睦月は海に出ると、すっと目を閉じて、艤装に心を通わせる。
睦月の脳裏には、湊との思い出が過り、皆の思い、色々な人達の『心』を感じ取っていた。
この街には、『
「
かっと、目を開いた睦月の背部には、白銀色の艤装が展開されていた。
側面には、湊ちゃん艦隊の艦隊章と、モチーフになったスイセンの花の、パーソナルマーク。
「やった!出来た!!湊っ!!!」
睦月の満面の笑みに、湊も笑みを返す。
右肩には、大型のレンズ。XNー1 LaWS改が搭載されており、左肩には、ファランクスが搭載されている。
両腰には、速射砲一門ずつと、両腿には、魚雷発射管がついている。
魚雷も、12式誘導魚雷である。
艤装をしまって埠頭に上がった睦月を、湊と電はぎゅっと抱き締めた。
「湊……ありがとう」
「睦月、一緒に戦っていきましょう」
「睦月、電も一緒なのです」
そんな、ラブラブっぷりを見せつけられる
「あーあ。こんな結衣、もらってくれる人なんて、いないしなぁ?」
「好きな人とか、いないんですか?」
その結衣のぼやきを、隣で聞いていた夕張は、聞いてみると、結衣はちょっぴり寂しそうに首を振った。
「ううん。結衣は、誰かに縛られるのは嫌かな?それだったら、後腐れなく付き合った方が気楽よ?」
「………」
少しだけ悲しそうな、夕張の肩をぽんと叩くと、笑顔に戻る。
「結衣は、大事な人をいっぱいもらったから、それで十分よ。浮気性の結衣には、そういうの似合わないし……」
そう言い終わる前に、結衣は、三人に引き寄せられていた。
『何言ってるの、『
三人は、
「たはー……可愛い妹達に怒られちった」
にへらっと笑う結衣に、顔を向けさせる湊。
「今日という今日は、私達が結衣姉さんを、いかに
「明後日の夕方まで、寝かさないのです」
「睦月も、結衣お姉ちゃんの
その三人の言葉に、結衣は、心からの笑みを浮かべた。
――なんだ。結衣は十分幸せじゃん……可愛い妹達に、
そんなことを思いながら、結衣はそのまま三人に、将官用の官舎に連行されて行ったことは、言うまでもない。
数日後、LaWSを
「こ、この武器、めちゃめちゃ使いづらいんだけど!?」
出力の加減を覚えるのに、日夜トレーニングが必要になった睦月は、今日も頑張っている。
「誰!?こんな、扱いにくい兵装積み込んだのは!?」
月夜の晩に、睦月の叫び声が響き渡っている。
そんな睦月を、湊と電は埠頭に腰掛けて、にこにこと見守っている。
明日も、良い艦娘日和になりそうだ。
Tips《丸焦げのイ級/レーザー兵器システム改》
睦月に装備されているLaWSは燃料によって生み出された電力と霊子によってを指向性レーザーに替える装置という位置づけなので
全力でぶっ放せば数百kwくらいの出力でぶっ放せます。 燃料なくなるけど。
実際のLaWS改がどのくらいの威力を出すかの資料があんまりないので、
超強力なレーザー溶接を想像して書いております。
もちろん実際のLaWSに駆逐艦を炎上させる能力は……多分無いです。