小さな提督と艦娘日和   作:SAMICO

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睦月の艤装装着のために集結した工廠コンビ(明石と夕張)
そして、面白い方向に場を持っていこうとする最狂の上司(結衣)




夕張と明石の真・艤装魔改造計画―睦月艤装開発計画―

「睦月復活計画」で、再びこの世に生を受けた睦月。

軍名簿から抹消されていた、彼女の軍籍を、湊は将官の権限で、「()()()()」と言う形で再登録し、

『警備府司令官()()()()()』として、手元に置いた。

 

そんな、彼女の艤装を用意した明石と夕張は、一つの疑問を抱いていた。

霊子量(艦娘練度)は、どのくらいなんだろう?』

きっかけは、結衣の呟いた()()()()だった。

「むっちゃんの霊子量によっては、()()()も、可能じゃね?」

余計なことばかり言う女である。()()、資材イーターを()()()気のようだ。

 

そんな訳で、霊子量を測る機械に、湊と睦月をかけてみたら、湊の霊子量は『通常の人間レベル』までに収まっており、睦月が『電に近い』霊子量を持っていることが判明した。

霊子とかも、睦月が()()()()()()しまったのだ。

 

「それなら、魔改造しようず」

『オー!』

 

というわけで、三人の魔改造()鹿()による、『睦月改二(アルティメット)』計画が始まった。

 

自身の装着予定の艤装が、()()()()にされていることなど、和気藹々と事務仕事をして、夕飯後のデートの予定を練っている、司令官百合トリオ(湊&電&睦月)は、知る由もなかった。

なお、結衣によって、全ての根回しは行われており、()()()()()()()()を確保している。

 

「という訳で、基本ベースだけど、艦本式ボイラーなんて古いから原子力タービンに……」

結衣の言葉に、明石が苦々しい口調で、声を挟む。

「いやあ。やってみたい装備なんですけど、核物質をパッケージ化しないといけなくて、()()()()無理があるかと」

「核ミサイルですら、榛名に配備できない状況ですからね」

続く夕張の言葉に、結衣は腕を組んで考え込んだ。

「そうかあ。そうなると、 COGAG方式のガスタービンかぁ……?」

「ですねえ」

結衣の言葉に、明石も同意する。夕張は早速、せっかく()()()()()()()()()望月改二を分解して、試作していたガスタービンを、ベース部に取り付け始める。

「これで速力は確保できましたが、()()()()()()()というからには、魔改造を取り入れたいですね?」

明石の悪い癖が始まった。

「そうさなあ。ミサイルって便利なんだけど、威力不足だからねえ。今後現れるであろう、人工深海棲艦やDSキラー対策を考えると、駆逐艦の長所を()()()伸ばしてみようか?」

結衣の提案に、明石とガスタービンを取り付けている、夕張も頷く。

「まずは、駆逐艦の特徴その1、速さ。いっその事、島風改二の速度越えよう。なんか、『()()()()()』って言う異名の、魔改造技術士官がいて、島風をガスタービン換装させて、超高速駆逐艦になってるんだって?」

結衣のこの発言に、二人の心に、炎が燃え上がった。

「艦娘の元祖日本としては、米軍(ヤンキー)共に遅れを取ることは、許されません!」

「ですね!やりましょう、究極速度駆逐艦(アルティメットハイスピードデストロイヤー)!」

その予想外の熱の入りように、結衣は苦笑いを浮かべ始める。

「あ、これ()()()だ」

そのとおりである。

 

「取り敢えず、フレーム素材も変えましょうか?霊子結晶を組み込んで、効率的に霊子を力に変換できるようにします。オーバーロード効率も格段に上がります。霊子をそのまま推力にすることも可能です」

「あれだね?龍田のバルディッシュや、綾波のロングヘビートマホークの発展型だね?」

結衣の言葉に、夕張が頷いてから、明石が説明する。

「結衣さんの無茶振りの技術の、発展型です。霊子で兵装を動かすなら、ダイレクトに兵装に直結した方が、効率が良いですから。これは、『綾波改二零改二(綾波専用零式艤装改二)』で、証明済みです」

綾波は、昨日は海賊退治に出かけていた。今日は、北海道の漁場を荒らす、トドの群れを退治しに行くらしい。もはや完全に便()()()である。

帰りに、各鎮守府・警備府に立ち寄って、トド肉を土産に配る、と聞いている。

「まあ、それを純粋に、対深海棲艦用に兵装調整する感じ、かな?」

明石の説明に、結衣が納得したように答え、明石は持参したコンテナから、霊子結晶フレームを通常艤装フレームと換装し始める。

「いやあ。明石と夕張が二人で作業してると本当に楽しそうで、見てる結衣も楽しくなるよ」

そう言いながら、結衣も手伝いながら三人で作業をしている。お昼時になって、簡単な食事を摂りながら、作業を続けると、

「ただいまー!」

と、恵奈の元気な声が聞こえて、工廠の扉が開いた。

「おー、おかえり。ちょうどいい所に来た。手伝ってよ?」

「はーい!」

元気良く、工廠に飛び込んできた恵奈ちゃんの、頭を撫でながら声をかけると、恵奈は元気よく答える。

両肩には、隊長妖精カルテットが仲良く乗っている。

右からF-2妖精さん、隊長(ルーデル)妖精さん、P-1()妖精さんにF-35A(ミニほっぽ)妖精さんである。

中部警備府基地航空隊の、恐るべき資材イーター共(資材イーターカルテット)である。

今は、日米同盟のお陰で有り余る資材を、米軍から賄っている。

艦娘戦争時に結ばれた条約、『日米艦娘協定』のおかげである。

今は国連《軍艦艦娘理事会》により、資材の融通を行っており、中ロからも有事の際には、物資を融通できる仕組みができている。

だが、こいつ等が動くと、提出する書類と仕事が倍に増える為、結衣の()()と、なっているのである。

大抵は、志摩・浜松泊地の艦娘の迎撃支援に出撃して行く。いつも勝手に(基地航空隊長の判断で)

恵奈のおかげで、フレームとタービンの組み込み作業は、予定より早く完了した。

もう完全に、()()()()である。

 

「さて。あとは兵装なんですが、睦月の役職が、司令部に近い次席秘書艦な以上、防空駆逐艦タイプで、DSキラーのサブ・ハープーン対策に対空兵器を集中運用した方が、いいと思います。恵海・伊58改二潜(潜水艦としての長所を伸ばした改装)同様、特殊任務艦隊に組み入れて、状況に応じて出動させる感じ、ですね?」

夕張の提案に、一同がコクリと頷いた。

恵奈ちゃんは、愛する暁の元に行ってしまった。今日はこれから、()()()()()らしい。

「そうなると、ファランクス防空システムは搭載するでしょ?対潜魚雷に、速射砲に、もう一つかぁ……?」

結衣の言葉に、既にその三つを、()()()()用意している夕張達は、組み込みを始めている。

そういうものを、既に用意している、この連中の()()()は凄まじい。

結衣は、それを眺めながら、暫し考える……

 

「そうだ。結衣、試してみたかったものがあるんだ。XNー1 LaWS積もう?」

『えっ?』

唖然として、組み込み作業が止まった。

 

XNー1 LaWSとは、レーザー兵器システムの一種で、高出力の赤外線レーザーで対象を攻撃するシステムで、高出力なら敵ヘリコプターを撃墜できるほどの、威力を持っている。

現在、揚陸艦「ポンス」に搭載されている。

「しかし、詳細な図面がないと……?天津風の連装砲くんのLaWSは、単なるブルーレイレーザーポインターですし……?」

「ん?あるよ?」

困った顔をして、結衣に告げる夕張に、平然と答えると、また二人は唖然とする。

『えっ?』

簡単に、()()()()()()()を持っている、とほざくこの元情報部、恐ろしい。

「結衣って、米軍にもコネあってね。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()条件で、もらってるんだよね」

『………』

 

ここから、二人の地獄が始まった。

数日間、工廠の工房に籠りっきりで、結衣からもたらされた詳細データを解析して、

一から設計図を組み上げながら、霊子を込めて、部品を作り上げる。

それを組み立てていく。明石には、日程上のリミットがある為、二人共数日間完徹で、作業をしていた。

その間結衣は、多方面への根回しや、資材配置や色々を行っている。

()()()()()()()の為には、全力を出す。のがこの女である。

 

「漸く、出来上がりました!」

完成した()()、夕張達は十分な睡眠を取って、出来た装備を持ってきた。

他の装備は、恵奈ちゃんと結衣で組み込んでいる。

そして、XNー1 LaWSを組み込んでから、睦月を呼び寄せた。

 

「艤装、出来たの?」

湊と一緒にやって来た睦月。

湊は、()()()()()()()()()()()にシャツ&カーディガンの、いつもの事務員さんスタイルである。

「一つ、懸念事項があるんですよ。私も睦月も、おそらく艤装を展開できる能力を持ってないんでは?って言う」

その、困った顔の湊の言葉に、結衣は真面目な顔になる。

「かもしれないね。でも結衣は、『だからといってやらずに諦める』ようなことは、して欲しくないな?」

「……わかった。湊……睦月やってみる!」

結衣の、そのまっすぐな目に、睦月も強く頷いて、艤装を装着する。

すっと目を閉じて、艤装を収納させる。

「よし。海にいきましょう!」

「睦月、頑張ってね」

 

睦月は海に出ると、すっと目を閉じて、艤装に心を通わせる。

睦月の脳裏には、湊との思い出が過り、皆の思い、色々な人達の『心』を感じ取っていた。

この街には、『()()』が溢れている。

()()()……()()()()()()()()()()()()()()()()!」

かっと、目を開いた睦月の背部には、白銀色の艤装が展開されていた。

側面には、湊ちゃん艦隊の艦隊章と、モチーフになったスイセンの花の、パーソナルマーク。

「やった!出来た!!湊っ!!!」

睦月の満面の笑みに、湊も笑みを返す。

右肩には、大型のレンズ。XNー1 LaWS改が搭載されており、左肩には、ファランクスが搭載されている。

両腰には、速射砲一門ずつと、両腿には、魚雷発射管がついている。

魚雷も、12式誘導魚雷である。

艤装をしまって埠頭に上がった睦月を、湊と電はぎゅっと抱き締めた。

「湊……ありがとう」

「睦月、一緒に戦っていきましょう」

「睦月、電も一緒なのです」

 

そんな、ラブラブっぷりを見せつけられる三人(夕張&明石&結衣)は、肩を竦めて笑っていた。

「あーあ。こんな結衣、もらってくれる人なんて、いないしなぁ?」

「好きな人とか、いないんですか?」

その結衣のぼやきを、隣で聞いていた夕張は、聞いてみると、結衣はちょっぴり寂しそうに首を振った。

「ううん。結衣は、誰かに縛られるのは嫌かな?それだったら、後腐れなく付き合った方が気楽よ?」

「………」

少しだけ悲しそうな、夕張の肩をぽんと叩くと、笑顔に戻る。

「結衣は、大事な人をいっぱいもらったから、それで十分よ。浮気性の結衣には、そういうの似合わないし……」

そう言い終わる前に、結衣は、三人に引き寄せられていた。

『何言ってるの、『()()()()()!』』

三人は、()()()()()怒っていた。

「たはー……可愛い妹達に怒られちった」

にへらっと笑う結衣に、顔を向けさせる湊。

「今日という今日は、私達が結衣姉さんを、いかに()()()()()、教えてあげます」

「明後日の夕方まで、寝かさないのです」

「睦月も、結衣お姉ちゃんの()だから、ずっと一緒に、いてもらうよ」

その三人の言葉に、結衣は、心からの笑みを浮かべた。

 

――なんだ。結衣は十分幸せじゃん……可愛い妹達に、()()()()()んだから。

 

そんなことを思いながら、結衣はそのまま三人に、将官用の官舎に連行されて行ったことは、言うまでもない。

 

数日後、LaWSを()()で試射した結果、イ級を丸焦げに炎上させた上、一撃で()()()()になってしまった。

「こ、この武器、めちゃめちゃ使いづらいんだけど!?」

出力の加減を覚えるのに、日夜トレーニングが必要になった睦月は、今日も頑張っている。

「誰!?こんな、扱いにくい兵装積み込んだのは!?」

月夜の晩に、睦月の叫び声が響き渡っている。

そんな睦月を、湊と電は埠頭に腰掛けて、にこにこと見守っている。

 

明日も、良い艦娘日和になりそうだ。




Tips《丸焦げのイ級/レーザー兵器システム改》
睦月に装備されているLaWSは燃料によって生み出された電力と霊子によってを指向性レーザーに替える装置という位置づけなので
全力でぶっ放せば数百kwくらいの出力でぶっ放せます。 燃料なくなるけど。
実際のLaWS改がどのくらいの威力を出すかの資料があんまりないので、
超強力なレーザー溶接を想像して書いております。

もちろん実際のLaWSに駆逐艦を炎上させる能力は……多分無いです。
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