小さな提督と艦娘日和   作:SAMICO

71 / 73
魔改造トリオは最新兵器をごっそり盛り込んだ艤装案を結衣に提出する
すると、結衣は意外な反応を見せた


日米コラボ・魔改造トリオの装備開発計画Ⅱ―天龍型再設計計画―

前回のレールガン試験で、中部警備府庁舎のガラスと天龍の艤装を吹き飛ばした、魔改造トリオ。

湊から連絡を受けた、()()()()艦娘部隊の隊長である、我那覇陽子大佐は、すぐさま米軍に抗議を入れる。

直ちに、()()()()の司令官がお詫びにやってくる等、大騒ぎになっていた。

流石に、そこまでになるとは思わず、在日米軍司令官のジョン・ハワード中将に、中部警備府では割りとあること、と説明して穏便に事態を収束させた。

ハワード中将は、「割りとあるのですか……?()()()()()()……」と、納得していた。

米軍の艦娘部隊も、日本同様割りとフリーダムのようだ。

ハワード中将との協議の結果、天龍型の再設計にナスタージ少佐を協力させて、減給処分にすると言う方向、で落ち着いた。

同席した電曰く、湊はペラッペラの英語で、英語のジョーク(アメリカン・ジョーク)も交えていたという。

これもある意味、日米同盟の一つの形である。

 

という訳で、魔改造トリオは新たなる天龍型の艤装を作るのに、四苦八苦していた。

「もういっその事、現代ミサイル()()()巡洋艦に、してしまいまショウ?」

ナスタージ少佐の原案を元に、ミサイル巡洋艦(CG)での艤装案を、徹夜で作り上げた。

ベースにガスタービンを盛り込み、すべての素材を霊子結晶で作り、

霊子結晶の装甲を取り付け、対艦ミサイル・ファランクス+LaWS・タクティカル・トマホーク搭載型VLS+イルミネーター・レールガン……まさに、現代版ミサイル巡洋艦である。

全部を霊子結晶で賄う、資材の大量使用も辞さない、魔改造艤装である。

その企画書を持って、『100%結衣は()()()()』と確信して、三人は結衣の執務室(プレハブ小屋)に向かった。

 

「最新技術を盛り込んだ、新・天龍型艤装案です」

魔改造トリオは、最新技術をふんだんに取り入れた艤装案を、結衣に提出した。

「却下」

結衣は、それを一瞥すると、シュレッダーにかけてしまった。

「何でですか!?」

その不服そうな夕張に、結衣は真面目な顔になる。

「あのね。結衣は、『意味のない改装案』を通した覚えはないよ?龍田リペアは、軽巡の枠を出ない武装だし、12式魚雷は、対DSキラーの為のデータ取り。

リペア艤装で、いずれは()()()()天龍型に戻すと思ったから、許可した訳。輪っかと武器は、結衣の趣味だから、軍からお金は出してない(費用は結衣が払った)よ。

基地航空隊も、最終的には対潜や、()()()()深海棲艦対策に有用だから通したの。睦月のLaWSは、実装データで日米同盟の底上げをする為。

あっちでは、なかなか盛り込めない装備だからね。艦娘の工作艦いないし。あとは()()()()()の為。DSキラーの()()()()()()()の一人だからね?むっちゃん。

レールガンは、これも同じ。米軍への試験データ提供と、対空・対ミサイルに使えるし、真・日向の方向性(でかい・かたい・つよい)に合致したから通した。

でも、これはお前等の自己満足(ただ単に技術ぶっこんだだけ)じゃん?明石は、軽空母(龍驤)にパリ砲乗っけた一件で、懲りてなかったの?

智ちゃんじゃないけど、馬鹿なの?死ぬの?あんた等、技術馬鹿過ぎんでしょ?

遠征特化部隊で、艦対地巡航ミサイル(タクティカルトマホーク)何に使うの?

対艦ミサイルの射程上にいる敵を、先制攻撃する意味は?()()()()()()()()()()()のが、遠征部隊でしょ?

レールガンとかLaWSとかの戦術的理由は?結局はお前等の自己満足だろ?」

『………』

その言葉に、押し黙る三人。ある意味、結衣を侮っていた。()()()()()()()()()()()()()()だと、バカにしていた。

「結衣を甘く見ないでもらえないかな?結衣から出す条件は、既存(大戦時の)装備()()()で、駆逐艦に追いつける速力、駆逐艦のエスコートのできる水雷巡洋艦。そして、燃費の良さ。つまりは、旧来の天龍型の()()()()()()()()()()()改装をしなさい、ってこと」

『……』

結衣は、ふふっと笑う。

()()()()()()()、あとはあんた等にお任せするよ。それとも何かい?大日本帝国の艦艇の魂や、米合衆国の魂(アメリカンスピリッツ)はどっか行っちゃった?」

その言葉は、三人を奮い立たせた。

『はっ、急ぎ再提出します!』

「頑張ってねー」

そう言いながら、艦娘本部工廠部に、『総霊子結晶金属の天龍型艤装フレームベース(フル・スピリチュアルクアンタムフレーム)』を、既に二つ発注して本日届く、というメールを眺めている結衣だった。

 

 

工廠部に戻ってきた三人は、その間に運び込まれていた木箱を開けていた。

「工廠本部からですって?」

「何でしょうね?」

木箱を開けると、白銀色の艤装フレームが、二個並べて置いてあった。天龍型のフレームベースである。

コアを移植すれば、稼働可能な状態になっている。

既に艦本式タービン改(低燃費タービン)が取り付けられており、オーバーロード用のメンテナンスも成されている。

『これは……』

三人が、まじまじと見ている。

キャプテン・タカナ(高菜大佐)は、先を見通して手配してくれたのだな」

「そうですね……私達は、高菜大佐をある意味、馬鹿にしてたのかもしれませんね?」

「普段の奇天烈な言動で、見間違えていましたね」

ナスタージ少佐の言葉に明石が続けて、夕張も頷く。

「あとは、装備の選定ですね?」

夕張が、その言葉に頷く。

「既存装備ということは、現代化装備は全て却下されると、思ったほうが良いですね?」

明石の言葉に、残る二人も頷いた。

「主砲は、15.2㎝連装砲改。これ一択でしょう?大き過ぎず小さ過ぎない主砲、ですから」

「軽巡にちょうどいい主砲ですね」

「そうだネ」

その夕張の言葉に、バランスの良いこの装備に全員が同意した。

「副砲は、『5インチ連装砲 Mk.28 mod.2+VT信管弾』を推すネ」

マリアナ海戦で大きな戦果を上げた、『米国(当時の敵国)』の技術を盛り込むことで、日米同盟(今は味方)と言う実感を更に持つ、夕張と明石は頷く。

「対空迎撃は、駆逐艦の子を守る為に、重要ですからね」

「次は、魚雷ともう一つですね」

二人の言葉に、ナスタージ少佐も頷く。

「魚雷は、日本海軍が誇る、試製61㎝六連装(酸素)魚雷にしたいと思います」

「それがいい」

「ですね」

明石の提案にナスタージ少佐も同意して、夕張も同意する。

これで、天龍型としての艤装の方向性に合致した、中口径砲+副砲+魚雷の構成が完成した。

あとは、電探を載せる予定である。

結局、龍田には元の電探である、32号対水上電探改を搭載して、天龍には龍田(リペア)の『HF/DF+Type144/147 ASDIC』を載せ替える。

「これで、高菜大佐に実装案を提出しましょう?」

明石の言葉に一同頷き合って、再び執務室に向かった。

 

 

この艤装案を結衣に提出すると、結衣は暫し考え、その書類に決裁印を押した。

「OK。あとは、天龍の手持ち武器も、霊子結晶化しようか?そっちは例の修理代と相殺でいいよ(結衣のポケットマネーで出すから)。それで、この装備を元に、()()()()()()()()、自由だからね?」

「はいっ!」

明石の返事に満足すると結衣は、

「では、早速実装をお願いします」

『はっ』

その言葉で、三人は工廠に戻って、実装を始める。

その様子を見て、結衣はふふっと笑って、目を伏せる。

「やっと、お揃いの艤装になれるね?」

執務室のパーティションの後ろに隠れていた、天龍と龍田が出てくる。

「済まねえな。高菜大佐」

「やっぱり、私達は、『天龍型』に拘りたかったの」

その言葉に、結衣はあははっと笑い出すと、真面目な顔になる。

「結衣は、面白いことは大好きな、奇人変人の類だけど、さっきも言ったとおり『()()()な改装』は通すつもりは無かったよ。あれは、三人の自己満足に過ぎない()()だったからね?超技術は良いことだけど、使わなかったら装備も可哀想じゃない?やっぱり結衣は、二人には駆逐艦の子を率いて、各地を回ってきて欲しいんだよ。でもそれは、決して天龍達が()()()()()()()って意味じゃないよ?天龍達の主任務、()()()()()()()()()()()()()は大事なんだ。DSキラーもいるし、まだまだ()()()()()()()()()()()()()()()()()。ある意味状況は、大戦終結時より少し悪くなってるかもしれない。万一戦うときの為に、駆逐艦の子達を()()()()()が、必要だからね?」

『………』

押し黙る二人に、ふっと笑う。

「まだまだ、心配事は多いかもしれないけど、結衣達は希望の街に住んでいるんだから、()()()()()()()んだよ」

その言葉に、二人も笑みが戻る。

「それに、天龍は駆逐艦の子達の()()()()が似合ってる」

「そうね。天龍ちゃんには、()()()()()()()()()が似合うわね」

二人で言われると、天龍は真っ赤になって、照れている。

そんな天龍型姉妹を、にまにま眺めている結衣だった。

 

工廠に戻ってきたが、そこで終わらないのが彼女等である。

「さあ、どう改造しようか?諸君」

ナスタージの挑戦的な笑いに、夕張明石はニヤリと笑った。

装備改装は、()()()()()()()()と。

ただで転ばないのが、彼女達である。

「まずは、主砲をブラッシュアップしよう。GFCSを取り付けたいと思うネ」

米軍艦隊総旗艦、【Iowa】の主砲に取り付けられている、射撃管制システムである。

二人は、ナスタージ少佐の意図にニヤリと笑った。()()()()()()()()()()()()()()()をやろうというのだ。

「ついでに副砲に、Bofors 40㎜四連装機関砲を追加搭載して、『5インチ連装砲 Mk.28 mod.2(VT信管弾)+Bofors 40㎜四連装機関砲(HEIAP弾)』としまショウ。大佐も、弾薬までは文句は言わないでショウ?」

そのナスタージ少佐の言葉に、二人もニヤリとなる。

HEIAP弾は、炸裂焼夷徹甲弾である。戦車や艦載機等、狭い空間の相手に強い力を持つ弾薬である。

最近、何処かの武闘派駆逐艦(一人空挺団 綾波)が、その弾薬で海賊をミンチにしているが、()()()()()()()()()()弾薬である。

「ついでに、高射装置も積み込みましょう」

三人の魔改造馬鹿が作り上げた装備は、『高射装置付き5インチ連装砲 Mk.28 mod.2(VT信管弾)+Bofors 40㎜四連装機関砲(HEIAP弾)』という、()()()()()()みたいな物体が出来上がった。

「やっぱり、世界水準超えてますね?」

その言葉に、三人が笑いながら装備を組み上げていく。

電探も、マイナーアップデートして、天龍と龍田の()でプチイージスのような、霊子コンタクト装置を取り付けた。

こうして天龍型は、防空・対潜・遠征向け巡洋艦、として生まれ変わった。

遠征に向かう娘達を守る、()()()()()()、となったのだ。

 

結衣は、その完成した姿を見て、呟いたそうな。

「まあ、そうなるな」

HEIAP弾の消費コストを考えると、ちょっぴり頭痛がするが、

意味のある装備だと考えた結衣は、そのまま補給計画書を上に上げる。

彼女こそ、()()というものを、一番真摯に捉えている人間、かもしれないだろう。

 

天龍と龍田の二人は、今日もその艤装を身に着けて、海に出かけている。

白銀の艤装に、()()()()湊ちゃん艦隊の艦隊章に二匹の龍が絡みついているロゴと、湊ちゃん艦隊の艦隊章。天龍には旗艦マーク。

今日も楽しく、演習や遠征に出ている。それを囲んでいるのは駆逐艦娘達だ。

 

そんな様子を見て、自身の大仕事と日米交流を終えたナスタージ少佐は、セントレアを発ってアメリカに帰っていった。

「ベリーハッピーな数日間だったネ!」

そう言いながら。

()()日米技術交流という任務は果たして、()()()余計なことまでして帰っていったナスタージ少佐は、

再び、島風強化計画に乗り出すだろう。

そして、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

だが今日もいい艦娘日和、皆が楽しく生きていける、希望の街名古屋。

明日も良い艦娘日和になるだろう。

 

 

 

 




次回はまた通常に戻ります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。