すると、結衣は意外な反応を見せた
前回のレールガン試験で、中部警備府庁舎のガラスと天龍の艤装を吹き飛ばした、魔改造トリオ。
湊から連絡を受けた、
直ちに、
流石に、そこまでになるとは思わず、在日米軍司令官のジョン・ハワード中将に、中部警備府では割りとあること、と説明して穏便に事態を収束させた。
ハワード中将は、「割りとあるのですか……?
米軍の艦娘部隊も、日本同様割りとフリーダムのようだ。
ハワード中将との協議の結果、天龍型の再設計にナスタージ少佐を協力させて、減給処分にすると言う方向、で落ち着いた。
同席した電曰く、湊はペラッペラの英語で、
これもある意味、日米同盟の一つの形である。
という訳で、魔改造トリオは新たなる天龍型の艤装を作るのに、四苦八苦していた。
「もういっその事、現代ミサイル
ナスタージ少佐の原案を元に、
ベースにガスタービンを盛り込み、すべての素材を霊子結晶で作り、
霊子結晶の装甲を取り付け、対艦ミサイル・ファランクス+LaWS・タクティカル・トマホーク搭載型VLS+イルミネーター・レールガン……まさに、現代版ミサイル巡洋艦である。
全部を霊子結晶で賄う、資材の大量使用も辞さない、魔改造艤装である。
その企画書を持って、『100%結衣は
「最新技術を盛り込んだ、新・天龍型艤装案です」
魔改造トリオは、最新技術をふんだんに取り入れた艤装案を、結衣に提出した。
「却下」
結衣は、それを一瞥すると、シュレッダーにかけてしまった。
「何でですか!?」
その不服そうな夕張に、結衣は真面目な顔になる。
「あのね。結衣は、『意味のない改装案』を通した覚えはないよ?龍田リペアは、軽巡の枠を出ない武装だし、12式魚雷は、対DSキラーの為のデータ取り。
リペア艤装で、いずれは
基地航空隊も、最終的には対潜や、
あっちでは、なかなか盛り込めない装備だからね。艦娘の工作艦いないし。あとは
レールガンは、これも同じ。米軍への試験データ提供と、対空・対ミサイルに使えるし、
でも、
智ちゃんじゃないけど、馬鹿なの?死ぬの?あんた等、技術馬鹿過ぎんでしょ?
遠征特化部隊で、
対艦ミサイルの射程上にいる敵を、先制攻撃する意味は?
レールガンとかLaWSとかの戦術的理由は?結局はお前等の自己満足だろ?」
『………』
その言葉に、押し黙る三人。ある意味、結衣を侮っていた。
「結衣を甘く見ないでもらえないかな?結衣から出す条件は、
『……』
結衣は、ふふっと笑う。
「
その言葉は、三人を奮い立たせた。
『はっ、急ぎ再提出します!』
「頑張ってねー」
そう言いながら、艦娘本部工廠部に、『
工廠部に戻ってきた三人は、その間に運び込まれていた木箱を開けていた。
「工廠本部からですって?」
「何でしょうね?」
木箱を開けると、白銀色の艤装フレームが、二個並べて置いてあった。天龍型のフレームベースである。
コアを移植すれば、稼働可能な状態になっている。
既に
『これは……』
三人が、まじまじと見ている。
「
「そうですね……私達は、高菜大佐をある意味、馬鹿にしてたのかもしれませんね?」
「普段の奇天烈な言動で、見間違えていましたね」
ナスタージ少佐の言葉に明石が続けて、夕張も頷く。
「あとは、装備の選定ですね?」
夕張が、その言葉に頷く。
「既存装備ということは、現代化装備は全て却下されると、思ったほうが良いですね?」
明石の言葉に、残る二人も頷いた。
「主砲は、15.2㎝連装砲改。これ一択でしょう?大き過ぎず小さ過ぎない主砲、ですから」
「軽巡にちょうどいい主砲ですね」
「そうだネ」
その夕張の言葉に、バランスの良いこの装備に全員が同意した。
「副砲は、『5インチ連装砲 Mk.28 mod.2+VT信管弾』を推すネ」
マリアナ海戦で大きな戦果を上げた、『
「対空迎撃は、駆逐艦の子を守る為に、重要ですからね」
「次は、魚雷ともう一つですね」
二人の言葉に、ナスタージ少佐も頷く。
「魚雷は、日本海軍が誇る、試製61㎝六連装(酸素)魚雷にしたいと思います」
「それがいい」
「ですね」
明石の提案にナスタージ少佐も同意して、夕張も同意する。
これで、天龍型としての艤装の方向性に合致した、中口径砲+副砲+魚雷の構成が完成した。
あとは、電探を載せる予定である。
結局、龍田には元の電探である、32号対水上電探改を搭載して、天龍には龍田
「これで、高菜大佐に実装案を提出しましょう?」
明石の言葉に一同頷き合って、再び執務室に向かった。
この艤装案を結衣に提出すると、結衣は暫し考え、その書類に決裁印を押した。
「OK。あとは、天龍の手持ち武器も、霊子結晶化しようか?
「はいっ!」
明石の返事に満足すると結衣は、
「では、早速実装をお願いします」
『はっ』
その言葉で、三人は工廠に戻って、実装を始める。
その様子を見て、結衣はふふっと笑って、目を伏せる。
「やっと、お揃いの艤装になれるね?」
執務室のパーティションの後ろに隠れていた、天龍と龍田が出てくる。
「済まねえな。高菜大佐」
「やっぱり、私達は、『天龍型』に拘りたかったの」
その言葉に、結衣はあははっと笑い出すと、真面目な顔になる。
「結衣は、面白いことは大好きな、奇人変人の類だけど、さっきも言ったとおり『
『………』
押し黙る二人に、ふっと笑う。
「まだまだ、心配事は多いかもしれないけど、結衣達は希望の街に住んでいるんだから、
その言葉に、二人も笑みが戻る。
「それに、天龍は駆逐艦の子達の
「そうね。天龍ちゃんには、
二人で言われると、天龍は真っ赤になって、照れている。
そんな天龍型姉妹を、にまにま眺めている結衣だった。
工廠に戻ってきたが、そこで終わらないのが彼女等である。
「さあ、どう改造しようか?諸君」
ナスタージの挑戦的な笑いに、夕張明石はニヤリと笑った。
装備改装は、
ただで転ばないのが、彼女達である。
「まずは、主砲をブラッシュアップしよう。GFCSを取り付けたいと思うネ」
米軍艦隊総旗艦、【Iowa】の主砲に取り付けられている、射撃管制システムである。
二人は、ナスタージ少佐の意図にニヤリと笑った。
「ついでに副砲に、Bofors 40㎜四連装機関砲を追加搭載して、『5インチ連装砲 Mk.28 mod.2(VT信管弾)+Bofors 40㎜四連装機関砲(HEIAP弾)』としまショウ。大佐も、弾薬までは文句は言わないでショウ?」
そのナスタージ少佐の言葉に、二人もニヤリとなる。
HEIAP弾は、炸裂焼夷徹甲弾である。戦車や艦載機等、狭い空間の相手に強い力を持つ弾薬である。
最近、
「ついでに、高射装置も積み込みましょう」
三人の魔改造馬鹿が作り上げた装備は、『高射装置付き5インチ連装砲 Mk.28 mod.2(VT信管弾)+Bofors 40㎜四連装機関砲(HEIAP弾)』という、
「やっぱり、世界水準超えてますね?」
その言葉に、三人が笑いながら装備を組み上げていく。
電探も、マイナーアップデートして、天龍と龍田の
こうして天龍型は、防空・対潜・遠征向け巡洋艦、として生まれ変わった。
遠征に向かう娘達を守る、
結衣は、その完成した姿を見て、呟いたそうな。
「まあ、そうなるな」
HEIAP弾の消費コストを考えると、ちょっぴり頭痛がするが、
意味のある装備だと考えた結衣は、そのまま補給計画書を上に上げる。
彼女こそ、
天龍と龍田の二人は、今日もその艤装を身に着けて、海に出かけている。
白銀の艤装に、
今日も楽しく、演習や遠征に出ている。それを囲んでいるのは駆逐艦娘達だ。
そんな様子を見て、自身の大仕事と日米交流を終えたナスタージ少佐は、セントレアを発ってアメリカに帰っていった。
「ベリーハッピーな数日間だったネ!」
そう言いながら。
再び、島風強化計画に乗り出すだろう。
そして、
だが今日もいい艦娘日和、皆が楽しく生きていける、希望の街名古屋。
明日も良い艦娘日和になるだろう。
次回はまた通常に戻ります。