ハイスクールD×D 駒王町の三ノ輪銀   作:玄武の使者

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第10話 「勇者と吸血鬼(前編)」

~駒王稲荷神社 応接間~

 

 

翌日。

 

銀とひなたは泊まったライザー、レイヴェルを交えてレーティングゲームの相談をしていた。

 

「向こうの眷族って、何人なんだ?」

 

「『兵士』が1人、『騎士』が1人、『戦車』が1人、『僧侶』が2人、『女王』が1人の合計6人だな。」

 

「但し、出場する『僧侶』は1人だけになる筈です。その代わり、堕天使が参加します。」

 

ライザーの説明にレイヴェルが捕捉する。

 

 

上級悪魔が眷族集めに使う悪魔の駒(イーヴィル・ピース)が人間界のチェスをモチーフにしているため、駒の種類や総数も同じになっている。但し、『王』の駒はない。

駒の種類は『兵士』、『騎士』、『戦車』、『僧侶』、『女王』の5種類で、それぞれに特徴がある。例えば、『戦車』の駒を持つ眷族はパワーや防御力が強化される。

 

また、必ずにも15人の眷族を作れる訳ではなく、主の力量と転生させる者の力量によっては転生させるのに複数の駒が必要になる場合も存在する。

対戦相手のグレモリー眷族の場合、『兵士』の駒8個を一誠1人に使ったので、『兵士』枠は1人しかいない。

 

 

「そういえば、堕天使ってどういう立ち位置なんだ?」

 

「『兵士』の使い魔という形で登録しているらしい。上級堕天使をどうやって引きこんだのか分からんがな。」

 

「今回、要注意なのはその堕天使ですわ。上級堕天使となればお兄様も歩が悪いです。」

 

「ああ。それを知っているからこそ、リアスもゲームに乗ったのだろう。」

 

 

フェニックス家の特徴として挙げられるのは、不死身の肉体。

いくら傷を負わせても回復するフェニックスを倒すためには、悪魔の弱点を突くしか倒す方法がない。なので、グレモリー側に居るレイナーレは目の上のタンコブだ。

 

 

「アタシかひなたが対処しようか?」

 

「普通ならそれが妥当だが、助っ人に頼り切りというのは世間的にも体裁が悪い。2人は堕天使を抑え込む程度にして欲しい。」

 

「まあ、私が参加する以上、抑え込むのは難しくないですが、勝算はあるのですか?」

 

「ああ。別に眷族をすべて倒す必要はない。」

 

ライザーはニヤリと笑った。

どうやら、彼には何か考えがあるようだ。

 

「戦闘フィールドは決まってないのですか?」

 

「それについてはゲーム当日にならないと分かりませんわ。分かればもっと綿密に作戦を練れるんですが…………」

 

「分からないならどうしようもないな。」

 

結局、大まかな方針を決めるだけで今回の作戦会議はお開きとなった。

ひなたが淹れた紅茶でくつろいでいると、銀があることを思い出した。

 

「そういえば、何でもう1人の『僧侶』は参加できないんだ?」

 

彼女が思い出したのは、リアスのもう1人の『僧侶』の存在。

 

アーシアよりも先に眷族にしたというもう1人の『僧侶』。

ライザーもレイヴェルもどのような人物なのか、詳細を知らない。しかし、どうして参加できないかは知ってるようだ。

 

「聞いた話だと、リアスの実力では制御ができないくらい強い力を持っているらしい。暴走の危険性も孕んでいることから、封印されているようだ。」

 

「確かにそれではゲームに出すことはできませんね。こちらとしては有難い話です。」

 

「うーん……でも、暴走するからって封印するのはかわいそうだと思うな。」

 

「それについては同感ですわ。暴走する危険があるなら、それを制御する訓練をしないと。」

 

銀の意見にレイヴェルが同調する。

 

「万が一、暴走した時に抑えきれないのが問題なんです。」

 

「暴走すれば手を着けらないからな。」

 

「まあ、他の人に預けるなり、方法はいろいろあったと思いますが。」

 

その後、ゲームにしばらく雑談が続き、お昼前にライザーとレイヴェルは冥界へと帰っていくのだった。

 

 

 

 

 

________________________________________

 

 

 

 

レーティングゲーム開始前のある日の夜。

〈駒王学園〉から少し歩いた位置にあるコンビニから出てくる2人組の女子が居た。

 

「うたのん、わざわざ着いて来なくてもいいのに……」

 

「ダメよ、みーちゃん。こんな夜に可愛い子1人で出歩くのはベリーデンジャーよ!!」

 

「大丈夫だよ、うたのん。前の世界と違って、今の私は戦えるんだから。」

 

「それでも、よ。みーちゃんを守るのは私の役割なんだから。」

 

「うたのん…………」

 

夜道を歩いているのは、〈白鳥農園〉を営む2人組、水都と歌野だった。

夜食を買い出しに来たのか、2人の手には白いコンビニの袋がある。

 

「みーちゃんの神器(セイクリッド・ギア)はレアアイテムなんだから、それを狙ってくる虫が居るかもしれないのよ?」

 

「それを言ったら、うたのんもそれも同じだと思うよ?」

 

水都の視線の先には、歌野が腰に付けている愛用の鞭。

拷問に使われるような物ではなく、外見は植物のツルに見える彼女の得物である。

 

「大丈夫よ。これは私にしか使えないし。それに襲い掛かってきたら、逆に畑の肥料にしてあげるわ。」

 

「うたのんらしいなぁ…………」

 

そんな会話をしながら歩いていると、歌野が突然足を止めた。

 

「あら?」

 

「どうしたの、うたのん?」

 

自宅に帰ろうとした時、歌野はコンビニの敷地の端で何かを見つけた。

道を照らす街灯から離れているため、よく分からないので近づいて行くと、その正体が分かった。

 

「段ボール? 誰かが置いて行ったのかな?」

 

「こんなところにトラッシュを放置するなんて、悪い人が居るものね。」

 

歌野が見つけたのは、変哲もない段ボール。

荷物の配達に使われる物にしては少し大きく、小柄な人ぐらいなら隠れそうなサイズだ。

普通の人ならそのまま放置するかもしれないが、歌野は躊躇なく段ボールの蓋を開ける。

 

「あ、あら?」

 

段ボールの中身は歌野が予想しないモノだった。

 

「女の、子? でも、この耳…………」

 

後ろから覗きこんだ水都が呟く。

 

そう、歌野が開けた段ボールの中に入っていたのは小柄な人。

髪は薄い金髪で〈駒王学園〉の女子用制服を身に纏い、猫のように丸まって眠っている。

そして、セミロングの髪の隙間からはおとぎ話に出てくるエルフのように尖った耳が顔を覗かせていた。

 

「うたのん。この子、悪魔だよ。」

 

「悪魔? 噂には聞いていたけど、本当に居るのね。身なりはキレイだし、ホームレスって訳ではなさそうね。」

 

「でも、何でこんな所に居るんだろ? まさか、はぐれ悪魔? いや、それにしては無防備すぎるし、もしかして何かの罠?」

 

「よいっしょっと。」

 

水都がぶつぶつ呟いている間に、歌野は悪魔の子供を背負う。

 

「…………うたのん。念のために聞くけど、その子どうするの?」

 

「もちろん、ウチに連れて帰るのよ。このまま放置するのは可哀想だわ。」

 

「いいの? 妙なことに巻き来れるかもしれないよ。せっかく、バーテックスの居ない平和な世界なのに。」

 

そんなことを心配する水都に対し、歌野は胸を張って答えた。

 

「十分、平和をエンジョイできたわ。そろそろ、妙なことが起きる方がスリリングがあって楽しいわ。それに、女の子をこんな所に放置するのは私の性に合わないわ」

 

「うたのんらしいね。荷物、私が持つよ。」

 

「ありがと、みーちゃん♪」

 

歌野から荷物を受け取り、2人は仲良く家路に着いた。

 

 

■    ■    ■    ■    ■    ■

 

 

 

―――トントントン

 

(あれ、ボク……)

 

包丁で何かを切る音を聞きながら“彼”の意識がゆっくり浮上する。

 

(ああ、そうだ。いつもの配給が無いからお腹が空いて……)

 

直前の記憶を遡って行くと、忘れていた空腹感が蘇って来た。

同時に、覚醒した嗅覚が独特な香りを捉えて、さらに空腹感を刺激する。

 

(部長が見つけて連れて帰ってくれたのかな……?)

 

そんなことを考えながら、ゆっくりと目蓋を開ける“彼”。

ぼやけた視界に映ったのは見覚えのない天井なのだが、まだ意識がはっきりしていない“彼”は気付かない。

 

「あっ、起きたみたいね。」

 

「…………?」

 

“彼”の視線が本から視線を外した歌野をぶつかる。

やがて、朧気だった“彼”の意識がはっきりしていき…………

 

 

 

「ひゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」

 

 

 

ご近所迷惑な程の大音量で叫び声をあげた。

幸いにも歌野たちの自宅は防音がしっかりしているので、外部に悲鳴が漏れることはなかったが。

 

「だ、誰なんですか!? ぼ、僕をどうするつもりなんですかぁぁぁ!?」

 

布団を蹴飛ばし、ザザザッと部屋の隅っこまで後退する“彼”。

 

「ちょ、ちょっと落ち着いて!! 別にどうもしないわよ!!」

 

そう言って、錯乱する“彼”をなだめようと近づく歌野。

しかし、その行為は逆効果になり、赤い瞳が一瞬だけ光った。

 

歌野は知らないが、“彼”は時間を止める力を持っていた。

しかし、その力を制御できないので感情が高ぶってしまうと、周囲の時間を無意識に止めてしまう厄介な特性があった。

赤い瞳が一瞬だけ光るのは、それ能力が発動する予兆である。

 

しかし、歌野の場合は…………

 

「ひぃぃぃぃぃ!! な、何で動けるんですかぁぁぁ!?」

 

「ん? 何かしたの?」

 

「ゴ、ゴメンなさいぃぃぃぃぃ!! 怒らないで!! ぶたないでぇぇぇぇ!!」

 

“彼”は頭を守るようにうずくまり、ぶるぶると体を震わせる。

その反応に歌野も少しばかり戸惑っていたが、やがて時が止まった空間の中を平然と動いて、“彼”を抱きしめた。

自分の能力が効かない上に、見知らぬ人にハグされることによって更にパニックになる。

 

「大丈夫よ。此処には貴女を傷つける人も、貴女を怒鳴る人も居ないわ。そんな人が居たら、私がやっつけてあげる。」

 

子供をあやすように背中を何度もポンポンと叩く歌野。

 

「あ…………」

 

「落ち着いた?」

 

「は、はい…………」

 

「なら良かったわ。急に知らない場所に連れてこられてサプライズしたでしょ?

 コンビニの近くで眠ってたから、危ないと思って連れて帰ってきたのよ。」

 

(コンビニ……ああ、そうだ。僕、何か買おうと近くまで行ったのはいいけど、結局人が怖くて……)

 

その時、“彼”のお腹がくぅ~と可愛らしい音を鳴らした。

 

「あら、お腹が空いてるのね。」

 

「は、はい……晩御飯、食べてなかったので」

 

「それはバッドね。ご飯は1日3食きちんと食べないと。」

 

そう言うと、歌野は一旦身体を離して、“彼”に目線を合わせる。

 

「私は白鳥 歌野。貴女は?」

 

「えっと……ギャスパー・ヴラディ、です。」

 

「ギャスパー君ね。ちょうど夜食作ってる所なの。一緒に食べましょ?」

 

そう言って、歌野は“彼”――ギャスパーの手を引いてリビングまで連れていくのだった。

 





Q 何でギャスパーが外に出てるの?

A お腹が空いたから。
  普段はリアスor朱乃のどちらが食事を配給

 修行中、2人は不在のため、食事なし
  ↓
  空腹を我慢できず意を決して外へ。


Q ギャスパー、あっさり歌野に心開いてない?

A うたのんのカリスマが為せる技。
  うたのんなら出来そうという私の独断と偏見の結果。(あと妄想)  
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