ハイスクールD×D 駒王町の三ノ輪銀   作:玄武の使者

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第15話 「レーティングゲーム後」

~駒王稲荷神社~

 

 

レーティングゲームから数日後。

 

 

ゲームはライザーの勝利に終わり、リアスがライザーの婚約者になる―――かと思いきや、残念ながらそうはならなかった。

 

「いや~ボコボコにされたな、ライザー。」

 

「良い薬ですわ。お兄様、少し調子に乗ってた部分がありますし。」

 

レーティングゲームの2日後に行われた婚約発表パーティ。

ライザーとリアスが正式に婚約者同士になったことを大々的に発表したお祝いの席に〈赤龍帝〉兵藤 一誠が乱入し、リアスを賭けてライザーに勝負を吹っ掛けた。

 

この勝負を快くライザーは承諾した。

〈赤龍帝〉を格下の下級悪魔と侮っていたため、余裕で勝てると判断した故の行動だったのだろう。しかし、見事に黒星を付けられ、リアスとの婚約は破棄された。

 

「まったく……格下と侮っているから、あんなことになるのですわ。」

 

「でも、いいものを見させてもらいました。囚われのお姫様を助けに来る王子様、みたいなシチュエーションで。」

 

「まあ、確かに向こうからするとお兄様はお姫様をさらった悪役ですわね。」

 

「それで、その悪役ライザーはどうしてるんだ?」

 

「格下に負けて、すっかり凹んでいますわ。」

 

「まあ、典型的なお坊ちゃんだからな。」

 

「さて、ライザーさんの話は置いておいて。レイヴェルさんは例の件、調べてきてくれましたか?」

 

「ええ。もちろんですわ。」

 

そう言って、レイヴェルは一枚の紙を広げる。

 

「材質自体は何の変哲もない日本刀ですわ。しかし、製造過程で大量の霊力を流し込んだため、霊刀へと変質しています。」

 

「製作者とかは?」

 

「それについてはまったく。本人に聞いても、話せないの一点張りですし。」

 

ひなたがレイヴェルに依頼したのは、アーシアが使った日本刀の調査である。

アーシアの治療に〈フェニックスの涙〉が提供されたために、レイヴェルはアーシアと直接接触する機会に恵まれた。それに目を着けたひなたが彼女に依頼したのだ。

 

「まあ、聖剣に匹敵する霊刀を生み出せる人物なんて迂闊に話せないよな。グレモリーのような悪魔ならまだしも、他の悪魔に知られたら…………」

 

「空狐族の悲劇、再来ですね。」

 

悪魔の駒(イーヴィル・ピース)〉を持つ悪魔には、大まかに2つのタイプが居る。

 

グレモリー家やフェニックス家、シトリー家のように相手が同意した時、もしくは本人が生命の危機に晒されている時に駒を与えるタイプ。そして、自分の泊付のために相手の意志に関わらず、相手を眷族化させるタイプの2種類である。

 

後者のタイプが圧倒的多数派である現在、アーシアの霊刀の製作者のことが知られれば、多くの上級悪魔がその力を我が物にせんと過激な行動をすることは間違いない。

 

かつて、空狐族の里がそんな悪魔に襲撃された時のように…………

 

「ひなたさんは高天原から何か聞いておりませんの? これほどの霊刀、作れる人物は限られている筈ですわ。」

 

レイヴェルの質問に、ひなたは首を左右に振った。

 

霊刀とは、霊力を帯びた刀の総称であり、幽体の存在に直接攻撃ができる武器である。

刀に込められた霊力によってその特性が変化するため、対悪魔の霊刀は神霊に準ずる者の霊力が込められている場合が多い。

今回のアーシアの霊刀は聖剣に匹敵する対悪魔の力を持っているので、レイヴェルは高天原の神霊の関与を疑ったのだ。

 

「そういえば、あの刀の銘、ひなたと同じなんだよな。」

 

「そうみたいですわ。わたくしも本人から聞きましたし。」

 

「うーん……私の知り合いには、刀鍛冶できる知り合いは居ないのですが……」

 

「偶然の一致か?」

 

「その可能性が高いですわね。」

 

ここで、銀が思い出したように話題を変えた。

 

「レイヴェル。話は変わるけど、リアス・グレモリーの『戦車』について何かしらないか?

珠子さんと杏さんに聞かれたんだけど」

 

「残念ですが、生い立ちについてはまったく分かりませんわ。」

 

「そっか……。仕方ない、先輩方をダンジョンに案内するついでに情報屋に訊いてみるか。」

 

「わたくしはそろそろお暇させていただきますわ。」

 

「おう、ライザーによろしく言っておいてくれ。」

 

この時、銀もレイヴェルも気づかなかった。

 

 

 

霊刀・緋那汰の写真を見ながら、何か考え込んでいるひなたの存在に……。

 

 

 

________________________________________

 

 

 

~冥界 〈ダンジョン〉~

 

 

「冥界にはこんな場所があるんですね」

 

「結構高いな。香川のゴールデンタワーより高いか?」

 

珠子は紫色の空に向かって伸びている乳白色の塔を見上げながら呟いた。

 

「ああ、それは幻でそう見えるだけですよ。実際は100mもないみたいです。」

 

「何で、そんなことを?」

 

「この〈ダンジョン〉の前管理者の趣味、らしいです。この塔の高く見せる以外にも前管理者は、〈ダンジョン〉の存在を隠すためにいろんな工夫をしてたみたいですから。」

 

そう言いながら、銀は〈ダンジョン〉の上に建てられた塔――〈ダンジョンズギルド〉の扉の前に立つ。

 

「目的地、鑑定所!!」

 

扉の前に立って目的地を告げると、ドアノブに付けられたダイヤルが勝手に回る。

そして、「チーンッ!!」という音と共にダイヤルが止まった。

 

「「???」」」

 

「この扉、目的地を言うと自動的にその施設の扉と繋がるんです。この塔、エレベーターとかないから、その代わりですね。」

 

そう説明しながら扉を開ける銀。

 

「ここが鑑定所です。〈ダンジョン〉に関する情報が集まってるんですよ?」

 

「本が一杯……これも全部?」

 

「はい。ここにある本は全部〈ダンジョン〉に関係する資料です。」

 

「ふわぁ~……何か騒がしいと思ったら、銀じゃない。何、また珍しい物でも見つけたのかにゃ?」

 

眠たそうな目を擦りながら、部屋の奥から出てきたのは鑑定所の一員――黒歌。

相変わらず黒い着物を着崩して、肌を晒すその姿は花魁を彷彿とさせる。

 

「今回はちょっと別件。」

 

「ん~? もしかして、後に居る2人に関する、こと、かにゃ…………」

 

「ああ。そうなんだけど、どうしたんだ? それに、杏さんと球子さんまで」

 

黒歌と先輩勇者2人はお互いに顔を見合わせたまま固まっていた。

 

「にゃああああああ!!!!! な、何で杏さんと珠子さんが此処にいるにゃあ!?」

 

フリーズした思考能力が正常に戻った瞬間、黒歌は鑑定所のカウンター裏に隠れた。

2人に対して後ろめたいことがあるのか、チラリと杏、珠子の2人の様子を窺う。

 

そして、ようやく正気に戻った珠子が怒鳴り声をあげた。

 

「くぉらぁぁぁ!! 黒歌ぁぁぁ!! 今まで何処をほつき歩いてたんだ!! タマと杏がどれだけ心配したと思ってる!!」

 

「ご、ごめんなさいにゃああああああ!!!!」

 

珠子の怒鳴り声を皮切りに黒歌と珠子、2匹の猫による追い駆けっこが開始される。

他に利用者が居ないことを良いことにそれほど広くない空間ぞ縦横無尽に駆け回る2人。

ちなみに、鑑定所にある物は特殊な術で壊れたり、汚れたりしないように保護されている。

 

「えっと、杏さん。黒歌とお知り合いなんですか?」

 

「知り合いというか……一時期、一緒に暮らしてたの。黒歌が銀ちゃんみたいな幼女だった時からね。銀ちゃんこそ、何処で黒歌ちゃんと出会ったの?」

 

「神社の敷地内ですよ。傷だらけで倒れてる所を保護したんです。それで、訳ありだったから、この〈ダンジョン〉を紹介したんです。」

 

「訳あり?」

 

「えっと…………」

 

「あ~、大丈夫にゃ。うちの口から直接話すにゃ。」

 

銀が話すべきか戸惑っていると、球子に捕まった黒歌がそう言った。

 

「そういう訳だから、球子さん。そろそろその手を放してほしいにゃ。いや、ホントに放してくれないと、わたしの胸がもげれちゃうにゃ。」

 

「もげろ。いや、むしろもいでやる!!」

 

「にゃああぁぁぁぁぁぁ!!!! 杏さん、助けて欲しいにゃあ!!」

 

黒歌に馬乗りになった球子はたわわに実った二つの果実を揉む。

揉む力はさらに強くなり、本気でもごうとしているように見える。

 

「ほら、タマっち先輩。話できないから、そろそろ放してあげて。」

 

「む~……仕方ない。」

 

杏に言われ、渋々という様子で黒歌から離れる球子。

 

「た、助かったにゃあ……」

 

「ほら、黒歌ちゃん。ちゃんと服を着る。」

 

「は~い」

 

杏に言われ、普段は着崩している黒い着物もちゃんと羽織る黒歌。

 

「さて、話してくれる? 今まで何をしていたのか、嘘偽りなく。」

 

「わかったにゃ…………始まりは、ある悪魔に出会ったときからにゃ。」

 

今から数年前。黒歌は妹の白音と一緒に杏、球子の下で暮らしていた。

ある時、杏・球子の2人が留守にしているタイミングで姉妹2人の前に両親の知り合いを名乗る悪魔が現れた。その悪魔は「君たちの母親の遺産を渡したいから、付いてきて欲しい。」と要請してきた。

普通なら警戒する所だが、自分の力を過信していた彼女はその悪魔の誘いに乗った。

 

「それで、冥界の屋敷に連れていかれて、眷属になれって要求してきたにゃん。」

 

当然ながら、黒歌はその要求を拒否。

すぐに屋敷を立ち去ろうとするが、そう簡単に返してもらえる筈もなく戦闘に突入。最初は有利に立ち回っていたが、一瞬の隙をつかれて白音を人質に取られた上に毒を盛られたために形勢は逆転。黒歌は妹の安全と引き換えに悪魔の眷属となった。

 

「さっさと白音を助けて、おさらばしたかったんだけど……眷属悪魔っていう立場は思ったより面倒だったにゃん」

 

「そうなのか?」

 

「眷属悪魔は逃げ出したりすると、はぐれ悪魔として指名手配されるんですよ。しかも、はぐれ悪魔になったら問答無用で討伐されます。いかなる理由でも。」

 

「だから、大人しく主の言うことを聞くことにしたにゃん。でも、アイツは約束を違えたにゃ。」

 

黒歌の主は約束を破って、妹の白音に手を出そうとした。

それに怒った黒歌は主を惨殺し、はぐれ悪魔として追われることになった。その後、追手から深い傷を負わされ、人間界をさまよっていた所を銀に助けられたのだ。

 

「それで、銀に〈ダンジョン(ここ)〉を紹介してもらって、今に至るにゃん。」

 

「そっか……私たちの知らない所で、そんな目にあってんだね。ごめんね、助けにいけなくて。」

 

そういって、杏は黒歌の頭を優しく撫でた。

 

「こうやって、杏さんに頭を撫でてもらうのも久しぶりだにゃん♪」

 

「むぅ……いろいろ言いたいことがあったのに、言えなくなったじゃんか。」

 

「まあまあ、タマっち先輩。黒歌ちゃんが無事だったんだから、今はそれを喜ぼうよ。」

 

「杏がそういうなら、仕方ない。タマたちを心配させたことは水に流してやる。」

 

「ありがとにゃん♪」

 

「それで、黒歌。逃げ出すとき、白音は一緒じゃなかったのか?」

 

「最初は一緒に逃げてたにゃん。でも、また人質に取られる危険があったから、信頼できる悪魔に預けたにゃん。」

 

「それはもしかして、グレモリー家か?」

 

球子がそう聞くと、黒歌は驚いた。

 

「この前、グレモリー家とフェニックス家でレーティングゲームが行われたの。その時に、白音ちゃんにそっくりな子が居たからもしかしてって思ったの。」

 

「その予想は大当たりにゃん。眷属悪魔だった時に何度か話したことがあったから、信頼できると思って預けたにゃん。」

 

「そこで、タマたちに預けるという選択肢がなかったのが納得いかんのだが」

 

「無茶言わないで欲しいにゃん。あの頃は、人間界に行く手立てがなかったから、預けようがないにゃん。それに、2人には迷惑を掛けたくなかったにゃん

 

「そういう理由があるなら仕方ないか。」

 

「何はともあれ、2人共見つかってよかったよ~」

 

「…………」

 

再会を喜ぶ3人の邪魔にならないように銀は静かに鑑定所から出るのだった。

 

 

 

ちなみに、杏と球子が帰ったきたのは、日が暮れた頃だったとさ。

 




一誠「おい、ちょっと待って!! 俺の大活躍は⁉」

原作とほとんど変わらないから、バッサリカットしたよ。
違うのはレイヴェルにフラグが立たなかったことぐらい。

一誠「しれっと俺のハーレム要員が減らされてる⁉」

大丈夫。レイヴェル以外を減らすつもりはない。今のところ。

一誠「―――というか、俺たち空気なんだけど」

本格的に絡んでくるのは次章になるからね。
それと、次章からあとがきで原作から変更点があるキャラクターの紹介をしていきたいと思います。但し、相変わらずストックがほとんどないので、亀更新になります。
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