ハイスクールD×D 駒王町の三ノ輪銀   作:玄武の使者

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第5話 「西暦の勇者」

 

~駒王町のとある民家~

 

 

日本神話の神々によって作り上げられた勇者装束を身に纏った三ノ輪 銀。

この段階でも防御力強化や攻撃力強化、回復力強化などの様々な恩恵を受けているが、それだけで終わらない。

 

「来い、鈴鹿御前!!」

 

銀の呼びかけに応じて、勇者をサポートする存在が降臨する。

 

現れたのは古風な和服を纏い、紫色の烏帽子を被った精霊。

精霊は高天原のデータベースに蓄積された伝承、逸話の存在を特殊な術によって現世に再現した存在であり、勇者のサポートする役割を与えられている。

外見はマスコットキャラクターのようだが、語り継がれた伝承・逸話になぞった能力も再現されているので、非常に頼もしい存在だ。

 

 

銀に宛がわれた精霊は、『田村麻呂伝説』に登場する女性――鈴鹿御前。

三明の剣という三振りの剣を所有し、盗賊や天女など様々な姿で描かれている女傑である。

その伝承は、銀の周囲に浮かぶ3機の遠隔操作ユニットとして現れている。

 

「何かすると思えば、衣装を変えただけか。」

 

「さあて。それはどうかな?」

 

銀は不敵な笑みを浮かべて、斧を肩に担ぐ。

 

「撃て。」

 

堕天使の指示に従って、はぐれエクソシストが光の弾を放つ。

悪魔にとっては毒を塗られた銃弾だが、音もなく放たれた弾丸は銀の勇者装束に無効化される。

 

「効かないね。(説明書に書いてあったけど、本当に効かないんだな)」

 

『神々が編んだ術式による防御は通常の兵装ごとき寄せ付けない。あの神々、とんでもないモノを作り出したわね。』

 

(それは同感。問題は制限時間か……)

 

銀はチラリとスマートフォンを確認する。

そこには3ケタの数字が表示されており、みるみる数字が減っている。

 

 

銀に与えられた勇者システムは強力な武器だが、ある制限が設けられている。

 

 

その制限とは勇者システムの使用時間。

勇者システムは駒王町に流れる龍脈の霊力を引っ張り出すことで成立している。そのため、長時間使用すると地上に影響が出てしまう。それを危惧した神々は、システムに制限時間を設けることで地上に影響が出ないようにしているのだ。

 

(まあ、この程度の相手なら大丈夫だろ)

 

銀は地面を蹴り、堕天使カラワーナに向かっていく。

はぐれエクソシストが彼女を守るように立ちはだかるが、人間の域を出ない者に銀は倒せない。

 

「邪魔だぁ!!」

 

強化された腕力で振るわれた戦斧は、敵をバターをように切り裂く。

はぐれエクソシストも光の剣や光の弾といういった悪魔祓い用の装備で応戦するが、はやり神々の恩恵を突破することはできない。

 

「ちっ、人間風情に何を手こずっている!! 」

 

女軍人のような口調で話す堕天使が業を煮やして、光の槍を召喚する。

エクソシストが使う悪魔祓い用の装備よりも強力な槍は、上級悪魔にすら大きなダメージを与えることができる。

 

(さすがにアレは不味いかなー?)

 

『避ける方が賢明でしょうね。』

 

(だよなー、鈴鹿御前!!)

 

銀は光の槍を避けつつ、鈴鹿御前に命令を下す。

鈴鹿御前は銀の意志を汲み取り、クリアレッドの刀身が生えた遠隔操作ユニットを堕天使へ差し向ける。

 

銀に新しく与えられた武装は、鈴鹿御前が操作のサポートをしている。

もちろん、銀はマニュアルで操ることもできるが、鈴鹿御前が操作することもできる。

 

「邪魔だ!!」

 

遠隔操作ユニット――ソードビットは執拗に堕天使を狙う。

 

「ちょこまかと……まとめて死に晒せ!!」

 

堕天使は10本の光の槍を召喚して、一斉に放つ。

銀は身の丈を越える戦斧を盾代わりにして、光の槍を防ぐ。

 

「このまま押し切る!!」

 

戦斧を盾にして堕天使との距離を詰める銀。

逆の手に握りしめていた戦斧の射程範囲に入った瞬間、素早く防御を解除して戦斧を振るう。堕天使は避けるが、間に合わず右腕を切り落とされてしまう。

 

「くそっ!! こんな奴が居るなんて想定外だ!! お前たち、コイツを足止めしろ!!」

 

そして、堕天使がとった行動は、はぐれエクソシストを足止めに利用して逃亡すること。

部下に「死ね」と言っているようなモノだが、彼らはその命令に従い、銀を足止めするために立ちふさがる。

 

「邪魔するな!!」

 

向かってくるはぐれエクソシストを戦斧で薙ぎ払う銀。

しかし、攻撃の後に生じた一瞬の隙を利用してはぐれエクソシストたちは銀よりも大きな身体を活かして、抑え込む。

大人顔負けの馬鹿力を持つ銀でも十数人の大人相手では力負けしてしまう。

 

こうやって、足止めしている間に堕天使は壁をぶち破って飛んで行ってしまった。

 

「このっ!! 邪魔、する、なぁ…………!!」

 

四肢を全体重を使って抑え込まれているため、身体はまったく動かない。

それでも何とか脱け出そうとする銀の耳に聞き覚えのない声が聞こえた。

 

 

 

 

――――いたいけな少女を大人数で押し倒すのは、タマが許さん!!――――

 

 

 

 

刹那、銀の上に乗り掛っていたはぐれエクソシストたちが吹き飛ばされた。

 

「無事か?」

 

「は、はい!! えっと、助けてくれてありがとうございます」

 

「礼儀正しいな。タマはそういう奴は嫌いではないぞ。」

 

銀の手助けをしたのは、自身とそう背丈が変わらない小柄な少女。

茶色の前髪の一部は後頭部で結われて、左腕には旋刃盤と呼ばれる武器を装着している。その盾を使って、はぐれエクソシストを吹き飛ばしたのだろう。

 

「あっ、堕天使を追い掛けないと!!」

 

「ああ、さっき逃げた堕天使なら大丈夫だ。杏が仕留めてるからな。」

 

「杏?」

 

「タマの大切な仲間だ。そろそろ合流する筈なんだが……」

 

「タマっち先輩、仕留めたよ。」

 

壊された壁を潜って現れたのは、少しウェーブが掛ったクリーム色の髪の少女。

その手にはボウガンがあり、身に纏う衣装は珠子と同様、銀の勇者装束と何処か似ている。

そして、彼女の傍らには4枚の翼を失った堕天使が倒れていた。

 

先ほど銀が取り逃がした堕天使――カラワーナ。

堕天使の象徴と言える翼を失ってしまっているが、まだ生きているようだ。

 

「おお、流石だな、杏。」

 

「うん。タマっち先輩も大丈夫だった?」

 

「ああ。まあ、はぐれ神父を吹き飛ばしただけだけどな。」

 

「助かりました。あのままだと取り逃がす所でした。

 えっと、いろいろと聞きたいことはありますけど、一先ずはぐれ神父と堕天使の処理をしてもいいですか?」

 

「ああ、いいぞ。タマたちはあっちの遺体を処理しよう。あのまま放置しておくのは忍びない。」

 

珠子は痛々しい姿で放置されている遺体に目を向ける。

 

「わ、私も手伝います!!」

 

今まで蚊帳の外状態だったシスターが立候補する。

はぐれエクソシストの仲間だが、彼女の感性は正常なようだ。

 

「すみません、そっちの遺体がお願いします。」

 

「おう、タマに任せタマえ。」

 

3人に遺体の処理を任せ、銀は捕らえたはぐれエクソシストと堕天使の処理を始めるのだった。なお、銀髪の少年神父の姿は捕らえた者の中にはなかった。

 

 

 

________________________________________

 

 

 

そして、約1時間後。

 

戦闘現場の後処理を終えた4人は公園でジュースを飲みながら自己紹介をしていた。

 

「そっか……アーシアさんはそれで駒王町に」

 

「はい。すみません、あの人たちの凶行を止めることができませんでした。」

 

保護したシスターの少女は名前をアーシア・アルジェントと言った。

 

元は教会のシスターだったが、傷付いた悪魔を治療したために破門され、堕天使に保護された。その後、堕天使から日本に来るよう指示が来たらしい。

頭のネジが吹っ飛んだ人たちに囲まれていたが、彼女は至って正常で前々からはぐれ神父の行動に心を痛めていたそうだ。

 

「アーシアさんはこれからどうするんですか?」

 

「そうですね……私のお友達を探したいです。」

 

「友達?」

 

「はい!! レイナーレという堕天使のお友達です。先にこの町に来ているそうなんですが、数日前から行方不明になってて……」

 

(あれ? レイナーレって、前に保護した堕天使の名前だよな?)

 

『ええ。多分、彼女が言ってた“守りたい女の子”って彼女のことじゃない?』

 

(こんな偶然ってあるものなんかな……)

 

ちなみに、現在レイナーレは冥界にあるダンジョンに潜り続けている。

ダンジョンで鑑定屋を営む黒歌によると、物凄い勢いでレベルアップしているそうだ。

 

「えっと、アーシアさん。その人ならアタシの家で保護してるよ。」

 

「本当ですか!?」

 

アーシアは顔を輝かせた。

反応から察するに2人はかなり親密な関係なのだろう。

 

「後で案内しますね。それで、球子さんと杏さんはどうして駒王町に?」

 

銀を助けてくれた猫又の2人組の名前は土居 球子と伊予島 杏と言った。

 

茶色の短髪と旋刃盤という武器を扱う小柄な少女が土居 球子。

クリーム色の長髪とボウガンを扱う少女が伊予島 杏である。

 

「タマたちは人探しだ。杏の占いをあてにして、やってきたが……今回は当たりのようだな。」

 

「長かったね。ようやく一人目だよ。」

 

「?」

 

球子と杏の視線を受ける銀は首を傾げる。

そして、球子は銀に小声で問う。

 

「お前、バーテックスが居た世界からの転生者だろ?」

 

「っ!?」

 

「安心しろ。タマも杏も銀と同じ転生者だ。」

 

「じゃあ、人探しっていうのは……」

 

「ああ。銀やタマたちのような転生者を探して旅をしてるのだ。」

 

「それだったら、アタシにもう一人心当たりがありますよ。」

 

「本当か!? 一度に2人も見つかるとは思わなかった」

 

こうして確認した結果、3人とも銀の周りの人(?)に関係がある人物だったので、銀は3人を連れて自宅になっている駒王稲荷神社に移動することになった。

さすがに一度に3人を連れて転移することはできないので、アーシアは銀がお姫様抱っこで運び、球子と杏は自前の身体能力で追随することになった。

 

「怖くないですか?」

 

「ちょっと怖いですけど、大丈夫です。」

 

「そんなに時間は掛からないけど、ちょっと我慢してください」

 

夜空を跳び、銀たちは神社を目指す。

 

銀を含めた4人が神社に到着したのは、公園を出発してから5分後。

道中、特に堕天使の仕返しを受けることもなく、4人は神社に足を踏み入れた。

 

「ただいまー。ひなた、帰ったぞ。」

 

「随分、遅かったですね。」

 

玄関から入ると、ひなたが出迎えるために廊下の奥から出てきた。

 

「あらあら、随分と大人数ですね――――え?」

 

銀が連れ帰ってきた面々を見たひなたが驚愕で固まった。

 

「土居さん、それに杏さん?」

 

「ひなた、さん?」

 

「ひなた、なのか?」

 

「「????」」

 

 

 




珠子、杏合流。

さそり座の被害者なので、出来るだけ早い時期に合流させたかったので一章の段階から登場。

ちなみに、本編中だと描写してませんが、杏と珠子の種族は猫又。


また、精霊が実装されているので精霊バリアも存在しますが、最新版勇者システムほど強力なモノではありません。
一定威力以下の攻撃を無力化する程度なので、中級堕天使の攻撃は軽減されますが、貫通してしまいます。
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