キリトがユウキと付き合う世界   作:槍雅衣斗

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ギルド抗争前

キリト「もしかしたらあの戦闘、見られてたかもしれない」

 

キリトの言葉にアスナ以外のメンバーは絶句した。

 

アスナ「でもどうやって見てたの?」

キリト「それなんだけど、戦闘中にジュンの足元に灰色の小さなトカゲのようなものがいたんだ」

アスナ「てことは《盗み見(ピーピング)》ね」

キリト「ああ」

 

盗み見(ピーピング)とは、プレイヤーに使い魔を付けて、視界を盗む闇魔法である。そしてそれは、付けられた瞬間に一秒だけ妨害魔法(デバフ)のアイコンが出る。

 

ジュン「まじかよ!全然気づかなかった」

 

ジュンはバツの悪そうな顔になったが、それをフォローするようにキリトが続けた。

 

キリト「いや、ジュンは悪く無いよ。多分シウネーに支援魔法の更新(リバフ)の詠唱に紛れてつけられたんだと思うんだ」

 

キリトの説明を受けた後、ユウキがハッと何かに気づいたように顔を上げて、尋ねるように言った。

 

ユウキ「ねぇ、もしかして25層と26層で僕たちが全滅したすぐ後に攻略されちゃったのってーー」

キリト「あぁ、多分同じ方法を取られたな」

 

キリトの答えに皆んなは一瞬で顔を曇らせた。

そんな皆んなを見て、アスナが突拍子も無いことを言った。

 

アスナ「皆んな!諦めたらダメよ!まだ可能性はあるわ」

テッチ「可能性…ですか?」

アスナ「そう!皆んなで後五分でミーティングして、三十分でボス部屋まで戻るの!」

ノリ「でも私たちの戦闘は見られたんだろ。今から行っても間に合わないと思うけど……」

キリト「それなら大丈夫だ。メンバーを集めるのに最低でも一時間は必要だからな」

ユウキ「ならそうと決まれば早速ミーティングだー!!」

 

 

 

 

 

 

その後、ミーティングを終えた七人はボス部屋まで向かっていた。

 

キリト「後二分だ!ラストスパート全力で行くぞ!」

 

キリトの声に合わせて全員がスピードを上げた。

そしてボス部屋まえには着いたが、そこには、種族のバラバラな、でも一つの共通点を残した者達がいた。その共通点とはギルドのエンブレムである。盾に馬の横顔、先刻待ち伏せをしてた奴らと同じギルドエンブレムである。

 

ーー間に合わなかったか!!

 

キリトはそう思い、ユウキは不安そうにしているが、アスナはユウキに近寄り、こう言った。

 

アスナ「大丈夫よユウキ、一回なら挑戦ができるわよ」

ユウキ「……ほんと?」

 

それでも不安そうなユウキにアスナは笑顔を向けていた。

その隣でキリトは何かをしていた。

そしてアスナは集団の方へ歩いて行った。

 

アスナ「ごめんなさい、私たちボスに挑戦したいの。そこを通してくれる?」

「悪いな、ここは通行止めだ」

アスナ「どうしてかしら?」

「これから俺たちのギルドが先にボス戦をやるんだわ。そんでいまはその準備中だ」

アスナ「その準備はいつ終わるの?」

「一時間くれぇかな」

 

アスナは先頭にいたノームの男と交渉しているが、こちらの意見は通りそうに無いのを自覚していった。

彼らの行動は、至極単純で、攻略しそうなギルドを邪魔しているのであった。

 

アスナ「一時間もかかるなら先に挑戦させて下さい」

「そりゃ無理だわ。こっちが先に来てるんだから順番くれぇは守ってくれや」

アスナ「こっちは準備が終わってから来てるの。そもそもこんなところでの準備は迷惑だとわからないの?だからボス戦を先にやらせて下さい」

「そんなこと言ってもどうしよもねぇんだわ。文句があるならイグシティの本部に言いに行ってくれねぇか?」

アスナ「そんな所まで行ってたらそれこそ一時間経っちゃうじゃない!」

 

アスナは大声を出して言い返したから、心を落ち着けるために唇を噛み、深呼吸をした。

これ以上の交渉をしてはも無駄なのは自明の理であるが、ギルドどうしでの戦争になれば負けるのは此方側である。

そんなことを考えていると、ユウキが前に出た。

 

ユウキ「ね、君」

「あぁ?」

ユウキ「つまり、僕たちがもうどれだけお願いしても、そこからどいてくれる気は無いってことだよね?」

「ーーぶっちゃければ、そういうだな」

ユウキ「じゃあ仕方ないね。」

 

 

 

ユウキ「ーー戦おっか」

キリト「ま、それしかないよな」




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