色んなアニメキャラの短編集   作:ガンマン八号

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遅れて申し訳ないです。受験忙しすぎてつらいです。

今回は寝る練る錬るねさんからのリクエストをいただいたお話となっています。


SAOシリーズ
いつまでも無邪気な彼女と


なぜ年を重ねるごとに朝に弱くなっていくのだろうか。子供の時は休日の朝はスーパーヒーロータイムや少年向けアニメのために早起きをし、夏休みはラジオ体操のために早起きと、朝起きるのが苦痛ではなかった。

 

 

いつからだろうか。朝起きる時刻の10分、1分にすがりつくようになったのは。たとえ少しでも睡眠を貪りたいと思うようになったのは。

土日はいつも何時に起きているのか。最近はお昼過ぎなんて当たり前になってきてはいないだろうか。

しかしそれは仕方がないことなのだ。現代の日本とはストレスのバーゲンセールだ。いや、製造工場といっても過言ではないだろう。

 

しんどい、まじしんどい、めっちゃしんどい。しんどい三段活用だ。ちなみに動詞じゃなくて形容動詞なのはツッコミなしで。

 

 

てなわけで、せっかくの少ない休日なんだ。こんな現実見てるより、ファンタジーの夢の中にでも飛び込んでいよう。

最近見た最高の夢はスパイダーマンになれた夢だ。彼ほど素敵なヒーローはいないと確信している。

えへへ、ぼくヒーローになってくるよ………。

 

 

 

「おっはよおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

「ひでぶっ!?」

 

突然の大声とともに、人体へ(主にみぞおち)強烈な一撃が加わり、肺の中の酸素全てと一緒に、世紀末の「ヒャッハー!」たちの最後の言葉が飛び出す。あっ、すみません胃液さんあなたはお呼びじゃないです出てこないでください。

 

 

「ねぇねぇ、起きた?起きたよね!?」

 

「やかましい!目覚めるどころか危うく永眠するところだったわ!!はよ降りろ!」

 

 

俺の腹にダイビングしてきた人物を引き剥がし、ベッドから落とす。相変わらずの軽さで、持ち上げるのに何の苦労もいらない。というか本人は「あはは!飛んでるみたい〜!」とご満悦の様子。

 

 

「ったく、起こす時は普通に起こしてくれって言ってるだろ?」

 

「えっ?だから普通に起こしてあげたじゃん?」

 

「OK、今から人間の普通の起こし方講座の開始だ。きっちりと常識を学んでもらおうか」

 

「だが断る!」

 

「ま・な・ぼ・う・ね?」

 

「いたたたたた!?あたま!あたまわれちゃうよー!!」

 

 

朝から元気いっぱいの彼女の頭にアイアンクロー。これでさっきの一撃をチャラにしてやるよ。顔から手を引くと、涙目でこちらを睨みつけてくる。しかしなんだろうか、威嚇してるチワワと例えるべきなのか。つまりいうと、全然こわくない。

 

 

「ほれ、着替えるから早くでてけ」

 

「ふんっ、朝ごはんがどうなっても知らないからね!」

 

 

顔を膨らましてドタドタと階段を下りていく。朝からあんなに元気に動けるというのは若者の特権だろう。社会人となったら朝という存在が憎くて仕方ない。

二度寝しようかと一瞬考えたが、そんなことしようものなら彼女は本気で泣きだしてしまうだろうと思い、諦めて早起きを実行する。黒のTシャツに紺色のズボンと楽な部屋着に着替え、まず顔を洗おうと洗面所に向かう。

 

 

「おっ、いい匂い。これは焼き魚だな。朝からそんな張り切らなくてもいいのに」

 

 

などと、本人の前では決して言わない。俺のためにやってくれているのだ。そこにケチを入れる筋合いはないだろう。冷水で顔を洗う。冷たさのおかげで意識がしっかりと覚醒する。タオルで拭き、リビングへと向かう。

机の上には、すでに朝食が盛られていた。炊きたての白米に赤だしの味噌汁。アジの塩焼き。ほうれん草のお浸しと旅館にでも来ているかのようなメニューだ。

 

彼女は向かい側に座っていた。先程と同じように頰を膨らましたままだ。腕を組んで「怒ってます」アピールをしている。

 

 

「なんだ?朝食に何かしてあるかと思ったけど、なんの変哲もないじゃないか。思い直した?」

 

「そんなことないですー。気づいてないだけですー」

 

 

彼女はそう言うが、ふむ。

 

………いや、まじで分からん。ほんとに何かしたのか?ぱっと見で何かおかしいところがあるわけでもなく、匂いも変化はない。胃袋が刺激される良い匂いだ。てか、また料理スキル上がったか?なんか俺がつくるよりずっと美味そうなんだけど。

 

 

「いや、ごめん。ほんとにわからないんだけど」

 

「ほら!ほうれん草のおひたし!よく見てよ!」

 

 

おひたし?はて、別に七味唐辛子とかが入ってるわけではなさそうだし、別に変化は………あっ。

 

 

「おひたしにかつお節がない、かな?」

 

「ピンポーン!どうだ!おひたしの必需品、かつお節を抜いたんだ!これはいやでしょ!」

 

 

彼女はさっきと打って変わり、自信満々に胸を反って俺を見ていた。うーん、この子成績はすごく良いはずなんだけどなぁ。

 

 

「はいはい、俺が悪かったよ。これで許してくれユウキ」

 

「だーめ!ミチトがナデナデしてくれないとボク、許してあげないもんね!」

 

「よしよし、ユウキは良い子だな」

 

「えへへ〜。もっともっと!」

 

 

やっぱりチワワだなこいつは。一時期はどうなるかと思ったが、また昔のように無邪気な頃のユウキが戻ってくれて一安心だ。俺は嬉しそうに微笑むユウキを、気がすむまで撫で続けた。

俺は萩村 真智斗(はぎむら みちと)。25歳の立派な社会人だ。

そして彼女は萩村 木綿季(はぎむら ゆうき)。戸籍上は俺の妹になっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

兄妹とは言っても、俺たちに血の繋がりはない。いや、ないと言えば嘘になるのだが、元々ユウキの苗字は「紺野」というものだった。

ユウキの両親と双子の姉の藍子はAIDSという病気で既に亡くなってしまっている。ユウキも出生時にHIVに感染してしまい、15年間という長い闘病生活を続けていたのだ。

 

俺とユウキの出会いは俺が高校生になってすぐの事だった。俺の父親はユウキの父親の従兄弟であるらしく、俺は病院でユウキやラン(藍子のことを俺はランと呼んでいた)たちの話相手になっていた。元々一人っ子で兄弟という存在に憧れていた俺は二人を本当の妹のように大事に面倒を見ていた。

しかし、その幸せもすぐに終わってしまった。ユウキの両親、そしてランが亡くなった。ユウキは天涯孤独の身になってしまったのだ。

 

悔しかった。悲しかった。腹が立った。散々兄貴ズラしておいて、いざという時に何も出来ず、傷つき泣き続けるユウキに慰めの言葉を一つも送れなかった。可愛い妹を一人、死なせてしまった。

 

しかし俺が何より不甲斐なかったのは、ユウキはそれを俺に悟らせまいと、わざと明るく振舞っていたことだ。1番傷ついて、誰より泣きたい本人は、俺を気遣っていたのだ。

 

 

『お兄ちゃん、ボクならだいじょうぶだよ』

 

 

ユウキはいつもそう言って笑っていた。笑ってみせたのだ。俺が病室にやってくると、彼女はとても嬉しそうにしていた。面会時間がある限り、俺との会話を楽しみ、そして俺の手をずっと握っていた。

 

その手はとても弱々しかった。まるで赤子に指を握られているような、それくらいか弱いものだった。

しかし、その分とても強かった。矛盾していることを思ったが、ユウキの手はいつも震えていた。精一杯の力で握りしめてきた。その手はまるで、二度と離すまいという意志があるように感じた。

 

そんな日々が続く中、俺が大学生の時にある事を知り、検査を受けた。それは『骨髄移植のドナー』検査だ。いくつかの条件はあったが、俺はもう未成年ではなく、重い病気にかかったこともない。それに俺の血液はユウキに見事適合することで、すぐにドナー提供することを両親に話した。

たしかに怖かったし、様々な検査を受け、実際に手術をするとしばらく体が痺れ、腰が結構痛かった。しかしそんなことはどうでもよかった。俺はユウキまで失いたくはなかった。

 

 

『安心しろユウキ、お兄ちゃんが絶対に助けるから』

 

『………ほんとに?お兄ちゃん、ボクのこと助けてくれるの?ボク、この先もお兄ちゃんとずっと一緒にいれるの?』

 

『あぁ、ずっと一緒だ。離したりなんかしない』

 

 

ランも守れず、ユウキまで守らなかったら今度こそ俺は「お兄ちゃん」失格だ。ランのためにも、なんとしても助けたかった。

俺たちの不安はすぐになくなり、移植手術も無事に終了した。ユウキの体調はみるみる良くなっていき、俺が社会人になった22歳の時に退院することができたのだ。

 

 

それからユウキはすぐに俺の両親の養子となった。リハビリに付き添い、中学生に向けて勉強をしていたせいで小学校はまともに通えなかったが、これなら中学校からは元気に通えるだろうと。

 

 

俺は会社になるべく楽に通うために、家を出ることにした。すると驚き、ユウキは俺についてくると言い出したのだ。

 

 

『だってミチト。ボクとずっと一緒にいるって約束したでしょ?忘れたとは言わせないぞー!』

 

 

そう言い張り、結局俺の引っ越し先で住むことになったのだ。幸いにも近くに中学校はあり、元気な姿で通い続けている。家事にも積極的で、今では俺より上手い。というより、ユウキは器用だ。勉強も俺よりよっぽどできる。

 

 

 

「おーい、ミチトくーん。きこえてますかー?」

 

「また懐かしいもの持ち出すな。てか、せめてカレーライス食ってる時にやれよ」

 

「いい加減にしろっ!」

 

「お前がだよ。急にどうした?」

 

「いや、なんかボッーとしてるからさ。大丈夫?もしかして、ボクの料理美味しくなかった?」

 

「そんなんじゃないさ、安心しろ。すごくおいしいよ」

 

「じゃあキスしてよ!ご褒美を要求する!」

 

「10年早いわ思春期娘」

 

 

ユウキのおでこにデコピンをくらわしてやる。「うみゃっ!?」などと訳も分からない叫びを上げてでこを抑えている。

 

 

「うぅ〜!いいじゃんミチト!キスしてよ!」

 

「その年頃でそういった事に興味持つのはわかるけど、それ後々になって後悔するタイプだぞ?」

 

「後悔なんてしないよ!ミチト以外とキスつもりなんてないんだからさ」

 

「はいはい、それは嬉しいことで。でも実際、お前モテるだろ?彼氏の一人や二人できたりしないの?」

 

 

容姿よし、頭よし、運動神経よし。そんなユウキはモテると聞く。兄としては複雑だが、この年頃になると彼氏ができてもおかしくないことだ。多分そいつ殴ると思うけど。

 

「そんなのつくらないよ。ボク、そういうの興味ないし。ミチトがいてくれるから」

 

 

ユウキは表情を変えずに言い放つ。なるほど、お眼鏡に叶うヤツはいないと。まぁ、俺も今まで彼女なんてできた試しないから人のこと言えないけどな。

いい感じになった女性も、すぐ連絡不通になるし。

 

 

「それより、せっかくの日曜だしな。どこか行きたいところあるか?」

 

「あっ、じゃあボク、ショッピングに行きたい!デートしようミチト!」

 

「りょーかい。お姫様の御心のままに」

 

 

外出のために軽い着替えをすまし、準備をすませる。玄関から出るとユウキは俺の腕に絡みつく。

 

 

「どう?ボクに抱きつかれて嬉しいでしょ!」

 

「………あぁ、そうだな」

 

 

こんなに元気なユウキを見られて、嬉しくないわけがない。これからも俺は、ユウキのこの笑顔を守り続けよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そういえば、ユウキはいつから俺のことを名前(・・)で呼ぶようになったのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ず〜っと、一緒だよ。いつまでも、ミチトの隣に」

 

 




HIVとか色々調べた結果、ぼかしました。複雑すぎて私の頭では理解できませんでした。なんやねん移植条件とかなんとかって。文系脳ではまるで理解不能でした。


なんか、ちがう気がしてなりません。受験が終わったら、修正するかもしれません。

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