神様転生…○○主!? 作:七級フラグ建築士
口元が震える。ノドがカラカラに渇いている。
何を話したら良いのか分からない。
言いたいことも聞きたいこともたくさんあったはずだ。
今まで何をしていたのか。
どうしてここにいるのか。
それでも、考えはうまくまとまらなくて、口もうまくまわらなくて、意味のある言葉を発することはできなかった。
「そんなっ!あなたは死んだはずじゃ!?」
「ああ……うん。……色々あったんだ」
夕麻ちゃんが先に質問してくれたおかげでなんとか俺もマトモに話せるようにはなった。
そりゃ驚くよね。目の前で死んだはずのカレシが目の前に現れたら。
本当に色々あった。
色々……色々……色々……色々……。
あれ、なんか目頭が熱くなってきた。
きっと、もう会えないと思っていた彼女に再会したからだろう。それ以外の理由なんてあるはずがない。ないったらない。
「そんな……どうして……」
俺がそんなことを考えている間も夕麻ちゃんは狼狽してひどく取り乱している。
可哀想に。これも全部マキナさんっていう残念美人のせいなんだ。
……あれ?なんか俺、いつもの調子に戻ってない?
落ち着いて夕麻ちゃんと話をできるようになったのはいいけど、彼女と再会できた感動が早々に薄れちゃったのは複雑だ。
これだからマキナさんは残念美人なんだよ。
「何から説明すれば良いのかな。実は俺もあんま――ッッ!!」
命を奪わんとする害意、すなわち殺気。
今ではずいぶん馴染み深くなってしまったそれを感じた俺はその場を飛び退いた。
すると、わずかに遅れて光の槍のようなものが俺がいた場所に突き刺さった。
それが飛んできた方向は俺の正面。
そこにいる人物は一人しかいない。
「夕麻、ちゃん……?」
「あら、避けるなんて随分と運がいいのね」
冷たく、大人っぽい妖艶な声音。
それを発した彼女は見たことのない表情をして冷笑を浮かべていた。
視線を少し下にずらすと、黒い翼が背中から生えていた。
あー、うん。だいたい分かった。そういうアレね。
くぅ、ついに深夜だけじゃなくて昼間までこういうのの相手しなくちゃいけなくなったのか。
しかも、相手は彼女とか、冗談キツイぜ!
まあ、でも一応聞いとくか。
「夕麻ちゃん。君はいったい……?」
『気を付けるのだ依り代よ、其奴は堕天使である!』
堕天使、堕天使かー……。
これまたファンタジー感満載だね。
本当にこの町はどうなってんの?
つーか、彼女が実は堕天使で俺の命を狙ってますって、どういう状況?
マキナさんといい、はぐれ悪魔といい、最近ろくなことがないな。
厄払いとかやった方がいいのかねえ?
「下等な人間風情に教えると思った?わけもわからないまま死になさい」
あっ、もうドライグさんから聞いたんで別に大丈夫です。
堕天使らしいッスねあなた。
彼女が堕天使だったなんて俺、ビックリし過ぎてため息が出そうです。
「い、イッセーさんに手を出さないでください!」
「アーシア!?」
アーシアが声を張り上げて俺と夕麻ちゃんの間に立ち塞がる。
このシスターさんは今日会ったばっかの俺のためになんて無茶するんだ!?
やるしかねえ!
「セイクリッド・ギア!」
左腕を
どういうわけかアーシアが前に出てる間は夕麻ちゃんは攻撃を仕掛けてこなかったから大事にはならなかったけど、こういう無茶はやめて欲しい。
「イッセーさん、それ……!」
「ああ、実は俺も神器を持ってたんだ。だから、今は俺に護られていてくれ」
やべっ、流れでうっかりアーシアの頭を撫でちまった。
最近、ドライグさんを撫で続けてたせいで無意識に人を撫でる癖がついちまってる!
我に帰った俺は慌てて夕麻ちゃんの方に向き直った。
後ろのアーシアの表情を確認するのが怖い。
夕麻ちゃんとの戦闘に支障が出そうなんで、この件は一時保留にしておく。後でアーシアに謝ろう。
「ククク、アハハハッッ!!!」
「な、何がおかしい!?」
突然、狂ったように笑い声を上げる夕麻ちゃん。
敵だからって遠慮なく笑うんじゃねー!
俺だって今の場面が臭すぎたことくらい自覚してるわ!
あとでこの場面を思い出して恥ずかしさのあまりにベッドとかで悶絶するのが目に見えてるよ!
「アハハ、おかしい。あなたの神器って『
違った。なんか俺の神器見て笑ってた。
てか、なんだトワイス何とかって、思いっきり間違えてんじゃん。
『
「いいわ。気が変わったわ。気分が良いから教えてあげる。私は堕天使。今は過大評価だって分かてるけど、あの時のあなたは私たちにとっての危険因子だったの。だから、始末するためにあなたに近づいた。あなたとの付き合いはそれなりに楽しかったわよ。女を知らない男はからかいがいがあって、夕麻って名前も、あなたを夕暮れに殺そうと決めていたから、そうしたの。素敵でしょ?ねえ、イッセーくん」
……いや、知ってたけど。
堕天使だってことは、もうドライグさんから聞いてたし、さっきまでの態度を見てたら、目的もだいたい察せたし、改めて言われるまでもないんですけど。
改めて言われるまでもないけど……泣きたい。
初恋だったんだ……。大事にしようと思ってたんだ……。
絶対にいいデートにしようって思って、念入りにプランを考えたんだ……。
なんで明言するんだよ!そこはぼやっとさせたままで良かったじゃん!はっきりさせるんじゃねーよ!
夕暮れに殺そうと思ってたから夕麻?
全然うまくねーよ!
「麻」は何の「麻」なんだよ!
『依り代よ……』
なんだ、ドライグさん?俺を笑うのか?
いいよ笑えよ!
なんだか自分でも笑えて来てるから、一緒に笑い飛ばそーぜ!
『辛かったら、余に申すがよいぞ。いつも撫でられているのだ。たまには余が貴様を撫でてやらんこともない。だから……あまり落ち込むでないぞ?』
笑えよぉぉぉぉ!
なんで煽らないんだよ!?いつもこういう時煽るじゃん!
なんで慰めてんの!?
あれなのか!?今の俺は煽る気も起きないほど惨めなのか!?
ほら、俺は元気だから!大丈夫だからさ!
……ん?なんか後ろから手を握られてる。
この流れはヤバい気がする。
あの、アーシアさん?少しお待ちいただきたいので――
「イッセーさん!あの……その……元気、出してください」
アーシア……それ、とどめ……。
ちくせう。俺が何をしたってんだよ……。
最近俺頑張ってんじゃん。みんなのために睡眠時間削って戦ってんじゃん。
えっ、教室での猥談が女子生徒への間接的セクハラ?
ははは……自業自得だったか。
だからってあんまりじゃないですか?
初恋の相手が堕天使って、堕天使って……あれ?
「ここって教会だよな。なんで堕天使がいるんだ?」
堕天使もお祈りとかするもんなのか?
俺が疑問を口にすると、彼女は口元をつりあげた。
「フフフ、いいわ。ついでだから教えてあげる。計画のためよ!そこのシスターの神器を私に移植して、至高の堕天使に至るためのね!これで私をバカにしてきた者たちを見返すことができるわ!ククク、アハハハ!」
なにこの子、めっちゃ教えてくれるじゃん。
実は、アレでしょ。誰かに言いたくて仕方なかったんでしょ。
後ろのアーシアに驚いた様子がないってことは知ってたのか。
そういえば、アーシアは神器に複雑な感情もってそうだったから、いっそとってもらった方がいいのか?
『依り代よ、神器は魂に強く結び付いている。それを抜かれたら人は……死ぬぞ』
「し、死ぬっておい!どういうことだよ!」
「あら、意外ね。知ってたの」
なんでも無いようにそういう夕麻ちゃん。
知っててやってるってことかよ!
「そんなの……そんなの認めねえ!」
「アハハ、あなたが認めないから何だって言うのよ」
「俺が君を止める」
「あなたなんかにできると思ってるの?」
俺は今、怒ってるんだと思う。
おかしいよな。
神様に理不尽に殺されたときも、彼女に騙されたと知ったときも、湧いてくるのはやるせなさとかだけで、こんなに怒りは湧いてこなかった。
なのに、アーシアを殺そうとするその姿には、抑えれない激情が巻き起こっていた。
『ぶーすと!』
「力が抜ける声だろう?俺の力を倍にしてるらしいぜ」
「『
彼女が光の槍を投げつけてくる。
俺はその槍の先端をを籠手の付いた左腕で掴みとめ、握り消した。
「なんで!?」
「知らないのか?対魔力って言うらしいぜ。最初は気休めぐらいにしかならないんだけどな。倍化していけばそれなりに使えるんだ」
『ぶーすと!』
本当に気が抜ける声だな。
だけど今じゃあその声がマジで心強いぜ!
「たかが低級の神器を持っている人間ごときが図に乗るなぁぁぁ!」
「それと、勘違いしてるようだから教えとくけど、俺の神器は『
『ぶーすと!』
『
確かに俺のと似てるな。だけどな……。
「俺の神器の名前は『
『Romeぶーすたー!』
俺の叫びに答えるように、左腕の『
手の甲の宝玉が輝いて、燃え盛る炎と薔薇の紋章が浮かんだ。
同時に、かつてないほどの溢れる力が俺の体を駆け巡った。
『ふははははは!良くやった我が依り代よ!貴様の想いの力で、余は更なる高みへと至った!余は楽しい!共に征くぞ、我が依り代よ!』
「ああ、もちろんだ!」
「嘘よ!嘘よ!嘘よ!嘘よ!嘘よ!嘘よ!嘘よ!」
彼女が狂ったように光の槍を何度も投げつけてくるが、悉くが俺の体に触れる前に掻き消えた。
「歯あ食いしばれよ夕麻ちゃん。お仕置きの時間だぜ!」
『えくすぷろーじょん!』
「い、いや!」
逃げる彼女を遥かに凌駕する自分でも信じられないほどの速さで距離を詰めて彼女へ左腕を伸ばし……ポンと左手を彼女の頭に乗せた。
「へっ……?」
「怖かったか?ちょ~ぴり俺が怖かったんじゃないか?プークスクス」
渾身のドヤ顔で彼女にそう言ってやる。
キョトンとしていた彼女は、言われた言葉の意味を理解すると顔を真っ赤に染めて俺を睨み付けてきた。
ドライグさんの煽りを真似て見たんだが、やっぱ効果バツグンだな!
俺もこれをされた時は、色んな感情で頭の中がぐちゃぐちゃになったし。
怒りにうち震える夕麻ちゃんだが、腰が抜けたようでひょろひょろとしたパンチ以外に抵抗らしい抵抗はしない。かわいい。
「なによぉ……なんなのよアンタはぁ……!」
少しすると俺にひょろいパンチを繰り出し続ける夕麻ちゃんの目に涙が浮かび始めた。
ちょっとやり過ぎたか?
まあ、人の命を弄ぼうとしたんだし、このくらいが妥当でしょ。
俺は頭に乗せた左手で夕麻ちゃんの頭を撫でながら口を開いた。
「ゴメンゴメン。でも、夕麻ちゃんが悪いんだぜ?俺を騙したの……まあ、良いとしても、アーシアを殺そうとしたのはダメだ。だって夕麻ちゃん、すごく辛そうじゃないか」
「な、何を言ってるのよ!」
「だって、夕麻ちゃんは本当は優しい子だろ?」
「何を根拠にッ!」
「最初に俺を殺そうとしたとき、わざわざ彼女になるなんて面倒くさいことして、俺に想いで作りさせてくれたろ?本当はあのときの俺なんか簡単に殺せたはずなのに」
「そんなの、アンタの反応を楽しみたかっただけよ……」
「さっきアーシアが俺を庇ったときに攻撃するのをやめたろ?アーシアを傷つけたくなかったからじゃないのか?」
「大事な神器の持ち主を、万が一にも儀式前に死なせたくなかっただけよ……」
「俺が神器を見せた後、教える必要のないことまで教えてくれたよな。本当は、俺にとめて欲しかったからじゃないのか?」
「なによそれ、さっきから全部あなたの都合のいい解釈じゃない。バカみたい」
「アハハ、そうだよな。そう思うよな。でもさ、俺は夕麻ちゃんを信じたいんだよ。色々あったけど、どうしても俺は夕麻ちゃんを嫌いになれない。むしろ、今だって夕麻ちゃんの事が大好きなんだよ。ほら、俺ってバカだからさ」
夕麻ちゃんは何も答えてくれない。
視界が滲んでる。
なんだよ、泣いてんのか俺は?
さんざん平気な振りしといて、最後には泣くってカッコ悪すぎるだろ。
「レイナーレよ」
「え……?」
「天野夕麻は偽名って言ったでしょ。本当の名前はレイナーレって言うのよ。これからはそう呼びなさい」
それってまさか!
「今はあなたに勝てそうにないから、騙してあげる。それと、アーシアからも手を引いてあげるわ。あなたを騙すために、仕方なくね」
「本当か!?夕麻ちゃん、じゃなくて、レイナーレちゃん!」
「何を騙されて嬉しそう笑ってるのよ?本当にバカね。そんなあなたのことが大好きよ!愛してる!」
俺をバカにしたようにそう言ったレイナーレちゃんの顔は、あの日の夕焼けみたいに真っ赤になっていた。
この真っ赤な顔色まで嘘だったら、きっと俺は一生レイナーレちゃんの嘘を見抜くことはできないだろう。
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カラワーナ「なんなんでしょうかこの状況は?」
ミッテルト「ラブコメ、っすかねー?」
フリード「うおー幸せいっぱいのラブコメの波動で俺ちん肌がカサついちゃう!もう我慢できねえ。俺、行っきまーす」
ミッテルト「うおー、カラワーナ!ドーナシーク!フリードを全力で止めるっすよ!今アイツがあそこに行ったら色々と台無しっす!」
攻撃に使われなかったエクスプロージョンはいったい何に使われたんでしょうね!(色々と台無しな一言)