万華鏡後のありふれた異世界物   作:恵比寿酒

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No1:プロローグ

 彼女達は、もう満身創痍だ。俺が守らなくちゃ。

 そう、たとえ命を燃やして尽くしてでも。

 

 使用するのは、使い慣れた二枚のクラスカード。絵柄はどちらも鎖で縛られた男、即ち『復讐者(アヴェンジャー)』のクラス。

二重(ダブル)──夢幻召喚(インストール)!」

 瞬間、俺の身体は変化し、カードに秘められた力によって炎と熱風が吹き荒れる。

 相手は少し顔をしかめたが、あまり気にしていないようだ。

 まあ仕方ない。魔力ももう尽きかけている。無理矢理絞りきって、せいぜい宝具一回分あるかないかだろう。

万雷打ち轟く───雷神の嵐(ミョルニル)‼︎」

 威力の大きい方を選んだのは、念をいれてなのか、第6感でも働いたか。

 奴の振るう巨大な槌から大量の雷が放たれ、周囲を薙ぎ払う。

 それは当然のごとく俺の方にも向かってくるが、知ったことかと雷の中に飛び込んで行く。

 後ろ目に全力で回避するイリヤ達が見えたので、きっと大丈夫と思っておこう。戦う事は出来ないにしても余波に巻き込まれない程度には、動けるはずだ。

 

「ガアアアアァァ──ッ‼︎」

 強烈な電撃が体を駆け巡り傷が付いていく。

 普段なら炎なり何なりで体を保護するのだが、あいにく魔力にそんな余裕は無い。

 だが元々、一撃で終わらせるつもりだ。どれほどの傷が付こうが問題は無い。相手まで届けば、それで。

 そう思い、速度を緩めずそのまま進む。普段の俺の身体では耐え切れるはずもないのだが、クラスカード使った今の身体なら、保護をせずとも一撃入れる程度のことはできるはずだ。

「──ァァァアアア‼︎」

「⁉︎嘘だろッ!」

 着いたっ!

 魔力は切れかけだけど、この宝具は神を殺すモノなのだから、

■■■裁つ■神■剣(■■■ア■ト・レ■■■■■ン)っ!」

やれるはずだ!

 宝具が相手の身体を切り裂き、焼き尽くしていく。

 抵抗はしようとしていたが、炎はそれすら燃やし尽くす。

 

 そしてその炎は俺をも焼き、命を焼き尽くしていく。

  ─────ああ、これで終わりか。

 ふと、そう思った。

 イリヤ達には悪いことをした。目の前で人が死ぬなど、トラウマにならなければいいが。

 凛さん達にも、まだまだ恩が返せてないというのに、申し訳ない。

 まあ、きっと大丈夫だろう。俺なんかよりもよっぽど芯の強い子達だし、凛さん達も着いている。美遊の兄さんも、見た限り信用できる人のようだ。

 ああでも、後悔は無いのだけれど、どうやら未練はまだあったみたいだ。

 自分から死にに行った様なものだというのに。今更ポロポロと思い出がこぼれ落ちてくる。

 やっぱり、もう少し生きたかったかな。

 

 最後に思い出したのは、何故か俺に好意を寄せてくれていた、小悪魔のように笑う彼女だった。




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