万華鏡後のありふれた異世界物 作:恵比寿酒
彼女達は、もう満身創痍だ。俺が守らなくちゃ。
そう、たとえ命を燃やして尽くしてでも。
使用するのは、使い慣れた二枚のクラスカード。絵柄はどちらも鎖で縛られた男、即ち『
「
瞬間、俺の身体は変化し、カードに秘められた力によって炎と熱風が吹き荒れる。
相手は少し顔をしかめたが、あまり気にしていないようだ。
まあ仕方ない。魔力ももう尽きかけている。無理矢理絞りきって、せいぜい宝具一回分あるかないかだろう。
「
威力の大きい方を選んだのは、念をいれてなのか、第6感でも働いたか。
奴の振るう巨大な槌から大量の雷が放たれ、周囲を薙ぎ払う。
それは当然のごとく俺の方にも向かってくるが、知ったことかと雷の中に飛び込んで行く。
後ろ目に全力で回避するイリヤ達が見えたので、きっと大丈夫と思っておこう。戦う事は出来ないにしても余波に巻き込まれない程度には、動けるはずだ。
「ガアアアアァァ──ッ‼︎」
強烈な電撃が体を駆け巡り傷が付いていく。
普段なら炎なり何なりで体を保護するのだが、あいにく魔力にそんな余裕は無い。
だが元々、一撃で終わらせるつもりだ。どれほどの傷が付こうが問題は無い。相手まで届けば、それで。
そう思い、速度を緩めずそのまま進む。普段の俺の身体では耐え切れるはずもないのだが、クラスカード使った今の身体なら、保護をせずとも一撃入れる程度のことはできるはずだ。
「──ァァァアアア‼︎」
「⁉︎嘘だろッ!」
着いたっ!
魔力は切れかけだけど、この宝具は神を殺すモノなのだから、
「
やれるはずだ!
宝具が相手の身体を切り裂き、焼き尽くしていく。
抵抗はしようとしていたが、炎はそれすら燃やし尽くす。
そしてその炎は俺をも焼き、命を焼き尽くしていく。
─────ああ、これで終わりか。
ふと、そう思った。
イリヤ達には悪いことをした。目の前で人が死ぬなど、トラウマにならなければいいが。
凛さん達にも、まだまだ恩が返せてないというのに、申し訳ない。
まあ、きっと大丈夫だろう。俺なんかよりもよっぽど芯の強い子達だし、凛さん達も着いている。美遊の兄さんも、見た限り信用できる人のようだ。
ああでも、後悔は無いのだけれど、どうやら未練はまだあったみたいだ。
自分から死にに行った様なものだというのに。今更ポロポロと思い出がこぼれ落ちてくる。
やっぱり、もう少し生きたかったかな。
最後に思い出したのは、何故か俺に好意を寄せてくれていた、小悪魔のように笑う彼女だった。
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