万華鏡後のありふれた異世界物   作:恵比寿酒

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No5:謁見

 戦争への参加が決まると、俺たちは王宮へと招待されることになった。

 俺たちが呼び出されたのは、『聖教教会』の本山がある『神山』と呼ばれる山であり、その麓にある『ハイリヒ王国』で受け入れの準備が整っているとのこと。

 

 イシュタルについて行くと建物の外に出た、どうも山の頂上にあるようだ。しかし今まで違和感を感じなかったのは、魔術によって環境を整えていたのだろう。

 さらに進むと、柵に囲まれた大きな台座の上に乗るように言われた。

 

「彼の者へと至る道、信仰と共に開かれん、“天道”」

 

 イシュタルがそう唱えると、台座に書き込まれた魔法陣が輝きだした。さらに台座が動き出し、地上に向かって進んでいく。

 どうやらこの世界の魔術は、魔法陣とそれに関する詠唱によって発動するらしい。まだ確定したわけではないが、少なくとも魔術回路も魔術基板も必要ない魔術はあるようだ。

 

 

 

 王宮に着くと、そのまま玉座の間へと案内される。『勇者様たち』が来ることは既に周知の事実らしく、すれ違うたびにこちらへと礼をしてくる。

 豪華な装飾のされた扉の前へとたどり着くと、両側に構えていた兵士たちが俺たちの到着を告げ、扉は開かれた。

 

 奥へ進むと、赤いカーペットがまっすぐ進みその奥に、玉座と国王らしき初老の男性が立ち上がってこちらを待っていた。

 その隣には王妃らしき女性と、十五歳前後の王女や十歳前後の王子らしき人物も、同じく控えている。

 カーペットの左手には軍人らしき人物たちが、左手には文官らしき人物たちがいる。

 ハイリヒ王国の主要人物がここに集まっているのだろう。

 

 玉座の前に俺たちを止めると、イシュタルは国王の元へと進んだ。そして手を差し出すと、国王はその手を取り軽いキスをする。教皇の方が国王よりも立場が上にあるようだが、神が未だに存在する世界ならおかしくは無いか。

 

 国王らしき人物はやはり国王のようで、『エルヒド・S・B・ハイリヒ』を名乗った。王妃は『ルルアリア』で、王女は『リリアーナ』、王子は『ランデル』というらしい。

 その後も、地位の高い者の紹介が行われた。その中でも騎士団や宮廷魔術師が訓練を担当するらしい。

 

 紹介が終わった後に、晩餐会が開かれた。料理に関してはふつうの洋食とほとんど変わらなかった。

 ランデル王子が白崎を必死に口説いていたが、あれは弟のような扱いだろう。それに白崎は南雲へ好意があるので、無理だろう。

 

 晩餐会が終わると各個人ごとに部屋に案内されたが、無理を言ってクロエと同じ部屋にしてもらった。

 クロエの体は今は人間と変わらないが、未だに魔力で体を保っている。だから定期的に魔力供給をしなければならない。

 

「…っぷは。ごちそうさま、照人(あきと)。いつもありがと」

「どういたしまして。調子はだいじょうぶか?」

「ええ、問題ないわ」

 

 クロエも俺も疲れていたのか、二人とも早くに寝てしまった。




いままで一度も主人公の名前を出していなかったことに気がつきました。
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