万華鏡後のありふれた異世界物 作:恵比寿酒
オルクス大迷宮で訓練を始め、徐々に俺たちは階層を下げながら進んでいき、何事も無く、20階層までたどり着いた。
現在、ロギンス騎士団長がこの階層で終わりだと宣言し、今回の最後の階層を進んでいる。
「……あれ、何かな? キラキラしてる……」
白崎が何かを見つけたらしく、視線を追うと美しい鉱石が青白く光っていた。ロギンス団長によるとグランツ鉱石といい、希少で人気があるそうだ。
白崎や女子たちがうっとりとしているのに気がついた檜山が、回収しようと壁を進んでいく。なぜそんな気遣いが出来るのに、白崎が嫌がるイジメをするのだろうか。
「ここまで来る人数が少なかったから、残ってたのかしら」
「…ん?むしろここまで来る一流なら気づくんじゃ」
ここまで会話して違和感を感じたがすでに遅く、騎士の一人がトラップだと気づき止めるも既に罠は起動していた。
グランツ鉱石に仕込まれていたのは転移だった様で、俺たちは知らぬ階層に飛ばされていた。上の階層だったら良かったのだが、今日見てこなかった階層なのでより下の階層だろう。
ロギンス団長がすぐさま撤退するように指示を出したが、悪いことは続く。階層の出口側に魔法陣が現れ、骸骨のような魔物が大量に出現する。さらに反対側にも魔法陣が出現し、トリケラトプスのような姿の巨大な魔物が現れた。
「まさか……ベヒモス……なのか……」
ロギンス団長が呟いた。
ベヒモスと呼称されたその魔物は大きく息を吸いこみ、巨大な咆哮を上げる。その咆哮で呆然としていた騎士団が正気に戻り、矢継ぎ早に指示を出す。
しかし、ここで問題が生じた。騎士団は問題なく行動出来たのだが、他のクラスメイトがパニックになった。戦闘もロクにできていない。騎士1人と俺とクロエでは処理に限界がある。このままでは不味い。
ベヒモスの方も問題が起きている。天之河達が無理矢理前線に止まっているのだ。見た限り、ベヒモスは天之川河達に手に負える相手ではない。騎士団も相手にならないだろうが、年期が違う。騎士団に任せれば撤退は可能だろう。しかし、彼等が足を引っ張っているのだ。
そう考えている内に、南雲が彼等へ走って行った。状況を冷静に判断出来るやつなので、説得に向かったのだろう。
しかしその後、二度の爆発が起きた。発生源はベヒモス。天之河達が動かなくなっている。
南雲が前に出て錬成でベヒモスを封じ込めた。が、直後床から複数の魔物が出現した。南雲は動けないようで、咄嗟に走り出て庇い、クロエもそれに続く。
骸骨は騎士団が回れるようになったので大丈夫だろう。そう思い、目の前の敵に集中する。
「八神君に、アインツベルンさん⁉︎」
「貴方はベヒモスに集中。こいつらは私と照人が相手するわ」
そして、目の前の魔物に挑みかかった。