大星淡の場合①
あたしが麻雀に興味を持ったのは幼いころに試合を見た事だろう。
あの試合は日本を代表する選手たちが外国人たちと対局するものだった。今だから分かるけど、アレは世界大会という奴だったのだろう。
日本代表は男女混合チームで構成されていた。エースである先鋒を務めていた人物の闘牌を見てあたしもあんな麻雀をしてみたいと幼いながらも思ったのだ。
日本代表にはすごく強いと噂の小鍛治という人物がいたのだが、彼女ではなく彼がエースの席に座っていた。
彼、須賀京太郎の麻雀は凄いとしか言い表せない。誰よりも早く上がり、常に打点が高かった。それでいて敵に隙を一切見せず、放銃率がその試合で誰よりも低かったという。そんな成績をあの世界大会の会場で収めていた。
あの対局から10年が経つが未だに彼のその記録は抜かれていない。つまり彼が公式に残る最強の先鋒なのだ。
あたし、大星淡の麻雀をやる動機はこれに限る。
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4月。必死に勉強をして無事に希望していた白糸台高校に入学することが出来た。
麻雀推薦で入学する事も出来たのだが、頭が悪ければ麻雀するのも苦労すると思い必死に勉強をした。
暇な入学式を終え、入学式を見に来た母と一緒に帰る。帰宅途中、母が入学祝だとレストランで食事をしてきた。
家に帰ると部屋でパソコンを起動する。
仮入部期間というものまで未だ日にちがあるので、それまでの間はネトマで練習を積む。
あたしのオカルトは正直言って他の人よりも強力なものだと思う。でも、それに頼っては足元を掬われる。
彼もインタビューで答えていたが、基礎を疎かにするやつには大事な場面で勝てない。その言葉を雑誌で見て以来、教本などを使い練習するようになった。
最近、須賀選手の姿をテレビで見ない。5年ぐらい前ではちょこちょこ見てたのだが、最近は一度も見ていない。ネットでは引退したとささやかれているが、真偽不明だ。
その日はお風呂に入ってご飯を食べてと何時通りに終わった。
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入学してから数日が経った。
仲良くなったクラスメイト達に別れを告げあたしは麻雀部へ足を運ぶ。今日は待ちに待った隊仮入部期間だ。
あたしは麻雀部以外に入る気がないので仮という言葉は要らないだろう。でも、入部用の用紙は期間が終わるまではもらえないので我慢して通う。
失礼しますと告げ、部室に入る。
あたしは言葉を失った。
なんとあの、あの須賀京太郎が部室にいたのだ。
それも暇そうに本を読みながら。あたしが入ってきたことに気が付くと本を閉じ、近寄ってきた。
うわぁ、だ、大丈夫だよね。今日は体育がなかったから汗もかいてないし、走ってもいないから髪は乱れてないだろうし。
「君は新入生かな?」
「……え?あ、はい」
「そうか。ようこそ白糸台麻雀部へ。俺は此処のコーチをしている須賀京太郎だ。よろしく」
彼はそう言うとあたしに右手を出してきた。
え?これって握手しろってこと。あの須賀京太郎と握手が出来る。
ニヤけそうになる顔を必死にこらえて、あたしも右手を出す。彼の手はあたしの手よりもはるかに大きく。それでいて温かかった。しかも麻雀によるタコが出来てるのか、少しデコボコしてた。
「まだ皆が来てないんだ。だから、お茶でも飲んでゆっくりしないか」
「……はい」
憧れの人物と二人っきりという状況に頭が追い付かず、彼の言葉に返答するのに間が開いてしまう。
彼はそのまま奥の部屋に行き、お茶を入れた湯飲み茶わんを御盆に乗せて戻ってきた。
「あ、そうだ。まだ君の名前を聞いてなかった。よければ教えてくれないかな」
「淡です。大星淡」
「そうか。じゃあ大星さんと呼ばせてもらうね。大星さんは麻雀やったことある?」
コクリと頷く。
「腕の方に自信は?」
「それなりにはあります」
「そっかそっか。なら、今日は俺と勝負でもしてみようか。勿論、俺は全力は出さないよ。それに君との対局中に気が付いたことが有ったら口出ししようと思うけど大丈夫?」
「大丈夫です。よろしくお願いします!」
自分でもビックリするぐらいの声で返事をしてしまった。彼は一瞬驚いたように目を開けたが、一拍開けると笑いだした。
「ははは。今年の一人目は中々元気が良い。それに腕に自信があるというこれはツイてるな」
「あぅ。その、大きな声出してすみません」
「いやいや、気にしなくていい。じゃあ、オカルトも影響しないネトマでやろうか。個々の設備としてあるからそれを使おう」
こうしてあたしは憧れの須賀選手……じゃなかった須賀先生に腕を見てもらうことになった。
いや、すみません。何故かあわあわこうなっちゃいました。
当初は同じ同級生物で行こうと思ったのですが、それだと他の作品を変わらないなと思い路線変更したらこうなりました。
この淡ちゃんは慢心なにもありません。むしろ隙すらない。
京ちゃんプロ系の作品ってよくあるよねってここはひとつ。
活動報告の方でアンケートやってます。よければ来てください。