やった!やったよ!あの監督にスタメン考えとくとまで言わせることが出来た!
須賀コーチの言う通りにあたしは4月末に行われた部内対抗ランキングを目標に練習を重ねていた。そして当日に見事好成績を収めることが出来、監督から声を掛けてもらったのだ。
嬉しくて須賀コーチに報告をする。
「そうか、おめでとう。これでスタートラインには立ったな。今後は基礎力の向上の練習だな」
「はい!」
須賀コーチが考えたという練習メニューの書かれた用紙を受け取る。どうやら暫くの間の練習はこれを行うようだ。
監督は大会における選手の選別をしている。普段の部活はコーチに任せ、自分が見た時に良い成績を出す選手がいたら声を掛けるという方針をとっている。この為、普段の努力の様子を監督は一切知らないので部活対抗ランク等の監督がやってくるイベントでは緊張力がすごいと先輩が言っていた。
「はいはーい。みんな注目注目。今日は部活始める前に諸連絡からだ。来月頭のゴールデンウィークに合宿を行うことが決定した。なので、合宿の準備しておけよ。泊るのは学校だからそこまで荷物も必要ないしな」
須賀コーチが皆を集めて話す。合宿の話自体は部活に入ったころに言われていた。学校で合宿をするか遠くへ遠征するかの予定だったらしいが、どうやら学校で合宿をすることに決定したようだ。
「詳しい説明書きなどは部活終わりにプリントとして渡すからそれ以外の質問は早めにな。じゃあ、部活やろっか」
その言葉を合図に皆が一斉に動き出した。
あたしもコーチからもらった用紙に書いてある教本を使って牌の切り方を勉強する。勿論分からないことがあればその都度コーチのもとへ行き話を聞く。
勉強をしているところに声を掛けられた。
「ねぇ、君が大星淡?」
「へ?」
「コラ照。まず人に尋ねるときは自分から挨拶しろよ」
「む」
私に声を掛けてきたのは赤い髪をした人だった。微妙に気になるアホ毛が生えてる。
その人に注意した人物も彼女の隣に立っていた。その人は黒い髪を長く伸ばしているようで、女性にしては高めのスレンダーな方だった。
「はい、確かにあたしは大星淡ですけど」
「そう……なら麻雀しよう。コーチから許可は得ている」
「え?別に構いませんが。あなたは?」
「あ……宮永照、3年」
「すまんな大星、コイツ人に自分から声を掛ける奴じゃないのに珍しく掛けたから順序が変わってしまったようだ。私は麻雀部の部長をしている弘世菫だ。挨拶が遅くなり申し訳ない。如何せん人が多くてな」
「貴方達が宮永先輩と弘世先輩……」
「照でいい。それより麻雀」
そう言うと宮永先輩は雀卓の置いてある部屋へと一人で向かった。
「あっ、おい照。すまん、あいつを追いかけるしかないようだ」
「わかりました」
あたしも弘世先輩の後ろを付くように歩く。宮永先輩はどうやらあたしの麻雀の腕を見たいようだ。正直勝てる気は今はしないが、全力で挑ませてもらうとしよう。全国1位の高校生の実力にどこまで行けるのか……
★★★★★
大星淡。あの照が気に掛けるほどの雀士らしい。
私は先日受け取った大星の麻雀記録を見ながらそう思う。彼女の麻雀は綺麗だ。基本を疎かにしないできっちりとしたうち筋だ。迷いも見えない。
まだ対局したわけではないので彼女のオカルトの強さも計り知れない。対局した生徒から聞く限りは強力なオカルトのようだ。
中々手ごわい相手だな。
大星淡。あの須賀コーチが最近何かと練習に付き合っている少女。
私としては彼には彼女よりも私と練習してほしいが、彼の性格上それは無理だろう。
だから、私が実際に対局して須賀コーチが付きっきりになる程の実力を持っているのか計らせ貰う。
幸い私は全国高校生の頂点に立っている。彼女も私の誘いを無下にはしないだろう。
予想だとこれを機に私の実力を彼女も図ってきそうだ。
対面してみて分かった彼女の実力は本物だ。去年の夏に戦った2位と3位ともそう離れたように感じないほどのオーラを感じる。
むむむ。これは須賀コーチが気に入るのも分からなくはない。むむむ……困った。
照はそれなりに書けたつもりだけど菫のキャラが……
あ、照の話も近々書く予定です。