「へー、結局その阿知賀ってところに行くことにしたんだ」
「うん。幼馴染の熱意にやられちゃってね」
憧と知り合ってからもう1年が経つ。あれから長期休暇のたびに憧と遊びに出かけた。普段は長野と奈良では物理的な距離で会う事も出来なかったので今のように電話で連絡を取っていた。彼女から麻雀を教えてもらってからはネットで夜やるようになり、その時も電話で話しながら遊ぶ。
麻雀は俺の生活サイクルの中心となっていた。
「京太郎はどこに行くの?」
「俺か?俺は清澄ってところに行く。家から近いしな。麻雀は個人枠で応募するから問題ないし」
「男子麻雀部って少ないもんね」
「まぁ、オカルト持ちが少ないから必然的にな」
麻雀をする人間は大きく分けて二種類いる。オカルト持ちかデジタルか。オカルトは普通の人間では絶対に起こせないようなプレイングをする人が多い。特定の牌を自身に集めたり、未来を見たりと。デジタルは教本に書いてあるような効率的な打ち方、敵に隙を見せずに自分のプレイを貫く人たちだ。
俺はオカルト持ちに含まれる。俺は便宜上直感と呼んでいる。この牌を捨てると不味いと思ったり、ここで待ちを変えると上がれると思ったりとかなり運要素が絡む。自分の意思で発動できるものではない。もしかしたら未来では自在に扱えるかもしれないが。
「じゃあ、次会うのは東京でかしら」
「そうだな。お互いが良い成績出せばな」
最近はネット麻雀での成績も良くなってきている。前はよくしていたミスも減ってきているし、男子の部なら中々の成績を出せそうだ。
女子の部は男子の部よりも強者ぞろいだ。男子でオカルト持ちというのが少ないのも理由の一つだが、若い男性プロで報道されるレベルの実力者がいないのも関係あるだろう。日夜軒並みテレビで報道されるプロは女性プロばかりだ。ばかりというか女性プロしか見ない。
おかげで男子はサッカーや野球といった体を動かすスポーツで活躍をしている。
憧との電話を終え、寝る支度をする。今日の分のネトマは既に済ませたから大丈夫。
それにそろそろ0時回るからな。
先も言ったが憧と出会って一年が経った。つまり俺は現在中三というわけだ。最近は進路の話ばかりだが、俺は清澄に推薦で既に入学が決まっている。なので他の生徒よりは余裕があるので今は麻雀漬けの毎日を送っている。
★★★★★
更にあれから月日が経った。
今日は入学式。早めに起きて憧と電話をし、お互いが入学祝いの言葉を口にした。
それを済ませた後に朝食を食べ、母と共に清澄高校へと足を向けた。
あっという間に放課後になった。
高校生になったが、ある程度は中学のころに見たことがある面子だったりする。なので挨拶もそこそこに俺は街を散策することにした。
高校生となったので中学生のころには行けなかった雀荘に顔を出すことが出来る。
普段はネトマで腕を磨いてきたが、今日からは実際に対戦相手の顔を見ながら対局することが出来る。夏の予選まで時間があまりないので今日から通うことにする。
前から目はつけていた雀荘『Roof-top 』へ訪れる。
ここは他の雀荘と違い、外から中を見ることが出来る珍しい店なので俺でも知っていた。
それに雰囲気が良いので初めて行くのには向いているだろう。
早速入店し、初めて来たと告げ席の空いている場所に座らせてもらう。
暫くすると、空いていた最後の席が埋まり他の客と対局することに。
★★★★★
結論から言わせてもらおう。
正直、対面しながらやるのって難しいな。相手の河を見ながら流れを作っていたが、厳しかった。
勝つことは出来たが3位との僅差での2位だ。今まで対面しながら麻雀した相手は教えてくれた憧しかいなかったので中々に空気をつかむのが難しい。
まぁ、いい。これからだ。まだまだ慣れるまでには時間が掛るが慣れれば強くなれる。
改めてそう決心するとまた別の面子で麻雀をする。
今回は時間がすごく経ちました。
正直京ちゃんの中学時代は書くのが難しかったので描写不足ですみません。
憧ちゃん編の次は予選辺りからの時系列にする予定です。