私と死神   作:駿駕

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噂を聞いてやってきたほむらを襲撃するキリカ。
ほむらはそれによって深傷を負い、病院へ運ばれる。

その一方で、れんはフェリシアと友達になることができた。


深月 フェリシア

「れんー、腹減ったぞー!」

 

わがままなフェリシアさんはお昼の12時を知らせる鐘が鳴ったのと同時に私に向けてそう言い放った。

「どう・・・しますか?」

「どうって言われてもなー・・・あそことかどうだ!?」

フェリシアさんが指差したのはハンバーガーのお店だった。ここから中を見る感じだとお昼時だけどまだ混んでなさそうだった。

「フェリシアさんって・・・お金は、どれくらいあるの、ですか?」

「ん?金か?えっと、こんな感じだぞ」

フェリシアさんはポケットから千円札二枚と小銭を何枚か取り出した。

「んー、・・・たぶん、大丈夫ですね・・・はい」

私は気になっていた。両親のいないフェリシアさんはお小遣いをどうしているのだろう、と。

「その、フェリシアさんは・・・お金って、どうしてるんです・・・か?」

「あー、これか。これは報酬だ。」

「報酬?」

「オレはあくまでも傭兵だ。その日生きていく最低限のお金が貰えれば、魔女だって倒す。このお金はそうやって手に入れたやつだ。ここ最近はれんの家で飯食えるからお金は大丈夫だけどな」

「そう・・・なんですか。・・・あの、お小遣いは」

「ん?お小遣いなんて貰ってないぞ」

「そうです・・・よね・・・なんか、すみません。はい」

「いいぞー。ちゃんと飯が食えるだけ幸せだからなー」

「えっと、じゃあ・・・今の私よりも、報酬が良い人に会ったら・・・フェリシアさんは、私の友達じゃなくなる・・・ですか?」

「そんなことない!・・・ぞ。」

急にフェリシアさんは私に抱きついた。フェリシアさんの顔が変わった。どこか目に涙を浮かべ、頬を真っ赤にしている。

「オレは確かに報酬だけで依頼主をころころ変えていた。けど、今、れんとこうやってることが楽しいと思ってるんだ!それに・・・オレとつるむ魔法少女はみんなオレを邪魔者にするんだ。けど、れんはオレを邪魔だとかそんなこと思ってない!・・・よな。」

フェリシアさんは怒鳴るような大きな声からどこか弱気な声で私に聞いた。

「思ってないですよ。・・・私は、フェリシアさんを、家族の一人って、思ってますから」

「れん・・・」

フェリシアさんは安心して我慢が解かれたのか、お腹が鳴ってしまう。

「そうでした・・・ね。・・・昼、食べましょう?フェリシアさん」

「・・・うん。」

フェリシアさんは涙をこらえると、子供のように私の手を握って、ハンバーガーショップへ入った。

そのときのフェリシアさんの力はとても弱く、本当に幼い子供と手を繋いでいるような感じだった。

 

「あー、れんれんだ!」

「あ、衣美里さん。・・・こんにちは」

「私もいるよー」

「梨花さん、こんにちは」

「れんれんは硬いなー、ほらここ座ってさ・・・って、フェリシア!」

衣美里さんは見てわかるくらいに嫌な顔をする。

「・・・」

「あれ?今日、元気ないね。どうしたの?」

「別に・・・なんでもないぞ」

「えっと、その・・・フェリシアさん。先に頼みましょう」

「うん・・・」

私たちはメニューを見て店員さんに注文する。昼頃だが、店内で食べる人は少ないのか、意外とすぐに呼ばれた。

「こっちこっちー!」

梨花さんが私たちを呼ぶ。

いつの間にか衣美里さんは移動して、梨花さんの隣に座っていて、二人の前が空いていた。

私たちは並んでそこに座った。

「すみません、その、席を」

「別にいいよ」

ムスッとした顔をする衣美里さんはフェリシアさんを見ると、少しだけ表情を変えた。

フェリシアさんは今にも泣き出しそうになっていた。

「コソコソ(何どうしたの?フェリシアってこんな静かな子だったっけ?)」

梨花さんが私の耳元でそう囁く。私も静かな声で、

「ここに来る前に、色々とありまして・・・はい」

と言う。フェリシアさんのことを考えると、今詳しく説明するのはどうなんだろう、とか考えてしまった。

「いつも元気いっぱいのわんぱくっ子が、目に涙を浮かべるなんて・・・れんれんって怒ると怖いタイプ?」

「ち、違います・・・たぶん。」

「でもさー、フェリシアちゃんってこう見るとかわいいよね。お人形さんみたいでさ。まぁ、うちのれんには勝てないけどね!」

「り、梨花さん・・・!?」

梨花さんは私の頭を髪がボサボサになるまで撫でた。

「れんれん、真っ赤ー。」

衣美里さんは私の顔を見て笑う。フェリシアさんはそんななか、ただポテトを口に運んでいた。

「食べれば嫌なことも忘れるさ。さぁ、今は食べて女子トークに花を咲かせよ、ね?」

「うん、わかったぞ・・・」

 

二時間近くいただろうか。店内は昼の忙しいお客さんがたくさん来る時間を過ぎ、笑顔を見せていた店員の顔にも疲れが見え始めていた。

「で、れんれんはどうしてこっちに来てたの?」

「えっと・・・あ、そうでした。フェリシアさん、服どうしますか?」

衣美里さんに聞かれて私は思い出した。

フェリシアさんの服を買いに来たんだった。

今は私の服を着ているけど、大きさも少し大きめで袖から指先しか出ていない。

「うーん、どうするかな・・・」

「そうだ!みんなでフェリシアちゃんの服をみんなで買いに行くのはどう?」

「!・・・いいのか?」

「もちろん、私はいいよ。衣美里さんは?」

「・・・しょうがない、後輩の頼みだし行くかー」

「えっと、じゃあそうしましょう」

「うん、決定!それじゃあみんな立ってー!」

私は味の薄くなったジュースを飲むと、すぐにゴミ箱へ捨てた。みなさんは先に食べ終わっていたため、全て片付け終わっていたようだ。

 

「れん、今日はありがとう!」

帰り道。空はもう暗くなり、足が痛くなり始めていた。

私とフェリシアさんの手にはフェリシアさんの服やスカートの入った袋を持っている。

「私だけじゃ・・・ないです。梨花さんと衣美里さんにも・・・はい」

「・・・ありがとう」

「いいよいいよー(かわいかったし)」

会ったときは嫌な顔をしていた衣美里さんもいつも通りの笑顔でフェリシアさんと接していた。

「フェリシア・・・さん、」

「どうした?」

「もう、帰りましょう・・・?」

「うん!・・・じゃあな!衣美里!」

「じゃあねー、フェリシア!」

衣美里さんは笑顔で手を振る。

「じゃあねー、れんれん!」

「さ、さようなら・・・!」

梨花さんは手を振るのではなく、私に抱き付いてきた。

そしてギュッと一度強くすると、手を振って夜の明るい町へ消えていった。

「れん、どうしたー?」

「うんうん。な、なんでもないよ」

フェリシアは昼頃のような暗い顔を一変して明るい顔で、袋を振り回しながら歩いている。

「フェリシアさん」

「どうした?」

「・・・なんでも、ないです・・・はい。・・・えっと、帰りましょう・・・?」

「帰ってるじゃんかよ。わかった!どこかよりたいのか?」

「えっと・・・じゃあ、本・・・屋に」

「いいぞー!今日1日、オレの行きたい場所にいったからさ」

帰ると言ったら帰るー、くらいのことを言うかな。なんて思っていた私の予想を裏切るような態度に私は驚いた。

この1日でフェリシアさんは成長していた。

袋を振り回すことをやめないけど・・・

「えっと・・・。み、道を戻ることになりますけど・・・」

「かまわないぞー!・・・それにまだ遊び足りないしー」

「あ、ありがとうございます・・・はい」

私は今日の何よりも、フェリシアさんの成長した姿を見れたことに感動した。

 

「れんー!これなんてどうだ?かわいいぞー!」

フェリシアさんは白と黒の牛のような模様をした鉛筆を持ってきた。ペンの先の半分が黒で、ペンの先の半分が白という変わった色の物で、少し値段が高かった。

「えっと、フェリシアさん・・・?」

目がキラキラしている。きっとフェリシアさんが欲しいものなんだろうなー。

「なんだ?べ、別にオレが欲しいわけじゃないぞ!」

「・・・高いです。はい・・・」

「むー、確かに」

フェリシアさんは周りの色鉛筆の値段を見て気づいた。

「・・・他のにしましょう」

フェリシアさんに白黒の色鉛筆の渡し、フェリシアは向かい側の棚に返しに行く。

(この色かな・・・?)

私が色鉛筆を取ろうとしたとき、隣にいた人と手が当たった。

クリーム色の髪をした女の人。モデルのような体型をしていて、髪を後ろで一つに縛っていた。

「あ、その・・・すみません」

「譲りますよ。気になった色でしたので手にとって見ようと思っていただけですので」

「あ、ありがとう・・・ございます」

色鉛筆の色はその人の髪色に似たクリーム色で、その後ろには同じ色の色鉛筆が何本か用意されていた。

「おーい、れーん!」

気まずい雰囲気のなか、フェリシアさんが手を振りながら私を呼ぶ。

「えっと、その・・・すみません」

「いえいえ、それでは・・・」

私はその人に頭を下げると、フェリシアさんの手を振る方へ歩いていった。

 

「れん・・・キリカの言ってた魔法少女かしら」

 

 

 

 

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