れんの家に(一時的に)住むことになったフェリシア。
フェリシアの普段着を買いにれんはフェリシアと街を歩く。そして昼食で入った店で二人は梨花や衣美里に会った。
三人と一緒に食べたことで、フェリシアはグループに打ち解けることができたのだった。
昨日の女の人、綺麗だったなぁ・・・。
私は昨日買った色鉛筆の先を見て、昨日の女の人の姿を思い出す。
「おーい、れんー!梨花が来てるぞー!」
一階でフェリシアさんが私を呼ぶ。
「わ、わかりましたー、(梨花さん?)・・・そう言えば!」
私は忘れていた。今日は梨花さんとテストの勉強をする約束をしていた。
私はすぐに日記帳とたくさんの色鉛筆が入った箱を机のなかにしまう。
「おはよー、れん!勉強だよ!勉強!」
梨花さんは私の部屋に入ってくるとすぐに重たそうなリュックを床に置いた。
「えっと、その・・・思ったのですが・・・。テストって学校が違っても、同じ日程なんですか?」
「うーん、れんはいつ?」
「私は・・・来週、です。はい」
「私も!あれ?来週ってことはまだ余裕あるじゃん!」
梨花さんはまるで最初からわかっていたかのように、リュックの中身を引っ張り出す。
そこには最新のテレビゲーム機が入っていた。
「れんー、遊ぼ!」
「でも、勉強・・・しないと」
「つれないなー、まだ一週間あるんだからさ!ね?」
「う、うん・・・でも・・・」
「いいからいいからー」
梨花さんは手慣れた手つきでテレビにゲームとのケーブルを繋げると、一階にいるフェリシアさんを呼ぶ。
フェリシアさんは我慢していたのか、階段をドンドンと音をたてながら上がってくると、私の部屋の扉を押し開けた。
「やるー!」
あれから三時間はやっていた・・・かな?
梨花さんもフェリシアさんも疲れたのか、ゲームのコントローラを持ったまま寝てしまった。
テレビには、キャラクターの選択画面に、二人が使っていたキャラクターが表示されて、その横に使用した回数が書かれていた。
私は二人にタオルケットを掛ける。
「ふぇ。私、寝てた?」
梨花さんはそれに気付き、目を開けて私を見た。
そして床にコントローラを置き、むくりと起き上がった。
「ありがと、れん」
「いや、その・・・私の、出来ることをした・・・まで・・・です、から。」
普通のことをしただけなのに、鏡に写った私の顔は赤く染まっていた。
「もうそろそろ帰らなきゃかな。今日はありがとう。また遊ぼ?」
「・・・うん!」
梨花さんはテーブルの上の勉強道具とゲームを鞄にしまって、髪についた寝癖を治す。
「バイバイ、フェリシア」
私と梨花さんは階段を下りて玄関から外に出る。
外は夕日によってオレンジ色に染まり、心地よい風が私たちの間を通る。夕方の6時を知らせるチャイムが町に響いた。
「じゃあねー、れん!」
「・・・ま、また明日!」
夜、お風呂に入った私は今日のことを日記に記す。
昼間とは一変し、風が強くなり、空は雲に覆われていて、今にも雨が降りそうだった。
「助けて、れん」
小さな声。何かがカツンカツンと窓を叩く。
私はそれを聞いてすぐにカーテンを開けた。
「キュウべぇ、さん!」
私はキュウべぇさんを見るとすぐに窓を開ける。
ところどころケガをするキュウべぇさんは窓から入ってくると床に倒れ込んだ。
「大変だ・・・黒い魔法少女が・・・魔法少女を襲っている。梨花が・・・」
「場所は・・・?」
「神浜公園の近くの廃工場・・・急いで」
私はすぐに変身すると、ベランダから屋根を飛び移るように廃工場に向かった。
嫌な予感しかしない。・・・梨花さん。
「あそこっ!」
窓から何度も点灯を繰り返す工場が見える。きっとあそこだ。
私は工場の窓を割りながら、無理矢理中に入る。
「梨花さんッ!」
「れ・・・ん・・・。」
壁に寄りかかって腕を押さえる梨花さんと、
「チッ!・・・死神ちゃんか。」
臨戦体勢のキリカさんがそこにはいた。
私はすぐに梨花さんの元へ向かう。
「大丈夫ですか!梨花さん!」
「帰る・・・途中、ヤツに・・・襲われた。れんに会わせろって・・・」
「ヤツの言ってることは本当だ。私はお前に会いに来た。だから、お前の友達を襲った。ヤツのビームで携帯が壊れたせいで、どうやってお前を呼び出そうか考えていたが好都合」
「・・・くる、よ。れん・・・ヤツを倒し・・・て」
「梨花さんッ!・・・こんなの、おかしい。どうして、魔法少女同士で・・・」
「決まってるだろ?・・・織理子のためだ」
私は杖を構え、キリカさんの攻撃を受け止める。
「きゃあっ!」
「れん!ーッ!」
梨花さんは立ち上がるが、痛みで倒れ込む。
「余所見してんじゃ・・・ねぇッ!」
キリカさんはおもいっきり私を蹴り、近くに積み上げられた段ボール箱へと叩き込む。
「いけッ!」
キリカさんが私に気を取られているのを見て、ビームを撃つが、キリカさんの目の前で直角に曲がって、天井に向かって飛んでいく。
「へぇー、まだ戦えるんだ。その腕と脚で何ができるの?」
「戦える・・・れん!逃げて!」
「え?・・・梨花、さん?」
梨花さんの狙いはキリカさんではなく、キリカさんの上で今に崩れそうになっていた天井だった。
梨花さんのビームの当たった衝撃で崩れた天井板が、キリカさんに遅い掛かる。私にも当たるところだった。
「・・・これでどうだ。黒い魔法少女め・・・」
私は気を失った梨花さんを連れて廃工場を出る。
外には既にパトカーがたくさん止まっていた。
夜の廃工場で声が聞こえたとか、光ったとか、何かの撮影か?とか、周りから色々な声が聞こえる。
「君たち、こんな夜中に何をしていたんだ?」
「す、すみま・・・せん・・・。えっと、その・・・」
「わかった、話は署でしてもらうから。・・・そっちの子、ケガしてるじゃないか。早く手当てを!」
「お願い・・・します」
梨花さんはパトカーの後部座席に優しく寝かされる。
私も梨花さんとは違うパトカーに乗る。
「えっと・・・その・・・はぃ」
「大丈夫、安心して。すぐに帰れるから」
婦人警官?の方が、私にそう言って暖かいコーヒーを渡す。いくら夏と言っても夜は冷え込む。貰ったコーヒーは良い暖かさで、どこか心が安らいだ。
「ありがとう・・・ございます。」
署に着くと、私とその警官は小部屋に入って私に一通り話すようにと言われた。
私はキリカさんを庇うように話した。私たちを襲ったけど、キリカさんはきっと何か理由があってそうするしかなかった。そう思いながら、私は話していた。
私の話を聞いた警官は、私に「夜遅くに女の子二人で外に出るな」と注意した。頷くしかなかった。
署を出たときには既に強い雨が降っていた。
★
廃工場近くのビルの屋上。
「キリカ、あなたがまさかあの二人に負けるなんて」
私は織莉子の腕の中で起きた。
「織莉・・・子・・・」
身体中に激痛が走る。
「ッ!」
「大丈夫?キリカ」
「大丈夫・・・だよ、織莉子。・・・見ていたのか、私のことを」
「ずっと近くで・・・ね。」
私は織莉子の腕から降りると、近くのフェンスへ体を任せるようにもたれる。
「ごめんね、織莉子・・・私」
織莉子は私を優しく抱くと、頭を撫でた。
「織莉子・・・今度こそはちゃんと仕事をこなすから」
「無理はしないで。あなたが死んだら・・・」
織莉子は私の頭を撫でた手で、私の目を覆った。
今度は私が頑張るから、キリカは寝てて・・・ね?
うん・・・わかった。