夜、廃れた工場で梨花はキリカに襲われる。
れんはそれ聞き、梨花を助けにいった。
やっとのことでキリカを撃退し、ケガした二人は警察に保護された。
「ここは・・・!?」
私は病院の一室で目が覚めた。
いつもの時間の巻き戻った先ではなく、見たことない屋根の部屋。私は横を見る。サイドテーブルに置かれたカレンダー・・・三日間も寝てたのか。
「目が覚めたのね!」
私の寝るベッドの横に女性警官が立っていた。
何か食べ物を買いに席を離れていたのか、手にはレジ袋を持っていた。
私はキリカと戦って負けたんだ。それで気を失って警察に助けられたんだっけ?
「暁美さん、どこか痛いところはない?」
横の窓ガラスに写る私の頭には包帯が巻かれ、制服から患者衣に着替えさせられていた。
「大丈夫です。・・・そうだ、あの場所はどうなりましたか?」
私は八雲 みたまのやっていた店の場所が今どうなったか聞く。女性警官はメモ帳を開き、
「今は調査中。あの場所にいたと思われる八雲 みたまさんって人や、この事件の犯人まで。大丈夫、すぐ見つかる、いや、見つけてみせるわ。」
と、私に話した。
信用できない。犯人が普通の人間なら見つかるだろう。だが、今回の犯人は人間じゃない。魔法少女・・・、しかも犯人は魔法少女のなかでも実力は上の方。
「ちょっと!立ち上がったら・・・」
あの重症、普通なら立ち上がることすらできないだろう。でも私は魔法少女だ。これくらい・・・、ッ!
「体に力が・・・」
私は自分のソウルジェムが今、指輪として指に付いていないのがわかった。きっと、この人が私の指から外したのだろう。
「あの・・・私の指輪を知りませんか?」
「あ、あれならそこにありますよ。血流が悪くなるって聞きましたから」
私は安心すると一度横になった。
「最近の中学生は指輪をしてるんですね。街中でもよく見ますし。この前も髪色のハデな三人組がみんなオシャレな指輪付けてて・・・」
少しの間はここでの生活。でも、あの魔法少女をこの街に置いておくわけにはいかない。
黒い魔法少女、呉 キリカ・・・。
☆
「織莉子ー、織莉子ー。」
私は視た。これから起こる事を・・・。
白い魔法少女が黒い魔法少女と世界を破滅に導く魔女を前に手を繋いでいた。でも、白い魔法少女は私じゃない。この前、本屋であったあの子・・・。キリカのここ最近のお気に入り。
キリカが五十鈴さんと戦ったあの夜から一週間が経った。キリカはあれ以来、帰ってくるとあの子のことばかり話す。
「織莉子ってばー!」
「ごめんなさい、ちょっと考え事。・・・どうしたの?」
「どうしたのって、今日の夕御飯を決めに来たんじゃないかー。」
今はキリカと夕御飯の準備に来てたんだった。
ここ最近、ちゃんとした睡眠を取れていない。キリカがあの子の話をするようになってから、私の夢の中で毎回あの子が現れる。
「キリカ、あの子についてどう思う?」
「あの子って・・・死神ちゃんのことか?」
「えぇ。ずっとここ最近帰ってきて、五十鈴さんの話をしてるから」
キリカは私の前に軽くスキップしながら出ると、
「わからないけど、織莉子に会ったときのような・・・何て言うのかな。こう、あれだよ・・・そうだ!高揚感っていうのかな。なんか他の魔法少女からはうけたことのない衝撃を受けたんだ。だって、友達がやられてるのに、死神ちゃんはこう言ったんだ。ありがとうございますってさ」
と、言って私の前でくるりと回った。
「じゃあ、死神って呼ぶのはどうして?あんなに白い服にかわいい顔してるのに」
「それは・・・」
死神ちゃんが攻撃したとき、死神ちゃんの周りにたくさんの死霊が見えたんだ。
☆
「れんー!れんー!」
私はキリカさんの背後の柱に、以前本屋で見た女の人を見た。クリーム色の髪のモデルみたいな女の人。
もしかして、キリカさんの仲間なのかな?
「れーん!」
「!・・・ご、ごめん、なさい・・・。どうしました?」
「どうしたって、
フェリシアは頬を赤くして怒っている。
そうだった。ママにおつかい頼まれて、フェリシアさんとスーパーに来たんだった。
「えっと、確か・・・」
私はメモを取り出す。・・・材料的に今日は肉じゃがかな?
フェリシアも私の隣で背伸びしてメモを見る。
「牛肉、じゃがいも、にんじん、玉ねぎ・・・カレー!」
「え!?・・・違うと、思うよ。しらたきがあるから・・・」
「ちぇー」
フェリシアさんはムスッとし、すぐに何かを閃いたのか、どこかの棚からカレーのルーを持ってきた。
「これ買ってったらカレーになるんじゃないかー?」
「・・・おつり減っちゃいますけど」
「そ、それは・・・」
ママはいつもおつかいをさせるとき、だいたいのお金を渡して、おつりで何か好きなものを買ってきていいよ、と言う。そして毎回300円くらいおつりが出て、二人で一人150円ずつ使う。フェリシアさんは毎回、牛のパッケージの飴をそのおつりで買っていたため、フェリシアさんからしてみればこれは苦渋の選択だった。私はいつも貰えるお釣りをお小遣いにしてるから、ちょっとくらい減ってもそこまで痛くはないけど・・・。
「んー・・・そうだ!しらたきが無かったってことにすれば!」
「・・・本当にそれでいいのかな?」
「・・・」
フェリシアさんは黙り込んでしまう。
「ごめん」
フェリシアさんはまた一つ成長したみたい。
おつかいの帰り道、私は色鉛筆を買いにいつもの文房具屋さんに行った。
「今日は何色買うんだー?」
「どうしようかな・・・」
私は棚に並べられた少しずつ違う色の色鉛筆をじっくりと一色一色見る。
フェリシアさんは途中から飽きたのか、マンガコーナーの方へ消えていった。
(これとかいい色・・・)
色鉛筆を手に取ろうとしたとき、前にもあったような出来事が起こった。
また他の人と指先が触れた。
「ご、ごめんなさい・・・!」
「こっちこそソーリー」
黄緑色の髪の女の子。白いシャツに赤いリボン。女の子は頬を赤く染める。
「どうぞ。アリナ、ちょっと気になっただけダシ」
「あ、ありがとう・・・ございます・・・えっと、私は・・・五十鈴、れん・・・です、はい。」
「え?」
「えっと、アリナさん・・・ですよね?」
アリナさんは前髪をかきあげるとため息をついた。
「アリナ、自己紹介しろなんて言ってないんですケド」
「ご、ごめんなさ」
私が謝ろうと頭を下げたそのとき、アリナさんは私の顔を掴み、無理矢理私の顔を上へ向かせる。
「いちいち謝って・・・アリナ、そういうの嫌いなんですケド」
「ひゃぃ」
私は抵抗してアリナさんの手首を掴む。
アリナさんは私の指にはめられた指輪を見た。
「へー、あなた
も?・・・ということは、アリナさんも・・
「私も魔法少女なんだ、奇遇ね・・・。アリナの能力を見せてあげる」
アリナさんは魔法少女の姿へと変身し、私の顔を掴んだ手と逆の手のひらで箱のようなものを作る。
「Let's create・・・」
その声と共に、周囲は濃い緑色の壁で包まれた。
アリナさんは壁が上まで完成したのを見ると、私から手を離して突き飛ばした。
「これが、アリナさんの・・・」
「これがアリナの能力。エキサイティングするでしょ?・・・今からあなたを作品にしてあげるカラ」
魔法少女の姿にもなっていない私に、アリナさんの手のひらの箱から出たビームが襲いかかる。
「うぉーーーー!ズガーーーン!!!」
壁に亀裂が入り、そこからフェリシアさんが入ってきた。
「フェリシアさん!」
空間を破壊するように現れたフェリシアさんは、その勢いでアリナさんをハンマーで弾き飛ばす。
「助けに来たぞー、れん!」
「あ、ありがとう・・・」
アリナさんは立ち上がると、おもいっきりフェリシアさんを睨み付けた。
「アリナ、超アングリーなんですケド。」
「知らねーよ、れんを傷付けるヤツは許さない!ウガー!」
「フェリシアさん・・・」
アリナさんは落ちた帽子を広い被る。
「あっそ、ならあなたもアリナの作品にしてあげる!」