アイドルマスターOG CINDERELLA XENOGLOSSIA 作:雨在新人
「って、ピンチもピンチじゃないですかぁっ!」
第3ジャンル目に移ろうかというその時
輿水幸子は耐えきれずに叫んだ
「幸子ちゃん、落ち着いて」
栗色の少女が宥めるも、幸子の声は収まらない
無理はない。ダントツビリなのだ。全部でジャンルは4つ。用意されているジャンルは全部で10あったが、その中からランダムに最初のジャンルは選ばれ、以降は各ジャンルで一番多く正解したチームが次のジャンルを残りの中から選ぶという形式。その3つめのジャンルが選択される直前というのは、半分が終わったという事
一個目のジャンルはスポーツ。正直な話、幸子だってあまり知らない。未だに野球チームは残ってたりするが、スポーツ関連は異星人襲来以降大分衰退したし、知る機会がない。子供の頃はスポーツ関連が発展していた社会人達と、チートの後押しがあるNGsに勝てようはずがない。そして二つ目のジャンルに社会人達であるレギュラー、チーム老害が選んだのは語学。そのジャンルにおいても、幸子達はまともに答えられなかった。幸子だって真面目に勉強はしている。だが、だ。ちょっと難しい問題は、まだ中学生な幸子と飛鳥にはぱっと答えを出せようはずもない。習ってないのだから
結果的に、知識の差で年上故に知識も習った多いNGsにはチート無しでも軽く差をつけられてしまう
「ううっ、このままじゃ良いとこ無しですよ飛鳥さん」
「騒いでも何も変わらないだろう、幸子」
「そうですよ、まだ半分なんですし」
と、宥める栗色の少女……高森藍子の手も微かに震えている
不安なのだ。もしも良いとこ無しだったら。出演としては失敗してしまった感じになるんじゃないか、と
『では、一番得点の高かったチームNGs、次のジャンルは?』
ふと、幸子の目には、解答席に立つNGs、その今回のセンターである渋谷凛の目に、いたずらっぽい光があるように見えた
あそぼうとする、そんな光
「ジャンル:
果たして、代表して凛によって告げられたジャンルは、ナガセPが絶対にたると言っていたジャンルであった
「……来なよ、392プロダクション」
「やってやりましょう、飛鳥さん
……出来れば、自力で」
後半は小さく、幸子は返した
『問題。コールサイン、アイアン3の分る……チーム392、解答を』
「スペースノア級万能戦闘母艦」
『正解!』
それから3問。幸子は、自力解答を放棄した。飛鳥はまだ付いていけているようだが、ナガセPの趣味であるバーニングPTへの誘いをボク向きじゃありませんね、と拒否した幸子には、そもそも最早問題文すら暗号に思えた
それは、藍子も同じだったようで、不思議そうな目でボードを見ている
一方で、仕掛けてきただけあり、NGs側は止まらない。飛鳥よりは遅いが、それでも解答しようとは動く。ボタンは押せないが
……圧倒的だった。飛鳥はナガセPを信じてボタンを押し、そのまま答えを告げる。完全な不正だが、とても早い。誰の追従も許さない
『問題、このシルエッ……チーム392』
「量産型グルンガスト弐式」
『またまた正解っ!この勢いは止まらないのかぁっ!?』
ピンポーン!と、警戒な音が響き渡る
因にだが、幸子にはわからない。飛鳥は量産型と言ったが、量産型と量産型でないものの差だって、色以外に無いようにしか見えない
「何処で見分けたんですか
「頭部の形状。シルエットからして弐式で、その頭部がシルエットからして鷹型。鷹型の頭部は試作である弐式には無いから、だから量産型弐式。まあ、言っても分からないとは思うよ
ボクにも、良くわからないから」
『問題、昨夜コンペイトウから日本を救った英雄、龍虎王/虎龍王ですが、それぞれの型式番ご……チーム392』
「SRG-03-1」
『それは、どちらの』
「両方だ。彼等は、型式番号的にはグルンガスト参式のはずだろう?」
『……正解っ!それぞれという引っ掛けも抜け、ここまでパーフェクト
よもやこんな展開をこのジャンル開幕に誰が思い描いたでしょう。アスカ=ニノミヤ、ネットラジオでバーニングPTについて語ることもある新人アイドルが恐らくはバーニングPTで覚えたであろう圧倒的な力で独走!チーム392を勝利へと導くかぁっ!』
「……正確には、プロデューサーが、だけどね」
自嘲的に、マイクに拾われないように殆どかすれた声で、飛鳥がぼやく
「というか、飛鳥さんだけ宣伝されてるじゃないですか!カワイイボクも宣伝してくださいよ!」
『問題、マニューバGRaMXsと……はい392』
「
『……せ、正解っ!』
飛鳥ですら何で一瞬で出てくるんだこんなの、と言いたげな問題すらも越え、第三ジャンルは遂に終わりを迎えようとしていた
結果は完全な圧倒。問題文を言い切らずとも全容が見えた瞬間、ナガセPの答えを受けた飛鳥が全てを終わらせる大波乱。得点は、NGsを抜いてトップにまで来てしまっていた
「カワイイボクが、カワイさを振り撒く置物の役でしかないじゃないですか!これじゃ居る意味が半減ですよ!」
とはいえ、答えなんて分かるわけもない幸子には、憤慨する以外のことなんて出来なかった
「あはは。幸子ちゃん、頑張ろう」
「そりゃ頑張りますよ!カワイイボクのカワイイ声が聞けないなんて魅力半減ですから」
『問題、このシルエットの機体は』
其処で、初めて飛鳥が止まる。つまりは、プロデューサーのこえもないので止まった……訳ではないのだろう。僅かに怪訝そうに眉を寄せて、飛鳥はボタンを押すのを躊躇し
『チームNGs』
「アルトアイゼン」
『正解!』
その間に、センターに立つ凛が答えを告げる
「突然どうしたんですか飛鳥さん」
第三ジャンルを終え、何か慌ただしく駆けてきた男とNGsが話し出したのでの一時休憩。幸子は飛鳥にそうたずねた
「プロデューサーが間違えたまま切った。『量産型ゲシュペンストmk-Ⅲ。……いや、違』まで言って、ね」
そう告げる飛鳥の体が、ぴくりと驚きに震える
少しして、呆れたように飛鳥は肩を竦めた
「プロデューサー、急な仕事だってさ
だからあの時点でこの場を離れた」
「じゃあ、ボク達の帰りは……」
「そこは、彼が最も信頼する二人に頼んだ、そうだよ」
「なら……って、それ芳乃ちゃんと楓さんですよね?」
「ふ、不安ですね……」
そんな事を言っている間に、NGsの話も終わったようだった
妙にソワソワするNGsを前に、クイズの最終ラウンドが始まる……