アイドルマスターOG CINDERELLA XENOGLOSSIA 作:雨在新人
「プロデューサー!聞こえるかい」
響き渡るサイレンの中、二宮飛鳥は手持ちの携帯に向けてそう叫んでいた
他のアイドル達は知らずとも、飛鳥と……そして高森藍子だけは知っていた。自分達のプロデューサーの正体を。白き凶鳥、ヒュッケバインMk-Ⅱを駆り、謎の巨大ロボットと戦う者だと
彼ならば、きっとこんなサイレンの中、一人ロボットを駆って飛び出していくだろう、と。その為の巨大兵器なら……それはもう此処には幾らでもあるのだから
『……飛鳥』
「プロデューサー、君は今」
『悪い、飛鳥。皆に伝えてくれ。作戦行動が始まったせいで通路が封鎖された。そちらに向かうことは出来ない』
「君なら分かるだろう、そんな事は聞いてない」
『知っているさ、私もな
それでも、私はこう言うしかない』
電話越しに聞こえる声は、どこまでも冷たくて
『避難を、飛鳥。ライブは暫し延期だ』
「こんな時に」
『こんな時だから、私は言うさ。アイドルとは未来の光だ、それが私の……392プロダクションの存在理由なんだから
そして飛鳥、君だってその光の一つだ。だから言おう、絶対に来るな、皆と避難するんだ』
「でも!」
『飛鳥!』
その声は、飛鳥にとって二度目の響きをもっていた
「プロデュー、サー?」
最初に出会った日。何も無くて、燻ってたあの日。君ならば、アイドルという仮面を被った光になれると、そう言われたあの日
『駄目だ、飛鳥』
「ボクも戦う!それで文句はないだろう、プロデューサー!
ライブ後に答えを聞くと言われたけど、今返すよ」
『駄目だ、飛鳥
皆と避難だ』
「どうして」
分からない、と飛鳥は声を荒げる
『飛鳥。君が来ても出来ることは何もない』
「ボク等がいなければ、あの機体は動かせないんだろう!砲台くらいにはなるさ!」
『そんなものに、意味はないんだよ、飛鳥
今から始まるのは、戦いじゃない』
「じゃあ、何だって言うんだい、プロデューサー!」
『……戦争だ
先見隊に、シュムエル・ベンを確認した
敵は、ゼ・バルマリィ帝国。地球に攻め込んだ、宇宙人だ』
その言葉に、飛鳥は黙りこくる
言葉が、見つからなくて
その言葉はあまりにも現実味が無くて。それを話すナガセPも、そして話している飛鳥自身も、そして何より、今居る世界も。どこか遠くに感じられて
『……宇宙人だ。外見は、ほぼ人
家族だって居るだろう。友人も。故郷の星に、待っている恋人だって居るかもしれない、産まれた星がゼ・バルマリィというだけの、ほとんど人間と変わらない、心を持つ生き物
……飛鳥、彼等を討つと、そうしてでも、ボクは此処に居る、生きると、君はそう叫べるかい?』
その言葉は、今の二宮飛鳥には重すぎて
「……避難するよ、プロデューサー」
そうとだけ、言葉を絞り出して
『大丈夫さ、飛鳥
私はもう二度と、君達を喪わない
護ってみせるさ、相手がゼ・バルマリィ帝国観察軍だろうとも』
その言葉と共に、通信は途切れた