アイドルマスターOG CINDERELLA XENOGLOSSIA 作:雨在新人
「ヨウタ?ユキ?」
突然の光が止んだとき、ヒイラギの二人の姿は其処には無かった
「プロデューサー?」
「居るさ、飛鳥」
ナガセPは其処に居た。けれども、二人の姿は、穴の空いた地下にはもう見えない
「二人は?」
「外さ、飛鳥」
ナガセPが見上げたそこには、巨大な……足があった
もう大丈夫だとナガセPに手を引かれるまま、飛鳥は地上に戻る
見えたのは、近くに立つ白と青の機械巨人の姿。踵や肩、そして剣らしき部分にだけ金が混じり、胸や額、そして両の腕には……ユキのペンダントと同色の結晶が見てとれる。その顔付きは、正に勇者。少なくとも、敵っぽくはない
「プロデューサー、これは……」
「ファルセイバー。彼等の力だ」
そのナガセPの言葉を裏付けるように、青い巨人から声が響く
「カムイさん、ひょっとしてファルセイバーの事……」
「話は後だ、ヨウタ!来るぞ!」
「間違いない、あれは奴だ!生き延びていたか!」
ナガセPの警告と同時、そんな不穏な声と共に、黒い機体の左腕からビームが放たれ、青い巨人へと激突する
「数々の同胞を手に掛けた恨み、ここで晴らしてくれる!」
「大丈夫なのかい、プロデューサー?」
「あの言葉を聞けばわかるだろう?大丈夫だ。彼等は、あの青いロボット……ファルセイバーに負け続けてきたと告白したじゃないか
ならば、ヨウタが負けるわけが無いだろう?」
「いいぜ、ファルセイバー。それが今を切り開く方法だっていうならな!」
その言葉と共に、傷ひとつない青い巨人が動き出す
「そこまでだ、デストルーク!」
機体から響くのは、さっき聞こえた威厳のある声
「この世界に何度現れたとしても同じだ
お前達の野望は……!」
「そうだ。デストルーク、お前達は……」
「このファルセイバーが打ち砕いてみせる!」
宣言と共に、左手手甲にある結晶体が稼働し、左拳に接続される
「敵を撃つイメージ、それがペンタクルショットだ!」
ガイドする威厳のある声に合わせ、青い巨人は左腕を振りかぶる。その手に、青いエネルギーが集まり
「ぺ、ペンタクルショット!」
まだ慣れてないヨウタの声と共に、拳を突き出した
集まったエネルギーがそのまま打ち出され、黒い機体に激突する
「ぐおおっ!奴め、手傷を負っているのではなかったのか!?」
そして、その右腕部分を完全に吹き飛ばした。そのまま、黒い機体は破壊痕からスパークを放ち、爆発する
「……強い」
ぽつりと、飛鳥は呟く
確かに、これならば勝てるはずだ。負けるわけが無いだろう?というナガセPの言葉も頷ける
……けれど、それは
ヨウタやユキといった素人が戦っても勝てるほどに性能差があると分かっていての話
「プロデューサー。本当は、彼等を知ってるんじゃないのかい」
「いや、見て解るだろう?
ヒーローが、負ける訳がない」
エネルギーを溜めた右拳で、青い巨人が黒い機体を殴り飛ばすのを見ながら、ナガセPはそうニヤリと笑った
「その理屈は、解らないでもないけどね」
「ヨウタ、左後方!」
胸元に仕込んだらしい通信機で、ナガセPは叫ぶ
「プロデューサー、彼等に聞こえるのかい?」
「聞こえるさ。基本は軍の回線だ」
実際、聞こえているのだろう。青い巨人は、後ろに目があるかのように、左斜め後ろからの、黒い機体の胸のピンクいクリスタルと腕のビーム砲からのエネルギーを収束したビームを避けてみせた
「カムイさん、大丈夫なんですか?」
「問題ない。彼等は……ファルセイバーしか目に入らない」
「それは、そうだけど……ペンタクルショット!」
みるみるうちに、黒い機体は数を減らしていって……
「ヨウタ、構えろ!」
ゼロになった瞬間、そのナガセPの叫びと共に、黒い影が、再び地に現れる
「……気持ち悪いね、プロデューサー」
それは、ナガセPがデストルークと呼んでいたものとは違う、生体的な機械。赤、青、そして黄色。三色が混ざりあった結晶を胸に持つ、地球連邦軍で採用されているPT、ゲシュペンストにも似たロボット
けれども、その間接部は機械ではなく、筋肉のようで。まるで、ゲシュペンストという鎧を、化け物が着ているような……
「なんなんだ、あれは」
「ヨウタ、私にも解らない」
「それでも、倒すまでだ!」
そんな化け物にも、臆せず青い巨人は向かって行く
その後ろに、守りたい街があるから
「セイバーナックル!」
胸の前でエネルギーを貯め、青い巨人が化け物に殴りかかる
あっさりと、化け物はエネルギーを受けて爆散し……
「離れろ、ヨウタ!」
その言葉を受けて、足裏のブーストで距離を取る
「え?」
「何?どういう事なの?」
爆発しても残るクリスタルを核に、まるで捻れた絵の逆回しのように、爆発したはずの機体が戻ってゆく。それに合わせるように、捻れた空間に呑まれるように、周囲の家が、削り取られたように消えた
「再生したのか?なら!」
青い巨人が左拳を振りかぶる
「ペンタクルショット!」
けれども、そのエネルギー弾は、クリスタルに欠片の傷も付けること無く、ただ化け物の左腕のみを吹き飛ばすに留まる
「……アインスト、イデア……」
呆然としたように、ナガセPが呟く
「ダメだ。軍が来ても……奴は……」
「プロデューサー?」
「ダメだ、奴等だけは……」
ナガセPが、弱気にそう呟く。その手は血がいってなくて蒼白で……
けれども、ナガセPが言ったように、ヒーローは負けない
背中の明らかに増設されたブースターを噴かせ、三機の……なんと言うか、不思議な姿のロボットが街に降り立つ
上半身と下半身を、階段状のパーツで繋げたような、不思議な白いロボット。特徴となるのは、肘から延びる、巨大なサイドアーム
「……プロトタイプ、iDOL?誰が」
「危ない!」
思わず、飛鳥は叫んでいた
胸が蒼く塗装されたロボットが、無造作に化け物の一体に殴りかかったから
けれど
「……再生、しない?」
殴られた化け物は、右腕を吹き飛ばされ……けれども、青い巨人に攻撃されて爆発した時のように、周囲を巻き込んで再生する事はない。そのまま、壊れた右腕を晒していて
「……歌?」
飛鳥の耳に、微か、けれども確かにそれは聞こえた
ロボットが、歌っている。いや、中に居るパイロットが歌っているのだろう
「歌?」
「何を言っているんだ、ユキ?」
青い巨人側でも、ユキにのみはその歌は聞こえているらしい
「飛鳥」
「プロデューサー、これは」
「歌をしっかりと聞いてくれ。きっと、それは……」
飛鳥が良く知っている歌だから
ナガセPに言われ、飛鳥は耳を澄ます
心を無に。微かな歌声を、そのまま言葉にするように
……飛鳥にも、この歌は分かる。解らない、訳がない
「Never say never……」
こんな時代でも、縮小しながらもしっかりとアイドル事業を続ける大手、346プロダクション。その看板とも言えるNew Generationsの一人、渋谷凛の歌だ
「ということは、NGsなのか……」
「プロデューサー、ボクには何が何だか」
「あのロボットは、NGsが動かしている、という事だ」
「……えっ?」
飛鳥は、呆けた声を出していた
あまりにも、言葉が……認識出来なくて
だから、その後の反応も遅れた
「……悪いな、飛鳥」
右の手を飛鳥の額に翳す、ナガセPから逃げる事が、出来なかった
「全て、忘れろ」
その瞳が、強い光を湛え、輝いている気がした
唐突に、思考に霧が掛かるように、眠気が襲ってくる
「プロ、デュー……サー」
「……こんな事にならないために、俺はっ!」
崩れ落ちる体。抱き止められる感覚
それを最後に、二宮飛鳥の意識は、夢へと落ちていった
これにてプロローグは終了となります
暫くエタってて申し訳ない。ファルセイバー使うならばやり直さないととBXやってたせいです