「ねえねえサンダースお兄ちゃん!」
「ん?イーブイか。どうしたんだ?」
「あれ、止めてあげて?」
イーブイの呼びかけに応じたサンダースは、イーブイの指差す方向へと視線を向けると、ブースターをみずでっぽうで遊ぶシャワーズの姿があった。
シャワーズは楽しそうなんだが、ブースターは必死に逃げ回っている。
けれども、悲しきかな。
みずでっぽうはブースターに直撃している。
「……あれはあれで大丈夫だ」
「そうなの?ならいいや!」
「少しは助けろぉ!」
ブースターの悲痛な叫びも虚しく、出力の上がったハイドロポンプでブースターは沈んでしまった。
「あれ?ブースターってこんなにもとくぼう低かったっけ?」
「かなりの量やられたからな!」
これは、イーブイとその進化系達、通称ブイズの日常である。
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「ねえ、ブラッキー。日中に外に出ない癖、直したら?」
「嫌だ。俺は日陰で暮らしていく」
「それ引きこもり発言よ」
まるでブラッキーの親のように接するポケモンはエーフィだ。エーフィはブイズの中でかなり落ちついている。
色としてエーフィと相反しているブラッキーは太陽が出ている時にはかなり弱気だ。
夜になると当然のように元気になる。
「今曇ってるわよ」
「なぬ?!」
太陽が視認出来ている場合のみ、弱気になる。
「外に出て来るぞ!」
「はいはい……」
2体は夫婦のようだった。
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「リーフィアー?」
森の中をとことこと歩くポケモンはグレイシアである。
「シア〜?どうしたの〜?」
間の抜けたような声を出しながら、木の虚から出て来たのはリーフィアだ。
リーフィア以外に接する時はクールな姉という印象を持たれるグレイシアだが、リーフィアの前では違う。
「な、なにもないわよ。心配して来たからじゃないから!」
物の見事にツンデレと化す。
そう、このグレイシア、リーフィアが好きなのである。
「あー、そうだったんだ〜。けど迎えに来てくれたんでしょ?」
「ち、違わないけど……」
そう言って、リーフィアにグレイシアはすり寄った。
そんなことをされても、家族だから普通だ。という思考を持っているリーフィアには、グレイシアの気持ちはいつまでたっても届かないだろう。
「…………さむい……」
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「あー、酷い目にあった……」
ブースターはもふもふとしている体毛を濡らしながら、木の枝で休んでいた。
その休んでいたブースターのしっぽをいじるポケモンがいた。
ニンフィアだ。
「ブースターのしっぽ濡れてるねー」
「ニンフィア?どうしたんだ?」
「もふりに来た」
ブースターはもふもふしているため、寝ている時にはかなりもふられている。
ニンフィアは起きている時でもよくもふりに来る。
「あれ?下に何かいる……?!」
ブースターの視線の先には、プスプスと身体から煙を出して倒れているブラッキーの姿だった。
「あー。あれー?騒いでたからハイパーボイスで沈めたー」
ニンフィアは湿ってるー。とか言いながら、さらっとそんなことを言ってのけた。
末っ子だからか、ニンフィアはかなり自由である。
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「シャワーズ……、いつまでその姿でいるつもりだ」
サンダースは池に顔だけ浮かんでいるシャワーズに向けて、言っていた。
「えー?水の流れに身を任せるって最高に気持ちいいよー?」
シャワーズはニンフィアに負けず劣らずの末っ子気質を持っていた。
それをいちいち対応しているサンダースは面倒見の良い兄と言えるかもしれない。
「ねえねえ、あまごいしていい?」
「かみなり当てるぞ?」
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「何しに来た!」
イーブイはあるポケモンの前で威嚇していた。
そのポケモンはナットレイである。
タイプ相性のせいからか、ブイズはナットレイを苦手としていた。
「イーブイ、どうしたの?」
「エーフィお姉ちゃん!ナットレイが来た!」
「あれ?僕って嫌われているの?」
ナットレイは苦手とされていることを知らなかった。
エーフィはナットレイが来た理由をなんとなく察した。
「ナットレイさん、少し待ってて、すぐ呼んでくるわ」
「あ、どうもありがとうございます」
ナットレイはかなり礼儀正しかった。
イーブイはナットレイの隣でずっと威嚇している。
そのことにナットレイは気付いていなかった。
「お待たせしてごめんなさいね」
「いえ、大丈夫ですから」
ナットレイの目当てはブースターだった。
「相棒!久しぶりだな!」
「久しぶりブースター!」
「対戦環境に行くのか?」
「うん。ほら、あの3人も待ってるし早く行こ?」
2人は仲が良かった。まさに相棒と言えるだろう。
余談だが、2人とも恐れているポケモンはいる。とある地方のほのお・かくとうタイプの鳥に似たポケモンだ。
「エーフィ、今日は多分帰らない!」
「少しブースター借りますね〜」
そう言って、ナットレイとブースターは行った。
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「ねえねえブラッキ〜」
リーフィアは黒焦げたように倒れているブラッキーを突いていた。
リーフィアがグレイシアと歩いていた時に見つけたのだ。
現在、グレイシアは全力でリーフィアを探している。
「ニンフィアが……、ニンフィアが……!」
「あーはいはい。怖かったんだねー」
完全なる棒読みであった。
「リーフィア!ここにいたの!」
「シアー、ブラッキーをとりあえず運ぼ〜」
「ニンフィア…ニンフィアぁぁ……」
ブラッキーは完全なトラウマとなってしまったようだ。
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「どの進化先にしようかなぁ?」
「どうしたのー?」
「あ!ニンフィアお姉ちゃん!」
イーブイが進化先に悩んでいると、ニンフィアが来た。
「ニンフィアお姉ちゃんはさ!どうしてニンフィアに進化したの?」
「うーん、この姿が可愛いって思ったからかなぁ。もしかしてイーブイもそろそろ進化したいの?」
「うん!」
ニンフィアはイーブイ以外のブイズには自由ではあるが、イーブイに対してはちゃんとした姉でいる。
シャワーズと手を組んだ時はイーブイとエーフィでも止められなかったのは、また別のお話。
「お兄ちゃんやお姉ちゃんたちがいるから余計迷っちゃって」
「イーブイの意志で決めたら良いんだよ。それに、イーブイのままで過ごすっていう手段もあるからね〜。まだ、迷ってても良いんだよ」
その言葉はなんだか、重みを持っていた。
「そうだね!私は今はこのままでいるよ!」
そう言って、イーブイは屈託の無い笑顔を見せた。