「オークの死体は全てリフトに運び込め! 生死の確認は慎重に行え、ゴウセツ並みの生命力と考えて行動しろ! 生きてる個体はそのまま拘束し本国に連れ帰るぞ!」
掃討後の処理を指揮していた強化兵装備のヴァンダム少尉。
そこにこの村の教会の牧師が恐る恐る近づいてきた。
一瞬銃を向けかけた部下を制し、ヴァンダム少尉は牧師を待った。
別に牧師が危険ではないと判断した訳ではない。
ただ、この距離で、例え何をされようと確実に殺す自信があるだけだ。
強化兵。
それは皇国の『強化兵計画』による成果のひとつ。
皇国では人体に直接作用する機構を装備することにより、超人的な力を身に付けた兵士を作り出す研究が進んでいる。
そんな中、最も一般的に普及したのは携帯型『C機関』を動力とした肉体強化機能を備える戦闘装備、いわゆるパワードスーツを装着した兵士。
これが一般的に『強化兵』と呼ばれている。
更には人体を活性化し戦闘能力、反射神経などを強化する薬剤、『強化剤』を自動投与する機能が備わっている。
その強化された反射神経は至近距離からの弾丸、斬撃、魔法すらかわすことを可能にしていた。
故に――――――
(5歩……最短でも0.8秒以内に詰めて腰のナイフで喉を斬り裂けば魔法は発動しない)
ビッグブリッジ攻防戦の折り常に最前線にいたヴァンダム少尉は確実に魔導師を殺せる距離を、さながら肉食獣のように経験から知っていた。
(まぁコイツが魔導師……とは限らんが戦える人間と思えん。クセだなこれは)
ヘルメットの内側で僅かに苦笑する。
何せ筋肉の付き方から足運びに至るまで、およそ戦闘とは無縁な空気をまとっている。
平々凡々な男性だ。
「私はこの村の教会の牧師をやっていますフィリップと申します。あ、あなた方は……?」
「私はミリテス皇国第一〇二軍所属第三装甲小隊隊長ヴァンダム少尉であります」
皇国式の敬礼を送りつつ、
(話しかけてきたか……やれやれ、私は外交官ではないのだぞ。一応の保険に連れてきた文官どもは何をしている……ん? 言葉は通じるのか)
当然のように喋ってからその事実に気づいた。
対し牧師は聞いたことのない国名に首をかしげる。
「ミリテス皇国……?」
「ご存知ありませんか」
「失礼ながら無知な身なもので」
「いえ構いません、我々も自分達がいかにイレギュラーかは理解しているつもりです」
「と、いいますと?」
「その前に、この、ブタはよく現れるのですか?」
「ブタ……あぁ、オーク鬼のことですか。いいえ、確かにたまに現れますがここまで大規模なものは……」
「ふぅむ……(オークであっていたのか……たまには文官どものセンスも役に立つな)」
これからどうするかを考え、結局連れてきた文官に外交官をやらせようと決める。
「失礼、私はどうも考えるのが苦手なもので。専門の人間を連れてきます」
これが戦争なら物資も情報も奪い放題なのだがと、割りと物騒なことを思いつつさっさと踵を返す。
武と文は分担すべきだ、とか何とか考えながら。
しかし、
「何だ貴様らは!!」
「ん?」
村の入り口、そこに騎馬の一団が現れた。
全部で五人、鎧をつけた男二人と高そうな服を着た三人の男。
「き、貴族……!」
隣で牧師が呻くように呟くのを聞き、何となく事情を察する。
(ふむ……ブタを追って来たな。貴族ということはここの領主か? ならばここには国がある? そしてあの軽装――――――)
高そうな服を着た三人は棒切れを手にしていた。
近くにいた一般兵に食って掛かっている。
その棒切れの先を向けて。
(……魔導師か)
棒切れが何かはわからないがこの世界特有の魔法を強化する媒体だろうと見当をつける。
次に今降下している戦力を考える。
一個装甲分隊の編成は基本
鋼機壱
歩兵壱十
である。
それが二個。
たった五人、十二分に押し潰せる。
しかし――――――
(『交戦は避けよ』……口惜しいが撤収するか)
そう、先ほどのように害獣駆除ではなく人間、それも身分の高そうな相手。
さらに
「貴様らはどこの兵だ! ここがガリア領と知っての狼藉か!」
(うむ、めんどくさそうだ)
言動から余り話は通じなさそうと判断し、ヴァンダム少尉は部下に一時退却を告げようとし――――――
上からリフトが降りてきた。
そこから出てきたのは、文官だった。
皆様に質問です。
火竜山脈
アクイレイア
虎街道
この位置関係がwiki見てもわからなくてドームの位置が作者自身わかりません(汗
どなたか教えてくれませんか?