私はカトル・バシュタール准将。
ミリテス皇国の一軍人だ。
ルルサスの軍勢に対する遅滞作戦の指揮を執り、ドームが閉じられる寸前で帰還して今に至る。
飛行師団のヘルダイバーやブラックバーンがところ狭しと地に降りている。
足の遅いコロッサスは空中戦艦に格納され、後程降下、新基地に帰還予定だ。
私のガブリエルも私のすぐ後ろに立っている。
今は鋼機を降りている兵は半々、か。
私は指揮官として姿を見せて置かねばならない。
先程アルテマ弾がルルサスに対し使用されることが通達された。
ほぼ不死身の軍勢ルルサス。動きそのものは遅かったからガブリエルや飛行型鋼機で撹乱するのは楽だったが、あの異常な生命力は厄介だった。
あの(・・)部隊から頭を粉砕するよう指示が来た時は驚いたが、確かに頭部を粉々に粉砕すれば再生しなくなった。
ならば消滅させてしまえば―――と判断してのコレ、か。
ルシの力は強大だ。
玖機関も万全だ。
魔法障壁は完成している。
だが自分達の造り上げた兵器、それも他国を滅ぼした兵器を自国の上に落とす……か。
これも因果か……とんだ応報が下ったものだ。
思わず自嘲の笑みが零れた。
……!
雷の何倍も凄まじい轟音、そして揺れ。
この巨大なドームが丸ごと揺れている。
ドーム天井に配置された人工太陽群が弱々しく明滅する。
「始まったか……」
いかんな、兵士達に動揺が走っている。
一部の愚か者がヘルダイバーで飛び立った。
このままでは不味い、静めねばな。
息を吸い込み、鋼機の駆動音よりも大きく声を張り上げる!!
「狼狽えるな!! 防御は万全だ! 今は衝撃にそなえろ!!」
ふう。どうやら収めることが出来たな、これなら指示を出さなくともよかったかもしれん。
飛び立った鋼機も着陸し、周りから冷やかされている。
と言っても、私も少し震えてはいる。
だがそれはこの揺れで誤魔化し絶対に表には出さない。
それが指揮官の、士官階級の義務だ。
「……の……マ!! …………ばれ!」
「お……な!!」
(ガギィイイン!!!)
ん?
何だ?
随分と元気に動揺している、いや騒いでいる部隊がいるな。
あれは…………
この時私は、膝から崩れ落ちそうになるのを渾身の精神力で止めた。
「またあいつらか……!」