俺はバヨネット大尉。
皇国の誇りある軍人だ!!
揺れる、揺れる、大地が、ドームが、建物が何もかもが揺れる。
揺れてないのは空中戦艦に乗ってる奴等くらいだ。
腹に響く轟音がドーム内を飛び回りやがる。
あちこちから市民の悲鳴が聞こえる。
……ムカつくことに同僚のもだ!
「うわああああ!!!!」
「うるせぇ騒ぐなぁ!!」
情けない叫びが聞こえたから小銃の底で殴り付けてやった!
俺が今ウォーリアに乗ってなくてよかったな!
「痛いです先輩!」
「うっせバーカ! ビビってんじゃねえ!! ちゃんとタマついてんのか!? あと先輩じゃなくて大尉って呼びやがれ!!」
「え……先輩、た、タマってェ、恥ずかしいです……」
「乙女か!!」
やたら乙女な美少女紛いのこいつはバレル少尉。ぱっつんの黒髪黒目でちっこいし肌白いし線も細くて目うるうるさせてやがるが立派に男で今年18だ。最初に会った時は迷子のガキだと思ったぜ……。
しかもビビり、チキン、弱虫の三重苦な欠陥兵士だ!
だが鋼機の操作は俺よりうまい……乗るとテンション高くなり過ぎて手つけらんねぇけど。
「ったくテメェはいつまでたってもヨチビ(弱虫でチキンでビビリの略とチビの意)だな、あそこの野郎女を少しはみなぶぐえ!!」
「だぁれが野郎女だってこの粗○ン野郎」
「てんめぇ……いきなり強化服で殴りやがってこの男女ァ!!」
こいつは少々特殊な強化服を着た赤いショートの快活なクソアマ! ハンマ中尉!
最初に会った時から何かってぇとぶつかる猪みてぇな女だ!
ちなみに射撃よりも近接戦闘に特化してる。……俺より強いが知ったことか!!引けねえ時があるんだ!!
「テメェ上官に拳入れるたぁいい度胸だ歯ァ食い縛れ!!」
「お前がな!!」
気合いの右ストレートにきっちりカウンター合わせてきやがった!
ヤバイ!気づいてももう間に合わ――――――ガギィャアン!!!!
俺とハンマの拳は、銀色の壁にぶつかって止まっていた。
見上げねぇとわからねぇこの巨体……ってことは…………
「げんがヴァやめる゛んだな゛。今忙じい時だ」
「ケンカ、嫌い」
「「「「グルルルルル…………」」」」
全身銀色の、“番外者”に似た強化戦闘装甲服を着込む三メートルちょいの巨人。頭は番外者の兜に十字の白緑の切れ目をつけたフルフェイス。十字の切れ込みがパカァと開いて中のスフィア・アイが俺らを睨む。
だが番外者じゃねえ。
こいつも同僚の一人、セフティー准佐だ。
ガキの頃からこの巨体で指が引き金にかからねぇし鋼機にもガタイ良すぎて詰まるってンで自分から番外者に志願したイカレだ。だが持ったいねぇから装備だけ渡されてひたすら筋力強化だけやらされた結果が今の3メートル越えの巨体らしい。
ま、気はいい奴だ。
その後ろにいるバカでかい狙撃銃をソリで引き摺る水色がかった短髪の女はマズル少佐。足元に山猫どもが群がってやがる。
いっっっつも無表情な女で今みたいにあまり喋らない奴だから俺らの士官学校時代では『氷薔薇』とか言われてたな。
山猫の調教と強化、あとは狙撃が得意だ。
ちなみに、
「周り大変、あなた達、バカ?」
「「んなッ!?」」
……若干毒舌だぜ。
――――――――――――――――――
「……またあいつらか」
眉間を揉み、嫌々そちらを向くと見知った連中が、物凄く目立つ連中が騒いでいた。
全員強化服を着込んでいるその部隊の名は『Nationalistic Oneman Army』。
通称“NOA”。
これに特殊部隊(コマンド)をつけて“ノア・コマンド”と呼ばれるイカれた特攻部隊。
シド元帥の肝いりで部隊全員に強化服と特殊兵装が支給されている。
……私の指揮下にいた時も報復に来る朱雀軍を大いに蹴散らし、“朱”に対しても拮抗してみせた英雄(・・)達だ。
彼らの因果には、いったいどんな応報が下るのか……こんな時に考えても詮なきことか。
取り合えず、
「貴様らッ!! 静かにしていろ!! それに今は作戦中だ、ヘルメットも外すな!!」
「「「「ハッ!!」」」」
ザッと一斉に敬礼を返してきた。
……何故かは知らんが私は彼らに尊敬されているらしく、大人しく言うことを聞いてくれる。
しかし、彼らはまだ若い。
そんな子供達を前線に送るとは……シド様も一体何を考えているのか。
……いや、ある意味では彼らはシド様に救われたのかも、しれんな。
何せ彼らの出自は少々特殊だからな。
ん?
「揺れが、止んだな……伝令! 各部隊に戦闘用意を取らせろ! 敵は短距離なら瞬間移動が可能だ、壁の内側とはいえ油断はできんとな!!」
「ハッ! 首都防衛線各部隊に通達、こちら楔、こちら楔――――――」