皇国の守護銃   作:キノコ飼育委員

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急に学園モノに目覚めた!戦争モノなんか止めてこれからは学園ラブコメを書くぞ!!


朱の竜騎士と飛行機械

ハルケギニア大陸の西方に位置する小国『トリステイン王国』

 

通称『水の国』とも呼ばれ、始祖ブリミルの子孫の1人を祖とする国家であり、伝統としきたりを重んじる由緒正しき国家である。

 

先日、隣国であるアルビオン王国……改め、神聖アルビオン共和国により宣戦を布告され、侵攻を受けた。

 

ハルケギニア最強と謳われたアルビオン空軍による大規模な降下作戦により、トリステインはタルブをもぎ取られかけるが、『奇跡の光』が起き、全てのフネが航行不能状態で墜落、戦意喪失に陥り降伏した。

 

これを受け、トリステインは隣国である帝政ゲルマニアと同盟、アルビオンへ逆侵攻をかけることを決定した。

 

さて、アルビオン侵攻の機運が高まる中、トリステイン魔法学院では、少々奇妙なことが起きていた。

 

よく晴れた青い空、何かが高速で飛び回っているのだ。

 

ソレは竜のように唸りながら上昇し、かと思えば糸が切れたかのように落下、そこからすぐに身体をひねりながらまた上昇。

その場で大きく旋回したり、鮮やかに宙返りしたり。

我が物顔で大空を自在に飛んでいる。

 

その後、学院に急遽整備された、長く開けた場所に、ソレが唸り声をあげながら突っ込んだ。

 

ソレは翼を大きく広げた鳥のようにも見え、尾羽は矢羽のようであり、深緑に塗られた胴体は円筒に似ている。足はか細いが先端には車輪がついており、よく整備された地面を滑っていく。

 

顔にあたるであろう場所に、回転する羽がついており、それが風を起こして速度を緩め、やがて完全に停止した。

 

学院の生徒や先生方がなんだなんだと見ていると、胴体上部が開き、中からサイトが下りてきた。

続いて学院の教師であるコルベール先生も転がり出てくると、恍惚とした顔のまま膝を爆笑させつつゆっくりと倒れた。とても安らかな死に顔だったという。

 

と、サイトのもとへピンクのポニーテールが歩み寄った。

 

「どうだった?竜の羽衣の乗り心地は」

 

「んー……基本は魔導アーマーに近いな。けど旋回がなぁ……やっぱ竜に劣るぜ。あと瞬間加速も」

 

サイトとピンク、つまりルイズは、そのまま二人連れだって歩き出す。

向かう先は食堂だ。

 

いつも持ち歩いている日記兼手記にサイトの言葉を書き込んでいくルイズ。

 

「ふむふむ……じゃあやっぱりバラして使うか。惜しいが。とても惜しいが」

 

鉛筆の後ろを頤にポンポンと当てながら、この様子ではサイトはもう乗らないだろうなとあたりをつけ、ルイズはゼロ戦を解体することを決めた。

内心もったいないと思うが、唯一使えるサイトが使わず、倉庫で埃を被せておくよりは、と考えてのことだ。

 

しかし……もったいないなぁと少しばかり未練のある目を向ける。

 

特にあのデカい銃。もったいないのでアレは後で家に送ろうと決める。

 

エンジン部はコルベール先生に渡す。

 

「しかしコルベール先生には頑張ってもらいたいな。彼の先進的な考えはきっとエンジンの解析を可能にする。いや、代替を可能にするはずだよ」

 

あとできればウチの領地で研究してほしい。エンジンの研究は宝の山と言える。ここでは機密を守るのは難しいとルイズは考えていた。

 

それにしてもここの学院長はとんだタヌキだ、ウチの圧力をのらりくらり躱して取り合わない。

さっさとコルベール先生をクビにすれば領地に引きずっていけるものを、とルイズは舌打ちした。

 

「わかんねぇな。竜じゃダメなのか?」

 

と、サイトが横で疑問符を上げたのでそちらに意識を戻す。

 

「竜は個体数が少ないし気の合う乗り手しか乗せない。コストも馬鹿にならないからね。量産できて安定した運用のできる兵器が一番さ」

 

「なるほど、粗製乱造だな?典型的な帝国の魔導アーマー戦術じゃねえか馬鹿馬鹿しい」

 

「全体の底上げも大事だよ。戦争はいかに効率よく殺し、いかに味方を殺されないかだからね。君や私は強いが、ギーシュなんかどうだい?彼は気のいいヤツだがライン程度。最近ようやく工夫を身につけたが、アレで戦場を生き延びれるかどうか?そんな時に強力で安定した兵器があればその確率が上がる」

 

「大丈夫じゃね?何だかんだで生き延びるだろ。それに最近はかなりやるようになったし」

 

「まぁ、私もそう思うが……とにかく。今回の戦争はいろいろ得があるんだよ。新兵器の実験や私の姫様に対する発言力の拡大とかね」

 

「ん?そういやコルベール先生、戦争の道具が嫌いらしいけど、なんであれの整備を引き受けてくれてんだ?」

 

「フン、結局は好奇心さえ満たせればそれでいいのさ。彼は技術の発展と生活の豊かさをイコールで捉えているが、大切な過程がすっぽ抜けている」

 

ミシッと眉間にしわを寄せながら、ルイズは不快も露わに吐き捨てた。

 

「ナイフとフォークは剣と槍から、民草のフネは戦列艦から、雨風をしのぐ家壁は矢弾を跳ね返す城壁から、農耕の発達は戦争の長期化から。この世のありとあらゆる物は元を辿れば争いから生まれている。魔法などその最たるものだ……『火の可能性』?死に腐ればいい」

 

「おおいおい、ルイズは先生が嫌いなのか?」

 

こき下ろすルイズにサイトは聞くが、彼女はむっつりと黙り、やがて言った。

 

「…………私は彼の能力を評価しているし、その思想を尊く思っているよ。だからこそ(・・・・・)嫌いだ。許せない。憎いともいう」

 

「な、なんかされたのか?」

 

「なにも?むしろしてほしかったくらいだ。公然と決闘状を叩きつけて、木っ端微塵に消し飛ばしてやれたのに!」

 

「無理だからやめとけ……んで?一回ルイズの実家まで帰省だっけ?」

 

ルイズの興奮ぶりに、これは筋金入りだと判断したサイトは、話題を変えることにした。

 

幸い、ルイズもこれに乗ってきた。

 

「そうだね。参戦の手紙を送ったら『構わないがその前に一回帰ってこい』だとさ。まぁちょうどいい、弾を補充しておきたかったんだよ」

 

ぽんぽんと、ルイズは自分の腰をマントの上から叩いた。

 

そこには一丁の『場違いな工芸品』がベルトに差してあるのだが、当然外からは見えないし、外見だけは可憐な美少女であるルイズが拳銃を持っていると知っている人間も少ない。

 

「ふーん。……いいのかよ娘を…」

 

「いいのだよ。私が特殊だというのは家族も重々承知している。今更誰も止めはしないよ。それに、戦争に参加するのは名誉なことらしいからね」

 

「名誉ねぇ……しがない兵士には遠い世界だ。まぁ上手くやってくれよルイズ?俺とお前は一蓮托生なんだろ?」

 

「一蓮托生……うん、そうとも!君と私は一蓮托生だ!」

 

何が気に入ったのか、ルイズはやたら機嫌がよくなった。

年相応の笑みを遠慮なく溢れさせており(それを見たルイズを知らない下級生は顔を赤らめ、ルイズを知るものはあんぐりと口を開けた)、足取りも軽やかに見える。

 

だが―――。

 

「サイト!また会ったね決闘だ!」

 

そこに乱入してきた金髪の整った顔立ちをした少年に思いきり気分を害した。ふっつりと無表情になるほど、気分を損ねた。

 

その少年、名をギーシュと言う彼は、かつてサイトに決闘を申し込み、バラの華びらより速く地面に叩き伏せられたことがある。

 

それ以来彼はサイトのライバルを名乗り、会うたびに勝負を仕掛けてくるようになったのだ。

 

ちなみに、結構仲もよかったりする。いわばじゃれあう悪友といった感じか。

 

「飯食ってからな」

 

「はっはっは、食堂は今かなり混んでいるよ、すこし時間を空けた方がいい。そして今日こそ僕の新生ワルキューレが勝つ!」

 

「新生って……何代目だよ」

 

「オークやオーガの群れ相手に改良を続けて12代目だよ。最近じゃはぐれ火竜を二頭も仕留めた!魔力も上がったし数も強度も上がった。たぶん僕はもうすぐトライアングルになるだろう。いや、君を打ち倒して僕はトライアングルを名乗る!」

 

「やれやれ……いいぜ、やろうじ」

 

ゃねえか!……とまでサイトは続けることはできなかった。

 

何故ならギーシュが、目の前で爆発したから。

 

「安心したまえ、峰打ちだよ」

 

見ればルイズの指がスイッチを押し込んでいる。

 

「峰打ち……?」

 

「原型があって生きてるだろう?ほらさっさと行こう。私はお腹が空いた」

 

「でも混んでるって……」

 

「退かせばいいさ」

 

言いながら、ルイズはかなり強引にサイトを引きずっていく。

 

後にはぷすぷすと煙を上げるギーシュだけが残された。

その死に顔は、お約束通りぐるぐる目だったとさ。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

学院から東へ飛び、ゲルマニアとの国境辺りまで進んだ辺りがヴァリエール公爵領である。

 

広大な領地を持つヴァリエール公爵家の邸宅は、文字通り城である。

今でこそ美しい庭園や、飾り気のようなものが追加されているが、ゲルマニアと争っていた時代には最前線拠点として機能したこともあり、終戦した今もその威圧感は半端ではない。

その時代をよく知る者は、現在の姿を『巨漢の騎士が女装しているかのような違和感を感じる』と言ったりもする。

 

その城の広間のひとつに、白くなりかかった金髪に口髭をはやし、左目にモノクルをはめ、威厳に満ちた壮年の男性が入ってきた。

 

彼こそがこの領地を治める、ラ・ヴァリエール公爵その人である。

 

彼は広間に集められた者達を見渡し、言った。

 

「ルイズが帰ってくる」

 

領主の娘が帰ってくる。

 

これは普通なら喜ばしいことだ。

 

魔法を学び、貴族としていずれ社会に出ていくために人脈を作るため、遠く離れた地に送られた子供が帰ってくるのだ、喜ぶべきことだろう。

 

だが、広間に集められた者達の間には緊張が走るのみ。

とても歓迎しているようには見えない。

 

公爵は続ける。

 

「いいか皆の者、決して油断するな。我が娘は化け物だ」

 

『化け物』

 

小さな少女相手にこれほど似つかわしくない称号もないだろうが、この場にいる者でそれに異を唱える者はいない。

 

「諸君に支給されている新式銃、工廠で量産されているド・ヴァリエールカノン、敵艦を焼くために開発された火竜弾、どれも我が娘の案だ。開発資金や参考にされた『場違いな工芸品』はあの子が賞金首や亜人を狩って稼いだ!それほどの相手だ!」

 

拳を握り締め、苦しげに瞑目して気を静めると、最後にもう一度告げた。

 

「諸君、もう一度言う。我が娘は化け物だ。絶対に気取られるな。絶対に油断するな。絶対に失敗するな。ヴァリエールの総力を結集して事に当たれ。いいな!」

 

「「「「Aye,Aye,Sir!!」」」」

 

彼らの返事を聞き、公爵は自室に戻るため広間を出た。

 

「しかし東方のメイジを使い魔にするとは……まったく…」

 

 

 




飽きたから戦争に戻ります。


ちなみにオリエンスの戦術思考はこんな感じかな?

帝国「奴等が魔導アーマーを十破壊する間にこちらは十一量産できるのだ」

連合「一人につき敵を三人倒せば三倍の敵にも勝てる」

皇国「敵に一台破壊されたら一個大隊にして踏み潰す。十倍返しは甘えだ」

朱雀「一人の犠牲で戦場を、十人の犠牲で戦局を、千人の犠牲で戦争を勝利で飾る」



コルベールさんの扱いが酷いようですが、作者は別にコルベールさんが嫌いなわけではありませんよ!むしろ好意的ですよ!
あと零戦の出番はこれっきりです。というか戦車の出番があるか微妙ですね。アニメ版に出たアハトアハトなら使うかもです。

原作の崩壊度合いがひどい?安心してください、まだ序の口です。
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