皇国の守護銃   作:キノコ飼育委員

36 / 44
前回を投稿してからきづいたこと。

タバサちゃん、舞踏会でルイズを誘拐しようとする。

タバサちゃん、舞踏会でルイズを誘拐しようとする。

 誘 拐 し よ う と す る 。



(;゚茸゚)<やっべー……完全に死亡フラグ立ってる


さて今回で最後となる間章最終話はまるごと伏線回。

訳ワカメな話になりますがどうかご容赦を。

あと、今回あとがきに大切なお話を載せますので必ず見てくださいね!


ピンクの魔女と震えぬ心

アルビオン大陸に向けて一隻のフネが飛んでいた。

 

ヴァリエール工廠造船部門にて建造された小型のフネ。

 

小型とはいえその戦闘力は決して小さなモノではない。

 

片舷三十門、前面四門、計六十四門のド・ヴァリエールカノンを搭載し、敵のフネを火達磨にできる火竜弾も積んでおり、例え空賊船に襲われても返り討ちにできる戦闘力がある。

 

いやそもそも、『ヴァリエール』の家紋が入ったフネに手を出す輩はよほどのアホか物知らずを除けば存在しないのだが。

 

船員たちは全て公爵家の者で固められており裏切ることはない。

 

その貴賓室。

 

今そこは、吐き気がするほどの重圧でぺしゃんこになりそうだった。

 

その発生源は部屋の中心にある、アンティーク調の丸い机についたピンクのポニーテール。

 

言わずと知れたルイズである。

 

アルビオンから撤退した直後、ガリアが大艦隊を派遣、一撃のもとにレコンキスタを消し炭にし、この戦争をあっけなく終わらせた。

 

ルイズは学院からヴァリエール兵工廠へ飛び、父を説き伏せ、自分の隠し資産を使って新造艦と人員を借り受けて来たのだ。(彼女としては不満なことに交換条件として情勢が安定するまで渡航禁止を言い渡されたが)

 

 

丸い机には豪勢な食事が乗っており、彼女はそれを黙々と口に運んでいた。

 

少しの血がしたたる分厚いステーキを、甘くなるまで炒めた茶色の玉ねぎとともに優雅に咀嚼する。

 

無表情のまま。

 

傍らのグラスに注がれた赤ワインをくいっと飲み干し、コトンと机に置く。

 

無表情のまま。

 

それに給仕をしていたシエスタが新しいワインを注ぐのを手で制し、「なぁシエスタくん」と声をかけた。

 

何も、一切の感情を読み取れない、無表情のまま。

 

「悪いんだが、この肉を一切れ、食べてみてくれるかい」

 

そういってナイフで(グラスの位置は右にあるし、シエスタも右側にいる)突き刺したステーキ肉をシエスタに差し出すルイズ。

 

「え、そんな、どうかしましたか?」

 

いきなりそんなことを言われ困惑するシエスタだったが、なおも勧められて、それを受け取る。

手にしていたワインはルイズにナイフと交換で取られた。

 

口にすれば軽く噛むだけで切れる柔らかな肉、そして溢れ出すジューシーな味わい。

平民の自分では生涯縁がなかったであろう美味に、シエスタは感動する。

 

「どうかな?」

 

「とても、とてもおいしいです……」

 

すこし夢見心地な面持ちで答えるシエスタに、しかしやはりルイズは大した反応なく頷くのみ。

 

そして次にルイズは、フォークで自分の席の反対側の壁にある絵を指した。

 

「……シエスタくん、あそこに掛かっている絵を見たまえ」

 

シエスタから受け取ったワインをグラスに注ぎながら、ルイズは何でもないように告げる。

 

「あの絵は有名な画家の描いた『トリステインの春』という絵で、1000エキューはする」

 

無造作に飾ってあった絵に、自分が10年は暮らせるほどの価値があるといわれ、シエスタは非常に驚いた。

そう言われて見れば何だかすごいものに見えるのだから、不思議なことだ。

 

「で、どう思う?」

 

「え、あの、私は絵のことはよくわかりませんが、いい絵かなと」

 

「そうか」

 

ルイズはキュッとワインボトルに栓をして、絵に向かってフルスイングで投げつけた。

 

「キャァ!」

 

突然のことにシエスタが可憐な悲鳴を上げる。

 

ボトルが粉々に割れ、赤ワインが絵にぶちまけられ台無しになる。

 

それを一切無視し、ルイズは言う。

 

「震えないんだ」

 

ゆらりと立ち上がり、シエスタにズッと距離を詰めるルイズ。

 

ガッと肩を掴み、その暗くぐちゃぐちゃに濁った瞳をシエスタのそれと合わせ、もう一度言った。

 

「震えないんだよ、心が」

 

ルイズは無表情のまま、うわごとのようにぶつぶつと言葉を垂れ流し始めた。

 

「分厚いステーキを食らっても、芳醇なワインを飲み干しても、高い絵を眺めても、微かにも心が震えない。いや、よくよく考えたら食事で心が震えたことなど一度もない。何せどれも同じ、何の味もしないのだから」

 

「絵もそうだ。音楽もそうだ。宝飾品もそうだ。私は大枚はたいて誰もが羨むモノを掻き集め見せびらかし悦に浸ってきたが、モノ自体に心が震えることなど一度もなかった。『どれも同じ』だからな」

 

「名画も落書きも、名曲も騒音も、宝石も石ころも、私には等しく同じだ。無価値なものだ。でもお前には、お前たちには違うのだろう?」

 

「教えろシエスタ、教えてくれシエスタ、どうすれば、どうすれば私の心は震えるのだ?」

 

「……私は今まで気づかなかったが、狂った人間だったようだ」

 

「で、でもサイトさんと……」

 

あんなに楽しそうに食事を……そう続けようとしたシエスタを遮りルイズは続けた。

 

「あぁ、『楽しかった』よ。確かにあれは『楽しかった』」

 

「じゃあ……」

 

ちょっとショックで頭が混乱し(イッ)てるだけです!サイトさんを見つけて、感動的なキスのひとつでもすれば元に戻りますよ!

 

そう続けようとしたシエスタだったが、それもまた遮ってルイズは続ける。

 

「でも思い出せないんだ」

 

それを悲しむでもなく。

 

「確かに私は…………でも思い出せないんだ」

 

ただ、無表情のまま。

 

 

 

「くだらんことを言った。忘れてくれ」

 

そう言ってルイズはシエスタに下がるように言った。

 

シエスタは悲しげに顔を伏せ、一礼して出て行こうとした。

 

が。

 

「待て」

 

出ていこうとしたシエスタを、ルイズは見ることもなく呼び止めた。

 

「……はい」

 

振り返った彼女に、ルイズは尋ねた。

 

「この船にある時計は、本当にアレで全てだな?」

 

そう言って示されたところには、針を折られ、歯車を抉り出され、銃弾まで撃ち込まれてスクラップにされた時計の山があった。

掛け時計二つに置時計一つ、懐中時計が三つ、全て破壊されている。

 

「……はい、確かにそれで全部です」

 

その残骸の山を見ながら、ルイズは呟いた。

 

「……私が幼い頃は、時計なんてものはなかった。ここ数年で貴族を中心に急速に普及した代物だ」

 

「は、はぁ……」

 

「でもおかしいんだよ。私は時計を最初から知っていた。あの忌々しい時を刻む音を、昔確かにどこかで聞いたんだ。そして今も」

 

そこでルイズは初めて感情を顔に乗せた。

“怒り”の感情だ。

 

「どこだ?どこで鳴っている?上じゃない、下じゃない、右でも左でも前でも後ろでもない!どこだ!どこから聞こえるんだこの音は……」

 

苛立たしげに叫んだかと思えばグッと暗くなって呟くルイズ。

 

その尋常でない姿に、シエスタはもう怯える他ない。

 

しばらく黙った後、ルイズは俯いたまま冷淡に告げた。

 

「もういい行け。私が呼ぶまで誰もこの部屋に入れるな」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

シエスタが出て行ったあと、何をするでもなく彼女はぼーっとしていた。

 

机に座ったままぼーっとし、ベッドに寝転んでぼーっとし。

 

そうしてどれほど時間がたっただろうか?

 

何だか喉が乾いたので、ルイズは備え付けのベルを鳴らした。

 

このベルはマジックアイテムで、対になっており、片方が鳴るともう片方も鳴る仕組みになっている。

 

これで隣室などに待機している侍女を呼び出すのだ。

 

 

しかし

 

「……?」

 

誰も来ない。

 

もう一度、いや何度か鳴らしてみるが、やはり誰も来ない。

 

不審に思ったルイズは、少し外に出ることにした。

 

ガチャリとドアを開くと―――

 

「……なんだこれは?」

 

白。

 

白い世界が広がっていた。

 

上も下も前も後ろも、まるで白い絵の具で塗りつぶしたかのような世界だ。

 

遠近感が狂いそうな空間だが、ルイズは光の具合から辛うじてそこが通路のような場所だと理解した。

 

「私は、とうとう狂ったのか……」

 

目の前に狂気の光景、どこからか時計の幻聴、まさしく狂人のソレだ。

 

自嘲気味に嗤い、それが遠征からこっち久しぶりに浮かべた笑みだと気づき、また嗤う。

 

ならばしばし狂気と戯れようと、ルイズは扉から通路へ足を踏み出した。

 

現実の世界ではフネの淵から飛び降りようとしているのだろうか?知ったことか。

 

彼女の精神はそう自棄になるほどに追い詰められていた。

 

 

さて、幻覚の通路の天井は見えぬほど高く、右の壁には油絵が飾ってある。

 

一番近くにあった絵を見に行くと、そこには驚くべきことが描かれていた。

 

「なんだこの絵は……」

 

絵の中には禍々しいタッチで燃え盛るトリステインの城が描かれていた。

 

次の絵は見間違えようはずもない、廃墟となったヴァリエール家本邸の城だ。

 

次の絵も、次の絵も、どこかは知らないが崩れ、燃え盛り、滅びていく城が描かれている。

 

「……」

 

荒れ果てたタルブの村。

 

濁りきったラグドリアン湖。

 

枯れているどこかの森。

 

そして―――――

 

「……!」

 

絵の内容が、風景画から変わる。

 

 

風景画から、人物画へ。

 

 

より禍々しく、おぞましい、不吉な人物画へ。

 

 

青銅の残骸の海の中、金髪の少年が無数の傷を受けて死んでいる。

 

ブロンドの少女が槍に貫かれ地に縫い込まれている。

 

赤い髪の少女の首が火の中に転がっている。

 

青い髪の少女が青い竜とともに砂の海に沈んでいる。

 

抉られた大地にマンティコアと、その傍に二人のメイジが倒れている。

 

口から一筋の血を流し、眠るように座るメイドの絵もあった。

 

 

進めば進むほど、絵の内容は惨くなり、全てが誰かの死を暗示していた。

 

 

だが、ひとつだけ足りない。

 

 

この絵が『親しい誰かの死』を暗示しているならば、『あるべき一枚』が無い。

 

 

いつの間にかルイズは走り出していた。

 

走って。

 

――――時の音色が大きくなる

 

走って。

 

――――時の音色が大きくなる

 

走って。

 

――――時の音色が

 

走って。

 

――――響いている

 

ついに廊下の終わりに辿り着いた。

 

 

そこはホールのように広くなっており、中心には円形のステージがあった。

 

奥には天井まである巨大な時計。

時計の文字盤、その右側に白翼と明るいピンクで描かれた神々しい女神が、左側には黒翼と暗い紫で描かれた禍々しい悪魔が、下側には猫のような奇妙なポーズをとる、自分とほんの少しデザインの違うグローブを嵌めたネコミミの男性が、それぞれ描かれていた。

分針は無いが、内部の歯車がガコン、ガコン、と時を叩いて刻み、その音色をホールに響かせている。

長針と短針は、もうすぐ0時を指しそうだ。

 

何故か見ているとひどく焦燥感が募ってくる。

今すぐ走り出し、何かを為さねばならない気がしてくる。

 

だがよりルイズの気を引いたのは、ホール中央のステージだ。

 

ステージの中心には刀身が罅割れた刀が突き刺さっていた。

 

それを抱くかのように柄を握り、剣士がうずくまっている。

 

 

血の滲んだ見慣れぬ青い服、短い黒髪、そして見慣れたその顔。

 

恐る恐る近づき、それに手を伸ばす。

 

その顔は、間違いなく――――

 

「サイ……ト…?」

 

「そうよ」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「――――――ハッ?!」

 

ガタッと一瞬痙攣し、ルイズは目を覚ました。

 

どうやら机に突っ伏して寝ていたようだ。

 

机から身を起こし、窓の外を見るが、それほど時間は経っていないようだ。

 

少しぼやけた視界をはっきりさせるべく、二、三度まばたきした。

 

「何か、奇妙な夢を見た気がする……どんな夢だった……?」

 

思い出せない。

 

いつの間にか、時を刻む耳鳴りは止まっていた。

 

代わりにルイズの胸に言い様のない不安がくすぶり始める。

 

急げ、ただ急げと。

 

ナニカを急かすように。

 

ただ急げと。

 




この短いお話のために間章ひとつ使うことになるとは……

この話だけでワールドストーリー全部わかったらすごい!たぶん私とお友達になれます。


さて、大切なお話とはですね。

零式勢も原作勢もいい感じに出たので、


第一回人気投票!を行います!!

詳しい話は作者の活動報告に書きますので、どうか皆様ふるってご参加ください!!(感想欄でやると怒られるのでw)

ていうか本当にお願いします。誰も参加してくれなかったら泣きますよ!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。