皇国の守護銃   作:キノコ飼育委員

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はよ戦争がしたい…
作者自身が焦らされまくりで変な趣味に目覚めそうですよ!


『標的』

 爽やかな朝、少し濃い朝もやと、涼しい風の吹く草原で、一羽の野うさぎが草を食んでいた。

 

 それは野うさぎにとっていつも通りの食事で、別段何かが特別なことはなかった。

 

 だが次の瞬間、野うさぎはその長い耳で何かを感じ取った。

 

 朝もやの中、小さな振動と何かの音が微かに感じられる。

 

 振動は徐々に大きな揺れとなり、何かの音は低く重くなって近づいてくる。

 そして朝もやの中に黒く大きな影と、白く光る眼を見た。

 異常事態に恐ろしくなり、野うさぎは音から遠ざかるべく走り出した。

 

 真っ直ぐに丘の上まで走った野うさぎは振り返ってそれを見た。

 

 壁だ、青々とした草原を食らい尽くし茶色い土を剥き出しにする壁のような大きな生き物が並んで行進している。

 

 野うさぎの混乱は極致に達し、ぴょんぴょんとどこかへ駆け去っていった。

 

 壁―――『四七式開墾機械』、いわゆる皇国におけるトラクターは、現在『ドーム』周辺を開墾中だった。

 

 前面底部の焼却板にて根ごと草を焼きながら進み、中部に仕込まれた粉砕機で石などを踏み砕き、背部の巨大な二連鍬で地面を掘り返す。最後にそのさらに後ろの、間隔が人の肩幅はある櫛でならし、畝を作った。

 

 そんなものが横一行に並び凄まじい効率で開墾が進む。

 

 さて、この辺りで最近皇国で何があったか記しておこう。

 皇国はハルケギニアに緩やかに、しかし急速に根を張らんとしていた。

 

 『ドーム』から50キロに渡り構築された防衛線、そこからさらに10キロの監視網が敷かれ、ふたたび来るやも知れぬ敵を警戒する。

 防衛線の随所には突貫工事で前線基地を建設し、常に兵士を常駐させている。

 

 防衛用の兵器だけではない。

 

 『ドーム』から10キロ圏内は試験的に農業区画を開拓中である。

 こちらの世界(ハルケギニア)でもあちらの世界(オリエンス)の作物は育つのかを試すため、区画ごとに複数種を専門家とともに育成しているのだ。

 これは改善されつつも相変わらず厳しい食料事情を向上させると期待されており、『ドーム』防衛圏内にある村の現地農民も『招いて』彼らの育てているものを教えていただいたりもしている。

 

 そして火竜山脈での採掘は、少しばかり距離があり、すぐ向こう側が仮想敵国であることも考慮し、調査隊を送るに留めている。

 

 こうした入植計画により、皇国の“餓え”は着実に回復していくと予想されていた。

 

 

 

 だが足りない。

 

 

 

 彼らを苦しめる飢えは、一向に満たされていない。

 

 そう、この会議場にいる人間で、それを理解していない者は存在しない。

 

 戦争に勝ったとはいえ、『世界の終焉(フィニス)』を乗り越えたとはいえ、それで皇国が変わった訳ではない。

 

 相変わらず皇国は慢性的な食料不足であり、(意外に思うかもしれないが)貧しい国のままだ。

 

 餓えた『軍事国家』のままだ。

 

 ならば満たさなければならない。

 

 奪ってでも、殺してでも、戦争してでも!

 

 それで世界が敵になろうとも!!

 

 弱い外敵に対し防備を固め、平和のもとに畑を耕す?

 今年も一定数餓死するけどいつかそれもなくなる?

 

 餓えた獣の前に極上の霜降肉を垂らしておいて、『麦が育つまで待ってね』などと誰が言える?

 霜降肉ごと言った人間もペロリだ。

 

 

 総督府会議室にて、シド・オールスタイン元帥は居並ぶ武官と文官の高官たちを睥睨し、後回しにされていた『重大な』議題を切り出した。

 

「さて諸君。予定が若干変わったが、ある意味で『方舟』計画は無事に成功したといえる。ならば、『創世』計画に段階は移行する」

 

「おお……」

 

「ついに……」

 

 シドの言葉に官僚達は期待と興奮の入り交じった声を上げた。

 

「手を取り合う可能性もあっただろう。だがそれを破壊したのは連中だ。ならば我らは、()の国を食い破り、貪り尽くし、この世界にとって変わるだけだ」

 

 そして一拍置き、告げた。

 

「それをもって我々は、ようやく飢えの苦しみから永遠に解放されるのだ」

 

 官僚たちはその眼に抑えきれない歓喜と希望を燃やし、シドの言葉を待った。

 

「電撃戦だ。一日で済ませる。攻略目標は三つ」

 

 電子音、シドの背後にガリア王国の地図が表示され、火竜山脈と呼ばれる山の南側に『ミリテス皇国』の『ドーム』を示す白丸が表示された。

 

「一つ目は山脈からこっち側全部だ。軍を派遣し飲み尽くせ」

 

 火竜山脈の南側にいくつかの標的が赤丸で表示され、皇国の白丸から矢印で侵攻ルートが表示される。

 

「二つ目、連中の最大の軍事拠点サン・マロン。ここを焼き払え」

 

 次に皇国の白丸から山脈を挟んで反対側の海岸に赤丸が示され、二つの矢印で侵攻ルートが表示される。

 

「そして三つ目はガリア首都リュティス。航空部隊を主力に空から潰せ。そしてガリア王ジョゼフの身柄を確保しろ。これは非常に重要な作戦であると同時に、敵地深くに進攻、撤収するため機を見る目が必要になってくる。ゆえに……」

 

 シドはここで言葉を切り、会議室の末席に座る男に目をやった。

 

「カトル『少将』、お前に任せる」

 

「はっ、了解しました。微力を尽くします」

 

 立ち上がって敬礼する隻眼の新たな少将、カトル・バシュタールは不敵に笑った。

 

 最後にシドは彼ら全員の顔を見―――――

 

「諸君、戦争だ。短期決戦で敵の中枢部を破壊し、あとは時間をかけて掌握する。なに、少々信じがたいが、この世界では民は王様が変わってもそこまで気にしないそうだ。ならば我ら皇国が支配者となろうと構わんだろう……」

 

 ――――猛る獣の笑みを浮かべた。

 

「さぁ、未来を掴むぞ」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 ハルケギニアを細部まで再現した、部屋いっぱいに広がる巨大な立体模型が展示されている遊戯室。

 

 そこでガリア王ジョゼフは陸の大将ことグルカ将軍より、その報を受け取った。

 

 その内容は、ロマリアの軍が壊滅しましたとのこと。

 

 時期にしてガリアがレコンキスタを吹っ飛ばした辺り。

 

 ジョゼフはロマリアから軍が派遣されミリテス皇国と会敵するまでの日数を計算し、その戦いが半日に満たないものであると理解した。

 

 最初から期待はしていなかったものの、それでもやはり落胆した声を隠せない。

 

「なに?もう負けたのか?ほんとに?」

 

「は、至極あっさりと」

 

「おいおい……体感として間章一個分程度の時間しかもってないじゃないか!交渉もなしに戦いになったのか?」

 

「は、最初こそ交渉……のようなものを『拡声』にて行っておりましたが、ミリテス皇国がブリミル教を知らないと言ったあたりからロマリア側が殺気立ち、遂には開戦、瞬く間にロマリア側の壊滅で終了いたしました」

 

「連中はまた大量の軍勢で押し潰したのか?数の差もわからんほど坊主どもは間抜けなのか?」

 

「いえ、途中援軍が入りましたがそこにはせいぜい同規模程度の軍があったのみで、それでも火力の差でもってロマリア側は壊滅、捕虜もいくらかは取られた模様」

 

「なんと……期待外れだ。本当に期待外れだ!私も昔から人の期待に応えることのできない日々を送っていたがなるほど、彼らの気持ちはこんな感じだったのか……はぁ…」

 

 大仰な身振りとずんよりと顔に縦線を引き背中に雨雲を背負った状態でため息まで吐いたジョゼフ。

 

 しかし次の瞬間には、ページをめくるかのように態度を翻し、思案顔で天井絵を眺める。

 

「まいっか。情報の収集が目当てだったのだし。何か面白いものは見れたか?」

 

「は、敵の航空戦力はガーゴイルのような形の機械のようです。それに銃と砲を装備し風竜の速度で飛び回ります」

 

「ふむふむ、では詳細な情報をまとめて持ってくるように。む、これか?用意がいいな」

 

 スッと差し出された紙束を受け取り、内容を確かめる。

 

 興味深そうに読みつつ、「これと同じものをクラヴィルにも」と告げた。

 

 そして顔を上げ、

 

「目的は達成した。あとは……」

 

 ジョゼフは顎を一撫でし、従卒の預かる遊戯盤のルールブックを受け取ると羽ペンでサラサラと何かを記入した。

 

 そして室内にいた二人の将軍のうち、空の大将であるクラヴィル将軍を近くに呼び寄せ、小さなサイコロを二つ、手渡した。

 

「将軍、お前にこのサイコロを振らせてやろう。ほれ」

 

「……は、ありがとうございます」

 

 この小さなサイコロ二つにいったいどれだけ重要な意味があるのか、それを知るクラヴィル大将は震える手で受け取った。

 

 このサイコロと巨大な遊戯盤は、ジョゼフを神とした、まさに運命を弄ぶゲームなのだ。

 

 だというのにジョゼフは怪訝な面持ちで、「サイコロ振るだけで礼を言うのか?そんなに娯楽に餓えていたとは知らなかったな。今度ポーカーでもするか?」と惚けたことを言う。

 

 彼は悪意があってこんなことをしているのか?

 

 いいや違う。そんなものはない。

 

 ジョゼフがしているのは純然たる『気まぐれ』だ。

 

 『気まぐれ』で与え、『気まぐれ』で奪う、まさに傲慢な神のごとき所業。

 

 クラヴィルは震える手で、サイコロを半ば手の平から落とすように振る。

 

 からんころん、少しの間だけ転がったサイコロが出した目は、1と6、つまりは7。

 

 ルールブックを覗き込み、ジョゼフはひとつ頷くと、「ちょっとアルビオンまで行ってくる」と言い捨て去っていった。

 

 クラヴィルは転ぶように従卒からルールブックを奪い取って目を通し、へなへなと崩れ落ちた。

 

 その横からひょいとルールブックを取ったグルカ将軍が目を通すと、そこにはこう書かれていた。

 

・出た値の合計が7の場合

 考えて戦争する。

 

・出た値の合計がそれ以外

 今すぐ何も考えずに決戦(とつげき)する

 

 

 奇しくも将軍、超ファインプレー。




   マ、マッテクレ>(゜茸゜;)

     オレハタダ、シゼンナナガレデセンソウガ…>(゜茸゜;)

                       三( ;゚茸゚)<ヒ、ヒィイイ!!


【審議中】 (´・ω・)<殺せ(´・ω・)(´・ω・)(´・ω・)▄︻┻┳═一<アイサー

                     ――――――――(/;゚茸゚)/<ぐべ!―――・

【審議中】 ( ´・ω) (´・ω・) サテドウシヨウ>(・ω・`) ドーシヨウモネェヨ>(ω・` )

【審議中】 ( ´・ω)<ヨテイデハ何人死ヌ? マダ殺サヌ>(・ω・`) (・ω・`) (ω・` )

【審議中】 ( ´・ω)原作キャラモ? (´・ω・) タブン…>(・ω・`) (ω・` )

【審議中】 ( ´・ω)<ナンデロマリアカット? (´・ω・) (・ω・`) ハナシノ進行ノタメ>(ω・` )

【審議中】 ( ´・ω)原作崩壊? (´・ω・) 確実ニ…>(・ω・`) (ω・` )

【審議中】 ( ´・ω)<コンナンデ完結デキルノ? …>(・ω・`) …>(・ω・`) …>(ω・` )

【審議中】 ( ´・ω) (´・ω・) (・ω・`) (ω・` )
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