この爆裂娘にヒーローアカデミアを!   作:ぽち丸

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長くなったので、切りが微妙ですがこの辺で投稿します。
日刊ランキング12位になってて鼻からエクスプロージョン出た。
応援ありがとうございます!


猛ろめぐみん!雄英の洗礼編
めぐみんと体力テスト


雄英試験から一週間後。

めぐみんは自宅でお茶を啜りながら上の空でテレビを眺めていた。

出久から10ポイントしか実技で取れなかったと、半泣きのメールが来たりしていたが、たぶん大丈夫だろうと思う。

なんといっても彼はライバル。

そう簡単に落ちはしないはずだ。

話を聞く限り、彼も0ポイントを破壊したようであるし、アピールという意味なら十分すぎるだろう。

そこで初めて出久の個性がバッキバキの超パワーである事を聞いためぐみんは、やはり彼にはシンパシーを感じざるを得なかった。

強すぎる故に反動も大きい一撃ロマン砲。

どこか"爆裂"に通じるものがある。

オールマイトの特訓は、どうやらその個性をしっかり扱えることを目指していたらしい。

今までの出久では、個性の出力に体が耐えられず四肢がもげてしまうほどの超パワーであったため、中学生の同級生には無個性だと思われているのだとか。

そんなところまでめぐみんに似ている。

違いといえば、あまりの力に本人も無意識にセーブしてしまっていたとかで、自分を無個性だと思っていたらしいというところだ。

同じような超パワーの個性であるオールマイトに偶然出会い、個性を持っている事に気づいたとか。

まあ、ある意味よかったのだろう。

もし個性の発現する3、4歳の時にそんな個性を発現させていたら間違いなく自分がボンッとなっていた。

我がライバルは中々に運の良い男らしい。

今度出久の100%と私の"爆裂"をぶつけあってみましょうと提案したら、絶対止めてくれと言われてしまったが。

 

閑話休題。

 

お茶を啜りながら、とり止めもなくそんな事を考えていると、ゆいゆいが居間に顔を出した。

 

「めぐみん。雄英から郵便物、届いてるわよ。」

 

「来ましたか。私の合格通知が。」

 

堂々とした態度でゆいゆいから封筒を受け取るめぐみん。

実際は不適な台詞にもかかわらず、笑みは引きつり、手が震えてしまっているが。

 

「み、見るまでもなく合格なのはわかりきっていますが!一応初日の説明なんかもあるかもしれませんし、自室でゆっくり見ることにします!」

 

「はいはい。いってらっしゃい。」

 

苦笑気味のゆいゆいに見送られ、自室に篭るめぐみん。

しっかりと扉に鍵をかけ、大きく深呼吸をした後に、封筒に手をかける。

 

「いざっ!」

 

封筒からは何枚かの書類と、手のひらサイズの機械が出てきた。

 

「これは、プロジェクターでしょうか?」

 

どこかにスイッチでもあるのかと弄繰り回していると、唐突に機械が作動した。

 

『私が投影された!』

 

「うわああああ!ほ、本当にどこでも湧きますねこの劇画筋肉お化けは・・・。」

 

投影された劇画筋肉お化けこと、オールマイトは大きく腕を広げ、話を始める。

 

『HAHAHA、今年の合格発表を任されることになってね。本当は色々話したいんだが、さっきから巻きでお願いされ続けていてね!手短に本題に入らせてもらうよ。』

 

ゴクリ、と自分のつばを飲んだ音が嫌に大きく響く。

 

『まず、筆記試験。こちらは文句なしの合格だ。流石紅魔族随一の天才を名乗るだけあるね。全教科含めても、ケアレスミスでの失点が3箇所あっただけ。ほぼ満点だ。続いて実技試験のほう。撃破ポイント合計が86ポイント!そして我々が見ていた評価ポイントはそれだけではない!』

 

来た。

予想通り、何か別の採点基準があったかと、拳を強く握るめぐみん。

 

『それは救助ポイント!他の受験者を助けたりすると与えられる審査制のポイントさ!そして紅魔少女の救助ポイントは・・・マイナス10ポイントだ!』

 

「マイナスうううう!?」

 

『まあ当然だよね。君の“爆裂”でビルが2棟消滅、3棟倒壊、2棟半壊。吹っ飛んだロボの破片でビル損壊13棟に街の中央にどでかいクレーター。これが本当の街だったらどうなってたかって話だよ。という事で合計は76ポイント!色々ケチをつけたが結果は合格だ!来いよ、ここが君のヒーローアカデミアだ!』

 

「こ、こ、こんなはずではあああああ!!」

 

今までと比べても最高のコンディションで放たれた"爆裂"は、めぐみんの予想以上の威力を発揮していたのだ。

指向性制御のおかげで人的被害は無かったものの、巻き込まれた爆心地近くのビルは消滅、ないし倒壊。

さらに爆心地のロボは跡形もなく消し飛んでいたものの、爆風で巻き上げられたロボやその破片が周囲のビルや道路に次々と衝突し、あちらこちらで破壊の爪痕を残した。

ちなみにこのマイナス10ポイント。

本来だったらもっとマイナスポイントは大きかった。

0ポイントに立ち向かい消し飛ばし、他の受験生を助けた事による加点と相殺してマイナス10ポイントだったのだ。

どれだけの破壊が行われたのかが知れるというものだろう。

むしろ失格、強制不合格にされていないだけ優しい判断である。

だがめぐみんからすると、自分の個性がマイナス評価を受けてるようで不服が残るようだ。

このモヤモヤを解消するため、同じく結果が届いているであろう出久に電話をかける事にした。

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「いやあ、今年の一年は豊作だねぇ」

 

救助(レスキュー)ポイント0で実技1位・・・方や(ヴィラン)ポイント10で4位か。」

 

「さらに救助(レスキュー)ポイントがマイナスで実技2位。紅魔 恵だっけ?凄い個性だったわね。」

 

「威力があればいいという訳ではないですが、あれは凄まじい。破壊力だけならプロにもそうそういないですね。」

 

「マア、少々威力ガ有リ余ッテイルヨウダガナ。アノ少女ガ道ヲ踏ミ外ス事ガアレバ、未曾有ノ大災害トナルダロウ。」

 

「それを起こさないための学校さ!まだ卵の彼ら彼女らを教え、導く。それが僕達の仕事なのさ!今年もよろしく頼むよ、先生方!」

 

 

 

*****

 

 

 

 

『えぐうぃん“しゃんぼぐゆううぇいうがっぶえっぼほgうぇ』

 

「想像の200倍くらい酷い事になってますね。」

 

出久に電話をかけためぐみんは、出久から謎言語で話しかけられていた。

沈んだ声ではないのでかろうじて合格していた事だけは察せられる。

 

「無事に出久も受かったようでなによりです。私も問題なく合格しましたよ。」

 

『よがっだあ。ごうぇゔぉめgいnzあんのおbけでえうぇっ』

 

「何を言っているのか全然わかりませんが・・・。同じクラスになれるかわかりませんが、お互い頑張りましょう。」

 

『う“ん”』

 

そして時は流れ、めぐみんは遂に雄英入学を迎えた。

雄英の制服に身を包み、左目を赤地に白い十字架の眼帯で覆った姿で、こめっこに対して名乗りをあげる。

 

「我が名はめぐみん!雄英高校随一の天才にして、いずれトップヒーローとなる者!私の伝説が今日!この日から始まるのです!」

 

「おおー」

 

姉のちょーかっこいい名乗りにこめっこが拍手を送る。

母ゆいゆいはおっとりと微笑むと、

 

「本当にかっこいいわめぐみん。頑張ったわね。」

 

「ちょっそういうマジっぽいのはやめてください。」

 

「ふふ、そうね。せっかくのおめでたい日ですものね。行ってらっしゃい、めぐみん。」

 

「はい!行ってきます!」

 

ゆいゆいとこめっこに見送られて家を出るめぐみん。

ちなみにひょいざぶろーは先に出勤していったため家にいない。

雄英までめぐみんの家から1時間程で到着する。

電車で揺られながら、めぐみんはある種の高揚感に自分が包まれている事を自覚していた。

中学時代、めぐみんは随一のボッチであった。

紅魔族という時点で周辺住民の多いクラスメイトに敬遠されていたと言うのに、さらに無個性だと思われていたのだ。

クラスでは浮きまくり、その浮遊感はじつはあいつは”浮遊“の個性を持ってるとかいう大変不名誉な陰口が叩かれるレベルである。

雄英合格の一報を持ち帰った時のクラスメイトの反応は見ものであったが、結局友達はできなかった。

同年代の友達と言えるのは出久くらいなのだが、彼は友達ではなくライバル。

また違う存在だと思っている。

仲の良い友達ができるだろうかという不安と期待がないまぜになった高揚感が、めぐみんの胸中に渦巻いていた。

一度気持ちを落ち着けるために“爆裂”しておきたいところだが、海浜公園は綺麗になったことが知られて人が戻って来ているので、もうあそこでポンポン“爆裂”する訳にもいかない。

今日のところはこのまま行かざるを得ない。

そんな爆裂娘の胸中とは関係なく電車は進み、考え事をしていても足は進む。

めぐみんは遂に、自分のクラスである1-Aの教室にたどり着いた。

 

(凄いでっかいドアですね。かっこいい教室の入り方をすれば掴みとしてはバッチリでしょうか。)

 

紅魔族の感性としてはヤレと叫んでいる。

なんならドアを蹴り倒して入るあたりがいい感じに目立てると。

ただ、人間第一印象というのは大切だ。

悩んだ末に、意を決しためぐみんはキリッと顔を上げ、勢いよく扉に手をかけた。

そしてそーっと一人分の隙間を開けて目立たないように教室に滑り込む。

ヘタれた。

出久が居れば話しやすいのだが、教室には居なかった。

だが、別の知った顔を見つけた。

 

「あなたは!」

 

「やはり来たか。お前なら大丈夫だろうと思っていたぞ。」

 

そう、入試の時の烏男子だ。

 

「あんな事を言われてしまっては落ちる訳にもいきません。元々そんな気は更々ありませんでしたが。では、改めて名乗らせていただきます。」

 

めぐみんは左手で眼帯を覆うようなポーズを取る。

 

「我が名は紅魔 恵。紅魔族随一の天才にして、個性“爆裂”を操る者。どうぞ、めぐみんと呼んでください。」

 

「承知した、めぐみん。俺は常闇 踏影。個性は“黒影(ダークシャドウ)”よろしく頼む。」

 

「ヨロシクナ!」

 

常闇の制服の縁から、影の鳥のようなものがにゅっと出てきて挨拶をしてきた。

 

「ほう。興味深い個性ですね。感覚は共有しているのですか?」

 

ツンツンと黒影を突くめぐみんと、鬱陶しそうにする黒影。

常闇はマイペースなめぐみんに苦笑している。

 

「いや、別だ。俺の中に別の生物として黒影が棲んでいる感覚に近い。」

 

「それはなおのこと興味深いですね。我が一族にも、動物を使役する個性を持った者は居ますが、こういうタイプは初めて見ます。」

 

「ほう。その御仁はどういった個性なんだ?」

 

「紅魔族随一の動物使いガブリンの個性ですね。人間以外の哺乳類限定で自分が相手に噛みついてる間だけ意のままに動物を操るという個性です。過去にクジラを操ろうとして」

 

そこまで話したところで、荒々しく扉が開かれ、爆発的な髪型の男子が教室に入ってきた。

その男子はズカズカと歩いていくと自分の席の机の上で足を組んで座った。

 

「また凄そうなのが来ましたね・・・。ただ彼、なんか見覚えが・・・。」

 

めぐみんが記憶を辿ると、実技試験で暴れていた男子だと気づく。

 

「ああ、あの時の小爆破男子ですか。」

 

「あ゛ぁ゛!?だぁれが小爆破だってぇ!?」

 

座ったままでこちらにガンを飛ばす男子。

咄嗟に常闇が間に入ってめぐみんを庇う。

 

「修羅め。」

 

「あんだよ?そっちの眼帯女が喧嘩売ってきたんだろうが。あぁ?」

 

「大丈夫です、常闇さん。」

 

めぐみんは少し震えながらも常闇の前に出て、ぐっと胸を張る。

 

「ふ、ふん。私は事実を言ったまでの事。同じ爆発系の個性のようですが、私の“爆裂”が爆弾だとすれば、あなたのは差し詰め線香花火といったところでしょう!」

 

「なんだとテメェ。いや待て、テメェまさか入試の時の」

 

「おい、君!机に足をかけるな!雄英の先輩方や机の製作者に申し訳ないと思わないか!?」

 

「思わねーよ、てめーどこ中だ端役が!」

 

その時、真面目そうなメガネ君が小爆破男子に直接注意したため、標的がそちらにズレたようだ。

 

「全方向に喧嘩売っていくスタイルですか。爆発するチンパンジーみたいな人ですね。」

 

「・・・悪鬼め。」

 

次に教室に入ってきたのは見慣れた緑色のもじゃもじゃだった。

手を振ってアピールすると出久もこちらに気づいたようだが、爆発チンパンジー(暫定)と話していたメガネ君に話しかけられ、こちらには来れなかった。

さらに、後から来たポワッとした女子にも話しかけられている。

 

「やりますね出久。流石は我がライバルです。もう二人も知り合いを作っているとは。しかし、私も常闇さんと爆発チンパンジー男子で二人。引き分けといったところでしょうか!」

 

「そのチンパンジーってのは俺のことかゴラアアアア!」

 

椅子を吹き飛ばす勢いで立ち上がる爆発チンパンジー。

ちなみにこの爆発チンパンジーは出久の幼馴染の爆豪であり、知り合いカウントでめぐみんは普通に負けている。

出久は爆豪を煽りつつ弄っているめぐみんに戦慄していた。

 

「お友達ごっこしたいなら他所へ行け。ここは、ヒーロー科だぞ。」

 

(((((なんかいる!)))))

 

蓑虫のように寝袋にハマっている人物がいつのまにか教室に居た。

 

「ハイ、静かになるまで8秒かかりました。時間は有限。君達は合理性に欠くね。」

 

(先生ですか・・?ということはプロヒーロー。こんな小汚い感じのヒーローなんて居ましたっけ?普段は全身を覆うタイプのコスチュームを使っているとかでしょうか。スペースヒーロー13号の中身だったりしないでしょうね。)

 

「担任の相澤消太だ。よろしくね。」

 

(担任!?)

 

「早速だが体操服(コレ)着てグラウンドに出ろ。」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

個性把握テスト。

グラウンドに出た1-Aを待っていたのは、初日からのどデカイ受難だった。

個性を全力で使っていい体力テストで、最下位だった者を除籍処分とする。

 

(あ、れ?これめちゃくちゃヤバくないですか?)

 

めぐみんは嘗て無い程の冷や汗が流れていた。

"爆裂"は一日一発。

どれかひとつの種目で大記録を出しておかないと、最下位になりかねない。

というか、普通になる。

全8種目の中、自分の個性が使えそうな物を考える。

 

(普通に考えればソフトボール投げですが・・・。あとは立ち幅跳びくらいでしょうか?)

 

ソフトボール投げは、先ほどの爆発チンパンジー改め、爆豪のように、爆発を球威に乗せるだけだ。

だがしかし、先ほど散々煽ったように彼の"爆破"とめぐみんの"爆裂"では威力が違いすぎる。

ボールが耐えられるのかが怪しかった。

ならば立ち幅跳び。

こちらも爆発を勢いに乗せるだけだ。

飛んでいくのがボールではなくめぐみんになるが。

めぐみんが耐えられるのかが怪しかった。

 

(いやいや、冷静になりましょう。万が一耐えられたとしても、大怪我を負ってしまっては意味がありません。ソフトボール投げ一択ですね。となれば。)

 

それ以外の競技は全て自前の身体能力でやるしかない。

紅魔族の身体能力は高く、体も頑丈だ。

めぐみんは特に鍛えていないものの、それでも男子高校生の平均を上回るくらいの記録を出せる自信があった。

 

(どの競技でも使えるような汎用性の高い個性というのはそうそうありません。むしろ、私のように1、2種目くらいしか目が無い人も多いはず。ならば、それ以外の種目で平均以上を取れれば最下位にはならない。)

 

一度落ち着いて、方針を定めてしまえばそこからはめぐみんは強い。

突発的なアクシデントには弱いものの、基本的に頭の回転はとても早いのだ。

紅魔族随一の天才を名乗っているのは伊達ではないのである。

しかし、不安要素は自分のことだけではない。

出久だ。

彼も自分と同じで、反動の大きい個性。

もしかしたら、ライバルと認めた彼と最下位争いになる。

どちらが最下位になっても、ここで別れる事になりかねない。

チクリとした痛みが、めぐみんの胸を刺した。

50m走から始まり、種目をこなしていくめぐみん。

想定どおり平均のちょい上くらいの記録は出せている。

が、やはり全員何かしらの種目で大記録を出してきていた。

残す種目は、ソフトボール投げ、上体起こし、長座体前屈、持久走。

そして今は、運命のソフトボール投げの最中である。

 

「次、紅魔。」

 

「は、ハイ!」

 

遂に運命の時。

ガチガチに緊張しながら、前にでるめぐみん。

が、相澤が声をかけてめぐみんを止めた。

 

「ん?まて、紅魔。今気づいたがお前なんだその眼帯。怪我か?」

 

「こ、これですか?これは強力すぎる我が力を封印している眼帯です。」

 

「何?個性関係か?いや、しかしそんなもの資料には・・・。」

 

手元の資料を見ながら首を傾げる相澤。

それを見て、めぐみんはしたり顔になる。

 

「嘘です。本当はお洒落でつけてるだ・け。かっこいいでいだだだだ痛い痛い痛い!やめっ!やめろおおお!」

 

「真面目にやれ。」

 

相澤に眼帯を引っ張られるめぐみん。

どうやらおふざけととられたようだ。

ゴムでとめられた眼帯が結構な勢いで引き伸ばされていく。

 

「失礼な!私はこれでも真面目に、いや、まってください。離すならゆっくり、そ~っと戻してください。いいですか、ゆっく"パチーン"にゃああああああ!!いったい目がああああああ!!!」

 

「早よ投げろ。記録なしにするぞ。」

 

「お、鬼ですかあなたは。わかりました。やります、やりますから!」

 

ある意味このやりとりでいい感じに緊張がほぐれためぐみん。

ボールを持った右手を前に突き出すと、足元から巨大な魔方陣が展開された。

 

「紅き黒炎、万界の王。天地の法を敷衍すれど、我は万象昇温の理。崩壊破壊の別名なり。永劫の鉄槌は我がもとに下れ!エクスプロージョン!」

 

"爆裂"と同時に投げられたボールが、爆風を受けて空高く吹き飛んでいく。

放たれたのは上方爆裂。

爆発自体は上向きのため、爆焔は一切ボールに触れていないが、周囲に拡散する爆風がボールを凄まじい勢いで運ぶ。

グラウンドの砂も諸共に吹き飛ばしたものの、上方爆裂にしたおかげか、地上の被害は大したことはない。

記録は935m。

ボールを消し飛ばさないように気を遣った結果だ。

 

「くっ。思ったより飛びませんでしたね。気を遣いすぎましたか。」

 

倒れないように、片膝をつくめぐみんは悔しそうに結果を見る。

 

「紅魔。二投目早よ投げろ。もし動けないとか言うようであれば、この場で見込みなしとし、除籍処分とする。」

 

「ちょ、ちょっと待ってください。大丈夫ですから!」

 

めぐみんはポケットからパウチに入ったゼリー飲料を取り出した。

めぐみんの眼帯と同じような柄の、赤地に白い十字架のパウチだ。

それを一気に飲み干すと、よろけながらも立ち上がった。

 

「それは?」

 

「これは我が父、ひょいざぶろーの個性で作ったエネルギー飲料です。余り味が良くない上、倦怠感が4、5時間は続きますが、動く分には問題ありません。」

 

ひょいざぶろー作、ウゴケルミンZ。

普段は一時間ほど動けないかわりに、動けるようになればほぼ本調子まで回復するめぐみん。

このウゴケルミンZを飲むと、すぐに動けるようになる代わりに4、5時間本調子とは言えない状態が続く。

味は酢昆布を煮詰めて焦がしたような味がする。

ちなみに父のひょいざぶろーの個性は"概念合成"。

物質に対して、“これはこういうものだ”という概念を込める個性。

概念を込められた物質はある程度の過程をすっ飛ばしてその通りの効果を発揮する。

異常に強力な個性だ。

この個性を活かしてヒーロー向けサポートアイテムの作成を行っている。

デメリットは特にない強力な個性だが、一定確率で合成した物質が大爆発するため、ラボではちょこちょこ小火騒ぎと物損が発生し、売り上げは良くても利益がそこまで伸びないのが悩みどころだ。

また、概念が強すぎて使い物にならないアイテムも多い。

このウゴケルミンZには、"動けるようになるまで体力を回復する"という概念が込められている。

 

閑話休題

 

「ふむ。まあ、いいだろう。次、緑谷だ。」

 

一応自分の個性の欠点を理解して対策を用意していためぐみん。

相澤のお眼鏡には適ったようである。

めぐみんの次に呼ばれた出久が前に出る。

とりあえず大記録を出して余裕が出てきためぐみんは、そこで初めて出久が思いつめた表情をしている事に気づいた。

意を決したように顔を上げ、ボールを投げた。

記録は、46m。

何やら驚いている出久に、相澤が話しかけている。

朝に出久と話していた、ポワッとした感じの女子とメガネ男子が不安そうに様子を伺っていた。

 

「大丈夫かな・・・。」

 

「何やら、指導を受けていたようだが。」

 

「除籍勧告だろ。」

 

爆豪はどうやら出久を敵視しているようだ。

指導が終わったのか、相澤が離れる。

出久は思いつめた顔で、自分の握ったボールを見つめていた。

めぐみんは、しょうがないですね、と呟くと

 

「出久!何をシケた顔してるんですか!」

 

と、声を張り上げた。

 

「あなたが特訓してきた10ヶ月、無駄ではなかったはずです!あなたはこの、紅魔族随一の天才が認めたライバルです!もっと胸を張って、思い切りやればいいのですよ!」

 

「めぐみんさん・・・。うん!」

 

「なんでもいいけど、早よしろ緑谷。」

 

相澤に急かされて前を見据えてボールを構える出久は、先ほどまでとは表情が変わっていた。

出久の脳内には、オールマイトと特訓した5ヶ月、その後めぐみんを加えた5ヶ月の記憶が駆け巡っていた。

 

(やれる!やるんだ!僕に今、できることを!)

 

「スマアアアアッシュ!」

 

裂ぱくの気合と共に凄まじい勢いで放たれたボールは天高く飛んでいった。

出久は、腕ではなく、指先だけで個性を発動させたようだった。

反動で指はボロボロになっていたが、相澤のお眼鏡には適ったようである。

その後なにやら爆豪が出久に絡んで相澤に速やかに鎮圧されるというアクシデントがおきたものの、恙無く進行した。

めぐみんはその後の競技では、ウゴケルミンZの副作用で、女子平均くらいの記録しか出すことはできなかった。

そして、運命の結果発表。

出久との熱い最下位争い状態だ。

やはりこうなってしまった。

出久と顔を見合わせて、お互いに頷きあう。

お互いに恨みっこなし。

自分が最下位になってしまっても、相手を笑顔で祝福しよう。

 

「さて、これから順位を一括開示する。あ、除籍は嘘ね。」

 

「「「はああああああ!?」」」

 

「君達の全力を引き出す合理的虚偽。」

 

あまりの衝撃にめぐみんは真っ白に燃え尽きた。

さっきまでの悲壮な覚悟はなんだったのか。

ちなみにめぐみんは19位。

出久が20位であった。




ひょいざぶろーは本作のご都合主義の塊です。
彼が居ないとどうやってもここで相澤先生にイレイザーされちゃうからね、仕方ないね・・・
また、めぐみんの度胸付のおかげで出久は10ポイントだけ稼げたようです。
次回:めぐみんと対人訓練
※追記
次回変更して繋ぎに一話入ります。
次回:めぐみんと放課後
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