ビッキー「デュランダルが喋った」フィーネ「ファッ!?」   作:いつのせキノン

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ふたつめ

 

 

 

 

 

 デュランダルが喋る?

 

 否!! それはあり得ない。

 

 フィーネは思考する。

 

 あれは道具だ。ネフィリムのような生物型が存在するが、あくまで聖遺物は所有者が扱うための道具でしかない。そこに、所有者に意見するかもしれない自我は不要だ。

 

 少なくとも、フィーネに声は聞こえなかった。当時も、今も。

 ネフシュタンの鎧だって言葉を発することはなかったし、他の聖遺物の欠片もそう。

 

 聖遺物が喋るなんてことは、あり得ない。

 これまでも、これからも。

 

 だとしたら、なぜ立花響には声が聞こえていたのだ?

 

 まさか、デュランダルの適合者だから?

 彼女がデュランダルを起動したのは間違いのない事実だからあり得る。

 しかし、完全聖遺物は一度起動すれば全部の機能をあらゆる人が扱える。声が聞こえないというのは考えにくい。

 

 それとも、立花響が特別な存在だからだろうか。

 彼女は聖遺物ガングニールとの融合症例第一号だ。

 

 ありとあらゆる可能性が上げられるが、考えたところでそのどれもに確証はない。

 

 フィーネの知らないデュランダルの機能があると言うのだろうか?

 

「……確かめる必要があるな」

 

 願わくば、その声が聞こえることを……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ちょっとビッキーってばデュラさんのことペーパーナイフ代わりにすんのやめてくれない!?】

 

 自室でいらなくなった紙を切ろうとしたらデュラさんことデュランダルが急に叫びだした。

 

「急にうるさいよデュラさん。いいじゃん刃物なんだしカッターとかないし」

 

 ちなみに今は未来が席を外してるのでデュラさんと話しても問題ない。

 あと、デュラさんっていうのはそれが呼びやすいから。いちいちデュランダルって言うの舌が回らないよね。

 

【デュラさんすっごい価値あるのに百均レベルの物扱いされてテラ悲しス】

 

「おぉ、スイスイ切れる!! すごいよデュラさん!!」

 

【あたぼうよビッキー!! このデュラさんが紙ごとき切れないでか!!】

 

「さっすがデュラさん!! よっ、完全聖遺物!!」

 

【いやぁ、それほどでもっ――――っておだてても許さんからな!?

 

 ダメか……。いや、そう言われてもやめる気はそうそうないんだけどね。

 

「まぁまぁデュラさん。ひもじいわたしを助けるためだと思ってここは1つ……裏紙をメモ用紙にするだけだし、先っちょだけ!! 先っちょだけだから!!」

 

【刃潰そ】

 

 ビリッ。

 

「ほぁっ!? なっ、なんてことしてくれたのさデュラさん!! 貴重な紙が……!!」

 

 自分の刃を潰すも自在なのか……無駄に高性能な……!!

 

 あっ、そう言えば聖遺物だもんね。

 

【ペーパーナイフ買えよ!! もしくはハサミ!! あるでしょ!?】

 

「でもさぁデュラさん、ハサミって取り出すの面倒くさいよ? けどデュラさんなら胸からポンッて出て来るし使いやすいし……」

 

【コイツまるで反省しねぇ……ッ!!】

 

「デュラさん刃返して!!」

 

【元はオレのじゃヴォケぇっ!!】

 

「むぅぅ、ケチんぼ」

 

 仕方ない、ハサミ使うかぁ。切れ目が曲がってあんまり納得行かないんだよねぇハサミ使うと。

 

 いそいそとハサミを用意、A4の紙を4つ折りにし、折り目に沿って切ってく。

 

「………………………………………………………………」

 

【それ楽しいの?】

 

「んー? どうだろ。楽しくはない、かな。けど没頭しちゃうよね」

 

 単純作業の繰り返しって妙にクセになるんだよなぁ。

 デュラさんにはわからないかーとか一瞬思ったけど、そもそもデュラさんは聖遺物だから出来なかった。

 

 5枚くらい切り終わったところで、部屋の扉が開いた音がした。同室の未来が帰ってきたみたい。

 

「ただいまー」

「おかえりーみくー」

 

 入ってきたのは小日向未来。わたしの幼馴染。白い大きなリボンがよく似合う、落ち着いた雰囲気の美少女!! ここ大事。

 

「今日もメモ用紙作り? レポートは終わったの?」

「いやぁ、やる気起きなくて……気分転換にね」

「もう、後回しにしていつも痛い目見てるのに……」

「えへへ……」

 

【なんでビッキー照れてんのさデュラさん驚きだよ】

 

「いやぁ、それ程でも――――あっ」

「ん? どうしたの?」

「えっ、へ、へへっ、いや、なんでもないよ?」

 

 なんでもなくはないけど!! デュラさんナチュラルに話しかけてくるから返しちゃったじゃん。今のはそんな違和感ない会話だったから良かったものの。

 

「……あれ、響こんなナイフ持ってたっけ?」

 

 あっ、そう言えばデュラさんしまってなかったぁぁぁっ!!

 

「えーっとぉ、それは拾い物といいますかぁ……」

 

【拾い物とは失敬な】

 

 デュラさんは黙ってて!!

 

「サービスエリアの龍が巻かれた剣のストラップみたいなデザインしてるけど、結構良いやつだね。ペーパーナイフ?」

「そう、ペーパーナイフ!!」

 

【ちっげぇよォッ!?】

 

 みくの言ってることすっごい的を射てる気がして大仰に頷いたわたし。確かに、高速道路のサービスエリアで見た。

 

【なんでデュラさんの価値ってことごとく低いの? 流石にメンタルボロボロなんですがあの。しまいにゃ泣くぞ?】

 

「でも拾ったなら落とし物じゃないの?」

「あ、それはー…………そう、すぐに持ち主さんに届けたんだけど、もう使わないからあげるって言われてね!!」

 

 ごめんっみく!! わたしは嘘付きですぅ……!!

 

「ふぅん……でもこれ刃が大分潰れてない? 使えるの?」

「そこはほら、あとで研いで使ったりとかね? せっかく貰ったのに捨てるのも忍びないし、こうやって後々メモ用紙作りにも使えるし!!」

 

【使わせねぇから】

 

 なんでデュラさんはそんなにペーパーナイフを拒むのか。適材適所って言葉があるでしょうに。もっと臨機応変にだね!!

 

 ――――PiPiPiPiPiPiPiPiPiPiPiPiPiPiPi!!

 

 っと、電話だ。

 

「はいもしもし、立花です」

『こんにちは、緒川です。今お時間大丈夫ですか?』

 

 相手は翼さんのマネージャーの緒川さん。どうしたんだろ?

 

「お時間大丈夫です。えっと、何かありましたか?」

『先日のデュランダルの件について、風鳴司令がもう一度話を伺いたいとのことです。現在は会議でいらっしゃらないので、午後4時くらいから二課の方へ来ていただいてもよろしいですか?』

 

 ああ、そう言えばデュラさんが喋ること、詳しくは話してなかったっけ。

 

「わかりましたっ、その時にまたお伺いします!!」

『ありがとうございます。司令には僕の方から伝えておきますので、よろしくお願いします。それでは、失礼します』

「はい、ご苦労様でーす」

 

 お休みだけど出勤かぁ。まぁ仕方ないよね。

 ちらっと時計を見ると時間は3時20分頃。二課は寮から離れてるから、遅れないように出た方がいい時間帯だ。

 通話を切って一息つくと、見計らってか未来がちょっと不安そうにわたしを見ていた。

 

「……響、また用事?」

「あー、うん。まぁちょっとしたミーティング? みたいなものだから、夕飯までには帰ってくるよ」

「うん……じゃあ待ってるね」

「ありがと、みく。遅くなるようだったら連絡するから、先行ってていいよ」

「そういうこと言わないで。ちゃんと待ってるから」

 

 にこっと笑ってくれる未来に申し訳なさがこみ上げてくる。こうやっていつも気遣いをしてくれる友達がいて、わたしは幸せです……っ!!

 

【夫婦かおまいらは】

 

「ブッふっ!? げっほ、えほっ!!」

「ひ、響!? 急にどうしたの!?」

「だっ、だいじょぶ、ちょっとむせただけだから!!」

 

 ほんと、なんでもないんですんで!!

 

「じゃ、じゃあ行ってきまーす!!」

 

 ささっと道具を片付けて、デュラさんはそのまま引っ掴んで外に出てから胸に押し当ててしまい込んだ。

 

【おうビッキー何照れてんのよ。お似合いダゼ?】

 

「そーゆーのはいいから!! 第一わたしとみくは女同士!!」

 

【生産性がないってか? 別に生物は結構な時間生産性のない時間過ごすだろうに】

 

「せっ、生産性って……」

 

【生産性。それすなわち、同じ“せ”から始まる4文字……。別名、若気の至り、本能――まぐわい……つまるところ――――セックs

 

「言わせねーよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ペーパーナイフネタがやりたかっただけ
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