作者は色々調べて書いていますが中立性は乏しいかもしれません。(連合赤軍「あさま山荘」事件の場合、連合赤軍側の情報が少ないなど)
また一部間違いや不適切な表現があるかもしれません。その際にはご指摘して頂けると幸いです。
登場人物説明
戸或高校3年生。女。解説役。
戸或高校1年生。女。聞き役。
最後に。
あくまでこの小説は一方的な方向から見たものと言わざるをえません(事件一つとっても各方面から振り下げていかないといけないため。そして作者にそれを掘り下げて書ける力量がないため)。
この小説読んで「こんな事件があったんだ」、など考えるきっかけになれば幸いです。
とある地方にある高校。
そこでは教壇に立つメガネをかけた女子高生、
「じゃあ、これから事件を知りたいという唯乃の要望に応えた長門みゆきの『この事件ってどんな事件』を始めたいと思う」
「よろしくお願いします!」
ぽわ~というのほほんとしたオーラを漂わせながらショートヘアの女子高生が頭を下げる。
「まずこの小説を作るに当たり、作者が真っ先に思い出した事件。それがこちら」
「連合赤軍「あさま山荘」事件?」
教壇に置かれたフリップを読む唯乃。
「簡単に言うと1972年2月に連合赤軍という軍事組織が軽井沢にある「あさま山荘」という場所で銃撃戦を繰り広げた人質立てこもり事件」
「当時も注目される事件だったんですか?」
恐る恐る尋ねる唯乃にみゆきはコクリと頷く。
「どれくらいすごいかというと事件期間中、テレビや放送は延々と現場中継を続け、新聞各紙も一面に巨大活字を使って逐一現場からのレポートを報道していたことからどれだけすごかったかが分かると思う。余談だが警察はあさま山荘に多くの人員が割かれることで犯罪が増えることを危惧したが、人が自宅にいてかつ窃盗などを生業とする人もテレビに釘付けだったことから軽犯罪は思ったより少なかったという」
「おぉ」
唯乃はポンと手を叩く。
「思い出しました!確か冬の断崖絶壁の建物に鉄球をぶつけるシーンがありますよね」
「そう、クレーン車であさま山荘を破壊する鉄球はあさま山荘を象徴するものと言える。これは後々説明するとして連合赤軍という軍事組織がなぜあさま山荘に立てこもり、なぜ激しい銃撃戦となったかを説明したい」
「ふむふむ」
唯乃はいつの間にか机に筆記用具とメモを取り出しメモの用意をする。
「まず事件の発端。連合赤軍が山狩りにあったことからこの事件は始まる」
「山狩り?」
「連合赤軍は今でいうテロ組織。連合赤軍の前身から数多くの凶悪事件を起こしていたため警察は総力をあげて行方を追っていた。そして連合赤軍のメンバーが次々と“逮捕等”されて数を減らしていく。難を逃れた連合赤軍が逃げ込んだ先が」
「も、もしかして……」
「そう、あさま山荘」
震える唯乃にみゆきは落ち着いた口調で答える。
「ところで何で“逮捕等”なんですか?」
「これはスルーするとして次にあさま山荘に逃げ込んだ連合赤軍を説明する。詳しくは山岳ベース事件を調べて頂きたい」
「ちょっと!?」
「あさま山荘に逃げ込んだ連合赤軍は管理人の妻を人質にする。あさま山荘に連合赤軍が逃げ込んだという情報を得た警察はすぐにあさま山荘を取り囲む。しかし人質救出は困難を極めた」
「何です?」
「このあさま山荘。切り立った崖に建てられていて、見通しが非常によかった。下から近づくには傾斜がきついので這うように登ることを余儀なくされる。身を隠すものはなく山荘から狙い撃ちされる」
「じゃあ上から行ったらいいじゃないですか」
「上の方にある玄関部分は非常に狭く一挙に突破する事は不可能。また連合赤軍はライフル銃や散弾銃、手製の爆弾を持っていた。さらに言うと連合赤軍の射撃の腕前はすごく、強行偵察を行った警察官が『無闇に撃つんじゃなくて、狙いを定めたっていう……そんな感じ』と証言している。まさに難攻不落の要塞と言えた」
「じゃあ兵糧攻めはどうなんです?」
「あさま山荘は保養所ということもあり大量の食料が備蓄されていた。そして警視庁から依頼を受けた精神科医の知らせよって兵糧攻めは諦めざるおえなくなった」
「精神科医の判断?」
唯乃は首を傾げる。
「精神科医によると。人質は極度の恐怖と寒さの中で監禁されているため10日が限度」
「10日!?」
「人質救出が最優先である以上兵糧攻めは不可。そしてもう一つ大きな問題があった」
「大きな問題?何かあるんですか?」
「メンバーを殺せばその人物が神格化され他の集団に影響を与えると考えられた。そのため警察は10日以内に人質救出という難題と共に犯人全員検挙という難題もこなさなければならなくなった」
「え、何ですか。そのムリゲー」
凍りつく唯乃をよそにみゆきは続ける。
「警察は身元が分かった連合赤軍メンバーの家族を呼び寄せ投降を呼びかける。しかし家族の乗る車に連合赤軍は発砲。警察は人質がどこにいるのかなど24時間山荘内部の監視を続けながら包囲をする。ただ無情にも見えない敵があさま山荘を包囲する警察を苦しめた」
「見えない敵?」
「寒さ。事件が起きたのは2月。夜中の気温はマイナス20度。あまりの寒さに凍傷者が続出。その凄さは支給された弁当が凍りつくほど」
「地の利だけでなく天候も警察の敵になったというわけですか」
「だが人の利は警察にあった。町の人が食料提供、除雪、食料・暖房器具の差し入れ、防弾用の土のうを作る、山荘に突入する警官を援護する放水用の水を提供するなど警察に協力した」
「それは作者の力量では伝えきれないほどだったんですね」
「……町の人がどのような事をされたかは『プロジェクトX あさま山荘・衝撃の鉄球作戦』などの資料を参考して頂けると幸いです。話は戻って。警察はあさま山荘三階に犯人がいて人質は二階にいると判断。そこである作戦が立案される」
「ある作戦?」
「二階と三階をつなぐ階段を破壊し、犯人と人質を分断。その隙に人質を救出しようというもの」
「おおぉ、……でどうやって分断するんです?連合赤軍の妨害も予想されますけど?」
「急斜面に立つあさま山荘の階段は鉄骨が多く使われており、人の手で破壊するのは不可能。そう助言を受けた警察は、解体工事で使われる鉄球クレーンで破壊することを決定。近隣の建設会社に依頼した。しかし報復を恐れた会社はこれを拒否。そんな時でも人は警察を見放さなかった。重機を扱うとある民間人が鉄球作戦に名乗りをあげた」
「おぉ!」
「そして1972年2月28日。ついに歴史が動く。午前10時に各部隊が行動を開始。犯人激しく応戦する。10時48分。この事件を象徴する鉄球クレーンが現場に到着。これに驚いた連合赤軍は標的を警察から鉄球クレーンに変更。防弾用ののぞき窓のど真ん中に銃弾が命中した。乗っていた人が『左目辺り。防弾ガラスも半分ぐらい一発目でえぐられました。同じところのぞくとやられちゃうから二度目はずらしてみました』と証言していることから、その銃撃の凄さはわかるだろう」
「おおぉ!」
「鉄球クレーンは階段部分の破壊に成功。次々にあさま山荘を破壊していくが思わぬ自体が発生する」
「……な、何が起きたんです?」
「機動隊員がバッテリーステーションを蹴飛ばしたためエンスト。この事件で鉄球クレーンが動くことはなかった」
「……」
固まる唯乃にみゆきは続ける。
「余談だがこの鉄球作戦。警察側では失敗だったと回想する人もいた。一方で連合赤軍元メンバーは『まさかね。こういう手段を使うとおもっていないんで。正直”ずるいんじゃないの“みたいな』と発言していることから一定の効果はあったのでは、と作者は思っている」
「……あ!」
唯乃が声を上げる。
「確か二階には人質がいたんですよね。だったら救出できるんじゃ?」
その希望を、みゆきは打ち砕く。
「二階に突入する警官隊。しかし二階はもぬけの空だった」
「……つまり警察の読みは外れていたと?」
「連合赤軍元メンバーは『来るとしたら階段を通じて来る訳ですから”三階をきちんと抑えておけばいい”』という発言していることから最初から二階には誰にもいなかったことが推測できる。そして
「恐れていた事態?」
「犯人のライフル銃が隊長二人を狙撃。後にその二人は
「殉職……」
「隊長が撃たれた後に警視庁から拳銃使用許可は下りたが、現場の混乱もあって命令が伝達されず、数名が発砲したに留まった(
「……」
「夜を越すと人質と犯人が放水用の水で凍死する危険があったため、当日中に人質救出と犯人検挙をしなければならなくなった。その後群馬県からの消防隊が駆けつけ消防車が連結。あさま山荘から離れた池から放水用の水を供給する事に成功。警察も決死隊を編成し再突入。高圧放水と警察の破壊作業によってバリケードや壁は破壊され、隊員達が連合赤軍の立てこもる部屋に突入。人質を救出し連合赤軍全員を生きたまま検挙した。ちなみに犯人達のケガは逮捕時のカスリ傷だけだったとか」
「……」
「こうして死亡者三名(警察官二名、民間人一名)負傷者二十七名を出した前代未聞の人質たてこもり事件は一つの終わりを見せた。事件が終わった後、町の人々が力を合わせて復旧させた」
「……」
「事件の翌年。あさま山荘事件のあった別荘地を見下ろす場所に「治安の礎」が建立される。その石碑には事件当時の様子を描いた銅版、事件の教訓と犯人の凶弾に倒れ殉職された二人の警察官の功績を称えた文章が刻印されている」
「……」
「作者の気持ちを代弁させてもらうと。あさま山荘では色々な方が人質となった管理人の妻を救うため、事件解決のために力を尽くされた。どの人も“自分に出来ることなら”、“絶対に人質を救い出す”。そういった謙虚と決意に満ちていた。そして人質救出とこれ以上被害拡大を防ぐため尽力した警察。迷走・暴走をした連合赤軍。誰かを思う人の温かさ(うつくしさ)。そして正義とは何かを考えさせられる事件だったと思う」
上記の事件を知る上で知っていたらいいかもしれないことです。
残虐な説明があるので注意してください。
連合赤軍
赤軍派と呼ばれる組織と革命左派と呼ばれる組織、京浜安保共闘と呼ばれる組織が合流して結成された組織。
総括(そうかつ)
本来の総括は全体を取りまとめること。
「真の革命戦士となるために反省を
山岳ベース事件
連合赤軍が同志に対して行ったリンチ殺害事件。14名死亡。この事件が発覚されたことにより連合赤軍に対する世論の好意的な意見は見る影を失った。
みゆきが”逮捕等”とぼかしていたのはこのこと。