■■ 晴華は転生者である。
転生者とはいっても前世の記憶は自身の名前以外はほとんど覚えていない、家族とか友達とか自分の最後とか思い出そうとした事は何度かあるがどうしても思い出せないのでそういう記憶というのは何処かへ置いてきたのであろう。
■■ 晴華が今世では▲▲ 遥となり、ほとんど泣かない大人しい子として育ち、3歳の時に捨てられた。
父と離婚し母に引き取られ、その日の夜に「ここで待っててね。」と孤児院前に放置された日には本気で死ぬかと思った。
孤児院は僕を快く受け入れてくれたが、ここで1つ新たな問題が発生した。
どうやら僕は体が弱いようである。
同い年の子達とのかけっこを1回するだけでへばってしまったり重い物があまり持てなかったりと、元家にいた頃は静かに絵本ばかり読んでいたので気が付かないことがたくさんあった。
2度目の人生自体が奇跡のようなものなので、そこは仕方ないと妥協し大人しくおままごとや本を読んだりすることにした。
それに1つ年上の士郎くんがよく気にかけてくれて、兄のような人がいたらこんな感じなのかなと思ったりして今ではとても仲良しである。
そんな楽しかった孤児院生活も2年が経つ頃には同い年の子もみんな良さそうな人達に引き取られ、残すは僕と士郎兄さんだけになりすっかり寂しくなってしまった。
それはとてもいい事であるが、問題はやはり僕と士郎兄さんである。
士郎兄さんはこの2年間、何人か引き取りがきたらしいが全て断っているらしく、その訳を聞くと『兄として、弟がちゃんとした人に引き取られるまでは側にいてやりたい』なんて事を少し照れながら言ってきた時には申し訳なさが胸一杯に広がった。
僕は転生者だ、ただの子供よりは見る目もあると思うし1人でだって全く問題ない・・・だというのに体の弱さを理由にして彼に頼りきってしまっていたのだ。
「別に僕なんか気にしないで自分の幸せを優先しなよ。」
お昼ご飯を待っている時、ふと言ってしまった言葉・・・多分、士郎兄さんにとってとても傷つく言葉だ。
子供は否定されるのに慣れていない、もしかしたら喧嘩になるかもしれない、もう言葉も交わさずお別れになるかもしれない、やってしまった、ただ1人の兄を、友を突き放してしまった。
(でも、多分これで良いのだ彼は彼の幸せを・・・)
「お前が幸せじゃ無いなら、俺が幸せになれるわけないだろ!!バカ!!」
それは兄から聞いたことのない怒声だった。
怒るのは何度も見た事がある、僕にではなく悪戯好きだった孤児院の家族達に対してだが・・・今日のはどこか違う。
何が違うのか、それは目を見れば分かった。
泣いているのだ、あの兄が。
今考えるとこの2年間一度だって見た事がなかった、いつだって笑って励ましてくれていた。
そんな兄が、僕の為に泣いてくれているのだ。
今度は嬉しさが胸一杯に広がった。
この世界に生まれて初めて誰かと本当の意味で家族になれた気がして涙が止まらなかった。
目の前でアタフタとしている兄を見て思った。
(ああ・・・僕はただ、ひとりぼっちが嫌だったんだな)
その後、様子を見にきた先生に兄さんが怒られたのは流石に悪いと思った。
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それから数日、今では2人して衛宮家の一員になっている。
・・・まあ、大まかな経緯を説明すると
ある日、衛宮切嗣さんとアイリスフィール・フォン・アインツベルンさんの2人がうちの孤児院にやってきた。
士郎兄さんを引き取ろうとするが、僕を理由に断る(寧ろ僕を貰ってくれと言う)僕は士郎兄さんが引き取られるまで待つ、そこでアイリさんの『なら、2人とも引き取っちゃえばいいじゃない。』発言から今に至る。
家は普通より少し大きな一軒家、夫婦の2人は仕事で年中飛び回るためなのかメイドさんが2人もいる、そしてなにより生まれて1年経っていない赤ちゃん・・・イリヤもいる。
兄さんは学校の為イリヤの遊び相手は僕の仕事だ。
メイドのセラさんとリズさんも時々様子を見にきてくれる。
最初は女性ばかりで色々と起こったが、今ではこんないい家族に出会えて衛宮 遥は幸せ者だ。
クロエがでない・・・タイトル詐欺だ!!