仮面ライダーソーシャル 戦う歌姫達と爆死する少年   作:BF・顔芸の真ゲス

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Gの参戦/Surpriseな乱入者

「……んぁ?」

 

一寸先も見通せない闇の中で、俺は目を覚ました。ぼんやりとしながらも辺りを見回すが、眠る前の光景とは全く違うという事しか分からない。

 

「俺は確か…」

 

立花を送った後、二課に戻った俺は精神的に疲れていたのか休憩所のベンチで寝てしまった。そこから考えれば此処は二課の休憩所でなければおかしいのだが、先程言った通り周りの光景は休憩所のものにはとてもじゃないが見えない。

 

「ん?こんな場所、前にも……」

 

「やあ、久しぶり」

 

「あったようなあぁぁぁぁ!?」

 

この場所についての心当たりに考えを巡らせようとした瞬間に背後から声をかけられ、変な声が出る。

 

「はは、そんなに驚いて貰えるなんて思わなかったよ。気配を殺して背後に回った甲斐があったね」

 

「んなトコに高度な技術を使ってんじゃねぇよ!?ホント性格悪いなアンタ!?」

 

勢い良く振り返りケラケラと笑う少女、神様を正面に見据え睨みつける。そんな俺の視線を物ともせずに、神様は言葉を続けた。

 

「酷いなぁ。私の性格の良さは神様界でもトップを争うレベルだと、神様達の間では評判だよ?」

 

「噓つけ!それは良い奴って意味じゃなくて、『イイ』性格してるって意味だろ!アンタクラスで善良なら、神様界性格悪いの多過ぎだわ!」

 

「ははは、確かに」

 

「認めんのかよ……で、何の用だ?世間話する為だけに態々こんなトコに呼ばないだろ」

 

「いんや、本当にただの世間話だよ?神様の仕事は同じ事の繰り返しで飽きやすくてね。君達転生者が日々のちょっとしたお話を聞かせてくれるだけでも嬉しいのさ」

 

そう言って神様は目線で何事かを話すように訴えかけてくる。その為だけにこんな所に俺を呼び出した神様の自分勝手過ぎる行動に苛々しつつも、俺は丁度神様に聞きたいと思っていた事を口に出した。

 

「……立花がガングニールの適合者になった」

 

「知ってるよ、見てたからね」

 

「あれはアンタの仕業なのか?」

 

「違うよ。彼女があの力に覚醒するのは必然だった。仮に彼女があの時ノイズの集団に出くわさなかったとしても、いずれ何処かでガングニールを覚醒させていた」

 

「そうか……」

 

得られた答えを元に更に考えを巡らせる。必然とは一体どういう事だ?この神様はこうなる事を知っていたって事なのか?

 

(……もしかして彼、今自分が居る世界が創作物を元にした世界だって事知らない?これ、結構有名なアニメだった筈なんだけどなぁ)

 

「……なあ神様、質問良いか?」

 

「ん、ああ構わないよ。迷える子羊達に道を示すのが神様の務めだからね」

 

「俺以外にこの世界に転生した奴は居るのか?」

 

割と気になっていた事だ。俺と同様に神様から何らかの特典を貰った人間、味方なら接触したいし敵なら対策を練りたい。この情報は内容次第では今後にかなり響く。

 

「居たよ?やったら態度デカくてウザい奴。あんまりにも腹が立ったから、ゼロノスのベルトをデメリットそのまんまで渡してやったけどね。もうとっくに存在が消えてるんじゃない?」

 

「うわぁ……」

 

ホント性格悪いなこの神様。いやまあ神様相手に生意気な態度を取ったそいつも大概だが、また随分とエゲツない所業を……

 

「……神様、もしかして俺のソーシャルドライバーにも何かしらのデメリットが有ったりするのか?」

 

「うん、有るよ?」

 

有るってさ(白目)。いやまああんな曲者なドライバー渡す時点でこの神様が性格腐ってるのは分かってたから、ドライバーに何かしらの悪い仕掛けが有っても驚きはしないけどさ。

 

「タダでチートな能力が手に入る訳無いだろう?ここは良くある異世界転生物の小説の中じゃないんだ。何の苦労も無しに力は得られないよ」

 

「至極尤もなお言葉どうも。ちなみにどんなデメリットなんだ?」

 

「教えない。それは君が自分で知るべき事だ」

 

つまりデメリットについては自分で調べろという事か。元よりこの神からマトモに教えて貰えるとは思って居なかったのでそこまで腹を立てる事でも無いが、やはりはっきり知りたい気持ちもある。

 

「聞きたい事はそれで全部かい?ならそろそろ君の意識を返そうと思うんだけど」

 

「ああ、今んとこはこれで全部だ」

 

本当はもう少し色々聞いておきたい所だが、どうせ真面目に答えてくれないだろうから質問するだけ無駄だろう。

 

「そうかい。それじゃ、今日はここでお別れだ。また其の内暇潰しに呼ぶかもしれないから、次はもう少し面白い話のネタを用意しておいてくれよ?」

 

神様のそんな迷惑極まりない言葉を最後に俺の身体が光に包まれ、意識が浮上していくような感覚に襲われる。

 

「またね、ーー。今度は、お茶の用意くらいしておくよ」

 

もう聞き取る事の出来ない俺の前世の名前を口にして、神様は俺に別れを告げた。

 

 

 

「……ん」

 

「目が覚めたみたいね」

 

目を開けた時、俺の側には翼が居た。

 

「……おい翼、学校はどうした」

 

「もうとっくに終わったわ。……檜山、あなたもしかしてずっとここで寝てたの?」

 

「……マジか」

 

半日以上を寝て過ごしたのか俺は。呆れたような顔をしてそう言った翼に俺は驚きを隠せない。

 

「今から作戦室で司令から話が有る。彼女、立花ももう来ているわ。分かったらさっさと準備しなさい」

 

「へいへい、了解了解」

 

ベンチから起き上がり、軽く服装を整える。若干服にシワが寄ってるが、まあ着れるなら別に構わないだろう。

 

「んじゃ、行くか」

 

先にスタスタと歩いて行ってしまった翼を追って、俺は作戦室へと向かった。

 

 

 

「悪い、遅れた」

 

「あっ!遅いよ幸助君!」

 

「半日以上寝てたとかアホかお前」

 

「幸助君、もう少しキチンとした生活態度をした方が良いんじゃ無いか?」

 

フルボッコである。まあ俺が一日の内の半分以上を寝て過ごしていたのは事実なので仕方無いのだが、普段寝るのも起きるのも遅い士さんや藤堯さんには言われたく無い。

 

「ともあれ、これで全員揃ったな。それじゃあ了子君、後は頼んだ」

 

「はいは〜い、任せて頂戴♪それじゃあ先ずは響ちゃんの纏ったアレについての説明ね。全員、モニターにちゅうも〜く♪」

 

櫻井女史の何ともテンションの高い声と共にモニターに立花のレントゲン写真が映し出される。

 

「これが響ちゃんのレントゲン写真。心臓の近くに傷が有るのが分かるわよね?」

 

「はい、あのライブの時に出来た傷です。何とか一命は取り留めて、今もこうしてピンピンしてますけど、傷は残っちゃったみたいで……」

 

そう言いながら苦笑して自分の傷が有る部分を眺める立花。それにしてもあの傷、楽譜に付いてるフォルテの記号に凄い似てるよな。

 

「その傷の部分に注目した結果、聖遺物の破片がある事が分かったの。……二年前に死んじゃった、奏ちゃんのガングニールの破片が」

 

「なっ……!?」

 

「おいおい、マジか……」

 

衝撃の事実に二課の面々が騒つく。あの士ですら思わず声を出してしまう中翼は、

 

「……やっぱり、そうだったのね」

 

嬉しいような、悲しいような、そんな様々な感情を秘めた顔をしていた。

 

「えーと、その、すみませーん。そのせいいぶつ?とかガングニール?について説明して貰っても良いですか?」

 

「ん〜、聖遺物の研究で名を馳せている身としては凄く詳しく解説したい所だけど、ちょ〜っと難しい説明になりそうなのよねぇ〜。幸助君、サクッと解説お願い出来る?」

 

まさかの丸投げである。いやまあ、櫻井女史の専門用語たっぷりの説明は立花の頭じゃ理解しにくいだろうが、それならそれで他に説明できる奴がいるだろうに。

 

「何で俺が……はぁ。立花、お前RPGとかやるか?」

 

「RPG?う〜ん、たまに?それがどうしたの?」

 

「それに出てくる伝説の装備って有るだろ?」

 

「うん、エクスカリバーとかゲイボルグとかだよね?」

 

「聖遺物っつーのは、遺跡とかから発掘されたそういう物の事を言う。お前の胸の奥にあるその欠片も、その一種という事だ。ガングニール……日本じゃグングニルって読み方の方がメジャーだな」

 

「……ああ!ガングニールってグングニルの事だったの!道理で何処かで聞いた事がある名前だと……ってうええぇぇ!?私の胸にそんな凄い物が埋まってたのぉ!?」

 

自分の胸に埋まっている物の正体を知って立花が大声を出す。全く、本当に騒がしい奴だ。

 

「そしてシンフォギアとは、それらの聖遺物の一部を加工して作られた対ノイズ用の装備。俺に説明を丸投げしたそこの櫻井女史が提唱した『櫻井理論』を元に作られた、人類の反撃の一手だ」

 

「えぇ!?それじゃあ了子さんってもしかしてかなり凄い人なの!?」

 

「そうなのです!実は私、凄い人なのでした〜♪」

 

「じゃあじゃあ!幸助君の、あの『仮面ライダー』っていうのも了子さんが作ったんですか?」

 

立花のその質問に先程まで得意げだった櫻井女史の表情が難しそうなものとなる。

 

「そうですって言いたいけど、残念ながら私が作った訳じゃあ無いのよねぇ。幸助君のソーシャルドライバーは、幸助君が二課に入った時から幸助君が持ってた物だから」

 

櫻井女史がそう言って俺の方を指差した途端、立花の視線が俺に突き刺さる。さて、どういった風に説明しようか。

 

「……あー、拾った」

 

「絶対嘘だソレ!?」

 

即バレである。俺が嘘が下手くそなのは前から分かっていた事ではあるが、かと言ってどう説明すれば良いのか分からない。神様に貰ったとか言ったら絶対頭おかしい人だと思われる。

 

「……正直俺もいつコレを手に入れたのか分からない。だがこれがノイズに対抗出来る数少ない手段である事、これが俺の所に来た事、それだけで俺が戦う理由になる」

 

「……だったら、私も戦う!」

 

「はぁ!?」

 

思わず変な声が出た。何を言ってるんだこいつは。

 

「私もこのシンフォギアっていうのでノイズと戦えるんだよね?なら私も幸助君と一緒に戦うよ!」

 

「いやいやいや!?お前自分の言ってる意味分かってんのか!お前がいつもやってる人助けとはワケが違う!下手したら死ぬ可能性もあるんだぞ!」

 

「私に誰かを助ける力が有るなら、私はその力で助けたい!それに幸助君だって私や未来に隠れてこんな事二年もやってたんでしょ?」

 

「うぐぅっ……!?」

 

図星を突かれて言葉に詰まる。何とか説得しようと思ったが自分が説得力ゼロの塊である為、大人連中に助けを求めて視線を向ける。

 

「良いんじゃないか?ノイズに対抗出来る人材は多いに越した事は無い。響君が入ってくれれば、翼や幸助君も少し は楽になるだろうし」

 

「司令!?」

 

「俺もいつまでこの世界にいるか分からないからな。立花の加入は有難い事だと思うが」

 

「士さん!?」

 

「と言うか、正規の人材じゃないにしろ装者を一般人のままにはして置けないわよねぇ?」

 

「櫻井女史!?」

 

何てこったい、大人は皆賛成側だよ。最後の希望の翼に視線を移す。

 

「私も賛成よ檜山。寧ろ、反対する理由が無いわ」

 

「お前もか翼……!」

 

まさかの四面楚歌。これは俺がどう反対しても立花の二課加入は止められないだろう。

 

「……はぁ、勝手にしろ」

 

「やったぁ!これから宜しくね幸助君!」

 

「よぉし!それじゃあこれから響君の二課加入を記念して歓迎会をーー」

 

「そうしたいのはやまやまだけど、ノイズが出たわよ弦十郎君!」

 

ノイズ出現を告げるアラームが鳴り、二課の面々の表情が緊張した面持ちとなる。ちらりと地図を確認してノイズの出現位置を把握し、俺は一足先に駆け出す。

 

「あ、ちょ、幸助君!?」

 

「先に行く。立花、ついて来たければ勝手について来い」

 

「待て幸助君!ノイズの出現場所はここからじゃ結構遠いぞ!現地まで送るから他のメンバーと一緒にーー」

 

「その心配は無用だ!」

 

《キャラガチャ!》

 

司令の制止を無視し、通路で変身する。直ぐにソーシャルドライバーが別のベルトに形を変え、右手にカードデッキが現れる。

 

「今回はこれか、中々運が良いな。変身!」

 

《great!星3!仮面ライダー オルタナティブゼロ!》

 

カードデッキをベルトに挿入し、仮面ライダーオルタナティブゼロに変身する。そして近くの鏡からミラーワールドに突入し、俺はそこから現地へと向かった。

 

「幸助君!ってあれ!?もういない!?」

 

鏡の向こう側から、立花のそんな声が聞こえた。

 

 

 

「……現地に到着。人的被害は……今の所無さそうだな」

 

道中様々な鏡から出たり入ったりを繰り返し、割と早い時間帯で目的地に到着する。地図を見た時には分からなかったが、どうやら此処は高速道路らしい。

 

「ノイズは……見つけた。って何だあの気持ち悪いの」

 

ノイズの集団の中に一際デカくて気持ち悪い個体を発見する。何か前世で見たジブリ映画にあんな感じの奴居た気がする。

 

「さてと……全員纏めてブチ殺してやる」

 

《ソードベント》

 

カードを使ってオルタナティブゼロの武器であるスラッシュダガーを召喚、そしてそのままノイズの集団へと突っ込む。

 

「ーーはあッ!」

 

近くにいるノイズを手当たり次第に斬りつけて炭素に変えて、集団の更に奥まで切り進む。やはり星3の火力は高いようで、どのノイズも一撃か二撃で倒せる。しかしノイズの集団も数だけは無駄に多い為、中々奥にいる大型ノイズまで辿り着く事が出来ない。

 

「数が多いな……ならこれだ!」

 

《アドベント》

 

『オアアァァァァ!!』

 

少しでも数を減らす為、契約モンスターのサイコローグを召喚して人手を増やす。同じ契約モンスターなら龍騎のドラグレッダーを呼び出したかったが、何のライダーが出るかは運次第なので仕方が無い。それにうろ覚えだが確かこいつも結構強いモンスターだし、気を抜いたらムシャムシャされそうな蟹よりはマシだろう。

 

そんな感じで順調にノイズを殲滅していると、何体かのノイズがこの場からの逃走を図り出した。

 

「あっ、コラ逃げんな!」

 

《ホイールベント》

 

すかさずサイコローグをバイク型のサイコローダーへ変形させ、逃げようとしたノイズ達を轢き潰す。すぐさま方向転換し、そのまま残りの集団の所へ突き進む。

 

「終わりだァ!!」

 

《ファイナルベント》

 

オルタナティブゼロのファイナルベント、【デッドエンド】が発動し、ノイズの集団を瞬く間に殲滅する。基本動きの遅いノイズ達がこれを躱せる筈も無く、大型ノイズを除く全てのノイズを轢き潰す。そして俺が大型ノイズに狙いを定め突進したその時ーー

 

《ファイナルベント》

 

「ーー何!?」

 

夥しい数の砲弾、銃弾、ミサイルの雨が、俺と大型ノイズ目掛けて降り注いだ。

 

「っ、うおわあぁぁぁぁ!?」

 

咄嗟にサイコローダーから飛び降りて回避を試みるも、攻撃の範囲が広過ぎて失敗。爆風で吹き飛び、そのダメージで変身が解除される。

 

「がはっ!?今のは、まさか……!」

 

攻撃の直前に聞こえた電子音、そして今の広範囲にわたる殲滅攻撃。その情報から、一人のライダーの姿が俺の頭によぎる。

 

《シュートベント》

 

「っ、危ねぇ!?」

 

爆煙の中からの砲撃を、地面をごろごろと転がって何とか回避する。相当ヒヤリとしたが、今の攻撃で敵の正体を見極める事が出来た。

 

「……マジかよ」

 

爆煙の中からこちらに向かって歩いて来る一人のライダーを視認。緑のボディーに戦車を彷彿とさせる外見、間違いなく仮面ライダーゾルダだ。

 

「…………」

 

「ダンマリかよ。せめて俺を攻撃した理由くらい説明してくれませんかねぇ?」

 

「…………」

 

「無視かよ糞がっ!」

 

俺の問い掛けには答えずに、ゾルダは再び俺を攻撃しようと砲塔を俺に向ける。

 

(……ちと不味い展開だな。あっちはいつでも攻撃出来る体制で、こっちは変身解除された生身。変身を挟むからどうしても行動が相手よりワンテンポ遅れちまう。さっきのファイナルベントでノイズが全滅したのが唯一の幸いか)

 

何でいきなりゾルダが俺を攻撃してきたのかは分からないが、襲われた以上は相手をするしかないだろう。そう考えてソーシャルフォンを構えた瞬間、背後で何かが弾けたような音と共に強い閃光がほどばしった。

 

「おいおい次は何だ!?」

 

ゾルダと距離を取りながら素早く後ろを振り返ると、先程全滅した集団と同じくらいの規模のノイズ達が俺に向かってじりじりと近づいて来ていた。

 

「おかわりなんて頼んで無いぞ畜生が……!?」

 

前門のゾルダ、後門のノイズ。逃げ場無しの挟み討ち。少しでも被害を減らそうと翼と立花を待たずに出撃したのがここで裏目に出た。

 

(どうする……!ダメージ覚悟で変身するか?いやどっちの攻撃も生身で受けたら死に直結する。何とかしてどっちかを取り除ければ良いんだが……!)

 

まさに絶対絶命のピンチ。これが前世で見てた特撮なら何かしらのイベントが起きてなんとかピンチを切り抜ける流れだが、生憎これはリアルだ。

 

「……はぁ、翼と立花が来るまで保つかな俺?」

 

「呼んだ?」

 

「ってうわあぁぁぁぁ!?立花お前いつからここに!?」

 

「私も居るわよ檜山」

 

「翼もか!?」

 

余りにも絶望的な状況に思わず弱音を吐いたその時、どこからか現れた二人が返事を返して来た。

 

「お、お前らどうやって来た!?どんな交通手段を使っても本部からここまで少なく見積もっても三十分はかかるぞ!」

 

「緒川さんよ。檜山が無茶しそうだからって叔父様が緒川さんに頼んだのだけれど、案の定無茶をしたわね」

 

「凄いんだよ幸助君!緒川さんが私と翼さんの手を掴んだと思ったらバビューンって景色が変わったの!もう兎に角凄かったんだから!」

 

「あの人か……」

 

そうだった、そういえばあの人リアルニンジャだった。瞬身の術使えるとか色々おかしいだろもうあの人が忍術使ってノイズ倒せよ。そんな念を込めながら俺は視界の端にちらりと映った緒川さんに視線を送る。緒川さんは少し困ったような顔で笑うと、一礼してドロンと消えた。

 

「檜山、状況説明をお願い。アレは貴方と同じ仮面ライダーで良いのよね?」

 

「ああ、そんで敵だ。あっちは俺がやるから、ノイズはお前と立花に任せるぞ」

 

「了解したわ」

 

ゾルダを見ながら俺に問いかける翼に、俺はそう答えを返した。その瞬間、立花が俺に異議を唱えて来た。

 

「ちょっと待ってよ幸助君!あの人が幸助君と同じ仮面ライダーなら、ちゃんと話せば分かり合えるよ!何も戦う必要は……」

 

「先に仕掛けて来たのはあっち、俺は売られた喧嘩を買うだけだ。それに別に俺はアイツを殺す気は無い。ボコって本部までふん縛って洗いざらい全部吐くまで拷問するだけだ」

 

「十分物騒だよ!?」

 

立花が顔を青くして叫ぶがこれでも十分抑えた方だ。それに俺の予想が正しければ、アイツを倒す事は出来ても恐らく捕まえる事は不可能だ。なら加減をする必要は無い。

 

「兎に角、立花は翼と協力して後ろのノイズを相手してくれ。……正直な話アイツの相手するので精一杯だから、本当に頼むぞ」

 

「……分かった!」

 

「背中は任せなさい、檜山」

 

そう言って立花は拳を、翼は刀を構えてノイズへ鋭い視線を向け戦闘態勢に入る。その二人の姿に頼もしさを覚えながら、俺もゾルダを相手すべくソーシャルフォンを構えた。

 

《キャラガチャ!》

 

ソーシャルフォンから音声が流れ、俺を囲むように周囲に光の柱が出現する。最初は白かったその光がやがてどんどんと強くなり、銅色、銀色へと色を変えて行く。そして一際強い輝きと共に、光が金色へと変わる。

 

「Sレアキターーーッ!!先に言っとくぜウシ野郎!今からの俺は、かなり強いぞ!」

 

《amazing!!星4!仮面ライダーカリス!!》

 

「変身ッ!!」

 

《チェンジ》

 

ハート型のバックルに姿を変えたソーシャルドライバーにハートのカテゴリー1をラウズし、ハートの戦士『仮面ライダーカリス』に変身する。

 

「……グッ!?」

 

変身が完了した瞬間、心臓を鷲掴みにされたような激しい痛みと、焼け付くような熱が俺を襲った。視界が揺れ、立っているのも困難なくらいのその症状と共に、頭の中に響いてくる声を聞く。

 

ーータタカエ!タタカエ!タタカエ!

 

「ーーッ!!」

 

自分の内側から響くその声が自分の闘争本能である事に気づくのに、数秒もかからなかった。俺の意識を呑み込もうとするそれを必死に押さえ込み、何とか体勢を立て直してゾルダ目掛けて突進する。

 

「ーァアアッ!!」

 

「……ッ!」

 

『醒弓カリスアロー』を振り下ろしゾルダを斬りつけ、回避行動を取ろうとした瞬間に矢を放って吹き飛ばす。ゾルダもただやられるばかりではなく、瞬時に受け身を取って俺に向けて銃弾を放つ。

 

「オオォォァァアアアッッ!!」

 

銃弾を回避せずにそのままゾルダに突撃、カードを使う暇を与えないように攻撃を続ける。

 

「……ッ!」

 

「逃がすかこの野郎!」

 

「……ッ!?」

 

不利を悟ったのか逃走を図るゾルダの身体を蹴倒し、頭を思い切り地面に叩きつける。そのまま倒れたゾルダの身体を蹴りつけ、大きく吹き飛ばす。

 

「終わりだァッ!!」

 

《フロート》

 

《トルネード》

 

《ドリル》

 

【スピニングダンス】

 

「ハァァァァァァァッ!!」

 

「…………ッッッ!?」

 

地面に倒れ込んで動けないゾルダに、トドメの一撃を食らわせる。ダメージが大きく回避行動を取れなかったゾルダはまともに食らい、声を上げる間も無く爆発した。

 

「幸助君!こっちは終わったよ!」

 

「どうやら、そっちも片付いたみたいね」

 

ノイズ達を片付けて来た翼と立花が俺の所にやって来る。俺は他に敵が居ない事を確認し、変身を解除した。

 

「ああ、何とかな。どっちも怪我は無いか?」

 

「大丈夫!翼さんのお陰でこの通りぴんぴんしてるよ!」

 

「立花は中々筋が良いわ。アームドギアこそまだ使えないけれど、十分な働きを見せてくれた。これからの成長に期待ね」

 

「ホントですか!?翼さんにそんな風に言って貰えるなんて感激です!」

 

目を輝かせながらそう言った立花に、翼は穏やかな表情を浮かべる。翼の事情などを考えるとどうなるか少々不安だったが、案外良い感じに二人とも仲良く出来ているようで何よりだ。

 

「それより幸助君、あの緑の人はどうしたの?さっき何かが爆発したみたいな音がしたんだけど……」

 

「ああ、爆発した」

 

「爆発しちゃったんだ!?」

 

目を丸くして叫ぶ立花に見えるように、ゾルダが爆発した所を指差す。そこにはゾルダの姿は無く、ゾルダが居た痕跡も存在しなかった。

 

「……逃げられた?」

 

「みたいだな。翼、立花を連れて先に戻ってくれ。俺はちょっとこの辺りを調べ、て?」

 

「幸助君!?」

 

不意に足から力が抜け、その場に倒れ込んだ。

 

「幸助君!?大丈夫なの!?」

 

「や、やばい……!?指一本マトモに動かない……!?」

 

「疲労ね。櫻井女史に診てもらうように連絡しておくわ。これに懲りたら一人で先走ったりしない事ね」

 

「ぐぬぬぬぬ……!流石に短時間で二回も変身したのが不味かったか……!?」

 

硬い地面に顔をくっつけながらそう呟くと、立花と翼が俺の腕を掴んで引っ張り上げた。

 

「幸助君、肩貸してあげるよ!」

 

「いや大丈夫だって、起こしてくれれば一人で歩け……ねえやチクショウ。足の感覚が全く無ぇ」

 

「変に意地を張るんじゃないわよ。ほら、私も肩を貸してあげるから、とっとと本部へ帰るわよ。調べ物なら緒川さんにやっておいて貰うから、大人しく運ばれなさい」

 

そんな感じで二人に肩を貸して貰い、俺は本部まで引き摺られていった。

 

「……ん?」

 

「どした立花、急に後ろ向いて」

 

「いや、なーんか誰かに見られてるような気がして……」

 

「緒川さんじゃないの?」

 

「いや、誰も居ないみたいです。うーん、気の所為だったのかなぁ……?」

 

 

 

 

 

「……驚いたね、まさか僕の視線に気がつくなんて」

 

幸助達が戦闘していた場所から少し離れた所にある廃ビルに、その視線の主は居た。

 

「あれがガングニールの新しい装者、融合症例の立花響。『彼女』が言っていた標的か。中々骨が折れそうだ」

 

響に視線を向ける青年はそう呟くと、次は二人に引き摺られる幸助へと視線を移した。

 

「そして彼が鳴滝の言っていた例の少年か。確かに腕は立つみたいだけど、能力的には士の劣化版。鳴滝が気にする程の人間とは思えないな」

 

青年は懐から二枚のカードを取り出す。一枚は幸助が先程戦ったゾルダのカード。そしてもう一枚には、五人のライダーの姿が描かれていた。

 

「ゾルダ一人では彼には勝てなかった。なら、今度は彼らを使ってみようか」

 

二枚目のカードを見つめ、青年は不敵な笑みを浮かべる。

 

「覚悟していたまえ。君達のお宝、僕が必ず頂戴させて貰うよ」

 

そう言ったのを最後に、青年の姿は影も形も無くなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回変身したライダー

仮面ライダーオルタナティブゼロ(星3)
星3の中でも結構高いスペックを持つライダー。高APのファイナルベント、アクセルベントによる高速戦闘など強力な攻撃手段を持つ。

仮面ライダーカリス(星4)
ハートのスートのラウズカードで戦う仮面ライダー。星5ではないのでワイルドカリスは使えないが、それを抜いても十分過ぎる身体スペックを持っている。
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