カズマです。
ハチマンが行方不明になってから、10日が経ちました。
仲間の様子はというと……。
「ハチマン…お兄ちゃん……ハチ兄……お兄様……ふへへ……。」
「シュワシュワ……シュワシュワ……お肉と一緒に……でへへ……。」
「罵倒してくれ……いや、違うな……これは、ある種の放置プレイ!……これはこれで……ハァハァ……最高だ、ハチマン……デュフフ……。」
という感じに、机に突っ伏しながら項垂れているうちのパーティーの女共。
なんなんの!?本当に!
ハチマンロスが、ここまで響くもんなの!
てか、周りの冒険者達もハチマンが行方不明と聞いてから変にテンション下がってるしよ!
どんだけ、影響力あるんだよ!
てか、アクア、お前に関しては宝島で稼いだ金3日で使い切る方が悪いだろ。
はぁ~……。この空気どうすっかなぁ。
そんな事を考えていたら掲示板が目に入った。
「おい、お前らクエスト受けに行かないか。」
「「「え~。」」」
オレの言葉に、3人から乗り気ではない感じの返事が返ってきた。
だが、オレには秘策がある。
「おい、アクア。お前、シュワシュワと肉が食べたいんだよな?」
「え、えぇ。」
「なら、多少キツいクエストをやって金を入手するぞ。なんなら、倒した敵から材料を入手して、それを売ればもっと美味い酒が飲めるかもだぞ。」
「美味しいお酒……。お酒……!行くわよ!」
アクアは、項垂れた表情から活気に満ちた表情へと変わっては掲示板へと向かった。
よし、1人確保。次は……。
「めぐみん!どんどんクエスト受けて、レベルが上がっていけば爆裂魔法の威力も上がる。それに加え、ハチマンが戻ってきた時にレベルと威力を見たら褒めてくれるぞ!」
「爆裂魔法……レベルアップ……ハチマンに褒め貰える……行きます!すぐ、行きましょ!」
めぐみんも、意気揚々と掲示板へと向かって行った。
最後は……。
「ダクネス。お前は……どうでもいい。とりあえず、来い。」
「扱いが酷い!」
ぶつくさ言いながらもダクネスも掲示板へと向かった。
コイツら、ちょろっ。
そんな事を思いつつ、オレも掲示板へと向かった。掲示板に着くなり、難しい顔をしながらクエストを吟味しているアクアの後ろに立った。
アクアは、オレが後ろに立っている事に気付かずに、真剣な顔をしてクエストを選んでいた。
そして、1枚のクエストを選んだ。
「よし!」
「よし!じゃねぇよ!お前は、なんつうの受けようとしてんだよ!」
アクアから選んだクエスト用紙を奪った。
そこに書かれていた内容は……。
『マンティコアとグリフォン討伐依頼。平原で、マンティコアとグリフォンが縄張り争いが勃発しています。放っておくと危険の為、速やかに討伐してください。報酬 120万エリス。』
「アホか!」
オレが叫ぶと、貼り紙を元の位置へと戻していった。
危ない危ない、真剣に選んでるから大丈夫かなと思ってたが、念の為に背後から見ていて良かった。
「ったく……なによ!2匹いるだから、纏まっているとこにめぐみんの爆裂魔法をやればいいじゃない……。しょうがないわね~……」
コイツ、その危険の2匹を纏める作戦についてオレに投げる気だな。
いっそこのクエストを受けて、1人で出そうか悩むオレに、アクアは興奮しながらオレの裾を掴んできた。
「ねぇ!これよ!これ!私にぴったりのクエストよ!」
言われて、クエストを確認すると。
『タルラン湖の浄化。街の水源の一つのタルラン湖の水質が悪くなり、ブルータルアリゲーター等の凶暴なモンスターが住みつき始めたので水の浄化を依頼したい。湖の浄化ができればモンスターは生息地を他に移す為、モンスター討伐等はしなくてもいい。※要浄化魔法習得済みのプリースト。報酬は30万エリス』
「お前、水とか浄化できるのか?」
「ったく、何言ってるのよ!私を誰だと思っているの?というか、名前と外見と神々しさで、何を司る女神か分かるでしょ?」
「宴の神。」
「ちっがうわよ!クソニート!水よ、水!この青い髪が目に入らないの!ったく……ハチマンだったら、すぐに分かってくれるのに……。」
「へいへい、わるーございました。」
だが、水の浄化するだけで30万か。
なかなか美味しいクエストだな。
特に討伐をしなくてもいいって所が最高だ。
それに敵が出たとしても、めぐみんの爆裂魔法もあるからな。
「ん?でも、コレならお前1人でも受けてきてもいいんじゃないか?しかも、報酬も独り占めできるんだし?」
オレの言葉に、アクアは渋い顔した。
「え、えぇ……。だって湖で浄化してる時に、敵が沸いてきたら浄化する事ができないじゃない?だから、浄化するまで守って欲しくて……。」
なるほどな。そういうことか……。
しかし、ブルータルアリゲーターか。名前から察するに、ワニだな。めちゃくちゃ危険そうだな。
めぐみんの爆裂魔法打ったとしても、カエルの二の舞になりかねん。
「ちなみ、浄化するまでどのくらいかかるだ?5分くらいか?」
まぁ、長くても1時間くらいなら問題は無いはずだ。
アクアは、また渋い顔しながら
「……半日くらい?」
「長ぇよ!ふざけんなよ!」
ったく、オレはすぐさまクエスト用紙をボードに戻そうとするとアクアがしがみついてきた。
「あぁっ!お願いぃぃぃ、お願いよ、お願いします!他に禄はクエストがないのよ!協力してよー!」
泣きながら懇願するアクアだが、クエスト用紙を戻そうした時に、ふと気がついた。
「なぁ?アクア。」
「なによ?」
「浄化って、どうやってやるんだ?」
「……へっ?私くらいなら水に触れてるだけで浄化されていくわよ。」
「ほーう……ならいい方法があるんだ。やって見るか?」