翌日、FクラスにFクラスの生徒が集まると雄二は教卓の前に立ちみんなの注目を浴びながら口を開いた。元神童の力が炸裂する瞬間と成った。
「皆、聞いてくれ!昨日教室が荒らされた時、姫路の大切な持ち物が盗まれたらしいんだ!!」
「「「な、何いいいいいいいいいいいいいいい!!!」」」
雄二の発言にFクラスの男どもの野太い声が教室に響き渡る。
「そこでだ、皆に訊きたい。女子の持ち物を盗む変態が代表のクラスに俺達は負けていいと思うか?」
「思う訳がないだろう!!」
「姫路さんの荷物を盗むなど万死に値する!」
「殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺!!!」
教室の口々から発言が聞こえ最後は聞いてはいけなかったのでは無いかと思うような教室と成ったFクラス。そんな中雄二は更に発言をする。
「皆の気持ちは分かった。お前らも男として幾ら戦争だからと言って女子を困らせるような事をするBクラス代表を許しておけないと言う事だな?」
「「「おう!」」」
Fクラスの何人かは黒い衣装に身を包み手には鎌を持ち顔は額の部分にFと書かれた三角の黒い覆面を被っていた。Fクラスの教室に殺気が漂い始める中雄二は教卓をドンと叩いて続ける。
「ならば勝つぞお前等!!お前らの何人かが死んでも後ろが居る!お互いを信じろ!良いか、例えお前らの何人かが戦死をしようとも俺らなら勝てる!いや、勝つんだ!!他人のしかも女子の持ち物を取って匂いを嗅ぐ変態が代表のBクラスに俺らが負けるはずがねえ!いや、負けてはならないだろう!!男なら、この戦い勝利を掴んで見せようぞお前等!!!」
「「「うぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」
これ以上ないと思うぐらいFクラスの士気が高まる中雄二は更に爆弾を落とした。
「あ、言い忘れていたがBクラス代表の根本には彼女が居るらしいぞ。相手はCクラス代表 小山友香だそうだ。毎日手作り弁当を作って貰っているらしいぞ」
雄二がそう言った瞬間教室の空気がピシッと変わった事が実感できた。
一瞬にして明久、土屋、秀吉、雄二、島田、姫路を除く全てのFクラスの生徒が黒い衣装を身に包み手には大鎌を持ち額にFと書かれた三角の黒い覆面姿の団体通称FFF団と成った。
キーンコーンカーンコーン
そして、Bクラス代表の死刑宣告を告げる鐘が鳴る。
「よーし、お前等逝って来い!Bクラス代表を討ち取れ!!交渉が出来れば生死は問わない!!!」
無情にも雄二はFクラスの生徒にそう言うとFFF団と成ったFクラスの連中は凄い勢いで教室を出て行った。
Fクラスの教室に残った明久は教卓付近に居る雄二に寄ると話しかける。
「雄二、流石に生きてなきゃ交渉は出来ないよ」
指摘をするところがそこかよと思う明久の発言に雄二は驚く発言をした。
「いや、前に出たら口が勝手に喋りはじめた。流石にあれはやり過ぎたぞ」
どうやら先ほどの雄二の発言はアドリブだった事が分かる。
流石は元神童と言うべきか分からないが、しかし先程の雄二の発言で教室を出て行ったFクラスの連中は恐らくもう止まらないだろう。最初の雄二の発言で士気は最高であったのに更に雄二が爆弾を落としたのだ。
例えるならば焚火で最高状態の所にニトログリセリンやらガソリンをブチ撒いた状態である。最早FFF団と成ったFクラスの連中を止めるすべはFクラスの生徒全員の戦死か、Bクラス代表を討ち取る事のみと成ってしまった。
そして、10分後
ピンポンパンポーン
校内にBクラスの敗北を知らせるアナウンスが流れる。
坂本、明久、姫路、島田、土屋は未だFクラスに居た。しかし、FFF団と成ったFクラスは彼らの手を借りずただ嫉妬のみで勝ち上がりBクラス代表根本 恭二を討ち取った。
FFF団と成ったFクラスを相手にする事自体がBクラスの敗北の原因だった。
Fクラスの生徒が一人戦死してもFFF団は構う事無く戦った。「Bクラス代表、殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺」と言いながらまるで王蟲の軍団の行進のごとく、轟く勢いで次々とBクラス前に立ちふさがる敵を戦死させて行き、遂にはBクラス代表根本 恭二を戦死させた。その後、FFF団に処刑されたのは言うまでもない事だった。
知らせを受けた坂本を中心とする教室に残ったと言うか出遅れた人達がBクラスに入るとお岩さんを思わせるように顔が凄く腫れ上がったBクラス代表の姿が目に入った。
「え~と~戦後対談をしたいのだが…………無理か」
足元に転がるFFF団にフルボッコにされた根本を見ながら雄二は呟く。
「くっ、教室を明け渡せば良いんだろう!」
顔をお岩さんの様に腫らした根本が悔しそうに言うがその様子は落ち武者の亡霊の様だった。
が、雄二はそれでも追撃を駆ける
「いや、条件しだいで教室を明け渡さなくてもいいぞ?」
雄二がそう言うとBクラスはざわつき始める。
「一体何が条件だ?」
怪訝そうな顔で訊いて来る根本。
「俺らの目標はあくまでAクラス打倒だ。Bクラスになんぞ興味は無い。俺らの条件はお前だよ根本」
「お、俺だと!?」
「驚くようだがお前心当たりがあるんじゃねえのか?」
「な、何の事だ!」
虚どり始める根本。
雄二はその様子を見ると確信した。
「心当たりがないと?」
「当たり前だ!」
根本がそう言うと雄二は不敵な笑みを浮かべる。
「誰か根本を押さえてろ!」
雄二がFクラスの連中に命令するとFクラスの二人が根本を押さえつける。
雄二はその様子を確認すると根本の制服を荒らし始める。
「な、何をする!!」
慌てる根本だが雄二は更に根本の制服を調べる。
上着の右ポケットを調べ終え左ポケットに手を突っ込むと雄二はニヤリと笑った。
そして、左ポケットの中に有った一つの手紙を取り出した。
取り出した手紙を根本に見せつけながら雄二は言う
「根本、これはお前のものか?」
「あ、当たり前だ!」
「フ~ン、だとしたら趣味が悪いなハートマークのシールを付けるなんてよお!」
「そ、それは俺の下駄箱に入っていた物だ!」
根本がそう言った瞬間FクラスとBクラスの生徒が全員「ないない」と言いながら首を横に振った。
そんな中雄二は更に言う
「根本、実はな。うちのクラスの姫路が昨日教室を荒らされた時に手紙を無くしたみたいなんだよ。お前等と戦う前は確かにあったって言うんだけどな、昨日どんなに探しても見つからなかったんだよ」
「………」
沈黙する根本だが雄二は更に続ける。
「姫路、ちょっと来てくれ」
「は、はい!」
姫路が雄二の傍に行くと雄二は姫路に触らせないようにしながら姫路に手紙を見せる。
「これはお前が無くした手紙か?」
裏表を見せながら姫路に尋ねる。
「はい、私が無くした手紙にそっくりです」
姫路の言葉でBクラス内がざわつく
「それって!」
Bクラスの一人がそう呟くと雄二はそいつの方を向く
「ああ、これは恐らく姫路の物だ。根本は姫路からこの手紙を奪ってこれを交渉に出て戦場に来ない様にしようとしたんだ」
雄二が言い終ると根本は床に押さえつけられながらも喚く
「出鱈目だ!そんなの」
その言葉を聞き雄二は更に笑みを浮かべる。
「出鱈目?いいや違うと思うぞ根本。お前は嘘をついている。お前は姫路から手紙を盗んだ!そして、手紙を交渉材料にしようとした!」
「嘘だ!!」
「嘘だと思うか?」
「当たり前だ!」
「根本………お前は阿呆だな」
「何い!?」
「何の為に姫路に触らせないように俺が姫路に見せたと思ってるんだ?」
「………まさか!?」
「そうだ、指紋だよ。お前の証言が正しければこの手紙に姫路の指紋は一つもついていないはずだ」
根本はそれを聞き黙った。
最早彼に逃げ場などなかった。誰が指紋の事まで考えるだろうか?
元神童を相手にするには根本では力不足だった。
Bクラスはその様子を見て黙り込む。勝ってもこの真実を知れば嬉しくは無かっただろう。負けて良かったと思う人も何人か出始めていた。
「根本、お前にはこれからAクラスに行ってBクラスはAクラスに戦争を申し込む準備をしていると言って来い。ただし、宣戦布告はするなよ。よし、根本を離せ」
雄二がそう言うと根本を押さえていたFクラスの生徒は退き、根本はふらついた足取りでAクラスへと向かった。
根本が居なくなったBクラスで雄二は続ける。
「これで戦後対談は終わりだ」
雄二はそう言うとFクラスの連中を引き連れてBクラスを後にしたのだった。