Bクラス戦を終えた放課後、雄二は明久、土屋、秀吉を引き連れ、屋上で会議を始める。
「それじゃあ、早速だがAクラス戦について話し合おうと思う」
明久は挙手をして雄二に質問をする。
「雄二、僕達Fクラスだと点数差がAクラスに比べるとかなりあるんじゃない?」
雄二は腕を組み、眼を瞑るとうんうん頷く。
「確かに俺らFクラス全体の点数だとその差は歴然だ」
秀吉が雄二に質問する。
「しかし、雄二よ。それならばAクラスにどうやって勝つというのじゃ?」
土屋もうんうんと頷き雄二の言葉に耳を傾ける。
「確かにFクラスとAクラスの戦力差じゃ客観的に見るなら、どっちが勝つかは火を見るより明らかだ」
「それじゃあ、どうするのじゃ?」
雄二は質問をする秀吉を見ると口を開く。
「確かに普通の正攻法じゃ勝てないだろう」
雄二はにやけながら続ける。
「だが、これは戦争だ。勝てば官軍なわけだぜ。根回しを色々しているに決まっているだろう」
雄二が言い終わると明久や土屋の背後にある屋上の扉がタイミングよく開かれた。
「雄二、話って何?」
扉が開かれ現れたのはAクラス代表 霧島翔子。そして、その背後に工藤愛子と木下優子がいた。
3人は雄二の傍によると雄二は話を切り出した。
「翔子、俺らFクラスは明日お前らAクラスに宣戦布告をする」
明久は頭に?を浮かべながら雄二に尋ねる。
「雄二、宣戦布告は明日やれば良かったんじゃない?」
「確かに学力が同じならそれで構わない。だが、俺らはFクラスだ。Aクラスと比べると天と地ほどの差がある。なら、此処を使わないでどうする」
雄二はそう言うと自分の頭を指さす。
「頭?」
「あ~、そうだ明久。俺らは学力が乏しい。だが、戦場とは何が起こるか分からん。……例えば代表同士が裏で結託していたとかな?」
雄二はそう言うとニヤリと笑い、邪悪な笑みを浮かべる。
「雄二、一体何をする気じゃ?」
秀吉は雄二の邪悪な笑みに若干引きながらも質問をする。
「何、単なるクラス代表同士の話し合いだ」
雄二はそう言うと霧島翔子の方に顔を向ける。
「翔子、Aクラス対Fクラスの戦いはサドンデスを申し込みたい」
「……分かった」
コクリと頷く翔子に雄二は待ったをかける。
「待て翔子」
「何?」
「サドンデスは明日再びAクラスに宣戦布告の時に言うが、タダで引き受けると何かあると誰もが思うだろう。そこでだ、工藤!」
雄二に突然呼ばれたことに工藤愛子はビクッとする。
「ぼ、僕?」
「ああ。お前には宣戦布告の時に待ったをかけて欲しい」
「そんな事をして大丈夫なの?」
「ああ。むしろして貰わなければ困る」
雄二の言葉に一同が疑問を持つ。
そんな一同を見て雄二は続ける。
「まあ、みんなが疑問を持つのも仕方ないと思う。だがな、これも作戦だ。皆も考えてみてくれ。行き成り敵クラスが現れて挑まれたら不快感を覚えるだろう?それを翔子、お前が「ハイ」とすんなり受け入れてみろ。俺らと繫がっていると思われるだろう。まあ、事実なのだが……それでだな、工藤。お前が待ったを掛けてみろ。少なくとも工藤、お前は俺らと繫がっているとは思われない」
「な、成程」
「だからこれからの事を有利に運びやすくなる」
「それで僕は何をしたら良いのかな?」
「お前は俺が翔子にAクラスに対して宣戦布告をして応じると待ったを掛けてこう言って欲しい「代表、何か裏があるんじゃないか?」と」
「僕がそんな事を言って大丈夫なの?」
「無論だ。翔子は代表でクラス内での支持率が高いだろう。だが、全員が全員、翔子を慕っているわけでもないだろう。事がすんなり運べばうまく出来すぎていないかと疑問に思う奴が現れる可能性もある。確実に疑いの芽を摘み取りたい。無論、予期せぬ事態にも成らないこともないが、まあその時はその時だ」
「結局アドリブじゃないか!」
明久のツッコミに雄二は
「当たり前だ!」
と威風堂々と宣言する。
翔子はその様子を頬を赤くして見ていたりし、工藤愛子は優子と
「バカだよね」
「バカね」
と雄二を見ながら話し合っていたりする。
「まあ、皆の者。話を元に戻すぞい」
パンパンと両手を叩き翁声で喋る秀吉。
そんな秀吉に明久は
「流石秀吉。僕のお嫁さんだ」
「明久よ。わしは男じゃ」
等とコントをする明久と秀吉を見た優子は
「明久君?秀吉、アンタは後でO HA NA SHI ね」
なんて言いながら頬を膨らませ年頃の乙女の嫉妬を出していた。
「何故じゃ!?姉上!!」
自身に降りかかる火の粉に絶望的な表情を浮かべる秀吉。
「……」
無言で何も言わぬままコンパスを握りしめる康太。
その殺意に満ちた視線は明久に向いていた。
「やめろ康太」
雄二に言われ何とか握りしめたコンパスをポケットにしまう康太。
そんな康太に魔の手が忍び寄る。
「どうしたのムッツリーニ君?」
康太の背後から抱きつく工藤愛子。
ボーイッシュな見た目だがれっきとした女子、女性であるため本人は気にしていないが女性特有のあれが康太の背中にあたる。
(む、胸が背中にあたっている!!!!)
そう思った瞬間、康太の鼻から大量の血が流れ始めた。
「ム、ムッツリーニ君!?」
突然の康太の異常な鼻血の流血に驚く愛子。
康太は意識が薄れて行っている。
そんな康太を見た明久は
「ム、ムッツリーニ!くっ、貴様!僕を置いて工藤さんの、女性の胸に触れやがって!僕だってまだ好きな優子さんの胸どころか告白すらしてないんだぞ!!」
愛子の胸を指さしながら憤怒していた。
工藤愛子は明久に自身の胸を指さされて顔を赤くし、優子は?と言うと
「あ、あきひしゃくん!?にゃ、にゃにを言ってるの!?」
テンパっていた。
そんな様子を見た翔子は雄二に問う。
「……雄二。私の胸に触りたい?」
「ああ。そりゃあ、男なら触りたい……って、何を言わせるんだ翔子!」
「……それなら今夜おさわり体験ありで「やめんか!」あう」
暴走気味の翔子に雄二はチョップを入れて静止させる。
「…雄二。痛かった」
何故かお腹をさすりながら言う翔子。
「ま、待て翔子!誤解をされそうな事を言うんじゃない!!」
「誤解じゃない。事実」
「いや、確かにそうだが」
「それじゃあ、激しかった」
「待て翔子!それでは、なお悪化している」
「…大丈夫」
「いや、大丈夫じゃないからな」
「事実」
「事実じゃねえよ」
「雄二が強く(チョップを)したのは事実」
「いや、そうだけれども」
「なら問題ない」
「それよりも早く輸血をするのじゃ!」
秀吉の言葉に一同が現実に戻って来る。
輸血パックを持ち一生懸命康太を看病する秀吉はまさに天使。第三の性別 秀吉の名にふさわしかった。
「くっ!こうなったらムッツリーニに上げようと思っていた極上の
ないか!」
何処からか取り出した
悔しそうにする辺りそれが極上の
「あ~き~ひ~さ~く~ん?」
明久の傍で般若を背後に浮かべながら表情は凄く良い笑顔となっている優子が手をコキコキと鳴らしながら明久に近づく。
あまりにも場違いな光景に明久は手に持つ
「……」
ボンッ!と頭まで真っ赤になる優子。
優子は腐女子ながらも生粋の娘。
殿方同士が絡み合う腐った薄い本を見た事は、あるが殿方と女性が交わる
「キュウ」
そう呟きながらも顔を真っ赤にし、眼を回しながら後ろに倒れる優子。
「優子さん!?」
後ろに倒れる優子の手を取り自身に引き寄せる明久。
さしずめその様子は第三者から見れば王子様とお姫様の様子。
まあ、王子様は馬鹿で不細工で解消無し。おまけに女子の前で
「何だか馬鹿にされる紹介をされた気がするけど」
もう一度言おう。世界最劣にして、人類最古にして未来永劫の馬鹿の中の馬鹿。キングオブ馬鹿の代名詞を司るBAKA 吉井明久なのだ。
そんなBAKAが王子様役なのだから台無しは歴然にして必然なのである。
「………
倒れた友を前にしてイチャイチャし始めるキングオブ馬鹿に裁きの鉄槌を下さんと○貞共の復讐の魔神と化した康太が持っていたコンパスを明久の頭にめがけてダーツを投げるかのように投げつける。
「危なっ!」
自身に向かって投げつけられたコンパスを頭を横に避けて回避する明久。
チッと舌打ちをして無言で血涙を流す康太に明久は抗議の意を示す。
「何をするのさ!ムッツリーニ!!」
「……リア充抹殺!」
更に学園服からカッターナイフやボールペン、シャーペンの計十本の飛び道具を握りしめる康太。童貞達のリア充を憎む気持ちにかられた康太は友であり目の前でイチャイチャし始めるキングオブ馬鹿に裁きを下さんと言わんばかりにその手に持ちうる限りの飛び道具を握りしめリア充と成った明久に一斉射撃を食らわさんと言わんばかりに握りしめた飛び道具を向けていた。
握りしめられた飛び道具がまさに明久に放たれようとした時、勝利の女神は微笑んだ。
「何してるのムッツリ-ニ君」
背後から康太に猫のように飛びつく工藤愛子と言う名の女神。
(む、胸 胸がっ!)
ブシャアっと噴水の様に鼻からとんでもない量の鼻血を出すムッツリーニ。
工藤愛子の行動が明久に勝利をもたらし、対価としてムッツリーニがその初心な体質によって敗北したのである。