馬鹿とテストとさいきょう   作:zeke

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Aクラスに宣戦布告

 翌日、討ち合せ通り僕と雄二、ムッツリーニと秀吉の4人はAクラスの扉の前に居た。

 

 行くぞ という雄二の言葉に全員が頷き、雄二はそれを見るとAクラスの扉を勢いよく開けた。

 

 クラスの皆には何も言わず事後報告の結果を報告しようと言う雄二の申し出に僕とムッツリーニ、秀吉が賛同したのだ。

 

「俺たちFクラスはAクラスに対し宣戦布告をする!Fクラスは5人のクラス代表の一騎打ちを所望する!なお、先に3回勝った方が勝利者と成る」

 

 雄二の声高らかの宣戦布告にAクラスはざわめき、何人かの生徒は僕らの方に殺気を投げてくる。

 

 確かに上位クラスに拒否権が無い事は解っているので仕方のない事だと理解できる。

 

「……解った」

 

 現在、先生を交えて交渉のテーブルについているAクラスの霧島さんは、討ち合せ通りにあっさりと承諾する。

 

 だが、霧島さんの隣に座っていた工藤さんが立ち上がり待ったをかけた。

 

「ちょっと待ってよ、代表!」

 

「……何?愛子」

 

「代表、流石に下級クラスだからと言って何でもOKするのはどうかと思うよ。何よりも負けたら設備がダウンする」

 

「……愛子は私が負けると思っているの?」

 

「万が一って事もあり得るからね。それに、代表ってFクラスの代表と仲が良さそうだし、万が一にも代表がFクラス代表と繋がっているって事も考えられなくもない」

 

 工藤さんの発言で確かにとクラスの中から呟く声が聞こえる。

 

「だからさ、こっちで5人のうち2名の選手と2回の選択科目の決定権を有するって言うのはどうかな?」

 

 成程。流石はAクラスだ。

 2回の選択科目決定権で自軍に有利な科目を選抜し、2名の選手を決定しておけば4回の勝ちと成るだろう。

 最低でも2回は絶対に勝てる。

 いや、絶対では無いのかも知れないけれども高確率で勝てると踏んでの提案だ。

 

 この工藤さんの発言にAクラスの至る所から 確かに  うん。それなら安心だ との発言が飛び交う。

 

 工藤さん。流石はAクラスと言えるだけの頭脳を持っているな~。

  ボーイッシュで素敵な人だと思っていたけど 等と思っていたら濃厚な殺気が僕の方に飛んできた!

 

 何処からだ!?

 

 辺りを見渡していれば殺気の正体は優子さんから発せられた物だった。

 僕は視線を優子さんから逸らす。

 

 後で謝っていた方が良さそうだ。

 

 等と、僕が思っていると話し合いは着々と進み終盤を迎えていた。

 

「それじゃあ、残りの人員と科目は俺らが選んで構わないのか?」

 

「僕は構わないよ。代表は?」

 

「……構わない」

 

「それじゃあ、試験日だが明日の午前10時で良いか?」

 

「……大丈夫。絶対負けない」

 

 霧島さんの眼は闘志を燃やしており、負ける気がしないと言わんばかりの闘気をだしていた。

 

 そんな霧島さんを見て工藤さんは口を開いた。

 

「それじゃあ、僕からなんだけれども選手2名を今、指名させてもらえるかな」

 

 突然の工藤さんの申し出にAクラスの殆どが驚いた。

 確かに急にそう言われるとは思ってもみなかった。いや、でも今言われた方がこちらも戦争の準備が出来るから良いのか。

 

「僕は吉井君とムッツリーニ君を指名したいんだけれども……構わないかな?代表」

 

 ちらっと横目で気にするように霧島さんをうかがう工藤さん。

 そんな工藤さんを見て霧島さんは、コクリと頷いた。

 そして、その後工藤さんは雄二を見る。

 

「俺らに拒否権は無いから構わない」

 

 雄二は肩をすくめながら言う。

その様子に異論は無いのか、ムッツリーニと秀吉は口を閉ざしたままだ。

 

「僕からは以上なんだけれども……他に何か言う事はある?」

 

 工藤さんは周囲を見渡して尋ねるけれどもAクラスの生徒は特に異論は無いのか何も言わずにただ口を閉ざすだけだ。

 

「……それじゃあ、これで会談は終わり」

 

霧島さんの言葉を聞きながら席を立つ僕を含めたFクラスの生徒。

そのままAクラスの扉へと向かい秀吉、ムッツリーニ、僕、雄二の順でAクラスの教室の扉をくぐり、最後尾の雄二がAクラスから出て行こうとする時、不意に雄二が霧島さんに呼ばれた。

 

「………雄二」

 

「あ、何だ?翔子」

 

雄二が顔だけ後ろに向け霧島さんの方を見ると霧島さんは宣言した。

 

「……私は、Aクラス代表として全力で迎え撃つ」

 

―――っ!

 

 この言葉だけで十分に解った。

 霧島さんは全力でAクラス代表として僕達Fクラスを迎え撃とうとしている。

 一切の迷いも雄二との交友関係も全てを捨て、この人は自分が持てる力を全力を出そうとしている!

 

 だけどね、霧島さん。

 あなたに感謝しなくちゃいけない。

 

 僕………いや。僕たちも負ける事が出来ない!

 負けられない理由が出来た。だから、全力であなた達Aクラスに勝たせて貰いに行く!!

 

 ここまでお膳立てをして貰ったんだから勝ちに行かせて貰うよ。

 

「ああ、勝たせて貰いに行くぜ!翔子!!」

 

 雄二も僕と同様に闘志を燃やしたのか、それだけ言うとAクラスを後にした。

 廊下を歩きながら僕たちはFクラスへと向かう。

 

 賽は投げられた。

 誰にも止める事の出来ない勝負。

 Fクラスの皆でも最早止められない。

 

★☆★

 

「と言う訳で、俺ら、俺と明久、土屋と秀吉は明日Aクラスと5人のクラス代表での決着をする。なお、5人目は姫路だ。Aクラスはこの交渉の賛同に同意する見返りとして5回の内の2教科の選択科目と2名の選手を選出出来る権利を獲得している」

 

 現在、Fクラス代表の雄二がAクラスとの対談での結果報告をFクラスで事後報告中だ。

 

無論、Fクラスの大概は馬鹿ばかりなので……

 

「うおおおおお!!坂本!良くやった!!」

「勝てる!勝てるぞ!!これでFクラスは勝てる!!!」

「皆!我らがクラス代表に勝利の激励を!!」

 

と、まあ既に勝った気でいる。

勝手に士気が上がるから別にいいけれども。

 

「ちょっと坂本!」

 

 突然島田さんが座っていた座布団から立ち上がり卓袱台をバンバンと叩いて講義する。

 あ、今、卓袱台の脚が一つ折れた。

 

「何で私じゃなくてあきなのよ!私の方が点数が高いでしょう!?」

 

 そんな島田さんを呆れたように見ながら雄二が答える。

 

「あのな~、島田。お前話を聞いてなかったのか?対談で明久はムッツリーニと共に工藤に指名されたんだよ!」

 

「でも!」

 

「でもも糞もあるか!お前の点数が一番高いのは何の教科だ?」

 

「数学よ!162点あるわ!!」

 

 どうよ!と言わんばかりに胸を張り主張する島田さんだが雄二はそれを見て嘆息しながら言う。

 

「話に成らん。帰れ!!」

 

「な!?何でよ!!」

 

「良いか!?相手はAクラスなんだぞ!?少なくとも数学限定で言うなら300点以上じゃなきゃ話に成らん」

 

「それじゃあ、木下はどうなのよ!?」

 

「秀吉は、お前と違って他の科目でも点数はお前より少し劣るがいける。オールラウンダー型だ。それに比べて島田、そこまで自己主張するならお前、数学以外の他の科目がいけるのか?」

 

雄二の指摘に島田さんは「うっ」と苦虫を噛み潰したかのような顔と成り黙った。

その様子を見たFクラスの男子生徒が抗議をあげる。

 

「坂本、少し言いすぎじゃないのか!?」

 

「そうだそうだ!」

 

「島田さんに謝れよ!」

 

その様子を見た雄二は

 

【五月蠅い!】

 

怒鳴り声をあげて静止する。

 

「良いか!俺たちはAクラスに勝ちに行くんだ!!島田の勝手な独断行動でFクラスの勝利は無くなるかもしれんのだぞ!?それに、相手は2人の選手指定と選択科目決定権を持っている。5名のクラス代表も恐らく300点以上の高得点所持者で一切の手加減をしない相手なんだぞ!?そんな相手に俺らは勝たねばならない!クラス代表としては島田の勝手な独断行動でAクラスに勝てる勝率を下げるような可能性をみすみす見逃せん!今までの俺たちの苦労を思い出してみろ!!」

 

雄二の言葉でFクラスの抗議をあげていた男子生徒は口を閉ざした。

雄二はその様子を見ると話を元に戻した。

 

「話を元に戻すぞ。メンバーは俺と明久、土屋と秀吉、姫路の5名だ。これは決定だ。明久と土屋はAクラスに指名されているから代えられない。俺もクラス代表だから代えられない。残りは姫路と秀吉だ。この二人に俺の方が点数が高いし、召喚獣の扱いがうまいから代えろ!と言う奴がいたら出てこい!!相手はAクラスだ。点数が高いうえに一切の手加減なく戦ってくるわけだ。勝てる勝率が上がるのならば歓迎する」

 

 雄二の言葉に誰も手をあげたり名乗り出る者はいなかった。

 

「それじゃあ、これで解散。秀吉、明久、土屋、姫路は明日に備えて勉強しておいてくれ」

 

 雄二のこの言葉で会議は終了し、教室から出ていく生徒が出始めた。

 会議が終わると僕は教室を出て帰宅する。

 明日はいよいよAクラスとの戦争だ。

 今までで一番の強敵。

 それに、優子さんとの約束。

 

――――色々な意味で決戦の日は明日だ。

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