警察本部 零課   作:もののあはれ

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零章
プロローグ


(さる)(とび)水鯨(すいげい)麒麟(きりん)(ほむら)……」

 呼ばれた者たちが、声の主の方を見た。ビルの屋上では、夜風が冷たく頬に当たり、顎髭を長く伸ばした声の主は、髭をなびかせながら、彼らにこう言った。

 「君達は、日本の“大黒柱”になりなさい」

 それが(ほむら)の好きな言葉だった。そう思いながら、焔は静かに目を閉じた。

 

 二○二〇年、今、日本は世界トップクラスの力を持っていた。かつての日本は“戦争をしない国”と称されていたが、他国から攻撃を受け、日本の滅びかけていた。

 日本はこの困難を乗り越えよう、さらに軍を強くしようと、日本政府は、囚人などを使い、ある実験を行った。

 二〇〇〇年、その実験は、P3(ピースリー{Perfect Power People})と名付けられ、ある二人の学者が作ったP3菌を使い実験をした。その実験のために数多くの人々が犠牲になったが、そのお陰もあり、日本は、無事実験が成功したのであった。

 生まれてしまった失敗作は、日本が所有する島へ隔離、処分しようとした。しかし、失敗作殲滅部隊「ヘラクレス」が向かうと、返り討ちにされてしまった。

 やがて、失敗作は、段々と日本へと上陸してしまった。

 

 そこで、現内閣総理大臣、國崎敏正(くにさきとしまさ)は、より多くのP3の成功作を使って、失敗作を抹殺していった。事態は、急速に解決されるとされたが、それでもなお、日本政府の手から免れた失敗作がいた。奴らは陰に住み、日本政府に復讐の機会を伺っているに違いない。

 そこで國崎敏正は、成功作の中でもエリートを寄せ集めた特殊部隊を結成した。それが、警察本部 零課である。そこには、未成年ながらも超人的な能力を持った者が集まっていた。零課の監視により、失敗作は、日中には姿を現さなくなった。しかし、夜になると、少なからず失敗作は現れる。零課は、そこを活動時間と定め、抹殺してきた。

 

 今や、国民の九割以上がP3の成功作である日本は、他国に威圧をかけた。瞬く間に、他国からの威圧は減っていき、日本は、底辺から、トップクラスへと上り詰めた。

 しかし、そんな世の中に、一つの組織が立ち上がる。その組織は、全員が失敗作であり、国から見捨てられた者ばかりだった。

 彼らは、日本政府に復讐をするために集まったのではない。日本を救うために結成された組織である。

 「大丈夫か……?焔」

 焔は、静かに首を縦に振った。

 「これから始まるのか……」

 焔は、声を掛けた。

 「怖いのか……?」

 「いや、怖いというか、なんて言うか……、戻れないっていうか……」

 「戻る必要はないんじゃ、儂らは、将来のため、未来を救うんじゃ……」

 その言葉と同時に、太陽が平行線から顔を出した。

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