警察本部 零課   作:もののあはれ

11 / 83
十 徒陰の結成

 「頼みって何だ?」

 大道寺は窓の外の景色を見ながら、言った。

 「お前が総理大臣だから言えることを言う」

 大道寺は一拍おいてから

 「失敗作を解放して欲しい」

 「そう言うと思ったよ。政宗、お前最近失敗作と共に過ごしてるらしいな。巷でちょっとした噂になってるぞ」

 「構わない。なあ、敏正。良いじゃないか、失敗作とて人間だ。彼等にも心はあるのだぞ!?」

 「成功作でなければ意味は無いのだ!」

 敏正は大道寺の顔を見て言った。大道寺は彼の気に怖じけついてしまった。

 「何故じゃ……?」

 「そうか、お前には言ってなかったな。私がP3実験に参加した本当の理由を」

 「え…?」

 「私はな日本政府が憎いんだよ。あいつらがおかしいから日本に核爆弾が落とされたんだ。あいつらが戦争なんかしなければ、弟や清美は助かったんだよ」

 彼の気持ちに気付いてやれなかった己に腹がたった。まさかここまでとは。

 「なあ、敏正?」

 「何だ?」

 「人はいずれ死ぬぞ?」

 「何が言いたい……?」

 「あの日、あれが落とされなくとも人はいずれ死ぬ。ただ、運が悪かっただけだ。運が悪かっただけなんだ。あの時誰も悪くは無かったんだ!だからと言って今、敏正がやっていることは、前の日本同様、良いことではない!」

 「私は、大日本帝国を復活させる」

 「は……?」

 「私は皇国を復活させ、あの戦争の続きをする。それが本当の目的だ。そして全世界を日本の配下にする!」

 「お前は、何を……言っているんだ……?」

 「私が発見したアナゲンニシ菌は、実は私が生みだしたのだよ」

 敏正は不気味に微笑み

 「アナゲンニシ菌は、ある程度成長すると親に忠実になる性質がある。勿論、親とはこの私だ。しかし、例外があってな」

 「それが、失敗作……」

 「ご名答。だから私は、失敗作を殲滅している。国に頼んだのも私だ。失敗作は意味がないから殺してくれと。な」

 「一体、彼らに何の罪があるというのだ!」

 「彼らは所詮人間のクズだ。死んで悲しむもんはいないだろう。むしろ社会に貢献して称賛されるだろう」

 大道寺は思い切り彼を殴った。敏正は勢いよく吹っ飛んだ。

 「お前の言っていることは理解出来ん!わしは自分で何とかする!」

 それからもう二度とあの場所へ行かなかった。

 その後、大道寺を含め四人で「徒陰」を創った。徒党、つまり敏正の目的を世に暴くため、陰で野望を防ぐ為にこの名にした。その後、水鯨の水嶋海人に麒麟の雷電弁慶などを加え、今や五十を越えるグループとなった。

 徒陰は、大きく分けて三グループに分けられる。大道寺は大黒柱として、ボスとして君臨している。次に柱と呼ばれる大黒柱を補佐する役目を持った者が五人いる。それぞれ、火、水、岩、雷、風に徒と呼ばれる失敗作が集っている。

 しかし、五十を越えたとしても日本政府には敵うはずがなかった。大道寺は指名手配され、瞬く間に一億の懸賞金をかけられた。

 大道寺たちの家は燃やされ、衛星から位置がバレ、危うく殺されることがあった。なので大道寺たちは、地下で過ごし、唯一バレていない柱達を地上で情報収集させている。

 そして、大道寺の息子達の中の、炎司、佐助、戯介が同じ高校へと行った。勿論、大道寺の能力“千里眼”によって見えた日本を救う救世主を待って。

 千里眼通り、現れた。憾咲夢が。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。