「頼みって何だ?」
大道寺は窓の外の景色を見ながら、言った。
「お前が総理大臣だから言えることを言う」
大道寺は一拍おいてから
「失敗作を解放して欲しい」
「そう言うと思ったよ。政宗、お前最近失敗作と共に過ごしてるらしいな。巷でちょっとした噂になってるぞ」
「構わない。なあ、敏正。良いじゃないか、失敗作とて人間だ。彼等にも心はあるのだぞ!?」
「成功作でなければ意味は無いのだ!」
敏正は大道寺の顔を見て言った。大道寺は彼の気に怖じけついてしまった。
「何故じゃ……?」
「そうか、お前には言ってなかったな。私がP3実験に参加した本当の理由を」
「え…?」
「私はな日本政府が憎いんだよ。あいつらがおかしいから日本に核爆弾が落とされたんだ。あいつらが戦争なんかしなければ、弟や清美は助かったんだよ」
彼の気持ちに気付いてやれなかった己に腹がたった。まさかここまでとは。
「なあ、敏正?」
「何だ?」
「人はいずれ死ぬぞ?」
「何が言いたい……?」
「あの日、あれが落とされなくとも人はいずれ死ぬ。ただ、運が悪かっただけだ。運が悪かっただけなんだ。あの時誰も悪くは無かったんだ!だからと言って今、敏正がやっていることは、前の日本同様、良いことではない!」
「私は、大日本帝国を復活させる」
「は……?」
「私は皇国を復活させ、あの戦争の続きをする。それが本当の目的だ。そして全世界を日本の配下にする!」
「お前は、何を……言っているんだ……?」
「私が発見したアナゲンニシ菌は、実は私が生みだしたのだよ」
敏正は不気味に微笑み
「アナゲンニシ菌は、ある程度成長すると親に忠実になる性質がある。勿論、親とはこの私だ。しかし、例外があってな」
「それが、失敗作……」
「ご名答。だから私は、失敗作を殲滅している。国に頼んだのも私だ。失敗作は意味がないから殺してくれと。な」
「一体、彼らに何の罪があるというのだ!」
「彼らは所詮人間のクズだ。死んで悲しむもんはいないだろう。むしろ社会に貢献して称賛されるだろう」
大道寺は思い切り彼を殴った。敏正は勢いよく吹っ飛んだ。
「お前の言っていることは理解出来ん!わしは自分で何とかする!」
それからもう二度とあの場所へ行かなかった。
その後、大道寺を含め四人で「徒陰」を創った。徒党、つまり敏正の目的を世に暴くため、陰で野望を防ぐ為にこの名にした。その後、水鯨の水嶋海人に麒麟の雷電弁慶などを加え、今や五十を越えるグループとなった。
徒陰は、大きく分けて三グループに分けられる。大道寺は大黒柱として、ボスとして君臨している。次に柱と呼ばれる大黒柱を補佐する役目を持った者が五人いる。それぞれ、火、水、岩、雷、風に徒と呼ばれる失敗作が集っている。
しかし、五十を越えたとしても日本政府には敵うはずがなかった。大道寺は指名手配され、瞬く間に一億の懸賞金をかけられた。
大道寺たちの家は燃やされ、衛星から位置がバレ、危うく殺されることがあった。なので大道寺たちは、地下で過ごし、唯一バレていない柱達を地上で情報収集させている。
そして、大道寺の息子達の中の、炎司、佐助、戯介が同じ高校へと行った。勿論、大道寺の能力“千里眼”によって見えた日本を救う救世主を待って。
千里眼通り、現れた。憾咲夢が。