警察本部 零課   作:もののあはれ

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十一 草木茂

 「これが徒陰の全てじゃ」

 「まさか本当の悪が日本政府とはな…」

 草木茂が口を開いた。

 「なぁ、大道寺さん。俺らに出来ることはないのかよ?」

 「あるとすれば…」

 大道寺は口を開いたが、肝心の言葉が出ていなかった。

 「君達には、危険すぎる」

 すると、座っていた草木が立ち上がり、

 「いいや、俺は大道寺さんの願い叶えてやりたい。一度は失ったこの命。だが、俺は救われた。この救われた命、今使わないでいつ使う?」

 「……君には参ったよ」

 大道寺は溜め息を吐き、こう言った。

 「実は今日儂が言っていたことがおきる」

 「さっきって……、まさか!」

 「そうじゃ。成功作の洗脳じゃ」

 「でも、日本がどんだけでかいと思ってるんだ?一気に洗脳するなんて」

 「いや可能じゃ」

 話していた途中の草木の口が閉じてしまった。

 「じゃが、阻止する方法はある」

 「方法……?」

 「奴の菌はある一定の電波を受信すると、活動が始まってしまう……。じゃがしかし、その電波塔を破壊すれば良いのじゃ」

 「じゃあ、俺たちは電波塔を破壊すれば……?」

 大道寺は、頷いた。

 「じゃあ、私が薬を完成させれば…」

 「そういうことじゃ」

 「よし、今すぐ行こう!もちろん炎司も行くよな?」

 「当たり前だ」

 「しかし、ここから電波塔までの距離が遠いのだ」

 「ねぇ、おじさん?」

 声をかけたのは、鏡崎未来だった。

 「あそこの近くに鏡ってあるの?」

 「なるほど、君の能力なら…!」

 「行くメンバーは決まったか、炎司!」

 「俺と、戯介、草木で行く」

 「よし!」

 「おじさん、行けるの?」

 「炎司たちが電波塔に行っている場面を見た!つまり行ける!急げ、時間は刻一刻と過ぎているぞ!」

 「出してくれ鏡崎!」

 草木が叫ぶ。

 「絶対に帰ってきてね!」

 炎司たちは鏡の向こうへと行った。入ったと同時に発電所の近くのトイレの鏡から出てきた。

 「なるほどな」

 「行こう!」

 高さは五十メートルを優に超しているであろう街で一番大きな電波塔についた。炎司たちは入ろうとしたが、行く手に二人のスーツ姿の男が立っていた。恐らく、國﨑の回し者だろう。

 「戯介、觔斗雲に乗って先に行け」

 「でも……」

 「こっちは大丈夫だ。何せ、学校ナンバーワンがいるからな」

戯介は微笑み、

 「死ぬなよ」

 と言って、觔斗雲に乗って行った。

 「どこへ行くんだ!」

 「何よそ見してんだよ」

 男たちは、燃え、ツルに巻かれている。

 「こっちの相手しろよ」

 すると、二人はたやすくツルを違った。

 「何の能力だ?」

 「おおまか、増強型だろう」

 すると、二人の腕は鋭利な刃と化した。

 「おい、なんで、能力を“二つ”も持ってるんだ?」

 「俺に聞くな!」

 「俺の名は、桐山哲太(きりやまてった)だ。入江の兄貴に認められ、能力を“得た”」

 「俺の名は、桐山剣(きりやまつるぎ)だ。入江の兄貴に認められ、能力を“得た”」

 「お前ら、入江って誰だ。教えろ」

 「教えることはできない。まぁ、どうせ教えたところでお前らは……」

 二人は走ってきた。

 「死ぬ!」

 哲太が金属のような肌に変わった。炎司は軽やかに避けた。哲太が殴ったところにかなり大きなヒビが入った。

 「くっ……!」

 草木が剣の攻撃をツルで防いでいた。

 「こいつ、俺のツルをいとも簡単に……」

 「こいつら、強い」

 炎司たちが苦戦をしていると、水鯨の海人から連絡が来た。

 『苦戦しているようだな。そいつらの分析が終わったぞ』

 「それで?」

 『そいつら、桐山哲太は能力“クラッシャー”、桐山剣は能力“剣”が元々の能力だ。それに加え、入江と呼ばれる奴に桐山哲太は“ダイヤモンド”、桐山剣は“チタン合金”を持っている。つまり、能力が二つあると言うことだ!気を付けろよ、炎司』

 「ありがとう!」

 「奴らの性分は分かった。行けるか、草木?」

 「くそ、こんな奴ら朝だったら、余裕なのに」

 「俺の能力は太陽が出てないと力が半減してしまうんだ」

 「……つまり光があれば良いんだな?」

 「何をする気だ、炎司?」

 炎司は微笑みながら、

 「離れていろ、火傷するぞ」

 炎司は右手を天に掲げた。すると、手のひらに小さな火の玉が出てきた。

 「なんだその小さい火は?花火でもするのかぁ?」

 桐山たちは笑っていた。

 「ばーか、花火よりもでけぇのつくるんだよ」

 すると、小さな火の玉だったものがどんどん大きくなり、遂には電波塔くらい大きくなった。

 「“小太陽(アトミックフレア)”!!」

  すると、辺りは一面光に包まれまるで朝のように明るくなった。

 「すげぇ……、炎司すげぇ……」

 「行くぞ、“茂”!」

 炎司に初めて名前で呼ばれた。何だかとても嬉しかった。炎司のお陰で力が湧いてきた。

 「俺は、剣の野郎を、炎司は殴る方を頼めるか?」

 「分かった…!」

 俺は、桐山剣の目の前に立った。

 「こんな光ごときで何ができる?」

 「お前は、俺の恐ろしさを知らない!」

 俺は、手のひらを重ねた。

 「“十乱茎(テンタクル)”!!」

 十本の指は、ツルに変わり剣に巻き付いた。

 「こんな……ツル……!くっ……!強い……!」

 「光を浴びて丈夫になったからな」

 「だがこれしき……」

 剣は金属のような色になり、草木のツルを切った。

 「やっぱり、切るよな……」

 剣は、高笑いをした。

 「もう、お前が負けると決まったな」

 「どうかな?」

 草木は又もやツルを剣に伸ばした。しかし、これも剣は切った。

 「どうした!そんなもの……、か……」

 剣は膝をついた。

 「なんだこれ……?体に力が……!」

 「今なお前が切ったのは、モロヘイヤの茎だ。その茎にはストロファンチジンと言う猛毒が含まれててな、普通は直接摂取しないと意味ないんだけどな、俺のツルは毛穴からそいつを入れられる。……安心しろ、弱めにしておいた」

 「強い……」

 そう言って桐山剣は倒れた。




 桐山剣能力“剣”,“チタン合金”
 ・剣…腕を剣に変えることができる。やる気があれば指も剣にできるぞ。
 ・チタン合金…自身をチタン合金に変えることができる。あくまで合金。純粋じゃないぞ。
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