「これが徒陰の全てじゃ」
「まさか本当の悪が日本政府とはな…」
草木茂が口を開いた。
「なぁ、大道寺さん。俺らに出来ることはないのかよ?」
「あるとすれば…」
大道寺は口を開いたが、肝心の言葉が出ていなかった。
「君達には、危険すぎる」
すると、座っていた草木が立ち上がり、
「いいや、俺は大道寺さんの願い叶えてやりたい。一度は失ったこの命。だが、俺は救われた。この救われた命、今使わないでいつ使う?」
「……君には参ったよ」
大道寺は溜め息を吐き、こう言った。
「実は今日儂が言っていたことがおきる」
「さっきって……、まさか!」
「そうじゃ。成功作の洗脳じゃ」
「でも、日本がどんだけでかいと思ってるんだ?一気に洗脳するなんて」
「いや可能じゃ」
話していた途中の草木の口が閉じてしまった。
「じゃが、阻止する方法はある」
「方法……?」
「奴の菌はある一定の電波を受信すると、活動が始まってしまう……。じゃがしかし、その電波塔を破壊すれば良いのじゃ」
「じゃあ、俺たちは電波塔を破壊すれば……?」
大道寺は、頷いた。
「じゃあ、私が薬を完成させれば…」
「そういうことじゃ」
「よし、今すぐ行こう!もちろん炎司も行くよな?」
「当たり前だ」
「しかし、ここから電波塔までの距離が遠いのだ」
「ねぇ、おじさん?」
声をかけたのは、鏡崎未来だった。
「あそこの近くに鏡ってあるの?」
「なるほど、君の能力なら…!」
「行くメンバーは決まったか、炎司!」
「俺と、戯介、草木で行く」
「よし!」
「おじさん、行けるの?」
「炎司たちが電波塔に行っている場面を見た!つまり行ける!急げ、時間は刻一刻と過ぎているぞ!」
「出してくれ鏡崎!」
草木が叫ぶ。
「絶対に帰ってきてね!」
炎司たちは鏡の向こうへと行った。入ったと同時に発電所の近くのトイレの鏡から出てきた。
「なるほどな」
「行こう!」
高さは五十メートルを優に超しているであろう街で一番大きな電波塔についた。炎司たちは入ろうとしたが、行く手に二人のスーツ姿の男が立っていた。恐らく、國﨑の回し者だろう。
「戯介、觔斗雲に乗って先に行け」
「でも……」
「こっちは大丈夫だ。何せ、学校ナンバーワンがいるからな」
戯介は微笑み、
「死ぬなよ」
と言って、觔斗雲に乗って行った。
「どこへ行くんだ!」
「何よそ見してんだよ」
男たちは、燃え、ツルに巻かれている。
「こっちの相手しろよ」
すると、二人はたやすくツルを違った。
「何の能力だ?」
「おおまか、増強型だろう」
すると、二人の腕は鋭利な刃と化した。
「おい、なんで、能力を“二つ”も持ってるんだ?」
「俺に聞くな!」
「俺の名は、桐山哲太(きりやまてった)だ。入江の兄貴に認められ、能力を“得た”」
「俺の名は、桐山剣(きりやまつるぎ)だ。入江の兄貴に認められ、能力を“得た”」
「お前ら、入江って誰だ。教えろ」
「教えることはできない。まぁ、どうせ教えたところでお前らは……」
二人は走ってきた。
「死ぬ!」
哲太が金属のような肌に変わった。炎司は軽やかに避けた。哲太が殴ったところにかなり大きなヒビが入った。
「くっ……!」
草木が剣の攻撃をツルで防いでいた。
「こいつ、俺のツルをいとも簡単に……」
「こいつら、強い」
炎司たちが苦戦をしていると、水鯨の海人から連絡が来た。
『苦戦しているようだな。そいつらの分析が終わったぞ』
「それで?」
『そいつら、桐山哲太は能力“クラッシャー”、桐山剣は能力“剣”が元々の能力だ。それに加え、入江と呼ばれる奴に桐山哲太は“ダイヤモンド”、桐山剣は“チタン合金”を持っている。つまり、能力が二つあると言うことだ!気を付けろよ、炎司』
「ありがとう!」
「奴らの性分は分かった。行けるか、草木?」
「くそ、こんな奴ら朝だったら、余裕なのに」
「俺の能力は太陽が出てないと力が半減してしまうんだ」
「……つまり光があれば良いんだな?」
「何をする気だ、炎司?」
炎司は微笑みながら、
「離れていろ、火傷するぞ」
炎司は右手を天に掲げた。すると、手のひらに小さな火の玉が出てきた。
「なんだその小さい火は?花火でもするのかぁ?」
桐山たちは笑っていた。
「ばーか、花火よりもでけぇのつくるんだよ」
すると、小さな火の玉だったものがどんどん大きくなり、遂には電波塔くらい大きくなった。
「“小太陽(アトミックフレア)”!!」
すると、辺りは一面光に包まれまるで朝のように明るくなった。
「すげぇ……、炎司すげぇ……」
「行くぞ、“茂”!」
炎司に初めて名前で呼ばれた。何だかとても嬉しかった。炎司のお陰で力が湧いてきた。
「俺は、剣の野郎を、炎司は殴る方を頼めるか?」
「分かった…!」
俺は、桐山剣の目の前に立った。
「こんな光ごときで何ができる?」
「お前は、俺の恐ろしさを知らない!」
俺は、手のひらを重ねた。
「“十乱茎(テンタクル)”!!」
十本の指は、ツルに変わり剣に巻き付いた。
「こんな……ツル……!くっ……!強い……!」
「光を浴びて丈夫になったからな」
「だがこれしき……」
剣は金属のような色になり、草木のツルを切った。
「やっぱり、切るよな……」
剣は、高笑いをした。
「もう、お前が負けると決まったな」
「どうかな?」
草木は又もやツルを剣に伸ばした。しかし、これも剣は切った。
「どうした!そんなもの……、か……」
剣は膝をついた。
「なんだこれ……?体に力が……!」
「今なお前が切ったのは、モロヘイヤの茎だ。その茎にはストロファンチジンと言う猛毒が含まれててな、普通は直接摂取しないと意味ないんだけどな、俺のツルは毛穴からそいつを入れられる。……安心しろ、弱めにしておいた」
「強い……」
そう言って桐山剣は倒れた。
桐山剣能力“剣”,“チタン合金”
・剣…腕を剣に変えることができる。やる気があれば指も剣にできるぞ。
・チタン合金…自身をチタン合金に変えることができる。あくまで合金。純粋じゃないぞ。