警察本部 零課   作:もののあはれ

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二十一 回想 神楽

 P3ができてから、すぐの日本では、警察、軍の機能は停止していたに等しかった。そこで結成されたのは、「ヘラクレス」だった。当時未成年だけで結成されたこのグループは、個性型の中でも、群を抜いて強力な能力を持った人が集まっていた。

 その中に、神楽大輝(かぐらだいき)もいた。彼の能力は、“炎”。シンプルな能力だが、とても強力だった。

 彼はとても優秀で、正義感の強い男だった。しかし、持病で昔から体が弱かった。そのせいでいつも学校は休みがちで、いじめをやめさせようとしても返り討ちに遭うのは日常茶飯事だった。弱い自分が嫌いだった。

 だが、そんな彼にも転機が訪れた。それがP3だった。当時、大学生だった大輝は迷いなく受けた。そして、彼は力を得た。更には、当時珍しかった個性型の発現。そして、ヘラクレスの勧誘。彼の人生は幸せだった。

 そもそもヘラクレスができた理由は、失敗作の中の幻獣を狩るために結成された。彼は、どんどん失敗作を狩っていった。当時のヘラクレスのメンバーの中では、最強に最も近く、メンバーの武田器一(たけだきいち)と仲が良く、一緒に失敗作を狩っていた。

 武田器一は能力“武器化”を持っており、彼自身ではそれほど力を発揮しないが、使われることで彼は力を発揮する。彼らは、巷で有名になっていた。

 「過去とは大違いだよ。いち」

 いちは、武田器一の一からとった大輝だけが器一を呼ぶあだ名だった。

 「久しぶりに酔ってるな!だいき…」

 「ああ…、そりゃ飲むさ…。だって、百人記念だからな!」

 百人は、大輝たちが殺してきた失敗作の数だった。

 「明日も仕事なんだぞ……?」

 「大丈夫だよっ!っひっく!」

 (ダメだこりゃ……)

 「飲み過ぎじゃない……?」

 カウンターから、店の店主の、西景子(にしけいこ)が話し掛けてきた。西は、大輝いわく、幼馴染みだそうだ。

 「うるせー!酒が飲めればそれで良いんだぁ!」

 「それは良いんだけど……、もう帰ってくんないかな?あんたら以外客はいないから」

 気づけば、客は自分たちだけだった。

 「しゃあねぇな、帰るか!」

 僕たちはお会計を済まし、店を出た。と、同時に西さんも店を出た。

 「家まで送ってやるよ」

 「結構です!」

 そう言って西さんは帰って行った。

 「クソっ!何でだよ!」

 大輝は昔から、西のことが好きだった。貧弱だった自分をいつも支えてくれたといつも言っていた。だから恩返しがしたいとも言っていた。

 ふと、焦げ臭い臭いがし、振り向くと火事が起きていた。

 「おい……!だいき!あのマンションって……!」

 「…!行くぞ!」

 大輝たちが着いたころには、高層マンションが炎に包まれていた。

 「助けるぞ!いちは俺の援護を!」

 器一は頷いた。

 (人の体温を感知したのは、約十箇所。短時間じゃ無理だ……!こうなったら……!)

 すると大輝は燃えているマンションに手をついた。次の瞬間、大輝の燃える手にマンションの炎が吸われていった。

 (流石にこの量は……!)

 大輝の頭には走馬灯が走っていた。走馬灯の映像全てに西が映っていた。

 (俺、死ぬのかな…?)

 だが、その走馬灯の中で西が「死なないで」と言っていた。

 その言葉に反応した大輝は、気合いを入れて再び吸収し始めた。そして、マンション全ての炎を吸収した後、大輝は雄叫びをあげ、天に向かって吸収した炎を打ち上げた。

 その後、救急車が来て怪我人が運ばれた。

 「ありがとう……!」

 意識朦朧とした西が言った。

 その後、大輝と西は結婚した。




 神楽大輝能力“炎”
 ・炎を放出することができる。自身を炎にすることも可能。
 
 武田器一能力“武力化”
 ・自身を武器に変えることができる。武器を見ることでを記憶して、武器化できる。
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