真っ暗な空間にうっすらと蛍光灯の光が灯っており、異様な空気を醸し出していた。あるマンホールから少し歩いた所にあるビニールシートをめくると、今警察が死ぬ気で捕まえようとしている「徒陰」のアジトがある。
炎司は、狐の仮面を外し、黒のパーカーのポケットにお面と片手を突っ込んで、目の前にあるドアの前に立った。
ドアを開けると、そこには失敗作と言われている人たちが
師匠は、P3実験最初の成功作だそうだ。成功作の中には、特殊能力を持っている人がいる。各部分に特殊能力が発現させることができる。彼らの特殊能力は例えば巨人化するといった強力なものばかりだ。しかし失敗作の中にも特殊能力を持った人たちがいる。彼らは、人の原形を留めず動物や、幻獣になることができる。
「失敗作こそ本当の成功作なのだ」
大道寺の口癖だった。今では、炎司の一番好きな言葉だった。大道寺の言葉は予言だ。大道寺は近い将来不吉なことが起きると言っていた。それを思い出した炎司は、その記憶を振り払うようにドアを開けた。
アジトに入った直後、スピーカーから、
「二丁目で失敗作を2名確認。至急保護せよ。なお、零課の憾咲夢も確認。保護の場合には十分に気を付けるように」
それを聞いた瞬間、炎司はお面を付けアジトを飛び出した。徒陰にはより多くの人材が必要だ。炎司、もう一人の徒陰の柱に連絡をした。
「鳶。行けるか?」
「ああ、もちろん」
俺はアジトを飛び出し、失敗作の元へと向かった。
一方その頃、夢は失敗作を捕まえようとしていた。
「大人しくしなさい!」
失敗作の二人は、夢を睨んでいる。しかし彼女は至って冷静だ。それどころか捕まえる自信しかないのか微笑んでいた。すると失敗作は犬のように遠吠えをした。すると野良犬たちが集まってきた。
「なるほど。これがあなた達、犬の能力ね。これで新しい情報が得られたわ」
二人は再び、犬のように吠えると、野良犬たちが目掛けて、襲いかかってきた。
すると彼女は、目を見開き全ての野良犬たち全てを避け、野良犬を蹴り飛ばし、野良犬たちを怯ませた。失敗作はビビりながらも夢に向かって四つん這いになって飛びかかった。しかし、夢には当たらない。攻撃が当たる寸前に避けていた。失敗作はかなり戸惑っている。すると彼女は、物凄い勢いで失敗作に近づき、蹴り飛ばした。失敗作は吹っ飛び、吐血して倒れた。
「すげえな。あれが憾咲夢の能力“ハイスペック”か。あいつの脳ミソは、尋常じゃないな……」
シューと水鯨がガスマスクから息を吐きながら言った。
「そんなことより、早くあいつらを助けねえと」
鳶が今にも飛びそうになった。
「止めとけ。あいつの力を侮ったら痛い目に遭うぞ……?奴はの動きを予測して動いている。しかも、ほぼ間違っていない」
「じゃあ、どうするんだ?」
「俺が行く」
「良いのか焔……?お前だって十分危険だぞ?」
水鯨は心配したが、炎司は、微笑み、
「俺が負けるとも……?」
水鯨は、微笑みながら
「わかった。必ず戻れよ」
と言った。焔は頷いてビルから飛び降りた。
「所詮、失敗作ね。こんなザコ、私じゃなくても、余裕ね」
「お嬢さん、その二人俺にくれねえか?」
夢は、内心とても驚いていた。彼女の能力を持っても予想すら出来なかった。それほど、焔が前触れなく自分の背後に現れたことにショックを受けていた。
夢は担いでいる二人を上に高く投げ、焔に回し蹴りを喰らわせた。手応えはあったが、焔は揺れ消えてしまった。
夢はキックボクシングの基本スタイルで彼に何発もキックを浴びせる。しかし、焔には攻撃が当たらない。
「何でよ!私の能力で当たるはずなのに!」
「お前が予測できるのは獣の単純な動きや柔道や空手とか世界の格闘技ぐらいだろ?……お前には無理だよ」
「どういうこと?教えなさい!」
「それは自分の目で確かめろ」
そう言い、焔は体に力を込めた。すると体中から毛を生やし、九尾の尻尾も生やした。
「私の能力では、攻撃は不可能よ!」
「お前の脳ミソの予想と俺のスピードではどっちが早いと思う?」
そう言い、焔はさっきとは比べものにならないぐらいのスピードで突進し夢に強烈な体当たりを喰らわせた。彼女の予測は追いつけずもろに入り、そのまま派手に吹っ飛んだ。
「じゃあな」
「ま、待ちなさい」
「嫌だよ」
焔は二人を担ぎ、去っていった。
「おいおい、殺さなくて良かったのか?」
鳶が、炎司に問いただした。
「師匠の約束忘れたのか?」
「そうだったな」
そう言って焔は裏路地の闇へと消えた。
・とても頭が良い。高性能コンピュータをはるかに上回る頭脳。
IQはおよそ、千を超えている。
憾咲 夢能力“ハイスペック”
・とても頭が良い。高性能コンピュータをはるかに上回る頭脳。
IQはおよそ、千を超えている。