警察本部 零課   作:もののあはれ

30 / 83
二十九 國﨑の暴走

 <国会へ行ってから、二十五分経過>

 

  「ジャスティスだと…?」

 炎司は、炎のマントをなびかせ、拳を構えた。

 「彼にはもう一つ能力があってね…!それがこの正義感(ジャスティス)だったんだ!」

 「馬鹿な!普通の人間が能力を二つ持っているなど…!」

 「言ってなかったか…?能力は言わば、その人のなりたいと一瞬でも思ったものが実物として現れたようなものだと!灯くんは少し例外だが…」

 「許さん許さん!最強はこの私で良いのだ!」

 國﨑は、体が震えていた。

 「今ならはっきり言えるよ!お前は今ここで!灯に負けるんだ!」

 「うるさい!この私がこんなガキに負けるだと!?」

 「敏正!」

 ここで入江がやってきた。

 「すまない、敏正!こいつら強すぎる!私ですら、歩くのでやっとだ!」

 入江が来た瞬間に炎司は、入江の懐に入り、入江が構えるスピードより速く入江の顎を突いた。入江は胃液を吐き、宙に舞った。

 このとき、ピンチなはずなのに笑みを浮かべていた國﨑に気づいた炎司は、一瞬にして國﨑の間合いに入ったが、間に合わなかった。國﨑の周りの地面が柱のように飛び出し、炎司たちを襲った。

 まるで生きているかのような(うごめ)く地面は、入江の巻きつけ國﨑の方へ放り出された。

 炎司が見たときには、國﨑の足元に入江がうずくまっていた。炎司の攻撃は、即殺性は無かったものの、入江はかなりのダメージを負っていた。

 「何で、何でいつも私の計画は上手くいかない!何故私の計画にお前らがいるんだ!?」

 國﨑は、左手を入江の顔に近づけ、右手を自身の顔に近づけた。

 「なあ、與…。お前は私の計画成功して欲しいよなァ?」

 次の瞬間、入江と國﨑の上半身が吹っ飛んだ。と同時に、吹っ飛んだものが一点に集中していった。

 そこにいたのは、國﨑でも入江でも無かった。そこにいたのは、複製とは違う、二本の腕が増えた、禍々しい姿をした國﨑だった。

 (あいつ…、入江と自分を分解して、まとめて修復しやがった…!)

 「さあ、続きをしようかァ!」

 

 炎司は構えた。

 増えた二本腕が、ミニガンへと変わった。

 「まさか、奪った人間の能力を使えるのか…?」

 ミニガンは物凄いスピードで炎司たちを襲う。

 「これは、器一君の能力…!」

 炎司は弾丸を指で弾いていく。

 「凄い…!」

 ミニガンの発砲が止まった。國﨑の腕はミニガンから、普通の手に戻っていた。

 戻しに集中していた國﨑の隙に炎司は、國﨑に向かってパンチをした。そのパンチは、物凄い勢いで國﨑を捉えた。吹っ飛ばされていく國﨑しかし、國﨑が止まる。國﨑は血を吐く。國﨑は胸に手を抑え苦しそうだった。しかし、すぐに起き上がる。

 (まさか、怪我や疲労を修復したのか…!?國﨑は無敵なのか!?)

 「さぁ、再開だ…!」

 それから、三十分にも及ぶ死闘を繰り広げた炎司と國﨑。國﨑の豊富な能力を始め、尽きることのない体力。炎司は次第に勢いを失い、遂には(ひざまず)こうとしていた。

 (ヤバい…!このままじゃ死ぬ…!)

 「負けるな!」

 炎司はこの声にハッとする。

 (夢…?)

 「何負けてるのよ…、炎司!」

 炎司は夢を捜す。しかし、夢は見つからない。

 「特効薬は出来たから!後はあいつに勝つだけよ!柱のみんなは勝った!後はあなただけよ!」

 「夢!どこにいるんだ!?」

 「総理室にある鏡から!」

 炎司は、目に入った鏡を見る。そこには、柱のみんなや國﨑の懐刀の二人もいた。

 「心田って言う人も助けた!後はあなただけよ!お願い!勝って!」

 夢は涙を浮かべていた。夢が最後に何かを言おうとした。しかし、國﨑が鏡を割ってしまった。

 「何だあいつ。生きていたのか。まあ良い。どうせ全員死ぬんだ」

 「俺がお前を倒す。そしたら、全てが終わる!」

 「何を勘違いをしている…?」

 炎司は戸惑う。

 「主軸は私ではない!」

 炎司はまだ國﨑の本当の目的を知らなかった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。