「炎司は俺らにとって、恩人だもんな!」
戯介が佐助の肩を叩きながら言った。
「そうだな!」
佐助が炎司に出会ったのは、戯介と同じ炎司が四年生のときだった。
佐助は、 三兄弟の一番下だった。能力の“超大型鳶”が目覚めて、佐助は国に出さない代わりにスリを繰り返してきた。佐助の町も身分がはっきりしていて、貴族と平民が普通だった。
佐助の本当の名前は、
そんなある日、佐助はヘマをして、町の簡易収容所へ入ってしまった。そこにいたのは、同じくスリで捕まったタカと名乗る男だった。
ぎゅるるるる。
佐助のお腹が鳴った。
「食べるか…?」
タカが佐助に食べ物を渡す。
佐助は貪るように食べる。
「スゲぇな!お前、名前は…?」
「言わない…!」
「じゃあ、ナナシだな!」
これが運命だった。
家に帰ると、家族が待っていた。
「何で何も持っていないんだ…?」
父親の拳が佐助のお腹に直撃する。佐助は思わず、戻してしまった。佐助は戻してしまったものを食い始めた。
「お前、汚ぇ!」
佐助の兄が、思わず舌を出す。
「外でやって!」
佐助の母親が言った。父親が外へ佐助投げ出した。
佐助は、行く宛てなく歩き出した。他の家は、夕飯を楽しそうに食べている。
「何であんな家庭に…」
すると、後ろから何かで叩かれた。佐助は気を失ってしまった。
目が覚めると、樽のようなものの中にいた。佐助は大型のなり樽から出ると、ちょうどタカが金品を奪っていた。
「ナナシ…?」
そこから再びタカと一緒にご飯を食べた。
「うめぇか?ナナシ!」
佐助は頷く。
「ねぇ、タカ!」
タカは佐助の方を向く。
「おれにスリを教えて」
「良いのか?スリをすると戻れなくなるぞ?」
佐助はタカの目一点だけを見ていた。
「…わかったよ」
それから、タカとの特訓が始まった。
最初は、下手くそだった佐助も日が経つごとに上達していき、半年もすれば、かなり腕が上がっていた。
しかし、そんな日常も一瞬にして崩れてしまう。
国からの視察。「古典型」がいるという情報を手にしたのだろう。
タカと佐助は逃げた。遠くへ遠くへ逃げた。しかし、挟まれてしまった。佐助は鳶になって上空へ逃げようよした。
「バカ!上に行くな」
タカが鷹になり、佐助より上へ飛んだ。次の瞬間、タカに電気が走り、口から煙を出しながら、落ちていく。
「タカ!」
佐助がタカの方へ戻る。
「来るな!」
視察団に拘束されながら、タカが叫ぶ。
「お前は逃げろ!ナナシ!」
佐助は迷っている。
「俺の分まで生きろ!」
佐助はその言葉を聞いて、覚悟を決めた。佐助は脱げる。
(そうだ、それで良い…!ナナシ!愛してるぜ…!)
佐助は、飛び続けた。そして叫んだ。無能な自分を殺したくなった。佐助は遠くの森で羽を休めた。
佐助は、国を恨んだ。何もできない自分を恨んだ。
ふと顔を上げると、佐助と同じような歳の男の子がいた。その後は、共に過ごしたが、既に限界を迎えていた。そこで出会ったのは、炎司だった。
まさかと思ったが、タカと容姿が瓜二つだったのだ。
これもなんかの縁。
佐助は、炎司に一生ついていくと決めた。
タカ能力“鷹”
・鷹になることができる。飛ぶの速い。力強い。