警察本部 零課   作:もののあはれ

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三十三 回想 服部佐助

「炎司は俺らにとって、恩人だもんな!」

 戯介が佐助の肩を叩きながら言った。

 「そうだな!」

 

 佐助が炎司に出会ったのは、戯介と同じ炎司が四年生のときだった。

 佐助は、 三兄弟の一番下だった。能力の“超大型鳶”が目覚めて、佐助は国に出さない代わりにスリを繰り返してきた。佐助の町も身分がはっきりしていて、貴族と平民が普通だった。

 佐助の本当の名前は、鳥田隼人(ちょうだはやと)。この名前は、もう佐助の記憶にはない。

 そんなある日、佐助はヘマをして、町の簡易収容所へ入ってしまった。そこにいたのは、同じくスリで捕まったタカと名乗る男だった。

 ぎゅるるるる。

 佐助のお腹が鳴った。

 「食べるか…?」

 タカが佐助に食べ物を渡す。

 佐助は貪るように食べる。

 「スゲぇな!お前、名前は…?」

 「言わない…!」

 「じゃあ、ナナシだな!」

 これが運命だった。

 

 家に帰ると、家族が待っていた。

 「何で何も持っていないんだ…?」

 父親の拳が佐助のお腹に直撃する。佐助は思わず、戻してしまった。佐助は戻してしまったものを食い始めた。

 「お前、汚ぇ!」

 佐助の兄が、思わず舌を出す。

 「外でやって!」

 佐助の母親が言った。父親が外へ佐助投げ出した。

 佐助は、行く宛てなく歩き出した。他の家は、夕飯を楽しそうに食べている。

 「何であんな家庭に…」

 すると、後ろから何かで叩かれた。佐助は気を失ってしまった。

 目が覚めると、樽のようなものの中にいた。佐助は大型のなり樽から出ると、ちょうどタカが金品を奪っていた。

 「ナナシ…?」

 そこから再びタカと一緒にご飯を食べた。

 「うめぇか?ナナシ!」

 佐助は頷く。

 「ねぇ、タカ!」

 タカは佐助の方を向く。

 「おれにスリを教えて」

 「良いのか?スリをすると戻れなくなるぞ?」

 佐助はタカの目一点だけを見ていた。

 「…わかったよ」

 それから、タカとの特訓が始まった。

 最初は、下手くそだった佐助も日が経つごとに上達していき、半年もすれば、かなり腕が上がっていた。

 しかし、そんな日常も一瞬にして崩れてしまう。

 国からの視察。「古典型」がいるという情報を手にしたのだろう。

 タカと佐助は逃げた。遠くへ遠くへ逃げた。しかし、挟まれてしまった。佐助は鳶になって上空へ逃げようよした。

 「バカ!上に行くな」

 タカが鷹になり、佐助より上へ飛んだ。次の瞬間、タカに電気が走り、口から煙を出しながら、落ちていく。

 「タカ!」

 佐助がタカの方へ戻る。

 「来るな!」

 視察団に拘束されながら、タカが叫ぶ。

 「お前は逃げろ!ナナシ!」

 佐助は迷っている。

 「俺の分まで生きろ!」

 佐助はその言葉を聞いて、覚悟を決めた。佐助は脱げる。

 (そうだ、それで良い…!ナナシ!愛してるぜ…!)

 佐助は、飛び続けた。そして叫んだ。無能な自分を殺したくなった。佐助は遠くの森で羽を休めた。

 佐助は、国を恨んだ。何もできない自分を恨んだ。

 ふと顔を上げると、佐助と同じような歳の男の子がいた。その後は、共に過ごしたが、既に限界を迎えていた。そこで出会ったのは、炎司だった。

 まさかと思ったが、タカと容姿が瓜二つだったのだ。

 これもなんかの縁。

 佐助は、炎司に一生ついていくと決めた。




 タカ能力“鷹”
 ・鷹になることができる。飛ぶの速い。力強い。
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