「タカって言う人、とってもいい人だったね…」
「あぁ…」
佐助は、頷いた。
「海人ってどうやって、炎司と出会ったの…?」
「僕が炎司と出会ったのは、中学生のときだった。弁慶もその頃だよな?」
弁慶は静かに頷く。
「もう七年前か…」
海人が炎司と出会ったのは、炎司が中学生のときだった。
海人は、三歳で能力に目覚めるが、類い希なる才能を発揮し、政府の監視のもと、海人は研究室に入り浸っていた。
海人は、生まれてすぐ親が国に受け渡していたので、名前など存在しなかった。そのため研究室では、名前で呼ばれることはなく、
そんなある日、研究室の主任が話し掛けてきた。それは、ヘラクレスの心田操太朗だった。心田は、研究員の実績は勿論、戦闘経験も計り知れず、それが故に今の地位を獲得した。
心田は、海人に歩み寄りこう言った。
「これが終わったら、私の部屋に来なさい」
語尾が少し強めだったのは、気のせいだろう。
すっかり日は暮れ、研究も終わり、海人は自分の部屋に戻ろうとしたが、あの言葉を思い出し、海人は、心田の部屋に行くことにした。
ドアを開けると、心田が座っていた。
「やあ」
海人は、心田の挨拶を無視して、ソファに腰掛けた。
「話って何ですか?」
海人が心田に問い質した。心田は、静かに口を開けた。
「単刀直入に言う。君は殺される」
海人はあまりにも突然過ぎて、拍子抜けしてしまった。
「何でですか?」
唇が震えてしまった。
「理由は言えない。今すぐここから逃げてくれ…!」
そのとき、研究室から警報音がなった。
「まずい。ここが全封鎖されてしまう!」
「僕なら、大丈夫ですよ、排水溝から出れば…」
「聞いてなかったのか?全封鎖だぞ、排水溝も封鎖だ」
海人は、慌ててここから出ようとする。
「待ってくれ!」
「何なんですか!行かせたり、止めたり…!」
「もしも出られたら、大道寺という人を探せ!その人なら、君を助けてくれる」
海人は頷き、外に向かって走りだした。
「“
海人の存在は消えた。
(君が追われているのは、「古典型」で幻獣種だからじゃない。君があの薬を作ってしまうと危険視されたからだ。逃げろよ)
海人は走り、何とか外へ出た。そこには、警察、ヘラクレスもいた。
海人は、研究所の近くの川に逃げ込んだ。
逃げているときに考えたのは、大道寺という人は予想だが、「古典型」を匿っている可能性。もしそうならば、人目につかないところ。つまり、森林。
海人は、森林に繋がる水路を泳いだ。サイレンの音は、もう聞こえてこない。
(久しぶりに動いたから、腹減ったな…)
海人は陸に上がり、木に寄りかかった。海人は目を閉じた。そのまま海人は眠りについた。
気付くと夜が明けていた。空腹も増していた。動ける気がしない。海人は辺りを見渡した。すると、そこに芋虫がいた。海人はそれが、とても美味しそうな何かに見えた。思わず芋虫に手が伸びる。
しかし、その手は止まった。誰かが海人の腕を握っている。逆光で顔は見えない。しかし、その黒い顔を見ると、なぜだが安心できた。そのまま海人は、気絶してしまった。
目が覚めると、天井があった。横を見ると、一人の男が居眠りをしていた。きっとこの人が、僕を助けたのだろう。そう思った。
すると、「起きたか」と、向こうの方から男の声が聞こえた。
「あなたは、もしかして、大道寺さんですか?」
その男は、何度を頷き、
「わしが大道寺だが?」
「良かった…!実は…」
僕は、これまでのことを全て話した。大道寺は何回も頷いた。
「操太朗がか…。よく、生きててくれた…!」
なぜだか知らないが、ここが僕の居場所だと本能が僕に語りかけていた。