警察本部 零課   作:もののあはれ

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三 体育祭

 夢は悩んでいた。それは今週末に行われる体育祭の参加不参加どちらにしようか迷っていた。今の時代、体育祭をやっているのはこの学校しかない。

 今の時代はP3により、体育祭が過激になり(ほとん)どの学校が体育祭を断念した。だがこの学校は保険の先生の能力により、体育祭を行うことが出来る。保健の先生、堀田恵子(ほったけいこ)先生の能力“治癒”は、回復力を活性化させることが出来る。堀田先生は、この学校だけではなくあらゆる病院に引っ張りだこだ。

 「体育祭について悩んでいるのかい?」

 学級委員の狐火君が話し掛けてきた。

 「うん。私、あんまり力には自信ないから」

 「そうなの?憾咲さんは、武闘派だと思ったんだけどな」

 「そうー?」

 「まあ、なんとなくだけどね!」

 やっぱり狐火君は怪しい。

 (私が武闘派だと言ったのは、昨日私と戦ったから言えることなの……?もう少し探ってみようかしら……?)

 「そう言えば、炎司はやるのかー?」

 狐火が、炎司に話し掛けた。炎司は、読んでいた本から顔を出し、

 「俺はパス。そもそも俺能力ないし……」

 「やっぱりなー」

 私は決めた。私は参加することにした。参加者の中に徒陰がいる可能性が高いからだ。だが、あまり目立たない行動がしたいので、一回零課に持ち帰ることにした。

 零課には私を入れて、三人の高校生がいる。その三人は零課では「國崎の懐刀」の呼ばれている。何でも、この三人は國崎首相直々に手ほどきを受けた子供で能力は折り紙付きだ。

 男子総合格闘技無差別XXX(トリプルエックス)級絶対王者“キングカズヤ”横田一哉(おうだかずや)に、アーチェリー世界選手権絶対王者“トゥワイス”國崎義正(くにさきよしまさ)。そして、全世界数学オリンピック絶対女王“頭脳女王”憾咲夢、この私だ。

 零課に行くと、一哉は筋トレ、義正は勉強をしていた。私は、他にいる零課の人達も集めて、体育祭について話し合った。

 「一哉どう思う?」

 「俺は行った方が良いと思うぜ!闘うの好きだし!」

 「あんたね……。まあいいや。義正は?」

 「僕は反対だ。もしも徒陰がいなくて、奴らに夢の能力を研究してたら?奴らにとって良い機会になってしまう」

 「その事なんだけどね………」

 夢は以前起こった焔との戦いを説明した。

 「え、夢が負けた?」

 「奴の力は計り知れないわ。早急に始末しないと、いずれ巨悪になるに違いないわ」

 「それはそうと、体育祭出るのか?」

 「出るわ。学校内の生徒の能力把握にも丁度良いし」

 そうして、私は体育祭に参加することになった。体育祭前だからと言って特にやることのなく当日を迎えた。

 

 生徒たちは会場の第二グランド兼総合競技場のβ(ベータ)へと向かった。βはとても広くただでさえ広い学校と同じようなの大きさだ。

 この体育祭では、クラスの中から男子四名女子四名計八名の出場権が与えられる。(最低でも男女一名ずつ出場が強制されている)私達の学年は二クラスしかなく、最大でも八名しか出場しない。(奇数などの人数の場合はシードが生じる)

 最初に三キロの持久走兼障害物競走があり、そこから、上位六名をトーナメント形式で戦う。

 夢たちのクラスからは、男子からは伝田雷希(でんでんらいき)能力“帯電”。女子は夢がエントリーした。夢のクラスは能力を持つ人が少ないらしい。一方隣のクラスのB組は、男子が町田望(まちだぼう)能力“マッチ棒”。阿瀬操操(あせそうそう)能力“操汗”。草木茂(くさきしげる)能力“ツル”。蝶田羽(ちょうだはね)能力“羽”。鏡崎未来(きょうざきみらい)能力“鏡”。草木華子(くさきはなこ)能力“花”と言った六人が出場した。

 皆この日を楽しみにしているかのような顔つきだ。私は、徒陰つまり失敗作の能力を持った人を捜していた。だがしかし、そのような能力の人はいなかった。私は読みが甘かったと後悔しながら、グランドに整列した。朝礼台の上では校長先生が話をしていた。どうでもいい話だったので聞き流していた。校長先生の話が終わると、堀田先生から諸注意等をうけ十分後に開始すると言われた。

 私はとりあえず選手控え室に休んでいた。あっという間に十分が経ち、放送で選手が呼ばれた。選手はスタートラインについた。

 『間もなく、三キロメートル障害物競走が開始致します』

 すると、客席から声が消えた。一応陸上の礼儀はあるようだ。校長先生はピストルを手にした。そして、校長先生はピストルを鳴らした。

 その瞬間、一斉に飛び出した。数名は能力を使って移動している。(ほとん)どがスピード向きの能力ではないらしい。でも全員速い。このために努力をしてきたことがわかった。

 『現在トップは、蝶田さん!』

 蝶田は羽を使い、物凄いスピードで飛んでいる。すると急に目の前から、ロボットが出てきた。蝶田さんは思いっきり頭にロボットがぶつかった。

 『最初の難関ロボット軍団です』

 皆が苦戦している間に夢はどんどんロボットを破壊していく。

 『ここで憾咲さん、軽やかな足取りでロボットをどんどんなぎ倒していきます』

 私は周りを見渡した。余裕の表情なのは、伝田に町田、それに草木だ。彼らは能力を使っている。私は辺りの敵を倒し、先へ進んだ。私が独走していると、目の前には壁があった。

 『第二の難関、無の壁です』

 壁に手を掛けるものがない。だが私は関係ない。私は壁に指で穴を開けそれで登っていった。これに司会も驚いている。私に続いておりますどんどん登っていく。

 残りわずかだと言うときに、

 『最後の難関、地雷と落とし穴の三途です』

 (名前、適当だわ……)

 夢はあえてそこに触れず走り続けた。後ろの人達は殆どがバテてきている。このコースはよく見てば地雷がわかるようになっているので余裕だった。夢は、一位でゴールした。その後にどんどんとゴールしていった。夢は余裕表情だった。

 (こんなのボスの特訓よりも楽すぎよ……)

 夢は電光掲示板を見た。そこには順位が堂々と載っていた。

 一位 憾咲夢 二位 蝶田羽 三位 草木茂 四位 阿瀬操操 五位 鏡崎未来 六位 伝田雷希 となった。私はトーナメントを早くやって帰りたかった。こんな体育祭無意味。徒陰のいない体育祭なんか無意味。そう思っていたからだ。

 夢は何も言わずに控え室に向かった。途中で狐火君に会って、

 「お疲れさま」

 と言われたので会釈だけした。

 次はトーナメント戦だ。私は特に焦ることが無かった。




 
 堀田 恵子能力“治癒”
 ・人の治癒力を活性化させ、急速な回復が出来る。
 しかし、疲労が大きく、やり過ぎると死に至る。
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