警察本部 零課   作:もののあはれ

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三十八 総理大臣暗殺計画阻止 始動

 「総理大臣暗殺……?」

 「そうなんだ。それを私達は阻止しなければならない」

 「どうやってですか!」

 「殺される前に、暗殺者を殺すか、総理大臣を厳重に警備するかの、どっちかだ」

 「でも、明日総理任命のパレードじゃないですか!」

 「だから後者は無理だね」

 「だからって、暗殺者を探すなんて……!」

 思わず語尾に力が入る。

 「そうさ、パレードは東京周辺都市5kmの車でゆーっくり進むからね、いつでも狙える」

 「じゃあ、パレードを止めさせれば……!」

 「そんな簡単に言うな。パレードを中止したら、日本のどっかの原爆がドカンだ……だ」

 「そんな……!」

 「だから明日、新総理大臣をお護りするんだ」

 「すいません」

 夢は風間の話を割って入る。

 「UMAを作った人は何が目的なのでしょう……?」

 「簡単に言えば私的復讐だね。この国全体の」

 「国全体……?」

 「主犯の名は、入江真緒(いりえまお)。入江與の妹だ」

 「まさか私達に復讐を……?」

 「その可能性が高い」

 「だからUMAは私のこと……」

 俯いてしまった夢を見た風間は、

 「狙いは君だけじゃないはずだ。それより明日、私達二人だけじゃ総理をお護りすることは困難だ……。だから」

 そう言って風間は奥にある扉に目をやった。するとそこから四人のスーツ姿の男が現れた。

 「この子達は、私の教え子でね。右から、高橋裕太郎(たかはしゆうたろう)小山拓海(こやまたくみ)奈良一輝(ならかずき)大井舜平(おおいしゅんぺい)だ」

 四人は軽く夢に会釈した。

 「彼ら全員“最上業”を持っていてね、裕太郎が片手斧、拓海がメリケンサック、一輝がアサルトライフル、舜平が二丁拳銃だ」

 「風間さん!」

 「何だい?」

 「“最上業”っていくつあるんですか?」

 「“最上業”は作ることができるんだよ。“最上業”は本来、刀なんだ。それ以外は全て私達が作った」

 「なるほど」

 「それより、明日の作戦についてだが」

 夢に緊張が走る。

 「私と憾咲君は、車周辺の護衛兼暗殺者の捜索。残りの四人はパレード近辺を厳重に捜索。場所は君達が決めて良いよ。相手は、UMAを使うだろう。UMAには“最上業”しか効かないから、見つけたらすぐに撃て。良いね?」

 夢たちは頷いた。

 夢は心の中で安心していた。夢は昔から、見ず知らずの人と合わせるのは苦手だった。しかし、今回は、ほぼ単独行動のようなもの。

 「じゃあ、明日、総理が国会を出たら、ミッションスタートだ……!」

 夢は、風間の家を出た。そして、携帯を開く。夢は、國崎義正に電話をかけた。

 『どうした?』

 「急にごめんね。明日だね、パレード」

 『そうだな!いやー、まさか本当に総理大臣になれるとはな!二〇二一年の憲法改正で、総理大臣の許可年齢が二十歳になるとはな……』

 「そうだね」

 「でも、総理大臣になれたのは、夢たちのお陰だよ!ありがとう!」

 「ううん」

 『それで何かあったか?』

 「何か言おうとしたけど、忘れちゃった」

 『じゃあ、思い出したら言ってくれ。じゃあな!』

 ツーツーツーと電話の音は聞こえ続けた。

 もしかしたら、明日義正が死ぬ。

 そんな現実を受け入る覚悟ができないまま、明日を迎えた。

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