警察本部 零課   作:もののあはれ

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四十二 謎の男登場

 ゆめと正木は、黒いワゴンに乗せられていた。

 「何でこんなことに……!」

 「アッハッハ!」

 「何笑ってるのよ!」

 正木は、

 「いやー、何とかなる気がします」

 「何とかって……!」

 次の瞬間、車が金属が擦れる音と共に車が止まった。

 「どうしたんだ!?」

 「タイヤが、タイヤが何者かに斬られました!」

 「何ぃ!?」

 「夢!あれって!?」

 「“炎装化(えんそうか)”……?」

 「炎装化?」

 夢は続けた。

 「熟練度が800度以上の人ができる、炎を(まと)う技で、武器の威力も二倍以上に跳ね上がる技だわ……!」

 その人は、刀を構えた。夢は驚いた。構え方が風間と同じだったからである。

 「に、逃げるぞ!」

 錦林は、車から降り走りだした。

 「逃がすか」

 微かに聞こえた声がそう聞こえた。

 「“風間流、電光石火”」

 まばたきをした瞬間、その人は錦林の目の前にいた。

 「速い……!」

 夢は思わず、声が出ていた。

 「“風間流、烈火”」

 その人の一振りで、地面は割れ、炎が舞い上がった。

 「あ゛ぁ……」

 気付いたらそこには、UMAがいた。今まで見た事が無いUMAだった。

 「そのUMAは、現時点の最高傑作よ」

 そこには、入江真緒らしき人物がいた。

 「そいつの名は、大氷鬼魔(だいひょうきま)。そいつの吐息で、辺り一面南極よ?」

 その人は有無言わずに

 「“風間流、大噴火”」

 その人の一振りで、地面から、炎を纏った衝撃波が飛び出てきた。一瞬にして辺りは煙だらけになった。

 「まさか、たった一撃で……?」

 煙の中から大きな氷の腕が振りかぶってきた。その人は難なく避けたはずが、吹っ飛んだ。

 「何であの人、吹っ飛んだんだ?」

 正木は、訳が分からないと首をかしげた。

 「多分空気が膨張したんでしょうね。大氷鬼魔の周りは冷やされた空気でいっぱいだから、急に熱せられ空気が膨張したんでしょう」

 入江は、高笑いをしていた。

 「あなたの能力じゃ、この最高傑作には敵わない!まあ、足掻きなさい!」

 「少し本気だすか……!」

 「本気……?」

 夢は、口ずさんでしまった。その人は、再び構え始めた。構え始めると、地面が微かに揺れ始めた。

 「何?地震……?」

 入江は辺りを見回した。その人は、刀を抜き始めた。刀から、真紅の炎が巻き上がる。

 「“風間流奥義、十字火(じゅうじか)”!」

 十字の炎と共に放たれた一撃は、物凄い勢いで大氷鬼魔に当たり、天高く飛び上がった。辺りは、衝撃で窓や、塀が破壊されていた。

 「クソ!ここは一端計画を立て直す!」

 入江は大きく息を吸い、辺り一面に息を吐いた。その息は吹雪となり、視界が悪くなった。

 気が付くと、そこには、入江と謎の人がいなかった。夢と正木は、呆然と立ち尽くしていた。

 

 戻ると夢たちは、風間に一部始終を伝えた。

 「壮絶だったんだね……。でもまあ、無事で良かった!今日はとにかく家で休みなさい」

 夢たちは、風間に一つお辞儀して帰った。

 風間は夢たちが帰ったのを確認し、声を掛けた。

 「君だろ?炎司。あの二人を助けたのは。ってことは、収穫があったってことだね?」

 「ほら、見てみな」

 炎司が出したのは、神話に登場する“天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)”だった。

 「まさか、あんなすぐに“炎装化”できるとはね」

 「色々あったんだよ……!」

 風間は、炎司の左腕を指さして、

 「それの改良もかい?」

 炎司は、左腕を触りながら、

 「長くなるぞ?」

 と言った。すると、風間は

 「……お茶でも淹れようか」

 その部屋には、紅茶の香りが舞い上がった。

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