炎司は、たった三日で風間流全てを会得した。
翌日、炎司は荷物を整え、風間に別れを告げた。
「んじゃ、行って来るぜ」
「くれぐれもUMAには気を付けてくれ」
「分かってるって」
「それと……」
そう言って風間は、ある一つの刀を渡した。
「夜桜には劣るが、なかなかの代物だ。使ってくれ」
炎司は深くお辞儀をして、
「ありがとう。じゃあ、行って来る」
炎司は、風間に背を向けて、歩き始めた。
炎司は、約半日かけて島根県の出雲へ向かった。炎司は村人の情報を頼りに出雲大社へ向かった。
そもそも炎司が探している天叢雲剣は、遙か昔に
炎司は、天叢雲剣の前に立った。すると遠くから声が聞こえた。
「それは抜けないわよ」
炎司は声がした方に、刀を向けた。
「誰だ」
「入江真緒よ。貴方の知ってる入江與の妹だわ」
「俺に何のようだ?」
入江は、囁くように
「その刀、“最上業”だと思って来たでしょう?でも無理よ、今のところ抜いた人はいない。UMAでも、破壊できない」
「何が言いたい?」
「つまり、選ばれた人しか抜けないってこと。喚起はしたわよ?」
入江の気配はなくなってしまった。
炎司は方向を天叢雲剣の方へ向き直し、天叢雲剣に手をかけた。
炎司は抜こうとした。しかし、ピクリとも動かない。
(っんだこれ……!)
それからも、二、三分奮闘したが、全然動かなかった。
諦めかけた次の瞬間、どこからともなく
『そこの者よ』
そう呼び止められた。
「誰だ!?」
炎司は刀を抜き出し構えた。
『まてまてい、我は怪しいものではない。我は素戔嗚尊なり』
「素戔嗚尊……?何でこんなとこに」
『我が質問に答えよ』
急に言われたその言葉に戸惑いながらも、炎司は、頷いた。
『この天叢雲剣に何臨む?』
「全ての人を守る力」
『誠にか?』
炎司は頷く。
『気に入った!お主に、天叢雲剣を授ける。それと共に、八岐大蛇の怨念を断ち切ってくれ!これで我も成仏できよう……。全力で抜け!さすれば抜けるだろう……』
炎司は、再び頷き、天叢雲剣を握った。炎司は力を込めた。やがて、炎司の周りに大きな火柱が立った。炎司の尻からは九本の尻尾が生え、耳が立ち、長く凜々しいひげが生えてきた。
炎司は、腕に力を込める。すると、天叢雲剣は動き始めた。天叢雲剣が抜き始まると、素戔嗚尊の思い出が脳に鮮明に浮かんできた。
炎司は、涙を流しながら天叢雲剣を抜ききった。次の瞬間、ドス黒い気が抜き口から湧いてきた。炎司は断ち切ろうとする。しかし、目の前に、八体のUMAと、入江真緒が現れた。
「素晴らしいわ!貴方!まさか、天叢雲剣を抜くとは!」
「どけ!八岐大蛇がどっか行っちまう!」
しかし、入江は笑った。
「その心配はいらない!ほら!」
炎司は、UMAの方を見た。八体のUMAは水蒸気となり、八岐大蛇の気を包み込んだ。ただの水色だった水蒸気は、やがて黒くなり、水蒸気の中から、八本の首が出てきた。
「これが……!“UMA タイプ ヤマタノオロチ”よ!」
八岐大蛇の気は、UMAの力によって氷の八岐大蛇となった。体長は、
『頼む!そこの者よ!八岐大蛇を倒してくれ!』
炎司は、天叢雲剣を構えた。