警察本部 零課   作:もののあはれ

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四十四 回想 天叢雲剣

 炎司は、たった三日で風間流全てを会得した。

 翌日、炎司は荷物を整え、風間に別れを告げた。

 「んじゃ、行って来るぜ」

 「くれぐれもUMAには気を付けてくれ」

 「分かってるって」

 「それと……」

 そう言って風間は、ある一つの刀を渡した。

 「夜桜には劣るが、なかなかの代物だ。使ってくれ」

 炎司は深くお辞儀をして、

 「ありがとう。じゃあ、行って来る」

 炎司は、風間に背を向けて、歩き始めた。

 

 炎司は、約半日かけて島根県の出雲へ向かった。炎司は村人の情報を頼りに出雲大社へ向かった。

 そもそも炎司が探している天叢雲剣は、遙か昔に素戔嗚尊(すさのおのみこと)八岐大蛇(やまたのおろち)の尻尾を斬った時に出てきた(つるぎ)である。素戔嗚尊は天照大神(あまてらすおおみかみ)に献上した後、ここ出雲大社へ納めた。

 炎司は、天叢雲剣の前に立った。すると遠くから声が聞こえた。

 「それは抜けないわよ」

 炎司は声がした方に、刀を向けた。

 「誰だ」

 「入江真緒よ。貴方の知ってる入江與の妹だわ」

 「俺に何のようだ?」

 入江は、囁くように

 「その刀、“最上業”だと思って来たでしょう?でも無理よ、今のところ抜いた人はいない。UMAでも、破壊できない」

 「何が言いたい?」

 「つまり、選ばれた人しか抜けないってこと。喚起はしたわよ?」

 入江の気配はなくなってしまった。

 炎司は方向を天叢雲剣の方へ向き直し、天叢雲剣に手をかけた。

 炎司は抜こうとした。しかし、ピクリとも動かない。

 (っんだこれ……!)

 それからも、二、三分奮闘したが、全然動かなかった。

 諦めかけた次の瞬間、どこからともなく

 『そこの者よ』

 そう呼び止められた。

 「誰だ!?」

 炎司は刀を抜き出し構えた。

 『まてまてい、我は怪しいものではない。我は素戔嗚尊なり』

 「素戔嗚尊……?何でこんなとこに」

 『我が質問に答えよ』

 急に言われたその言葉に戸惑いながらも、炎司は、頷いた。

 『この天叢雲剣に何臨む?』

 「全ての人を守る力」

 『誠にか?』

 炎司は頷く。

 『気に入った!お主に、天叢雲剣を授ける。それと共に、八岐大蛇の怨念を断ち切ってくれ!これで我も成仏できよう……。全力で抜け!さすれば抜けるだろう……』

 炎司は、再び頷き、天叢雲剣を握った。炎司は力を込めた。やがて、炎司の周りに大きな火柱が立った。炎司の尻からは九本の尻尾が生え、耳が立ち、長く凜々しいひげが生えてきた。

 炎司は、腕に力を込める。すると、天叢雲剣は動き始めた。天叢雲剣が抜き始まると、素戔嗚尊の思い出が脳に鮮明に浮かんできた。

 炎司は、涙を流しながら天叢雲剣を抜ききった。次の瞬間、ドス黒い気が抜き口から湧いてきた。炎司は断ち切ろうとする。しかし、目の前に、八体のUMAと、入江真緒が現れた。

 「素晴らしいわ!貴方!まさか、天叢雲剣を抜くとは!」

 「どけ!八岐大蛇がどっか行っちまう!」

 しかし、入江は笑った。

 「その心配はいらない!ほら!」

 炎司は、UMAの方を見た。八体のUMAは水蒸気となり、八岐大蛇の気を包み込んだ。ただの水色だった水蒸気は、やがて黒くなり、水蒸気の中から、八本の首が出てきた。

 「これが……!“UMA タイプ ヤマタノオロチ”よ!」

 八岐大蛇の気は、UMAの力によって氷の八岐大蛇となった。体長は、八雲山(415m)と殆ど同じ大きさだった。

 『頼む!そこの者よ!八岐大蛇を倒してくれ!』

 炎司は、天叢雲剣を構えた。

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