炎司は、ゆっくりと目を開ける。覚ましたのは良いものの、そこは、先程いた基地の薄暗い場所ではなく、辺り一面花が咲いており、空は真っ白な場所だった。炎司はすぐに理解した。
ここが死後の世界なんだと。
炎司は何となく歩いてみた。するとすぐに大きな扉が現れた。炎司はその大きな扉を開けようとしたが、勝手に開いた。大きな扉を通ると、そこは、普段の町と何ら変わりなかった。ただ違うのは、街に色がないことだった。
炎司は、再び歩き始めた。すると、そこには会えると思っていなかった人に出会った。
草木茂と大道寺政宗だった。
「茂……!オヤジ!」
草木と大道寺は、振り返る。草木はすぐに駆け寄る。大道寺は涙を浮かべ、ゆっくりとこちらにやって来た。
「炎司……?俺てっきり、炎司は二年前に死んでるかと……」
「わしが来たときから今日まで、会ってなかったから、まさかとは思っていたが……」
「俺は、殺された」
草木と大道寺は、驚いた。
「炎司が……?」
「俺、まだ死ぬわけにはいかねえんだ……!俺がいないと何だがいけない気がする」
大道寺は、炎司の肩を持ち
「そうじゃ!炎司お前は、間違えなく人々の柱となっている……!だが、ここは死後の世界。折角じゃ。お前に会わせたい人がおる」
そう言われて、炎司は、大道寺について行った。
かなり歩いたとき、大道寺がある一人の男に指を指した。そこには、自分と同じ赤い毛で目元がそっくりな人がいた。炎司はその人が本当のお父さんだということが何となくわかった。
気配で気づいたのか、その人がこちらを見る。その人も気づいたのだろう。物凄い勢いで、こちらに走ってきた。
「灯!!」
そう言われて、気づいたら思いっ切り抱きしめられていた。
「大きくなりやがって……!」
炎司は何だが笑みがこぼれてしまった。
「話は、大道寺さんから聞いてたからな!スゲぇな、灯は!」
「全部、オヤジのお陰だよ」
「何だがわしも照れるな」
みんなで笑い合っていた。
「ねえ、お父さん?」
大輝は、首をかしげた。
「何だ?灯」
炎司は、
「元の世界に戻る方法は無い?」
大輝は、手を顎にあてながら
「ほぼ無いだろうな……」
「ほぼってことは、あるかもしれないってこと……?」
「まあ、これは噂だから知らないが、神様直々に許しを貰えれば、戻れるという噂を聞いたことがある……」
「神様……?」
炎司の頭の中に一人の神様が思い浮かんだ。
(知り合いがいる気が……)
すると奥から、人たちが
「久しぶりだな、炎司!」
「もしかして、スサノオ?久しぶりだな!」
「スサノオって、素戔嗚尊か!?」
草木は、口をあわわして跪いた。
「知り合いなのか……?」
大道寺も大輝たちも驚いている。
「炎司、お主は戻った方が良い!我が許す!」
「ありがとう!スサノオ」
「我の力も、くれてやる!存分に使うが良い!……ん?」
素戔嗚尊が頭を掻きながら、炎司に言った。
「炎司、お主の記憶内に忘れられている記憶があるぞ」
「忘れられた記憶……?」
「そうじゃ。八岐大蛇と闘った後に……。話すと長くなるな、蘇らしておこう!」
素戔嗚尊の両手が炎司の頭に触れる。
その瞬間、記憶が呼び起こされた。