警察本部 零課   作:もののあはれ

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五十二 回想 老人強し

 炎司は、消された記憶が呼び起こされて、炎司は消された記憶を辿っていた。

 

 それは、八岐大蛇を倒した後に遡る。

 炎司は素戔嗚尊と別れた後、出雲大社を出ようとしたが、あまりの疲労で倒れてしまった。仕方なく炎司は、出雲大社の外れで夜を明かすことにした。

 深い眠りにつく前、草の激しく擦れる音に目を覚ました炎司は、周りの光景に呆然とした。

 そこには、人間ほどの大きさをした猿が、四、五匹程いた。

 「え……?何々!?」

 猿は、炎司めがけて襲い掛かる。

 (クソっ!疲労が溜まって動けねぇ!)

 そう思ったとき、赤く光る刀を持つ老人が前に現れた。

 「ったく、あんな八岐大蛇ごときでそんなになるとは、情けない!」

 その老人は、手に持つ刀で、猿をばったばった切り倒していく。猿は逃げ、難を逃れた炎司は息を吐いた。

 「そこの者。名前は……?」

 「神木炎司……」

 「ったく、人違いをしてしまったな、その赤毛は、神楽一族だと思ったんが……、近頃は、良くそういう色の若者がおるんじゃよな……」

 謎の老人が林の奥に戻ろうとした。

 「あ、俺、神楽です」

 「いやいや、そんな馬鹿な」

 謎の老人は、振り返った。

 「いや、俺、神楽灯です」

 「父の名は……?」

 「神楽大輝……」

 すると、謎の老人は炎司に向かって(ひざまず)いた。

 「お持ちしておりました!神楽殿!」

 「な、何なんだあなたは!急にかしこまって!」

 「申し遅れました!(わたくし)日野政人(ひのまさと)と申します!」

 「誰……?」

 「はい!私、以前に神楽大輝殿に命を救うて貰い、御恩をお返ししようと、お持ちしていました!……立ち話もなんです。私の家へ御案内します!」

 「別に、タメで良いよ?目上の人に敬語使われると、気まずいから」

 「じゃあ、一つ言わせて貰う」

 (急だな、オイ)

 「お主の動きには無駄がある。お主は風間流を使っているが、風間流はいちいち構える必要がある。だから、二手、三手が遅れてしまう。そもそも、風間流はある一つのものから派生した。それが、儂の使う“日ノ型”だ」

 「日ノ型……?」

 炎司は、首をかしげた。

 「元々あったのは、“日ノ型”。そこから派生したのは、“風間流”と“光の型”の二つだ」

 「何で、二つに派生したんですか?」

 「権力争いだな。一人は、力だ、もう一人は速さだとか、言っていたそうだ」

 「俺は、どうすれば……?」

 「気はどこまで使える?剣に(まと)わせてみろ」

 炎司は、言われたとおりに気を剣に纏わせた。

 「ほほう、中々やるな……。剣はいつから?」

 「三日ちょい」

 「は?」

 あまりの驚きに日野は、木に頭をぶつけていた。

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